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新 バトルロワイアル

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第4話~第6話





新 バトルロワイアル 第4話 悪の花道


  ・・その男は根性の塊なり・・


富樫源次「ったくよ 一体なんだってんだよ
訳のわからねぇ事に巻き込みやがって」


まだ薄暗い時間帯 場所はAー7東に3キロから
4キロ程歩けば灯台に南に2キロ程歩けば
西の大陸への架け橋がある場所である
この場所に一人の男がいた


男は野性味溢れる面持ちと鍛え抜かれた
肉体と相まって一見近寄りがたい雰囲気がある
男である


だが分かる人ならその瞳を見ればそれが
間違いだとすぐに分かる


瞳の中には自分の道を貫く強い意志がある
それはこの殺し合いの中でも同じだった


男は猛っていた 怒っていた だがそれは
自分が巻き込まれたからではない


あの広い部屋で何も出来なかった自分に対して
そしてあんな年若い少年を無惨に殺した
闇の声に対してだった


暗闇に目が慣れていなかった 気絶から
目が醒めたばかりで頭がうまく働かなかった
為に状況把握が出来なかった


だがそんな事は所詮は言い訳に過ぎない
動くべきだった 動かなければならなかった


それをあの少年はやってのけたのだから
その少年の事を暗闇の声が言っていた
軟弱者だと 弱虫だと 腰抜けだと


源次「そんな訳ねぇだろうが そんな訳
ねぇだろうが!!」


自分には分かる それがはっきりと分かる
あの小僧は強かったとそれは俺だけじゃない
塾生達もきっと同じ事を言うだろう


源次「畜生……清志郎って言ったかあの小僧
……強ぇ奴だ…漢だったぜお前は………
安心しろやお前の落とし前は必ず付けてやる」


右手には支給品のドス その胸には熱き魂を
持って男は動き出す


彼の名前は富樫源次 男塾1号生富樫源次
何者にも縛られず決して折れぬ魂を持つ男






新 バトルロワイアル 第4話 悪の花道
溝呂木愼也 浅倉威 富樫源次







源次「おっと・・そういやルールをまだ
確認してなかったな」


気持ちを落ち着けた富樫源次は取りあえず
ルールを確認することにした


早速富樫源次はバックからルールブックを
取り出し一通り確認する


源次「はあ?……あぁ……なるほどなぁ
6時間ごとに死亡放送 禁止エリア 
そして特定の人物に能力の制御か」


目を通すと次のような事が書いてあった
まずは6時 12時 18時 0時に死亡放送が
流れるらしい


その時に禁止エリアも発表される 禁止エリア
と聞いてその中に入ると爆発するかと思いきや
そうでは無く禁止エリアにはその場所ごとに
ある星人が配置され禁止エリアに侵入すると
その星人が襲って来るらしい


星人と出会ったら逃げる事は出来ずどちらかが
死ぬまで戦闘が続くらしい


但し仲間が複数居る場合は一人だけ残れば
後のメンバーは逃げられるらしい更に
星人は全部で十体おり星人を一体倒す毎に
それぞれ強力なアイテムがもらえるらしい


但し貰えるアイテムは3つまでとも書いてある


そして星人には出現する順番が決まっており
星人を無事倒したら次に禁止エリアに入った
時はそれ迄に倒した次の星人が出現する


そしてもう1つ 能力の制御は能力発動が
内部的なものの場合は肉体事態に制御がなされ
外的要因の場合はその強力アイテムに
制御がなされるらしい


但し能力制御と言っても純粋な身体能力の
強さについては能力制御の対象にならない



   ジャリ
   「・・・・」
   ニヤリ


一通り読み終えた富樫源次はため息を吐く


源次「はぁあっ とんでもねぇなこりゃ
胃の中に爆弾 能力制御 更には星人と
来やがったか………ったくよ 一体何処の
脳みそパープリン野郎がこんな事考え
やがったんだ」


