| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第36話。変人と月入りの時。

 
前書き
祝・月姫編完全完結。 

 
side 遠野志貴

「終わった・・っ!いろんな意味で・・・・」

机に突っ伏して寝る弓塚さん。実は今日で中間テスト最終日。あの夜から数日が過ぎた。

「数学なんて死ねばいいんだ。生きていちゃいけない存在なんだ」
「なるほど、数学は生きていると。哲学的ですなぁ弓塚さん。」

有彦が茶化す。ポカポカと殴る弓塚さん。・・・・あぁ、日常に戻ってきたんだ。

「・・おーい。遠野戻ってこーい」
「・・・・なんだよ有彦」
「いやなに。遠野仙人がまた遠くの世界に旅立ってましたから?呼び出しただけでございますよ」

馬鹿にしたような口調で話す有彦。・・・・でも事実だから強くは言えない。

「ね・・ねぇ、遠野君はどうだった?」
「ん?テスト?・・・・普通かな?」
「授業に出ない、休みがちの遠野が、なんでいつも平均キープ出来るのか疑問でしょうがないんだが」
「そういう有彦だってそうだろ?」
「うううっ。その頭の良さを分けて欲しいです。」

友人と話をするだけで、『日常に帰ってきた』と感じるのは、あの夜がいかに非日常な出来事だったのかを物語っていると思う。

こんな日常も、あともう少し・・・・

「でもでも!英語と世界史は自信があるもんね!」
「おっ?そうなんか?弓塚?」
「そうだよ?晋吾くんとの進路相談で、学校の先生になるって決めてから勉強の捗り方が全然違うの!」
「晋吾?・・もしかして中学生位の関西弁を話す子か?」
「え?遠野くん知ってるの?」

話を聞くと、命の恩人で進路相談をしてもらったらしい。・・ハハッ、さすが晋吾ってとこなのかな?

「てか弓塚。先生になるのか?」
「・・うん。気を遣うことが出来て、人気もでそうだから、向いてるんじゃないかなって言われて」
「やる気になったと」

・・・・そうか、弓塚さんも導かれたんだな。晋吾に・・・・

「ハッ!そういえば遠野くんは進路どうするの?」
「俺?」
「おいおい。俺には聞かんのか?」
「え?乾君受験するの?」
「お前が俺をどう見ているかよーくわかった」
「・・・・留学するよ」
「え?」
「え?」

