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鉄槌と清風

作者:deburu
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6部分:6:良彦の魔法


6:良彦の魔法

 アースラ艦内の訓練室、殺風景で、壁は白、触ってみると一寸柔らかい気がする。

 「さて、そういえばさっき話が途中だったが、このデバイス何処で手に入れたんだ君は?」

 「そうそう、デバイスの説明になっちゃってそっちが途中だったよね」

 クロノとエイミィが待機状態の籠手型アームドデバイスを差し出しながら、エイミィと共にもう一度聞いてくる。

 「何処でって、うちに昔から伝わってた、開かずの箱から出てきた」

 「開かずの箱って、よしくんのお爺さんとかが見せてくれた、あれ?」

 「そうそれ、なんか夜いつもどおり報告してたら、いきなり光って開いたんだよ、で、中にこれがあって…焦って手にとって、その後覚えてない」

 「まってくれ、報告といっていたが、その時他に人はいなかったのか?」

 「あぁ、報告ってのは、仏前に、だから、俺今一人暮らしというか、天涯孤独だから」

 「…それは、すまない事を聞いた」

 「いや、良いって、士郎さんとかが良くしてくれるから、気にして無いから」

 手をひらひらとさせ、クロノを留め、デバイスを受け取る。
 籠手二個をミニチュアにし、それを細いチェーンで留めたネックレスのような感じのものだ。

 「んで、これがデバイスか……あー、なんか…判るきがする」

 「判るとは?」

 「使い方が…ゼピュロス、セットアップ」

 『了解、マスター』

 良彦の声に答えるデバイス…西風(ゼピュロス)…その声の次の瞬間、良彦の体が青く輝き…鋼色の無骨な籠手、青を基本にし縁を白で彩った、ジャケットとズボンという格好に変わる。

 「それが君のバリアジャケットなのか…魔法はどうだ、さっき使えそうだって言ってたけど」

 「あぁ、多分できる…ええと、ゼピュロス…風を」

 『了解』

 声に応え、良彦を風が包むと、そのままゆっくりと浮かび…

 「おっし、いくぞっ!」

 掛け声と共に、飛び出し、訓練室の中を飛行し始める。

 「おぉっ、ゼピュロス、加速っ!」

 『了解』

 更なる一言と共に、更に速度が上がる。

 「なのはより少し早いくらいか?」

 「そうだね、それでフェイトちゃんよりは一寸遅いかな」

 「というか…良彦君だっけ、初めてなはずなのに普通に飛んじゃってる方が凄いよ」

 「そういえば、そうだな…良彦、他にできそうな事はあるか?」

 クロノの声に、一旦とまり…

 「んっと…ゼピュロス、俺の拳を」

 『了解』

 声に答えるように、良彦の両拳に風がまとわり付く。

 「これが、攻撃用だと思う」

 「風による、強化か…ターゲットだすから、試してくれ…エイミィ」

 「はいはーい、それじゃ、模擬戦用のスフィアだすよー」

 それに答えて、何個かの小型スフィアが壁から出現。

 「いくぞ、ゼピュロスっ!」

 『了解、マスター』

 一気に近づき、風を纏った拳に捻りを加え、撃ちぬき…

 「風速加速!」

 『了解』

 次のスフィアでは、手の甲に合ったスリットから、目に見える勢いで風が噴射され、速度と威力を一気に引き上げた一撃…

 「『貫き!』」

 『了解』

 そして、全身に風を纏い…一瞬の超加速、進路上に居た小型スフィアを風圧で弾き飛ばす。

 「クロノ、攻撃もさせてみてくれ、なんか、できそうなことがあるっぽい」

 「わかった、エイミィ最低出力で、攻撃を」

 「りょうかーい、落とされた分をついかして、出力は最低で攻撃設定」

 小型スフィアが、白い光に薄くつつまれ、攻撃位置をとり、射撃を開始する。

 「………『凪』」

 『了解…領域設定、空間把握開始、領域内魔力把握、領域内風速、風圧制御』

 言葉と共に、良彦の周りが魔力、風の流れ共に停止する…端から見ればそこに突然薄い青の光でできた球形の物体が現れたかのような感じで。
 スフィアの攻撃が、青い球体との境界を越えた瞬間、その動きが何かに邪魔されたように遅くなり…良彦の風と青い魔力でできた小さな魔法陣…恐らくは魔力分散か破壊の効果を持つ…につつまれた拳で打ち消される。
 何発か間に合わない物は、動きが遅くなっている間にかわされ、通り過ぎて行く。

 「…せっ!」

 一度目の攻撃が終わった後、一瞬で距離をつめ、幾つかの小型スフィアを殴り壊し…二度目の攻撃も先ほどの焼き増しのように、攻撃を打ち落としかわし、距離をつめ、撃ち落とすの連続で、数回繰り返した後。
 スフィアは全て打ち落とされている。

 「うぁー、つかれた」

 言葉と共に、クロノとなのはのいる場所に戻ってきて、着地…一寸汗をかき、少し息が荒い。

 「すごいね、よしくん…でも、殴って全部落としたのは何で?」

 「…いや、遠距離攻撃も多分あるけど、此処じゃ、というか、普段は使えない感じだったんだ…んで、それ自体は一種類しかなくて、後は殴るか、精々蹴るか、突っ込むか、しかなかった」

 さらっとある意味での重要部分を言ってしまう良彦と、そっかー、と、それを簡単に納得するなのは。
 一方で…

 「エイミィ、さっきの凪というのは、解析できたか?」

 「あぁ、うん…えっとね」

 エイミィの説明曰く…ある程度の空間の魔力と風を押しとどめ、そこに入ってきた攻撃や物にたいし、魔力攻撃なら魔力でしばり相殺し、実体弾なら風で縛り、動きを遅くさせるもの、らしい。

 「で、その後で風による拳圧強化と、破壊系の魔力拳で、魔法でも実体でも打ち砕くか、弾くか、避けるかするみたいだよ」

 「それは…普通の魔法じゃなくて、希少技能(レアスキル)なんじゃないか?」

 「そうだねー、普通そんな事できないし、聖王教会のほうと合わせて調べて見るよ」

 「あぁ、頼m…「あぁー!」…どうした、なのは?」

 「もう、真夜中だよ、早く帰らないと朝居なかったら心配かけちゃう」

 「そういえば、地球ではそんな時間か」

 「へ…何時だ今?」

 「えっとね、午前2時だよ、ほら」

 なのはが携帯を見せる。

 「おぉい、後3時間くらいしかねれねーじゃん、これじゃ!」

 「わたしのせいじゃないよ、とにかく早くもどろうっ」

 「おう、ツーわけで詳しい話は今度又頼む、戻らないと色々問題が…(恭にいとか、なのはと一緒に夜中にいたとか、ばれたらやばいっ)」

 「わ、わかった…転送でおくるからポートにいこう」

 何か良彦の焦りを感じたのか、クロノも微汗をかきつつ、先にたって歩き出す。
 魔法という未知に出会った好奇心よりも、身近にある恐怖(怒れる恭也)のほうが勝った、そんな一瞬だった。
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基本良彦に中遠距離攻撃はありません、近づいてなぐるか…切り札クラスの遠距離殲滅魔法くらいです。
魔法による『凪』は、合気術の『凪』とは微妙に違う上、まだ未完成です…魔力光がみえたら、攻撃をしなければすむだけというあ、大欠点付きですので、そのうち透明になるはずです。

次回は、公園での修行シーン2回目、ヴィータとの会話辺りの予定です。
 
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