考えれば考える程憂鬱になっていくのが分かる
そもそも富樫源次と言う男は肉体労働向けの
性格である


したがってこのような頭脳労働は苦手
なのである


源次「ったくよ………まじで逃げだしたく
なってくるぜ」




独り言を言ったつもりの富樫源次だった
が思わぬ所から返事がくる


   「ほぅ………なら逃げ出せばいいさ
俺の人形になってな」


源次「っ!? 誰だてめぇは!!」


突然の声に後ろを振り向けば其処には
黒いコートを羽織った全身黒尽くめの男が居た


その身から恐ろしい程の邪悪な破滅の意志を
漂わせて破滅の闇は富樫源次に告げる
破滅の言葉を 闇への誘いの言葉を


   「フフフ……俺が誰かはお前が一番
良く知っているだろう……俺はお前だ
お前は俺だ……俺はお前の中の闇の心だ
……フハハハハハハーー!!!!!!!」


・・・・・・・・
  ・・・・・・・・


溝呂木槇也は闇の中に佇んでいた その
閉じられた両の眼に映る光景は如何なるものか


暫しの後に突如今まで沈黙していた溝呂木槇也
の眼が開く そして溝呂木槇也は狂笑する


愼也「くくっ……くくくくっ……くかかか
かかか!! 最っ高っだぜ!! 最高のゲームだ!!」


彼の名前は溝呂木槇也 元の世界では
地球の平和と平穏を守る元ナイトレイダーの
副隊長であり人々を守っていた


だが今の彼は闇の力に魅入られて人の不幸を
嘲笑い己の力のみを信じる破滅の使者へと
変貌していた


元の世界では自分と対立する光の使者
姫矢准と最後の戦いを行っていた筈であった


そして姫矢准の光の力を奪い取り自らが
更なる進化を遂げる筈であった


しかし気が付いたら訳の分からない殺し合いに
参加させられていた だが彼の躊躇は
一瞬だった


あの広い部屋に居た時に彼は直ぐ様理解した
元の世界での事などどうでも良いと


何故ならこの舞台には姫矢准を超える
光を持つ者が他にも居たからだ


並ばそいつらを全て贄として自分が更なる
存在となる為の舞台にしてやればいい


溝呂木槇也は興奮していた 愉悦が止まら
なかった そして広い部屋から飛ばされて
周りを確認していると一人の男を見つけた


彼には見ただけで理解した あの男には
凄まじいまでの光の意志がある ならば
奴を殺して自らの操り人形にしてやればいい


あれ程の気迫を持つ男が闇に染まった時
どうなるか見物だった 知らず知らず
溝呂木槇也の口から嘲笑が漏れる


それを押さえ込もうとせずに溝呂木槇也は
絶叫する


溝呂木「アーハッハッハッハッ!! 始まるぜ
最高のデスゲームがッ!!!」


そして 溝呂木槇也は富樫源次に向かって
歩き出す


あぁあぁ!! もしももしも溝呂木槇也が
更なる未来の時間軸から来ていればこれから
先の悲劇は防げたかも知れない


溝呂木槇也は気づいていない 知る事すら
出来ない 他人を人形として見下している
自分こそが操り人形である事等


嘗てナイトレイダー隊長の和倉英輔は
溝呂木槇也の力を技術や経験を超えた
戦場での資質と評価していた程の優秀な
隊員だった


しかし破滅の闇は彼の心の闇を利用し自らの
操り人形へと変えた


自らの真実に気が付かぬまま溝呂木槇也は
全てを闇へと誘う破滅の使者となる


……………………
  …………………


富樫「何だてめぇは いきなり訳わかんねぇ
事言いやがって!!」


愼也「フハハハッ そんなに吠えるな
楽には死ねなくなるぞ くかかかかかか!!」


源次「!?・・てめぇ調子こいて舐めてんじゃ
ねぇぞコラァアア!!」


愼也「ふふんっ」


富樫源次は怒り高ぶっていた 突然現れて
自分の事をお前自身だ等と訳の分からない事を
言っている目の前の男に今にも襲いかかり
そうだった


無論富樫源次とて男塾での地獄のような毎日を
耐えてきた程の猛者だ決して馬鹿ではない


相手が狂っているのか正気なのかの区別は付く
目の前の男はまともだった 正真正面
正気だった


正気でありながらとびっきり外れていた
詰まりは富樫源次に取っては遠慮せず
ぶちのめせる相手だった


源次「訳のわからねぇ御託は良いんだよ
……さっさとかかってこいやッ!!!」ジャギ!!