後にさつきは語る。初恋が砕けた瞬間を感じたと。

「2年生が終わったら留学する。だから、みんなとはもう少しでお別れだ」









学校が終わって、夕食の時間。今日は秋葉も一緒に食べれることが出来た。

「・・・・兄さん」
「ん?」
「あの話、考え直してくれませんか?」
「・・・・ごめん秋葉。これだけは譲れないんだ。」

そう。俺がやりたいこと。

・・・・人を『救う』。晋吾みたいにうまくやれないけど、俺にでも救える人はいるはずだ。

「・・だからってあの女に付いていかなくてもっ」
「ハハハハッ」

文句は行っているが、実際、秋葉は俺のしたいことを分かってくれている。理解してくれている。正直、ありがたい。

「ちゃんと、日本によったときは『秋葉』に会いに帰るさ」
「・・・・絶対ですよ!絶対ですからね!!」

俺は来年4月から、シエル先輩に付いて行き、埋葬機関の手伝いをすることにした。

それが一番、『俺ができる救い』をやれる道だと思ったから。

ちなみに、俺の眼等を考えて、埋葬機関所属じゃなく、シエル先輩専属の助手として付いていくことになる。

説明するとき、『専属の助手』って部分を秋葉に強く言って、秋葉をいじっていたが、シエル先輩も可愛いところあるよな。

表向きには、遠野のために留学すると言うことになっている。秋葉が根回してしてくれた。本当にありがたい。

全ては・・・・人を救うため。俺は・・『アポストロス』になる。





町外れの丘に来ていた。ここは思い出の場所。先生にあった場所。

先日までの満月からは少し欠けていたが、それでも綺麗な月が見える。

「ホッホー。綺麗な景色やないかー」
「晋吾。どうしてここに?」
「いや、アルの家に遊びにいった帰りにシッキーを見かけてな。つい、付けてみました。」

いたずらをした時の子供のような顔をする晋吾。・・・・こんな顔を見ると、真面目な時の晋吾と、同一人物なのかと疑ってしまうな

「シッキー、シエルについて行くんやってな。シエルから聞いたで?」
「・・どう思った?」
「ほ?シッキーが決めたことやろ?自分の未来は自分で決めるんや。それなのに、俺がうだうだ言うことなんかなか。」

自分で考える。あながち間違えではなかったようだ。

「晋吾。俺は、晋吾みたいになりたいんだ」
「・・・・マジで?やめたほうがええぞシッキー。正直俺みたいのは世間受けしないで?考え直したほうがええよ」
「・・・・いや。世の中がなんて言おうと、救われなかった人を救う。それが、殺すことしかできない、俺の役割だと思う」

話が噛み合っていないことを感じる晋吾。

『殺すことしかできない』とは悲観的な考えだと思うが、でも、やる気に満ちた志貴の顔を見るとまぁええか、と思う。

「ふーん。面白いことになってるじゃない?」

突然女の声が聞こえる。ッ!この声は!!

「先生!?」
「ミサトさんだと!?」
「・・・・晋吾は何度言えばミサトじゃないって分かるのかしら。」

突如姿を表した女性は二人の知る人であった。蒼崎青子。第5魔法に到達した魔法使い。

「ふーん。それがこの世界での体なんだ。・・悪餓鬼って感じね。前の方がよかったわ。渋くて。」
「そうかの?結構気にってるんやけど。」
「あれ?知り合い?」
「おう。体感時間で1年ぐらいの付き合いや。こいつが覚えが悪かったさかいに」
「なによ。銀ちゃんは私が最速だって言ってたわよ?」

