| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園怪異譚

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十四話 コンビニの前その五

「じゃあね」
「今日はコンビニに夜の二時」
「その時にね」
 二人でこう話してだった、そして。
 二人はこの日は早いうちに寝ることにした、そのことを話して博士の研究室を出ようとする。しかしここでだった。
 キジムナーのうちの一匹が部屋を出ようとする二人を呼び止めた、そのうえでこう言って来たのだった。
「お菓子食べないの?」
「お菓子?博士が今食べているそれ?」
「どら焼き?」
「違うよ、沖縄のお菓子だよ」
 それだというのだ。
「ちんすこうね」
「ああ、それね」
「それあるのね」
「僕達これ大好きなんだよね」
 そのちんすこうがだというのだ。
「美味しいからね」
「いや、それはね」
「今はね」
 二人は少し残念そうにキジムナーに答えた。
「お昼にもうお菓子食べたから」
「だからいいわ」
「ダイエット?」
「実はお昼にお菓子食べ過ぎたのよ」
「お昼御飯の後で」
 二人は苦笑いで言う、実際に体重に気を使っているというのだ。
「学食でドーナツフェアしてて」
「それで食べ過ぎたの」
「ああ、ドーナツね」
 ドーナツと聞いてだ、キジムナーは納得した顔で頷いて述べた。
「あれはカロリー高いからね」
「お砂糖たっぷり使うし揚げるから」
「美味しいけれど」
「太るんだよね」
 食べ過ぎるとだ。
「プレスリーが晩年太ってたのもドーナツの食べ過ぎらしいから」
「プレスリーってエルビス=プレスリー?」
「監獄ロックの」
「そう、あの人晩年はドーナツばかり食べる様になったらしいから」
 キジムナーはこのことは残念そうに話した。
「それでなんだ」
「太ったのね、ドーナツの食べ過ぎで」
「そうなったのね」
「そうらしいよ、ドーナツはカロリーが高いから」
 だから実際に食べ過ぎると、というのだ。
「太るんだ」
「そうなるわよね、だからね」
「私達は今はね」
 甘いものは控えるというのだ。
「流石に最近怖くなってきたから」
「体重とかが」
「お酒もかなり飲んでるしね」
「スタイルとかが」
「若いからそんなの気にしなくていいんじゃないの?」
「そうだよね」
 妖怪達は女の子らしいことを言う二人にこう返した。
「新陳代謝がいいから」
「別にね」
「それに君達お家でお店の仕事手伝ってるからそこでカロリーも消費してるじゃない」
「気にしなくてもいいよ」
「いや、ドーナツ十個食べたから」
「私は十一個だったわ」
 二人はそれぞれ食べたドーナツの量をここで言った。
「紅茶にもたっぷりお砂糖入れてたし」
「そちらも何杯も飲んだから」
「それでなんだ」
「だから今はなんだ」
「そう、控えるの」
「流石にまずいから」
 明らかに糖分を摂り過ぎているというのだ、二人も流石にそこまで食べていると今は控えるというのである。
 そうした話をしてだ、二人は言うのだった。
「今日はね」
「そういうことでね」
「じゃあいいよ、それじゃあね」
「今はね」
 妖怪達も二人の言葉に頷いた、そしてだった。
 二人は研究室を後にした、そのうえで。
 愛実は少し苦笑いになってこう聖花に話した。今二人は大学のキャンバスの中を歩いている。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