ドスを構えて溝呂木槇也を睨め付ける富樫源次
だがそれを嘲笑うかのように 溝呂木槇也は
懐から棒状のアイテムを取り出す


愼也「身の程知らずが・・貴様そんなに
死に急ぎたいか」
キィィィン


それこそが溝呂木槇也が闇の巨人ダーク
メフィストに変身するアイテム ダーク
エボルバー


それを目の前に掲げて闇の力を凝縮させる


愼也「だったら望み通りにしてやる!!」


そしてダークエボルバーを左右に開き
闇の力を解放しようとしたその時


   「ふはははは!! 随分と楽しそうだな
俺もパーティに加えろよ」


破滅の神は新たな闇の骸人(アギト)を招いた


・・・・・・・・
  ・・・・・・・・


  ・・彼は因縁の男との勝負に決着をつけ
勝利した・・


   「うぅうおおぁあああああああああ!!
何故だぁあああ北岡ぁあああ!!」


富樫源次と溝呂木愼也から然程離れていない
処で一人の若い青年が天に向かって咆哮
していた


蛇柄のシャツに紺色のズボン 頭は金髪に染め
野性味溢れた暴力的で危険な雰囲気を漂わせる
若者だった


男の名は浅倉威 己の欲望に忠実な彼は強盗
殺人 放火等在りとあらゆる犯罪を犯し
死刑になる筈であった


だがそれをどんな罪でも無罪にし白を黒にする
スーパー弁護士北岡秀一によって懲役10年に迄
減刑された


しかし無罪にならなかった事に対して
激しい怒りを持った浅倉威は北岡秀一を
付け狙うようになった


彼等2人には普通の人間にはない戦う為の
ある力があった


だが2人の戦いに決着がつく事はなかった


  ・・勝利した筈であった・・


  ・・(「北岡ぁ・・立て北岡ぁあああ!!
  うぅうっ  お前!?  先生また
美味いもん買って帰ります  何故だ
・・何故だぁあああ!!」)・・


北岡秀一に勝利したと思った瞬間 戦いの装束
が解かれ姿を現したのは北岡秀一の秘書の
由良五郎であった


何故だ何故奴は来なかった そんなやりきれ
なさや怒りから待ち構えていた警官隊に
突撃しようとした処で彼の意識は途絶え
気付いたらこの場にいた


威「何故だ北岡 何故俺と決着をつけないっ
何故だぁあああ!!」
ドガァアア!! ボトッ


怒り心頭の浅倉が蹴り上げた足がそばに
置いてあったバックにぶつかり中の物が
辺り一帯に散らばった


その中の1つに浅倉の目が止まる


威「ふん名簿か・・どんな奴が居るのかは
知らんが俺のこのイライラを解消してくれ
そうな奴はいるのか・・何?」


何気なしに名簿を眺めていた浅倉の目が
ある名前を捉えた そこに記されていた
三人の名前


香川英行 東條悟そして最後の一人の名前は


威「ふは・・ふははは・・ふはははははは!!
安心したぜ どうやら今度こそ決着を
つけれそうだなぁ北岡!!」


其処には彼の待ち望んでいた名前がはっきりと
記されていた 即ち北岡秀一と



浅倉の表情が獲物を見つけたかのような
歓喜にそまる


己の1番の獲物がこの場に居るだけでなく
同じ仮面ライダーが他に2人も参加して
いるのだこれ程嬉しいことはない


そしてその表情が更なる興奮に包まれる


浅倉の嗅覚は近くに獲物がいる事を正確に
嗅ぎとっていた


威「はははは そいつらと戦えば少しは
イライラが収まりそうだ」