恩師であり、尊敬の意を隠しきれない先生と、自らの救世主であり、憧れの存在である晋吾が、親しそうに話す姿に感動する志貴

「まぁ、俺はちょっとシッキーを見かけて寄っただけやから、後は師弟水入らず話してくれや。じゃな、シッキー。またな」

そう言って晋吾は去っていく。

「相変わらずマイペースな奴ね。神相手でもあんな感じよ?アイツ。」
「ハハッ・・」

なんて答えていいか分からず苦笑いを浮かべる志貴。そして去っていく晋吾の後ろ姿を目で追う。

「・・・・いい顔をするようになったわね。志貴」
「そう・・かな?」
「ええ、とっても。いい男になったわ」
「へへっ」

尊敬する先生に褒められ、歳相応の笑顔を見せる志貴。

この世が、こんなにも『脆い』世界だと知った時の顔とは、雲泥の差があった。

「・・・・ねぇ志貴」
「なんだい先生。」
「貴方は・・今、幸せ?」

志貴はその質問を、ゆっくり噛み砕くかのように静かに目を閉じた。

「昔は・・晋吾と出会う前はただ『普通』に生きていくだけで幸せだった。『普通』が俺の精一杯だったんだと思う」

そして懐かしむように月を見る。記憶の一番奥底にある月よりも欠けているが、それにも劣らない綺麗な月。

「でも今は、やりたいことが出来たんだ。行きたい道が出来たんだ。それを見つけることが出来た俺は、辿り着くかわからないけど・・」

先生を見る。多大なる感謝を込めて。

「幸せです。俺に、死に溺れて死にかけていた俺に、未来を見せてくれて、導いてくれて、ありがとうございました」

それを受けて魔法使いは笑顔を見せる。

「・・そう。頑張りなさい。・・・・それじゃ、行くわ。また逢いましょう?」

歩きだす。次に二人の道が、重なる瞬間を楽しみに。それぞれの道を―――





SIDE OUT







ロアの一件も落着し、美咲町にようやく平和が訪れた。と、思ったが、親が死んで野良になった死者がまだ彷徨いているらしい。

あのあとアルはとっても調子が良いらしく、俺がロアをやったんだからと、野良になった死者狩りを進んでヤル気になっていた。

まぁ、今のアルなら任せても安心かと思うので任せることにした。かなりの数が予想できるが、一週間もあれば終わるだろうさ。

アルには、日本に居るなら俺の実家で一緒に暮らさないか?と提案してみたが、

しばらくは美咲町に残り死者狩りをし、終わったら冬木の近くに引っ越すとのこと。

なんで冬木でないかと言うと、日本有数の霊地である冬木に真祖がいると、色々不味いらしい。

具体的には、真祖がなんでそこに留まるかと色々な方面から人材が送られ、勝手に対立し戦争が始まる事態になるからと言っていた。シエルが

霊地でなく、外れたところなら、誤魔化しようがあると言ってた。シエルが。

そのうちなんとか話を付けて、二人が一緒に暮らせるようにするから任せてくれと言っていた。シエルが。

・・・・なんかすごく頼もしいです。

なんか何かと便宜を図ってくれて助かったわ。アルのマンションの契約もシエルが解約して、新しいマンションを購入してくれるらしい。

シエルが言うにはアルは吸血鬼としての業が消え、使徒として生を受けたとかなんとか。不本意だけど、使徒派の私としては、貴方様の巫女として大切に扱わなければならいなとかなんとか。

とても宗教チックな眼をして語られてので、話半分に聞いてたのでようわからんかったが、そんなことを言ってた気がする

アルは意外にも冷静に、魔術師にも死徒にも秩序があるのよ。とか言って受け入れていた。

・・我儘言うだろうなーっと思っていてスイマセン。無秩序な世紀末な世界かと思っていましたスイマセン。

まぁ、魔術的、宗教的問題はその道数百年の二人に任せたほうがいいだろう。

という訳で、俺は俺の問題を解決しようと思う。

「一応報告しときますわ。とりあえず夜の件、一件落着やで」
「全く。心配かけさせないでよね。」
「ハハッ。ニイさんには無理な話だよ」
「まぁ私は、マスターに心配など無用だと思うがな」
「家族なんだから心配しないのは無理さ」
「・・フッ、そういうものか」

まぁ、心配かけたことは悪かったと思いますけどね。

そしてセブ、この数日間メンテナンス一回もしなくてスマン。だから機嫌直せ

朝の食卓で、ロアの件が終わったので報告。家族からの言葉がグサグサと刺さる。

「ホンマにスマンかった。」
「でもさ、毎晩何やってんだニイさん?」
「二十七祖狩ってただけや」
「・・・・これってツッコミ待ちなのかしら?」
「何がや」
「ハーッ」

舞弥姉ちゃんにため息をつかれた。姉ちゃんにジト目でみられる。

「もう晋吾はこれぐらい普通だと思わないとダメね」
「今更だな。」
「舞弥姉ちゃんひどいわー」
「そのうち聖杯戦争でサーヴァントとタイマンして勝ちそうじゃない?」
「悪夢だわ」

シロちゃんの例え話に全力で引く姉ちゃん。・・・・ごめん姉ちゃん。実は楽しみにしてたりします。

ロアも教授も、死徒という生物のポセンシャルが高いが、所詮学者という生き物だったから、戦闘にもその側面が見えてくる。

俺かて真面目にやっとらんが、武道を嗜むものだから、一度は本気の武と武の競い合いってのををしてみたい。

セイバーVSアサシンとか熱かったやないか。俺もあんなのやってみたいわ。魂たまの取り合いは勘弁やけどな。





シロちゃんはいつものように朝練にいき、しばらくして俺も学校に行く。教室に近づくと、なにやら騒がしい。

「おう上野。どうしたん?何かあったん?」
「うわぁ!なんだよ晋吾びっくりしたな。それに上野じゃない埼玉だ。」
「スマン。上野。で?どうしたん?」
「どうしたもこうしもないぜ!おーい!旦那が来たぞー」

旦那?誰のや

「フフッ。旦那ではありませんよ?大切な友人です」

なっ!・・・・猫かぶりモードの凛ちゃん!?

