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鉄槌と清風

作者:deburu
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77部分:終:新しい命


終:新しい命

 それから又暫く、新暦97年の6月、ヴィータの出産予定日が近づいてきていた。
 本局の病院に入院し、基本はシャマルが、産婦人科の部分はシャマルには流石に無理らしいので、別の女医さんだ。
 既に何時生まれてもおかしくないと言われ、病室で良彦、ヴィータ、セプトが待機状態。

 ヴィータは先ほどから陣痛の間隔が短くなってるらしく、何度か顔を顰めている、一応間隔を計るためにそのたび毎に連絡は入れているのだが。

 「…大丈夫なのか、ヴィータ?」

 「落ち着けって、ちゃんと先生に伝えてるから、その時になったら呼ばれるから」

 「ロード良彦は存外、こういうときの肝は座っておらんな…男だからか?」

 そわそわする良彦をヴィータがなだめ、セプトはからかう、ザフィーラは一旦はやての所へ行っている、陣痛が始まった段階で知らせに行ってくれたのだ。

 「つっても、初めてのことだからなどうしても慌てるし…正直、恐い気もする」

 「大丈夫だっての、経過は順調、母体も問題ないって言われてんだろ?」

 ここ数時間こんなやり取りばかりだ。
 一応ヴィータの希望を聞いて、良彦も分娩室へ入る予定だが、今からこれではヴィータの方こそ心配になりそうだ。

 「全く、良いかロード良彦よ、これから始まるは確かに女の戦、だが男には男の役割りがある」

 「役割り?」

 「然様、自分の妻を気持ちの面で支え、はげます事じゃ、今の主はどうじゃ、出来ておるか?」

 そうセプトに言われ、考え込む良彦。
 暫しの時がながれ

 「いや、出来てなかったな…慌てても恐がっても、それをヴィータに見せ続けるなんざ、失格だ」

 「良彦…無理はしなくても良いんだぞ」

 「大丈夫だ、ヴィータ、慌ててるし恐がってるかも知れねーけど、覚悟は決めた、ちゃんと全部見届ける、覚悟が」

 ヴィータの言葉に、手をぎゅっと握り、そう答える良彦。
 それに微笑みを返すヴィータ、再び陣痛が来たのか顔を顰め、連絡…すると返事の後ストレッチャーが運ばれてきて。

 「そろそろ時間です、移動しますね」

 と、看護士に言われストレッチャーで運ばれるヴィータ、それについていく良彦。

 「セプト、ザフィーラとはやてに連絡を、来たら待ってもらってくれ」

 「心得た、ヴィータの戦場で主の役割りしかと果たすが良い」

 そういって、微笑むセプト、良彦は手を振って分娩室へ入っていく。



 数時間後、分娩室前に集まっていた一同…セプト、なのは、フェイト、はやて、シグナム、ザフィーラ、アイン、ツヴァイ、ヴィヴィオ、ユーノ、直ぐに来れたのはこれだけ、しかも一部は仕事を放置してきた…に聞こえる、大きな泣き声。
 それを聴いた瞬間集まっていた皆は、お互い喜びを込めて、騒ぎ出す。

 少しして、分娩室の扉が開き、ストレッチャーに乗り、少し疲れた顔のヴィータと、その手を掴みながら歩いてくる良彦。
 皆が口々に、祝いの言葉を延べるなか、二人は礼をいって、微笑む。

 「とりあえず、病室移動しねーか、此処じゃ次の人の迷惑になるから」

 良彦の提案で病室へ移動する面々。
 ヴィータは流石に体の小ささから結構体力を使った様子で、ベットの上で横になり、皆を眺めている。

 「それでそれで、よしくん…男の子?」

 「女の子?」

 「どっちや」

 なのは、フェイト、はやてがコンビネーション良く聞いてくるそれに苦笑しつつ。

 「男の子だよ、元気だった…少し抱いたけど、赤ん坊って壊れそうで、驚いたよ」

 その言葉に、もう一度皆が歓声を上げる、個室…色々と出入りがありそうなので、そうしていた…にしたのは正解だったようだ。

 「そうか、ヴィータ…頑張ったな、守護騎士の将としても、一人の女としても、そして友として嬉しいぞ」

 「あぁ、我らの誇りだな」

 シグナム、ザフィーラがそういって、ヴィータの頭をなでる。

 「前まではこんな事思いもしなかった、ただ破壊するだけだった私達に、新しい命が…ありがとう、ヴィータ、良彦、主」

 「アインは、感動やさんですね」

 そういうアインとツヴァイは、少し泣いているように見える。

 「ヨシヒコに子供かぁ、凄いね…本当、おめでとう」

 「すごいね、よしくん、これでよしくんはお父さん、ヴィータふくたいちょうは、おかあさんなんだね」

 ユーノがお祝いし、ヴィヴィオが、良彦が実感しきれてなかった所を素直に言ってくれる。

 「おめでとう、よしくん、お父さんたちにも知らせないとね」

 「アリサや、すずかにも、だね」

 「カリムや、ロッサ、シスターシャッハに、リンディ統括官、レティ提督、クロノ君もやな」

 3人娘は早速メールを送っている、其処へ

 「失礼しますね…って、なんでこんないっぱいいるんですか?!」

 と、シャマルが入ってくる。

 「皆がお祝いしてくれるんで、つい」

 「つい、じゃありません、ヴィータちゃん疲れてるんだから、休ませて上げないと、ほら」

 示す先では、いつの間にか眠っているヴィータの姿。
 慌てて部屋を出る皆。

 その後、新生児室にいる、子供を皆で見て、もう一度祝いの言葉をもらい、その日は解散になった。
 新しい命…天涯孤独だった良彦に、ヴィータと共に守るべき命…が、生まれ、家族が増えたそんな一日。
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色々考え直した結果、vivid編は別主人公にて書き直す事にしました。
こちらは此処が切がいいだろうと思ったので此処で一度締めます。
又vivid編でも良彦やヴィータ、セプトは出す予定なので、この先の部分を一度削除しますが、視点h変わるものの、内容はそれほど変えない物を挟み込む予定です。
 
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