万華鏡の連鎖
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宇宙戦艦ヤマト異伝
乾坤一擲
前書き
BGM~ト・ナリ、セイ・パパ(by『ダライアス2』オリジナル・サウンドトラック)
大気圏に突入すると早速、軍神の星に相応しい盛大な歓迎を受けた。
合体型支援戦闘機《サンダー》が高速で飛来、5体に分裂後も優秀な耐弾能力を発揮。
鱗形補助掃海艇《デリドマイド》6機は螺旋軌道を描き、巧みに被弾を避ける。
金魚型巡視艇《アミド》、巻貝状偵察機《クロドライド》、甲殻状哨戒艇《スキアダム》。
小型突撃機《ロロキン》、球状駆潜艇《バルビデカ》の大群も殺到。
火星の磁場は特異な屈折率、偏光効果を備え視野が赤く染める。
断続的破壊光線砲、衝撃波砲の射線が純白に輝いた。
溶岩を噴き上げ真紅に染まる地表、火星の赤き空を背景に大量の隕石《メテオ》が降り注ぐ。
紅玉の滝を純白の弾幕射撃で払い除け、オレンジ色の破壊光線を紙一重で避ける。
ヒス航海班長の絶妙な操縦で被弾を免れ、赤い世界に同化する保護色の砲台を狙撃。
大編隊が爆発に巻き込まれ、1機も残さず消え失せた。
銀河連合も驚く海底の迷宮、亜空間要塞の如き地下洞窟に突入。
広大な赤い内部空間の門番、蛸肢《タコアシ》が現れた。
長大な触手を縦横無尽に振り廻し、蠢く触手の先から装甲炸裂弾を連射。
白金色の波動が弾を貫き、瞬く間に数を減らす。
大口径の衝撃波砲が閃き、蛸肢《タコアシ》を撃破。
ヤマトの針路を塞ぐ数多の障害、波状攻撃の嵐も薙ぎ払われた。
洞窟の奥に進むと爆雷投射機、ならぬ自転する車輪《ニータササ》が高速6方向弾を乱射。
昆虫型の異星人を連想させる機械化作業体《メカ・シャトル》も現れ、火炎弾を擲げる。
エネルギー奪取弾で被弾面積が小さく、直撃の難しい邀撃隊を一掃。
雑魚を片付けると伝説の宇宙魔神、を髣髴とさせる機械海獣が現れた。
天地に潜む針メカ、援護射撃を試みる衛兵達と呼吸を合わせ見事な連係攻撃を披露。
火星の蛸《オクトパス》は長い脚を撓らせ、3方向弾を連射しながら優雅に宙を舞う。
鋭い穂先を陽動に用い、上下に注意を逸らせた隙に長大な光刃《ウェーブ》が閃く。
ヤマトを剣呑極まりない連続攻撃が襲い、追い詰めるかと見えたが。
ドメル率いる戦闘班は集団射撃の鉄則を忘れず、防御火線網に孔を開けぬ。
白金色の波動が均等に空間を薙ぎ払い、衛兵達の援護射撃が急激に衰えた。
点射を蛸の脚に浴びせ、回避能力低下の鉄則を適用。
攻撃弾投擲の源を封じられ、万策尽きた宇宙蛸《オクトパス》が爆発した。
次に針路を塞ぐは機械卵球《イクラメカ》、天地に並列する繭状投射機《ワ・ガセハ》の群れ。
ヤマト艦載砲を動員して強靭な球の激流、超大型爆弾の滝を強引に突き抜ける。
奥には砲台《トモマヤ》、パラボラアンテナ状の構造物が林立。
鮮烈な高出力破壊光線を連射、侵入者の抹殺を試みた。
真田志郎の創造した空間磁力メッキ、シャハルの鏡ならぬ魔法の鏡を使用。
火星洞窟の主、触手状の防御兵装を装備する最強の敵が現れた。
拠点防衛型戦闘母艦、祖父なる巨大蛸《グランド・オクトパス》。
中間陣地で前衛を務めた蛸《オクトパス》の倍、いや、3倍に達するであろうか。
8本の触手から超硬質弾、炸裂弾が絶え間無く流れ出し侵入者に殺到。
激流を間一髪で避ける操縦手ヒス、ドメル率いる狙撃手達と真正面から渡り合う。
点射を浴びた触手が灼き尽くされ、怒涛の弾幕射撃は停止。
一廻り小さい中型の蛸が遷移、瞬間物質移送装置を使った艦載機の様に実体化する。
忽然と現れた援軍は侵入者に向け、一直線に飛翔。
被弾の直後に多弾頭ミサイル、更に小型の蛸が放出された。
広大な洞窟内部を埋め尽くし、乱舞する無数の蛸を戦闘班が邀撃。
断続的破壊光線砲24門、衝撃波砲15門の射線が周囲を薙ぎ払う。
煙幕の様に敵の首魁を隠す軍勢が掻き消され、祖父なる巨大蛸《グランド・オクトパス》の姿を捕捉。
点射を浴びた頭部が爆発、大音響を発し爆発と共に地下洞窟も崩壊する。
宇宙戦艦ヤマトは第6番目の戦場、火星《アレス》を突破。