「・・・・」

スタスタと無言で凛ちゃんに近づく。

「・・・・」
「晋吾くん?どうしたのかしら?ッ!」
「会いたかったで凛ちゃん!!」
「ちょっ!?抱きつくなバカ!!
「久しぶりやな。元気しよった?」
「あなた、わざわざ家まで来んだからわかってるでしょ!?」
「せやかて門前払いとか悲しいかったんや!大丈夫か?ガチヒッキーになったりせんか?」
「いいから離れる!」

ドウドウ。俺ドウドウ。2週間と5日振りの凛ちゃんに感激の抱擁をしてしまった。

今日はテスト3日前。そのため凛ちゃんはクラスのみんなから、休んでいた時のノートを見せてもらってる。

この教科は誰のがいい。ここのところ詳しく書いている奴は居ないか?と、皆が協力して凛ちゃんのために教えている

それは、凛ちゃんがいかにみんなに愛されているかわかる光景であった。





そしてテスト当日。

「フフフ、ついにこの日が来たわ。あなたを倒すこの日が!!今回の私は今までと違うわ!だって・・みんなが居てくれたから!!」
「遠坂さん頑張ってぇーー!」
「遠坂さん!晋吾の奴なんて雑魚っすよ雑魚!」

なぜか完全アウェーな俺。くっ!こんな時にシロちゃんや一成が居てくれたらっ!!

しかし遠坂さんノリノリですね。猫ふぇいすはどうした?

「んなテストぐらいで大袈裟な」
「テストぐらいだと!?貴様!わかっとらん!わかっとらんぞ!!全国の中高生がどんな気持ちでテストに臨んでいることか!?」
「五月蝿いわ上野。勉強しないでゲームしかしとらん自分が悪いんやろが」
「くっ、うぅうう」

事実なので何も言い返せないらしい。

「上野くん。ごめんなさい。私が不甲斐ないばかりに・・あいつを調子に乗らせてしまったのよ」
「そんな、そんなことないですよ遠坂さん!信じてますから!頑張ってください!後、僕の名前埼玉です」

女神を崇めるかのように膝立ちで凛ちゃんを見る上野のこと埼玉。その姿はとってもアホに見えます。

そんな謎な気合の入った教室でテストを受け、数日後、運命の返却日。

凛ちゃん、オール満点。大変良くできました。

俺、オール満点。いつも通りで御座います。

「「「「「「おぉおおおーーー」」」」」」

クラスメイトから感嘆の声が漏れる。壮観らしく、新聞部と写真部が態々写真をとってる。

「やるのぉ凛ちゃん。ずっと休んどったのにスゴイやないの」
「まぁこんなものね」

流石の凛ちゃんも得意気。フフンッと胸を張る凛ちゃんが微笑ましいです。

しかし、凛ちゃんはいつ気づくんだろうか?

凛ちゃんが勝つためには、凛ちゃんがどれだけ頑張ろうが、俺が100点以下を取る必要があるんだけど・・・・

・・・・まぁ、いつものウッカリですねぇ。 
 

 
後書き
今話は、シッキー旅立ちますな話。基本、死徒退治がお仕事。まぁ、シエルさんと仲良くね。合言葉は『俺がアポストロスだ』
さっちんは先生を目指して頑張ります!頑張れさっちん!まだ出番はあるぞ!!そして先生ことミサトさん初登場。次出るかは未定。体感時間で1年ほど白の世界にて晋吾&神々達と過ごしました。ちなみに上野(体育祭の騎馬戦で晋吾の上にいたやつ)なのに埼玉。東京にしとけ。ちなみに赤羽は東京。板橋も東京。埼玉では決してない。実は、Fate本編にも名前だけの登場であったが、2-Cの男子生徒であった埼玉。細かい。実に細かい。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