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八条学園怪異譚

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第五十四話 コンビニの前その二

「わしもよく利用しておる」
「そのコンビニをですか」
「そうなんですか」
「この研究室に泊まりがけで研究することも多いからのう」
 だからだというのだ。
「よく行くのじゃ」
「そうなんですか」
「それでなんですか」
「そうじゃ、わしもコンビニには世話になっておる」
 博士はこう二人に話すのだった。
「よいものじゃ」
「それでそのお店に行けばですね」
「若しかしたら」
 泉に辿り着くかも知れない、二人は博士にこのことを確認した。
「そうなんですね」
「今度こそ」
「若しかしたらな」
 泉かも知れないというのだ。
「そうなるかものう」
「そうですか、じゃあ」
「今度はコンビニのところに」
「行くといい、さて」
「さて?」
「さてっていいますと」
「わしは今晩はここで研究じゃ」
 博士は二人に自分のことも話した。
「あの店に行くやも知れぬ」
「博士研究熱心だからね」
「生まれてからずっと学問に励んでいるからね」
「あらゆる学問を学んで身に着けていってるからね」
「毎日夜遅くまで」
「わしにとって学問は人生じゃよ」
 博士は微笑み妖怪達の言葉に応えた。
「まさにのう」
「そうそう、古今東西のあらゆる学問に精通しているからね」
「語学に歴史学に民俗学に」
「文学だっていつも読んでるからね」
「哲学博士でもあるし」
「勉強続けてるからね」
「人間生きてから死ぬまで学ぶものじゃよ」
 百歳を超えてもだというのだ、博士はその人生が続く限り学んでいるというのだ。妖怪達にそうした話をしつつだった。
 二人にもだ、こう言ったのだった。
「今日は古代エジプトについての研究じゃ」
「古代エジプトってヒエログリフとかですか」
「あとピラミッドとかの」
「うむ、古代エジプトの歴史についてじゃ」
 その分野の研究をするというのだ。
「今晩はな」
「博士ってそっちの学問もされてるんですね」
「古代エジプトの歴史ですか」
「考古学もやっておるからのう」 
 博士はこちらの学問にも通じている、考古学の権威でもあるのだ。
「今晩はそれじゃ」
「じゃあひょっとしたらですか」
「今晩は」
「コンビニで会うかものう」
 その時にだというのだ。
「宜しくな」
「はい、じゃあその時は」
「宜しくお願いします」
「コンビニで買うのは何にするかじゃな」
「お野菜は忘れたらいけませんね」
 ろく子は博士にこのことを告げた。
「お野菜か果物は絶対に」
「うむ、野菜ジュースを買うか」
「学問も健康ですからね」
「そして睡眠もじゃ」
 それも忘れてはならないと言う博士だった。
「毎日少しでも寝ないとな」
「脳は休めることも必要ですから」
「健康があってこそじゃ」
 博士は確かな声でろく子とやり取りをする。
「学問も出来る」
「では、ですね」
「野菜ジュースにパンじゃな」
 夜にコンビニで買うものはというのだ。 
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