決戦の地、第5惑星《アクエリアス》に飛んだ。
碧玉海水色の炎が燃え盛り、天空には青白い極光《オーロラ》。
本来であれば海王星の衛星トリトン同様、水の惑星であるが。
水も空気も無い極寒の荒地、氷の大地に酸素呼吸生物の姿は無い。
凍気に包まれた蒼氷色の海、永久凍土に覆われている。
冥王星前線基地に劣らぬ軍事惑星、難攻不落の要塞に接近。
太陽系解放作戦《オルガ・ブリーズ》の終章、最終決戦《ラスト・バトル》が開始された。
モルケックス装甲と同様、破壊不能な衛星《エイセイ》の影から遠隔操縦の爆弾が飛来。
大気圏突入後は巨大隕石メテオ、下方から鮫の大群が襲い艦底の第3艦橋を破壊する。
青色巨大人型兵器《ソイド・ビック》、3連装砲台《タジフ》、赤い砲台《マヤリーク》、長大な《針メカ》。
反応速度に優る衛兵達に続き、中堅の機械海獣も次々に現れる。
汎用型戦闘艦ファイヤー・キング・フォスル(炎の化石王)、多足型攻撃艦オクトパス。
強襲型攻撃艦グリーン・コロナタス(緑の冠)、汎用型戦闘母艦ファッティ・グラトン。
重装甲拠点防衛艦ストロング・シェル(強固な甲羅)、三段型遊撃艦カトル・フィッシュ。
投射弾の発射間隔が短縮され、攻撃の予備動作も無く、格段に動きが迅い。
第五惑星の防衛軍は衝角攻撃を試み、多彩な連係攻撃《コンビネーション》を披露。
速度向上も実現しているが、攻撃の法則は変わらぬ。
エネルギー奪取弾と衝撃波砲15門、断続的破壊光線砲24門を駆使。
中堅の武将達を倒し、先を急ぐ。
最初に現れた首領は縦長の汎用型戦闘艦、さざめく縞模様《リトル・ストライプ》。
一見優雅な印象の装甲機械魚類、天使魚《エンゼル・フィッシュ》であった。
天空を突き抜け闇黒の宇宙空間、絶対真空の領域に駆け昇り侵入者を誘導。
水色の異様に幅の広い破壊光線、エメラルド色の極太波紋を連射する。
徐々に幅が拡大する中級攻撃波、誘導弾も織り交ぜる複合技を披露。
多少の機動では避け切れず、獲物を追い詰め確実に屠る頭脳的な戦い方は賞賛に値するが。
ヒス操縦の戦艦は幾度も間一髪、紙一重の差で破壊光線と誘導弾を回避。
絶妙な連係攻撃と言えども、呼吸の乱れる瞬間は必ず訪れる。
焦らずに好機を待つ事、数十分。
遂に、隙が生じた。
魚型巨大戦闘艦は業を煮やし、巧みに逃げ回る獲物の針路を推定。
予想と異なる角度に廻り込む隙を与え、名操縦手の拵えた罠に嵌った。
上下の鰭と後方の尾鰭を破壊され、天使の異名を持つ機械海獣は激怒。
銀河連合屈指の事件相談員同様、惑星も壊すかと見えたが。
体当たりを試みた汎用型戦闘艦、さざめく縞模様《リトル・ストライプ》を衝撃波砲が直撃。
共鳴現象の無限連鎖に耐え切れず、宇宙の塵と化し姿を消す。
次なる敵は魚介類に非ず、母なる鷹《マザー・ホーク》。
大帝の超弩級戦艦に優るとも劣らぬ、雄大な規模の戦闘機は想定外の連続攻撃を試みた。
火の玉8連弾を機体の真上、真下から投擲。
ヤマト最上部の艦長室、艦底の機関室を鎖鎌の如く回転しながら襲う。
続いて尾翼が離脱、気円斬の遠祖《アイ・スラッガー》を再現。
無頼の斬れ味を秘めた飛翔体が回転、ヤマト舷側を掠め鋭い爪痕を残す。
呆れた事に巨大尾翼は悠々と帰還、何事も無かったかの様に母機上部に装着された。
豪快《グレイト》、の一言に尽きる。
発想が、凄い。
不覚にも、尊敬の念すら覚えた。
超弩級宇宙戦艦アンドロメダ艦橋の新装備、大出力レーザー砲を凌駕する超兵器も投入。
ヤマト全幅を凌駕する極太の破壊光線8本が閃き、戦闘宙域を覆う。
拡散波動砲と異なる面制圧攻撃に突破口、隙は皆無と見えたが前部火砲を集中。
大口径の衝撃波砲6門、中口径3門、断続的破壊光線砲6門が真正面を撃つ。
広範囲を覆う破壊光線8条の同時射撃から逃げず、撃ち砕いて最短距離を疾走。
万物共通の弱点である眼、ならぬ操縦席《コクピット》に点射を叩き込む。
常識を無視した超巨大宇宙戦闘機、母なる鷹《マザー・ホーク》が砕け散った。
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