森を進んで行くと目の前に現れたのは
今にもぶつかり合おうと凄まじい覇気を
発散している2人の男だった


・・・・・・・・
  ・・・・・・・・


ジャリ ジャリ
浅倉威「フハハハハハハ!! ここかぁ
祭りの場所は 俺を楽しませろーー!!!
俺をイライラさせるなぁーーーー!!!!!」


そう言って 浅倉は懐から蛇がレリーフされた
カードデッキを取り出す


そして破壊の衝動を押さえ込もうともせずに
力を解き放つ


威「変身!!」


腰に現れたベルトにカードデッキを差し込むと
眩い光に包まれ その後には禍々しい
悪魔がいた


全てを破壊する最凶の殺戮の破壊者 
仮面ライダー王蛇 浅倉威


威「戦えよぉおお!!! 俺を楽しませろーー!!!」


ゴクリ
源次「ぬぅ……こいつは……とんでもねぇぞ」


その姿に唖然とする富樫源次 そして更に


愼也「フハハハハハハーー!! 面白い奴だ!!
いいだろうよく見ておけっ 俺の本当の姿を!!」


そう言って溝呂木槇也は再びダークエボルバー
を解放する 闇の力が溝呂木槇也を包み込む


   キィィィン ガガアァアア!!


闇の霧がはれるとそこには 能力の制限により
巨大化はできないものの 王蛇に劣らない
凄まじい破滅の悪魔がいた


源次「なるほどなぁ……こいつが能力の
制限の対象者か…………いいぜ……相手に
なってやらぁ!!! ぬうりゃぁーー!!!!」


破滅の悪魔 二人を相手に富樫源次は
恐れる事なくドスを片手に立ち向かって行く


威「来いっ イライラを解消させろーー!!!」


愼也「ふははははは!! 素晴らしいぞっ
その力俺が全て頂くぞぉおお!!」


開始そうそう始まった凄まじい戦い 
果たして男塾1号生 富樫源次の運命は






あとがき

このお話ではオリジナル版から浅倉威の場面を
追加しました


ダークメフィスト 溝呂木槇也 仮面ライダー
王蛇 浅倉威 対するは男塾一号生富樫源次
果たしてどうなるのか

次回をお待ち下さい










  ・・少年はその暗闇の部屋を知っていた・・


   「嘘だ・・嘘だ」


  ・・(【これから君達には殺し合いを
して貰う生き残れるのは二人だ】)・・


その部屋で目覚めた瞬間僕の頭の中に
蘇ってくる光景があった


  ・・(「これから君達には殺し合いを
して貰う 生き残れるのは一人だ  
おい■■え■ん一体これは何なんだ?  
又未来の次元犯罪者の仕業なの?  
わからない僕もこんな事件は聞いた事もない
  胃に爆弾が入ってるって言ってるよ
  ひぃええんママァアア!! 怖いよ
ぉおお!!」)・・


  ・・少年はその声を知っていた・・


   「知らない僕はこんな部屋も声も
知らない」


それは僕が自らの心の奥底に封じ込めて
いた記憶 絶対に思い出してはいけなかった
忌まわしい記憶


  ・・(【信じていない者も居るようだから
証拠をお見せしよう】)・・


  ・・(「ぎゃああああ!! 助けて
ぇえええ!! 【どうだねこれで理解出来た
かね それではゲーム開始だ】 どうする
■ラ■■ん  皆落ち着いて此処を出たら
北の端で落ち合おう良いね北の端だよ
  北の端ねわかったわ  うん必ず行くよ
  皆ぁきっとだよきっと来てね」)・・


