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八条学園怪異譚

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第五十五話 百鬼夜行その三

「それでちゃんと裁かれるからね」
「悪いことは出来ないですね」
「本当に」
「そうよ、まあ多少はいいけれどね」
 その悪事でもだというのだ。
「人間生きているとどうしても悪いことするから」
「そうですね、どうしても」
「してしまいますよね」
「殺生だってするし」
 このことも避けられない、誰でも虫を殺すことはある。蚊をはたいてもそれが殺生になってしまう。はたかなkれば刺されて後で痒くなる。下手をすれば日本脳炎だ。
「嘘を吐いたりもして」
「隠したりとか」
「でしょ?人間はどうしても罪を犯すのよ」
 茉莉也は飲みつつ話す。
「生きている限りね」
「そうですよね、全く悪いことをしない人なんていないですね」
「それこそ解脱でもしない限り」
「解脱ねえ、そうなってもね」
「やっぱり悪いことします?」
「そうなっても」
「そうかも知れないわね、その辺りはよくわからないけれど」
 茉莉也は微妙な顔になりつつ話す。
「結局人間はそうした存在よ」
「だから多少の悪いことはですか」
「どうしても犯してしまうんですね」
「流石にやばいことはアウトよ」
 罪といっても様々だ、その中で重いものはというのだ。
「殺人とかね」
「それはアウトですよ」
「あと詐欺も」
「それとお店にゴキブリとかゴミとか撒く行為」
「そういうのは絶対に」
 二人は店の娘としてそうした行為は殺人に匹敵する悪事とした。
「お店の中で酔って暴れるとか」
「そういうことしたらこっちで舌を抜きます」
「あんた達もきついわね」
 茉莉也は飲みながら本気の顔で話す二人に返した。
「お店のことになると本気ね」
「私達の命ですから」
「お店がお仕事ですから」
 だから余計にだというのだ、普段以上に。
「お料理の中にわざと蠅とかゴキブリとか入れて言いがかりつけてくる人とかいたら困りますから」
「シャバ代出せとか」
「そういう人今もいるの?」
「やっぱりいるんじゃないですか?」
「ヤクザ屋さんとかで」
「今時ヤクザ屋さんもそういう人いないでしょ」
 そこまで古典的な言いがかりをつけてくるヤクザはというのだ。
「確かにヤクザ屋さんは今もいるけれど」
「いたら商店街全員でタタキにします」
「それかフライに」
 その言葉に何の容赦もない、明らかに本気だった。
「うちのお店暴力団とかお断りですし」
「当然クレーマーも」
「どっかの国にスーパーの中でうんこの山ぶちまけた人がいたけれど」
「そんなこと食べもののお店でやったら殺しますよ」
「うちのお店だと」
 そうした行為は最早問題外だというのだ。
「閻魔さんに突き出す前に」
「こっちで地獄の責め苦です」
「あんた達そういう意味でもいいお店の人になるわね」
 茉莉也はある意味感心して言った、今は飲む手を止めている。
「まあね、不浄はよくないからね」
「神社でもそういうの嫌いますよね」
「汚いこととかは」
「だから清めっていうのよ」
 今度は神道の話になる、神道では不浄なことを穢れと言って忌み嫌うのだ。
「何かをする前に身体を清めたりお塩を使うのもね」
「そういったことがですね」
「神社では欠かせないんですね」
「私も何かあるとお風呂に入って身体綺麗にしてるし」
 茉莉也も綺麗好きだ、部屋は結構散らかっているが。 
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