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東方清天落

作者:にゅるめ
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2話

 
前書き
はい、2話です。文字数少なくなると言って、特に変わってません。
むしろ多くなってますね。 

 
―――感じたままに、歩んでください。

そう言われ、疑問が浮かんだのもつかの間、俺は、「ある世界」(らしき)場所へと移動した。視界に移るのは、地面、空、木々……およそ元の世界でも見たことのあるもの。
ただ、人……というより、動物が見られない。

「……意外と、冷静になれているのか?俺は。」

体の調子を確かめる。……とりあえずのところ、激しく動かなければ、軽い疲労感があるくらいか?

「……まいったな、どこにいけばどころか、どっちにいけばいいのかもわからない。
とりあえず動かないことには何も変わらないけど……」

動いてさらに迷ったら笑えない。見る限り道なんてものは無いし、この近くはこの世界の人たちもめったに通らないか、そういうレベルに到達していないかのどちらかだけど。
……前者がいいな。

「んー、とりあえず歩くか。」

―――昼? 「ある世界」森林?―――

それにしても、不思議と焦りや不安を感じないな。落ち着いてるってわけでもないけど、頭がついてきてないのかな?それとも、自分でもわかんないくらい混乱してるのか?
うーん、自分をこんな風に見るなんて、なんか俺が2人いるみたいだ。そう考えると、
やっぱごちゃごちゃになってるのかもしんないな。

「……」

……。
それにしても、とりあえず歩いているものの、似たような景色ばかりで飽きてきたな。
自分以外に気を配る余裕もないのもそうかもしんないけれど、風景が変わっている気がしない。パニックになる前に、どうにかこの森から出たいところだけd……っと、
なんか、あっちの方が明るい気がする。行こう。

―――昼? 「ある世界」草原?―――

「……んー、まだやっぱりわかんないな。なんか、開けた場所に……」

森を抜けたと思ったら、今度は目も眩むほど黄色く輝いている草原にでた。

「なんだろう、あそこ……植物?かな……近づかないと、ちょっとわかんないな。」

とりあえず行ってみることにした。
……無意識のうちに、やはり不安を持っていたのだろう。移動してから初めて見る
明るい色に、足がはやくなる。

「うわ……すごい……向日葵か。」

遠くからではわからなかったが、ある程度近づくと目も慣れ、輝いているように見えた場所には大量の向日葵が咲いていた。
それまで空を覆うほどの木々が生い茂っている森にいた俺は、一種の安堵感を覚えた。

「……っと、見とれている場合じゃなかった。これだけ開けた場所なら、高いとこから見渡せるかもしんない。時間もないかもしんないし、急がないと。」

しばらく歩いていると、なんとなく違和感を覚える。
ほんの少しではあるが、歩く感覚が、道を歩いているときと、違うような。

「……ん、これだけあるいても丘っぽいとこはない、ていうか、視界にも映らないし、
なんていうか、こう、傾いているような……あっ。」

ああ、やっとわかった。ここらへん、地面が凹んでるんだ。なんだっけ?こういうの?
すり鉢状?これじゃあ、位置確認は難しそうだな……。相も変わらず人の気配は微塵も感じn……

「……え?いや、おかしくないか?あれでも、いつもこんな言い回しだったか?」

俺は今、人の気配「は」って、思ったんだよな?うん?いつもなら気にならないだろうに、
なんか今だけは気になる。人以外の気配?そんなのわかるわけない。猫や犬と何が違うんだ。
俺はいったいどうしたんだ?落ちつけよ。

「……どうする?見えるものは向日葵に、……向日葵だな。」

なんだこの感じ?なんか、いろんなものから見られているような。やっぱり俺は
自意識過剰なのかもしれない。だとしても、気になるものは気になる。

「……見えるものは、向日葵、地面……空もだ。あとは、なにが……」

見たものに注意を払い、変化があるかを確認しながら周りを見る。

「……?あ?ん?」

すると、何かが見えた。相手もこちらを見て……かなり見ているが、俺が気づいているとは思っていないらしい。ていうか、そんなことどうでもいい。なんだ?

「ん~?」

人と同じ見た目で、服も着ているけど、ものっそい小っちゃい。羽も生えているし。
うん?

「妖……精……?って、え!?」

いや、ありえないでしょ。妖精?え?妖精なの!?なに、え、妖精!?
しかもなんかいっぱいいる!なんかめっちゃ集まってる!かわいい!!!!

