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寂しきロックンローラー

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第八章

「少しだけだからね」
「ああ、長い間待ってたけれどな」
「半年は長いわね」
「半年か」
 その半年についてだ、彼はまず遠い目になった。そしてその遠い目でこうも言うのだった。
「十年位に感じたな」
「あら、それはまた長いわね」
「俺の気分としちゃあな」
 それだけの時間を感じたというのだ。
「長かったぜ」
「成程ね」
「ああ、けれどそれもな」
 もうすぐと聞いて言うのだった。
「やっとだな」
「そうよ、戻ったらどうするのかしら」
「さてな、色々と自慢してやるか憎まれ口を言ってやるか」
 ラビルはこれまでとは違う笑顔で話す。
「どうしてやるかな」
「それは彼が戻って来てからね」
「それからだな」
 何をするかということはというのだ。
「まああと少しだからな」
「待つわね」
「そうするさ」
 こう言うのだった、そして。
 彼は待ち続けた、それから遂にだった。
 ラビルが戻ってきた、ドワンゴは半年ぶりに事務所に来た彼にこう言った。
「オフはどうだった?」
「最高だったぜ」
 ラビルはにやりと笑ってドワンゴに返した。
「ゆっくり休めたぜ」
「そうか、こっちは大変だったぜ」
「仕事詰めだったそうじゃねえか」
「手前がベッドでぐうすか寝てる間にな」
 彼はだというのだ。
「朝も夜も働いてたぜ」
「その割には太ったみたいだな」
「ステーキとアイスを食いまくったからな」
 右手の親指で自分自身を指差しての言葉だ。
「そっちはどうだったんだよ」
「病院でいつも最高のディナーを食わせてもらてったぜ」
 ラビルも負けじと返す。
「そいじゃそこらで食えない様なのをな」
「そうか、それはよかったな」
「飽きる程な」
 食ったというのだ。
「そっちのただ焼いただけのステーキよりよっぽどよかったぜ」
「それは何よりだな」
「ああ、それで女はどうだよ」
「女かよ」
「俺はナースの姉ちゃんをとっかえひっかえだったぜ」
 ラビルは予想通りの言葉をあえて言ってみせた。
「白衣の女医さん達ともな」
「へえ、そりゃよかったな」
「ハーレムだったぜ、病院は」
 まさにだ、それだったというのだ。
「取り合いになって大変だったぜ」
「楽しんでたんだな」
「そうだ、手前はどうだったんだよ」
「俺か?絶好調だったぜ」
 ラビルも笑って返す。
「もう腰が痛くて仕方ねえぜ」
「ほう、そっちもかよ」
「ああ、負けなかったぜ」
「言ってくれるな、減らず口ばかりな」
「そっちもな」
 二人共わかっていた、それで言い合うのだった。 
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