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不老不死の暴君

作者:kuraisu
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第十八話 壁はぶち壊すもの

王墓の入り口にあった装置に触れるとセア達は王墓の中へ飛ばされた。
理解不明な現象にヴァンがバルフレアに質問し、バルフレアは

「古代遺跡にはよくある装置で触れると何処かに飛ばされる。空賊にはそれで十分だろ」

と答えていたが幾らなんでもアバウトすぎないだろうか?
セアがヴァンに説明してやろうかとも考えたが説明するには前提として魔法理論を50前後は最低教えなくてはならないためやめた。
ヴァンは釈然としない表情で先にある一本道に走っていった。
セア達は罠が無いかと心配したがなにもないみたいでセアを除く全員も一本道に足を進めた。
すると一本道の入り口にあった石像が壁ごと動き一本道を閉ざした。
だが、突然石像は跡形もなく砕け散ってしまった。
全員が唖然としてるところへ砕けた石像を踏み潰しながらセアが一本道を歩いてきた。

「どうした?」
「いや、いまのセアがやったのか?」
「なんか後ろに光ってるところがあったから斬りつけてみたらあっさり壊れたぞ」
「そうか」

全員が胡散臭いものを見る目でセアを見ていたがセアは気づかないフリをして口笛を吹き、ステップをしながら一本道の奥へと進んでいった。
その様子の全員が呆れながらもセアの後に続いた。
一本道の奥にあった扉を空け次の部屋に進むと真っ暗だったが赤い光がふたつ光ったとおもうと辺りの燭台も火が点いた。
燭台の炎に照らされ最初に点いた赤い光はこちらに迫ってくる石像のものだと分かった。
そしてここも一本道で逃げようにも扉に鍵がかかって逃げられない。
ここで石像を倒すことが出来なければ扉と進んでくる壁に挟まれ潰されるということだ。
先ほどバルフレアがアーシェに言っていた通りたちの悪い罠だな。
そんなことをセアが思っていると周りが武器を構え、迫ってくる壁に向かっていく。
全員が自分から結構離れた事を確認するとセアは赤みのある黒い剣を迫ってくる壁にむかって遠隔攻撃を20回前後おこなう。
すると石像は凄まじい音をたてながら崩れさった。
セアは立ち尽くしている皆を見て笑みを浮かべバルフレアに近づき話しかけた。

「まさかとは思うが数百年の間に罠が風化して作動しなくなってるのか?」
「・・・だといいがな」

バルフレアはため息をつき正気を取り戻し奥へ進み出したアーシェの後に続いた。
セアはというと噴出すのをこらえるのに必死であった。
一本道を抜け、奥にある大きな扉を開けると吹き抜けの広間にでた。

「なんと壮大な・・・」

ウォースラが感嘆の声をあげる。
そいてバルフレアとフランを見て不機嫌な声で呟く。

「あのような墓荒らしの同行は認めたくないものです」
「けれど私達では明らかに無力。それが現実でしょう?」

自分が仕える主の言葉にウォースラは黙り込む。

「あの人は自分の利益だけを考えているわ。利益を約束できれば裏切らないはずよ」
「しかし殿下。自分は・・・」
「話は後で。今はまず【暁の断片】を手に入れないと」

アーシェは突き放すようにそう言った。
そして吹き抜けの広間を見上げながら呟く。

「眠っているわ。地下の置く深くで」
「おわかりになるのですか?」

ウォースラは少し驚いた声でアーシェに尋ねた。

「・・・呼ばれている気がするの」

アーシェは自信無さ気にそう答えた。




一方セアはバッシュに気になっていた事を質問していた。

「なぁバッシュ。俺はダラン爺の推測を信じてここに来たんだが・・・ウォースラは何故ここに王女様達が向かっていると分かったんだ?」
「オンドール侯から聞いたと言っていた」
「ビュエルバの侯爵から?」
「そうだが・・・」

バッシュはセアが念押しに聞いてくることを不自然に感じながらも答えた。
セアは顎を手で掴み、思考に耽る。

(侯爵から聞いた? 侯爵は王女が王墓へ向かったことに気づいていなかったはずだ)

ということはウォースラは嘘をついているということだ。
では何故嘘をつく必要があるのか?

(そういえばウォースラがビュエルバから旅立つときになんて言っていた? 確か・・・別の道を探ると)

そこでセアは嘘をついている理由が解ってしまった。
武力以外でダルマスカ再興の道などひとつしかない。
外交である。そしてウォースラは交渉相手からアーシェ達が王墓へ向かったことを知ったのだ。

(また面倒事の予感・・・いや覇王の財宝を少しばかり頂けばもう王女達に付き合う必要はない・・・すぐヴァンとパンネロを連れてラバナスタに帰ればいいだけだ)

セアはそう考えそれを口に出さないことにした。
そう別にセアはダルマスカに限らず国の興亡に興味がないのだから。
 
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