「……。」

とりあえず相手方が気づいてないようなので、こちらもじっと観察してみた。
妖精はかわ……いや、やはり小さく、手のひらに載る程度の大きさのがほとんどだ。
大きくても大体7,8歳くらいかな?だいたいそれくらいの子どもの身長くらいしかないけれど、みな一様にかわ……こちらを見ている。……あ、日向ぼっこしてる。かわいい。
妖精相手にこちらの常識が通じるのかわからないが、成長するのなら、大人と同じくらいの妖精が近くにいてもおかしくないが……。

「このまま観察も大変よろしいけれど、流石にな。どう切り出そうか。
あっちから近づいてくる感じはしないし、やっぱ俺からいかないとだめか。」

そんなことを呟き、とりあえず一歩進んだところで、

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

「あれ?」

みんな逃げてしまった。俺たちの距離はあんま変わっていないけれど、さっきよりも少し、警戒されているのを感じる。
ここらにしか妖精はいなくて、人もあまり通らないのかもしれない。
それか、見た目同様、子どもなのか。
どちらにしろ、コミュニケーションをとるのは難しそうだ。
そこで俺は気づいた。

(そういえば、俺が感じていた、見られているってのは、こいつらなのか?
なんか、すっきりとはならないな・・・。)

たしかに、その一つではあるとわかった。けどまだ、何かが俺を、無関心に観察しているような……。

「ま、考えていたってしょうがないか。とにかく先へ。」

気になるものは気になるが、わからんものはわからん。
仕方がないので、先に進む。妖精もついてくる。何かを伝えたいのだとなんとなくわかるが、それ以上におどおどしている。かわいい。怖がられている感もあるので、こちらからはコンタクトはとれない。残念。

「あ、誰かいる……、ぅん?」

歩き出してそんなに経っていない、さっきは気づかなかったが、誰かがいた。
でも、やっぱり違和感。さっきのとは違う。見えているものと実際のものが違うと、
そんな違和感。

「……ほかに人はいないし、いつまでも迷っていられない。」

おなかもすいてきたし、正直もう疲れた。はやくどこか、休める場所へ。そんな衝動には勝てない。闘ってもないけど。

「あの、すいません。今、少しいいですか?」
「……。」

日本語で通じんのか不安になった。声をかけられたことはわかったのか、こちらをゆっくりと振り返る。……ますます不安になった。緑髪に瞳は赤、ふわりとした日傘に、チェック柄のベストとスカートが印象的な……なんていうんだろう?大人な……女性って言う感じなのかな?姉と女性の中間な感じ。日本人ではないな。

「えっと……」
「……。」

あ、通じないのかもしれない。すごい観察されてる。……先ほどの妖精たちとは別種のようだけど。

「……。」
「……。」

どうしよう。まずい。こちらから話しかけておいてこの状況はまずい。
変な汗が出てきた。

「……ぁっ、と。」
「……何か私に用でしょうか?」

通じた!話ができることに安心する。
一呼吸おいて、いくつか質問をする。

「えっと、突然すみません。いくつかお尋ねしたいことがあって。」
「私に答えられることなら、答えますよ?なんでしょう?」
「いや、それが、すこし散歩をして、いつもと違う道を通ってみようと思い、歩き続けたのはいいのですが、どうやら迷ってしまったようで。申し訳ないのですが、ここらで人の集まっている場所をご存じないでしょうか?」
「あら、まぁ。それは大変。ここの近くで人の集まる場所なんて、やはり、人里くらいしかわかりませんね。」

人里……街ではなく、里か。それにこの言い方、そこそこ大きいようだし。科学方面ではあまり進歩していないか、基準が違うのかもしれないな。

「そうですか……。よければ、ここからの行き方を伺っても?」
「そうですね……むこうの、大きな山、見えますか?」
「……ん、はい。」
「ここからあの山へまっすぐいった途中に、人里があります。すこし歩けば、道が
出来ていますから、あとはその道なりに進めば、自然と着きますよ。」
「なるほど、ありがとうございます。突然、すみませんでした、助かりました。」
「いえ、お役に立てたのなら、それで。今度からは、このような事、無いように気を付けてくださいね?」
「うっ……はい、気を付けます。……ああ、そうだ、お名前を、よろしいでしょうか?僕は、天城照平といいます。」
「私は、風見幽香(かざみ ゆうか)と、申します。」
「では、風見さん。本当にお世話になりました。」
「天城さんも、無事を祈っています。」

そうして俺たちは別れた。教えてもらった通りにまっすぐ歩いていると、やがて整備された道が見えた。あとは、道に従って歩けばいいはずだ。
……最後の言葉、気になるな。無事を祈っています、か。
妖精なんてものがいるんだし、たしかに、何が出てきてもおかしくはないか。
用心しよう。

―――夕方 「ある世界」人里へとつづく道―――

「……流石に、そろそろ休みたいな。どこかちょうどいいところとか、ないもんかなぁ。」

なんて言っていたら、あった。どうやら移動式の屋台のようで、ずいぶんと運がいい。
さて、お金は日本円でいいのだろうか。……って、あれ?
財布の中身が……一円札?こんなの入れt……あれぇ!?

