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八条学園怪異譚

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第五十四話 コンビニの前その一

                第五十四話  コンビニの前
 八条学園の中にはコンビニもある。それも数件だ。殆どの店は学校の中にあるので閉店時間は早い。この辺りは普通のコンビニと違う。
 だが、だ。八条大学医学部校舎の傍のその店だけは。
「あの店はまた違うのじゃよ」
「二十四時間経営なんですね」
「普通のコンビニと同じで」
「そうじゃ」
 博士は二人に話す、二人は今博士の研究室に入ってそれでコンビニのことを聞いているのだ。
「医学部や工学部は泊りがけでの研究も多いからのう」
「ううん、理系は大変なんですね」
「文系と違うんですね」
「理系は色々と忙しいのじゃよ」
 例え同じ大学でもだというのだ。
「課題なりレポートなりも多くてじゃ」
「それでなんですか」
「泊りがけでやることも多いんですね」
「だからあの店だけはじゃ」
 二十四時間経営だというのだ。
「特別なんじゃよ、学園のお店の中では」
「それでその前にですね」
「皆が集まるんですね」
「そうなんです」
 ろく子が首を伸ばしてきて二人に話してきた。
「あそこは私達もよく利用しています」
「夜食とかお酒が欲しい時にはいつも行ってね」
「それで利用してるんだよね」
 他の妖怪達もそうだと話す。
「いいお店だよ」
「店員さんもいい人だしね」
「それで二時にね」
「僕達を見るっていうんだよ」
「夜二時のコンビニ前ね」
「その時にっていうのね」
 二人は妖怪達の話を聞いて言う。
「それが今回の怪談ね」
「それが今なの」
「そうじゃ」
 まさにだというのだ。
「それでなのじゃが」
「それで?」
「それでっていうと?」
「あそこの店員さんは普通の人じゃがな」
 人間だというのだ。
「しかしわしの研究室の学生でここにも出入りしておってな」
「僕達とも知り合いだよ」
「いい人だよ」
「店長さんとその家族で経営をしておる」
 そうだというのだ。
「お家は学園の中にあってな」
「青木先輩達と一緒ですね、そこは」
「家族経営なのは」
「だから妖怪や幽霊も知っておってじゃ」
 学園の中にそうした存在が満ちていることもだというのだ。
「仲がいいのじゃ」
「ただお客さんの中には僕達が物陰にいたりお店の前で集まってるのを見てね」
「それでびっくりする人もいるから」
「そこから怪談話になってるんだ」
「学園の不思議話の一つにね」
 妖怪達は怪談の事情も話す。
「まあよくある話だよね」
「この学園ではね」
「それで次はそこに行くのじゃな」
 博士はどら焼きを食べながら二人に問う。今も自分の席に座りそこで玄米茶と一緒に楽しんでいるのだ。
「コンビニじゃな」
「そうですね、百鬼夜行かコンビニか」
「どっちかにしようって思いましたけれど」
 二人も博士に応えて言う。
「コンビニしようかなって思ってます」
「今回は」
「ならそこに行くのじゃな、あそこはよい店じゃ」
 博士もまたそのコンビビについてこう言う。
「コンビニはよいものじゃ」
「便利ですよね、本当に」
「夜でも開いていて」
「人類の叡智の一つじゃな」
 博士はコンビニについてこうまで言うのだった。 
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