  ・・その光景を知っていた・・

   「こんな光景も知らないだってあれは
夢だったんだから」


1年前僕の傍にはどんな時も一緒だった
4人の仲間がいた


  【おめでとう君が優勝者だ】


  ・・その絶望を哀しみを知っていた・・


   「そうだよね■ラ■も■・・お願いだよ
返事をしてよ・・ねぇ皆返事をしてよ
・・僕を一人にしないでよぉおおお!!」


けど今僕の声に応えてくれる筈のあの4人は
何処にもいなかった


  ・・少年は1年前あの地獄から1人
生還した生き残りだった・・


・・・・・・・・
  ・・・・・・・・



まだ日が登るには 早い辺りが薄闇に
包まれた時間帯 場所はHー5 東に
一キロ程歩けば大きな湖が見えるこの場所に
二人の子供がいた


   「嘘だ……嘘だッ……あれは夢だったんだ
………現実なんかじゃないッ!!……嫌だ
……嫌だーー!!!」


   「どうして?………生きてる……
私生きてる」


一人は未だ幼い男の子 彼は酷く混乱している
ようだ  まるで悪夢でも見たかのように
頭を抱えて必至に正気を保とうとしている
ようだ


   「これは夢だ………もう嫌だ………
あんな思いは嫌だ……誰か助けてよーー!!!」


   「でも…………どうして………ここは
天神小学校じゃ無いの?」


もう一人は少年と差ほど歳も変わらない
小さな女の子だった 彼女も少年程ではないが
酷く混乱しているようだ


   「どうして思い出させるんだぁ
……折角忘れていたのに……ドラえもんの道具で
忘れていたのにーー!!!!」


   「取り敢えず今は落ち着かないと
………お兄ちゃん……しっかりして」


少女は何かあり得ない事でも起こったかの
ようにしきりに状況を確認しているようだ


しかし自分以上に混乱している少年のお陰で
少女は幾分落ち着いていられた



少年の名前は野比のび太 少女の名前は
篠崎サチ子



そして  そんな2人にまるで導かれる
かのように2つの影が少年と少女に近づいて
いた






新 バトルロワイアル 第5話 ひと欠片の勇気
野比のび太 篠崎サチ子 満月美代子
面堂終太郎






  ・・(「そうだったの世界から来てたの
・・ねぇのび太さん貴方の世界もこんなふうに
美しい?  うんあんな事があると改めて
地球って星だなぁって思うよ  その地球を
守れたのも貴方のお陰よ  そんな僕なんて
  ねぇ又会えるかしら  うんきっと
会えるよ」)・・


  ・・それは少女の初恋だった・・


場所はHー4 東側 其処を一人の少女が
空を飛んでいた


無論見つからないように低空飛行だが
少女は額に汗を滲ませて必至に誰かを
探していた



   「はあっ はあっ はあっ 感じるわ
……居るのね…近くに居るのね……守るわ
……今度は私が貴方を守るわ……無事でいて
のび太さん」


少女は暗闇の部屋での事を思い出す 
突然の事で唖然としている少女の頭の中に
もう会えないと思っていた想い人の悲しみの
思念が聞こえてきたのだ


  ・・(「(嘘だ嘘だ嘘だ)  (っ!?
その声はのび太さんね!! 一体どう
したの!?)  (知らない僕はこんな光景
知らない!!)  (落ち着いてのび太さん
一体どうしたの?)  (誰か僕を助けてよ
ぉおお!!)  (のび太さん必ず助けに
行くから待ってて!!)」)・・


嘗ての恩を返すため 胸の中に小さな
儚い想いを抱えて少女は想い人を探す


・・・・・・・・
  ・・・・・・・・


一方 Hー5南部でも一人の若者が片手に
名簿を持ちもう片方の手には支給品らしき
物の画面を覗き込み景色を確認しながら
北に向かって歩いていた


ピッピッピッピッ
   「間違いなさそうだな……辺りの景色と
似ている……小さな子供が二人近くに
居るのか」


確信を得た若者は力強い足取りで歩き出す
心無しか若者からは人を安心させる優しさが
醸し出されていた


   「ふぅ・・正か僕だけでなくあの馬鹿と
温泉マークも巻き込まれているとはな・・
何て事だ・・それにしてもこの馬鹿げた
催しは一体何なんだ? こんな事が現実に
起こっている等聞いた事もないぞ・・もしかしたら
他の皆も巻き込まれているんじゃないだろうな」


