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パンデミック

作者:マチェテ
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第四十七話「過去編・奮戦」

「ぅおらおらおらぁぁぁぁぁぁ!! クソッタレ共がぁぁぁ!!」

怒号を上げながら、レックスは日本刀を振り続ける。
レックスが走り抜けた直後、レックスの背後にいた感染者や突然変異種の首が、全て斬り落とされた。

「ゼェ、ゼェ………速いな、レックスさん……」

「追いかけんのも一苦労だ………」


レックス隊の兵士達が、息を切らしながら後を追いかける。
援護をするつもりだったが、当のレックス本人は援護など不用な状態だ。







一方で、突然変異種を誘き寄せていたヴェールマン達は、苦戦を強いられていた。
レックス隊から突然変異種を引き離すために、かなりの数の突然変異種を誘き寄せた。

「クソッ! 数が多い!」

「怯むな! 化け物共を殲滅するんだ!」

「うわっ助け……うぎゃあ!!」

兵士達の掛け声と怒号と悲鳴が、辺りに木霊する。
"少数精鋭"で行動するエクスカリバーの兵士達は、力が弱い順に殺されていく。
1人、また1人と、兵士の命が消えていく。


「司令! 防衛はもう限界です! 一旦、日本支部に撤退しましょう!」

感染者の首を捻ったタガートが、ヴェールマンに撤退を提案した。
既に数十人の兵士を失った。精鋭揃いとはいえ、戦力が少なすぎる。防衛すらまともに出来ない状況に
追い込まれつつあるのだ。

「…………やむを得ないな…」


ヴェールマンは無線を取り出し、全兵士に指示を出した。


『聞こえるか!? 総員、日本支部に退却せよ! 繰り返す! 総員、日本支部に退却せよ!』


無線を聞いた全兵士達が、一斉に日本支部に引き返し始めた。
怒りに任せて突撃していたレックスも、隊を率いて撤退を始めていた。



「聞こえたな、フィリップ。撤退するぞ!」

「あぁ!」

ブランクとフィリップも、自分の部隊を率いて撤退を始める。
その時、ブランクは見てしまった。


「……!? あれは………」



ボロボロになった装甲壁を飛び越える4体の突然変異種の姿を………




「まずい……!!」

ブランクは急いで無線を取り出し、ヴェールマンにそれを知らせた。

『司令! 日本支部内に化け物が4体侵入しました!』

『あぁ、こちらでも確認した! すぐに合流してくれ! 迎え撃つ!』








いち早く日本支部内に撤退していたタガート隊の兵士が、装甲壁をよじ登った突然変異種4体の姿を確認し、
それを聞いたヴェールマンもその姿を確認したところだった。

「迎え撃つぞ! 日本支部を死守するんだ!」

「「了解!!」」

タガート隊が突然変異種を倒すべく駆け出した。
しかし…………


「グガアァァァァァァァァ!!!」

突然変異種4体は、タガート隊に目もくれず、日本支部に向かって突っ込んだ。


「まずい!」

タガートが急いで後を追うが、間に合うわけもなく………


ドゴォォン!!


日本支部の入り口である重厚なゲートが、突然変異種の突進で破られた。










群がる感染者を一掃し、ようやく日本支部の装甲壁内に入ることができたブランク隊。
装甲壁内には、既に兵士も突然変異種もいなかった。
しかし、ひしゃげたゲートの残骸を見て、ブランクは事態を理解する。

「最悪の事態を迎えたな………」













支部内は熾烈な戦いが繰り広げられていた。
市街地戦であれば、ある程度は対抗できたが、屋内となるとわけが違う。
ただでさえ素早い突然変異種に、狭い屋内で対抗するには限界がある。

「チクショウ! 速ぇ……ギャアァ!!」

「く、来るな! 化け物が! ぎあぁ!!」

日本支部の兵士達が、次々と突然変異種に引き裂かれ、食いちぎられ、死んでいく。


「おおぉぉぉぉぉ!!」

レックスが突然変異種にも劣らない速さで走り抜けた。そのまま突然変異種を横切る。
横切った直後、突然変異種の首と上半身が斜めにずれ、落ちた。



「ガアァァァァ!」

タガートの頭を喰おうと、突然変異種が飛び込んで来た。

「フン!」

突然変異種の頭を両手で掴み、そのまま喉に膝を入れた。

「グゲェァァ!?」

大きく怯んだ突然変異種の脳天にコンバットナイフを突き立てる。
これで残りの突然変異種は2体になった。

しかし………




「…………今の音はなんだ?」

ヴェールマンが何かの音に気がつく。
瓦礫が崩れるような、ガラスが割れるような………あるいはその両方が混じったような音がした。


その音を聞いた直後、最悪の事態が発生した………



「グギギギギ…………」

「オォォォォォォ…………」

「ガアァァァァァァァ!!」



無数の感染者と突然変異種が侵入して来た。
感染者の中には、死んだ同志である兵士の姿も見えた。

地獄と呼べる悪夢が目の前に広がっていた………… 
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