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八条学園怪異譚

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第五十四話 コンビニの前その四

「無茶苦茶してましたからね、二人共」
「悪名高き独裁者ですね」
「うむ、独裁者はどうしても多忙になる」
 自分に権限が集中するからだ、独裁者はその国の全てを握っているがそれは言い換えると仕事も集中するということなのだ。
「それでどちらも朝から明け方まで仕事をしておった」
「一日中仕事ですか」
「ブラック企業みたいですね」
「仕事の過酷さはブラック企業以上じゃった」
 それが独裁者の仕事なのだ。
「ヒトラーは明け方に寝て遅くとも九時には起きておったしスターリンも平均睡眠時間は四時間程しかなかった」
「確実に身体壊しますね」
「手塚治虫先生みたいですね」
 手塚治虫も激務家であり一日四時間程しか寝ていなかったという。徹夜で描いていることも稀ではなかった。
「過労死しません?」
「長生き出来ないですよ」
「まあ常に傍に医師がいたからな」
 尚ヒトラーの専属医師はかなり胡散臭い人物だったと言われている。
「スターリンは長生きしたのう」
「ヒトラーは自殺したけれどですね」
「スターリンは」
「迷惑なことにな」 
「というか独裁者って結構長生きしますけれど」
「傍にお医者さんがいつもいるからですか」
「そうじゃ、しかし寝ることはな」
 それはとだ、博士はまた言う。
「大事じゃ」
「健康の為にもですね」
「絶対に」
「身体も脳も休めなければな」
 常に動かしていてはよくない、それは人間もだ。
「だからわしも徹夜はせぬ」
「絶対に寝る様にするんですね」
「徹夜はされないんですか」
「それはせぬ」
 決して、というのだ。
「さもないと本当に身体に悪い」
「ですよね、私達もなんです」
「身体には気をつけてますから」
 二人も絶対に寝る様にしている、それは睡眠不足が身体に悪いことをわかっているからだ。
 特にだ、愛実はこう言う。
「寝る子は育つっていいますね」
「そこでそう言うのがお母さんだよね」
「本当にお母さん気質だね」
 妖怪達はその愛実の言葉を聞いてこう言う。
「お母さんってすぐにもう寝なさいって言うからね」
「夜になったらね」
「私泉を探しに行かない時はすぐに寝るわよ」
 実際にそうしているとだ、愛実は妖怪達に答えて話す。
「さもないと本当に身体に悪いからね」
「僕達も寝るしね」
「結構寝るよね」
「時間があったらね」
「もうぐっすりと」
「そういえば妖怪さん達も寝るのよね」
 聖花はこのことに気付いたといった感じで述べた。
「そうよね」
「そうだよ、生きているからね」
「だから僕達も寝るよ」
「犬とか猫みたいに時間を見つけたら寝てるよ」
「そんな感じだよ」
「成程ね」
 聖花は妖怪達の話を聞いて納得した顔で頷いた、そしてだった。
 そのうえでだ、聖花は愛実にあらためてこう言った。
「じゃあ今日はね」
「早いうちになのね」
「そう、寝てね」
「そして早起きしてね」
 実際は真夜中に起きる、だから早起きと言うと厳密には違うが今はこう言うのだった。
 そしてだ、愛実もこう言った。 
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