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八条学園怪異譚

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第五十五話 百鬼夜行その一

           第五十五話  百鬼夜行
 愛実と聖花は放課後に茉莉也の家である神社に行った、そこで茉莉也から百鬼夜行について詳しい話を聞くことにしたのだ。
 二人は茉莉也の部屋に案内された、そこで酒を飲みつつ話を聞いた。
 まずはだ、茉莉也は二人にこう尋ねた。
「あんた達今日部活はお休み?」
「はい、そうです」
「今日は」
「そうなのね、実はこっちもね」
 茉莉也の所属するトライアスロン部もだというのだ。
「お休みなのよ」
「だからですか」
「今みたいにですね」
「そう、飲んでるのよ」
 日本酒を大盃でどんどん飲んでいる、まるで黒田武士だ。
「こうしてね」
「夕方からですか」
「何かもう」
「いいのよ、今日は暇だから」
 言いながら顔を真っ赤にさせている茉莉也だった、当然酒で赤くなっているのだ。
「飲むのよ、あんた達も飲む?」
「いえ、お家に帰って後片付けがありますから」
「今は」
 飲まないというのだ。
「お酒は遠慮します」
「そうさせてもらいます」
「そう、じゃあいいわ」
 そう聞いてだ、そしてだった。
 茉莉也は大盃で飲みつつだ、二人に百鬼夜行の話をしたのだった。
「それで百鬼夜行ね」
「はい、そのことですね」
「今度の泉の候補地です」
「今度行くのよね」
 茉莉也は肴のするめも噛みつつ言う。
「あれ言うならバレードよ」
「妖怪さんや幽霊さんのですね」
「言うならそれですね」
「そうよ、それなのよ」
 パレードだというのだ、要するに。
「音楽を奏でる人もいたりするし」
「百鬼夜行っていったら不気味ですけれど」
「実際はそれなんですね」
「そうよ、怖く考える必要はないのよ」
 茉莉也はこう二人に話すのだった。
「特にね」
「そうなんですね」
「怖くないんですね」
「ただ学園の中を歩くだけだから」
「妖怪さんや幽霊さん達とですね」
「皆で」
「そうよ、夜の学園をね」
 本当にそれだけだというのだ。
「別に怖くとも何ともないから」
「魔界とかに連れて行かれるとかじゃないんですね」
「地獄とかは」
「魔界とか地獄とかないわよ」
 茉莉也は二人にそうした世界のことはないと話した。
「妖怪さん達はこっちの世界の人だからね」
「魔界とか地獄はですか」
「ないんですか」
「魔界とか地獄って。そんな場所に行く方法なんて普通はないわよ」
 茉莉也は首を傾げさせつつ二人に話す。
「相当特別なやり方で行くか学園の泉よりも見付けることが遥かに難しい場所から行くかね」
「そうしたやり方でないとですか」
「行くことが出来ないですか」
「そうよ、私もそんな場所知らないから」
 こう二人に話すのだった。
「魔界とかに行く方法もね」
「魔法陣とかですか」
「そういうのを使ってですよね」
「それって普通に難しいですよね」
「魔法とかは」
「博士なら出来るけれどね」
 あの様々なことを知っている齢百五十とも言われている博士はというのだ。 
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