「なんか財布の中身が明治時代になっとる!?」

世界と一緒に時間も超えたのだろうか、金額で言えば大して変わっていないが、
価値なんて、わかるわけがない。

「……ん、でも、ここであらかじめ予習ってことも、うん。」

これから人里にいき、おそらく住み着くことになる。慣れておいた方がいいかもしれない。
なにより、とにかく休みたい座りたいお腹空いた!

「ま、考えることもないか。行こう。」

―――夕方 「ある世界」屋台―――

「……すみませーん。」
「あ、はーい!いらっしゃい!」
「……。」

中に入ってみると、一人だけ先客がいた。店は一人でやっているのだろうか、羽の生えた女の子が一人だけいる―――もう羽が生えているくらいで驚かなくなってしまった。大丈夫か、自分―――。やはり、元居た世界と比べると、化学の発展は進んでいないよう。

「えっと、なににしますかー?」
「んーと、そうだなぁ。……おでんを適当に3個くらいと、八目鰻おねがいします。」
「はーい、少々お待ちをー。」

紫がかった桃色のショートヘア。薄い桃色の目。鳥のような羽が生えていて、活発な印象を受けた。妖精とは違うようだし、いったいどういう事なのだろうか?

「……はい、お待たせしました!」

八目鰻って、確か、ハモのことだったっけ?っと、先に来ていたお客さんが、少し、僕の事を見ている。視線はすぐに店主さんのほうに向けられ、また自分の頼んだ品を食べ始めた。店主さんに、別段気にしている様子はないようだし、よく来ている人なのかもしれない。

「あぁ、どうも。」

頼んだものが自分の前におかれる。お腹が減っていることもあって、かなりおいしそうに見える。とりあえず八目から。おいしい。
……会話がないのもなんだと思い、これもいい機会かもしれないと、先に来ていたお客さんに話しかけてみる。

「ここのお店には、よく来てるんですか?」
「……え、あ、ええ、頻繁にというほどでもないけれど、よく来ていますよ。
ミスティアとも、よく話しますし。」

腰まで届いている長い銀髪を上で一本に結わき、赤い目をしていて、モンペを着用している。やや人見知りっぽい印象をうける。……なぜだろうか、あまり自分と変わらないのに、雰囲気が、かなり達観している感じがする。

「……あ、ミスティアは、私ね。ミスティア・ローレライっていうの。」
「ミスティアさん、ですか。あ、僕は天城照平といいます。おでんに、八目、おいしいです。お一人でやってるんですか?」
「うん、売り上げどうこうとかじゃなくて、屋台っていうのを一度やってみたくてね。雰囲気とか、好きなの。ああ、それと、ミスティアって、呼び捨てでいいよ。敬語も。」
「そうですか?それでは……。でも、大変じゃない?見たところ、移動式みたいだし。」
「ま、そこは大丈夫よ。それ以上に楽しいし。妹紅にも会えたし、いろんな人がいて、面白いの。」
「……ん、そういえば、私だけまだ名乗ってなかったわね。えっと、私は、
藤原妹紅(ふじわらの もこう)っていうの。私も呼び捨てで構わないわ、妹紅って呼んで?」
「ん、わかった。ところで、気になっていたんだけど、2人はどういう経緯で知り合ったの?」
「んー、どうといわれても。妹紅がお客さんとしてちょくちょく来てて、それでだんだんと自然に仲良く?かな?」
「ま、そんなかんじね。特別なことがあって仲良くなったわけじゃないし。
……そういえば、こうして普通に話してるけど、時間、大丈夫なの?もう結構暗いけど。」
「……あ、忘れてた。やっちまった。」

目的を完全に忘れてた。これじゃあ、急がないとまずいな……。
宿屋はまだ空いているだろうか……。

「はぁ、もう。ここらは夜は危ないんだから、急いだ方がいいわよ?」
「……ん、そうする!ミスティア、お代は?」
「急いでるんでしょう?また今度でいいから、早く行った方がいいよ?」
「え?でも、……いや、うん。お言葉に甘えさせてもらうよ。ありがとう!」

そういって席を立ったと同時、妹紅も席を立っていた。

「ここらへん、あんまり通らないでしょう?迷ったらいけないし、途中までだけど、ついていくわ。」
「ほんとに?助かるよ。」
「それじゃあ、ミスティア、じゃあね。」
「ごちそうさまでした!」
「はいはい、気をつけなさいよー。」

俺たちは挨拶を交わし、屋台を出た。
空を見上げると、大きな月が浮かんでいた。
周りはもうすっかり暗くなっていて、高校生にもなりながら、怖い。
正直、なんか感じる。いや、ほんと。

「んじゃ、いくわよ?人里でしょう?急ぐわよ。」
「あ、まってよ、妹紅!おいてかないで!!」

俺たちは2人、人里のほうへと歩いて行った。
 
 

 
後書き
これにて2話、終了です。
前回に引き続き、内容が薄っぺらいですね。精進します。
3話で、人里~博麗神社あたりまで進めたいと思います。 
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