少年の家は日本有数の否世界有数の大財閥
であった その跡取り息子である少年も当然
帝王学を身につけている


だがそんな世界有数の知識を持っている
彼の財閥ですらこんな事は聞いた事もなかった


   「今は深く考えていてもしょうがない
兎に角今はこの2人を保護しなければ」


少年の支給品は映像探知機効果は2種類あり
入力した番号の人物の光景を見る事ができる
のと同じエリアに人がいたらその光景を
見る事が出来る2種類だ


そのお陰で少年は2人を発見したのである



  ………この出会いが そして再会が
やがては大きなうねりとなって動き出す………


・・・・・・・・
  ・・・・・・・・


野比のび太は混乱していた この島に
連れてこられてから頭の片隅にちらついていた
恐ろしい記憶


  ・・(「こんな殺し合いなんかに
負けないぞ  その通りだよの○太○  
そうだそうだみんなでやってやろうぜ
  その通りよみんなで力を合わせれば
大丈夫よ  そうだよだって僕らどんな
冒険だって負けなかったじゃないか」)・・


初めは気のせいだと思った しかし自分より
年上のお兄さんが殺されて あの暗闇の中の
恐ろしい声を聞いてすべてを思い出した


  ………(「わああぁぁぁーー!!! 助けて
ぇええ!!!  ス○夫ーーー!!!  駄目
追ってくるわ!! ああぁぁーー ーー!!!
  し○か○ゃーーーん!!!   くそぉッ
お前ら二人は逃げろーーー!!! 早く行けー!!!!
 うああぁぁぁーー!!!!  ジャ○アー○!!!」)………


聞いた事があるあの声 一年前にこの耳で
しっかりと聞いたあの声 そしてその結果が
指し示す現実に耐えられなくて僕は


  ………(「の○太○ん ここでサヨナラだ  
何を言うんだ ド○えも○!!!
  誰かが彼奴を足止めしなくちゃいけない
  それなら僕がッ  の○太○ん 強く
生きてくれ  ○ラ○もーーー○    
ごめんネ 貴方を助けられなかった 
悔しいな」)………


両親に見つからないように こっそりと
ドラえもんの道具を使い全ての記憶を消した
消したはずだった


しかしその記憶は解放されて野比のび太は
再び殺し合いの場に招待された


…………
 …………………


篠崎サチ子は死んだ筈だった 小学校の校長に
母親を目の前で殺され 自分も一緒に殺された


その恨みが怨念となり自らの学校天神小学校に
留まりそこに迷い込んだ者を殺していった


幸せのサチ子さん(死合わせのサチ子さん)と
呼ばれるおまじないで天神 小学校に
数多くの犠牲者を集めた


子供故にその残虐性は留まる所を知らなかった
だが元々は彼女も犠牲者である 死にたく等
なかった筈であった


……………
 …………………


篠崎サチ子はもう一度自分の身体を確かめた


ペタペタペタペタ
サチ子「間違いないないんだ……生きてる
……私生きてるんだ……生きてるんだ………
お母さん」 
ツツゥウ 


篠崎サチ子の瞳から涙がこぼれ落ちる
嬉しかった 自分は生きているもうあの怨念の
ような禍々しい存在にならないですむ


自分はこれまで数多くの人を殺してきた
心の何処かで駄目だと思っていても最早
止めることは出来なかった


今更ながら自分がしてきた事が償いきれない
事だと子供ながらに理解出来た


だか らだろうか 目の前で泣いている
自分と同じ位の男の子をほおっておけな
かったのだ


サチ子「ねぇ…お兄ちゃん元気出して」


……………
 …………………


サチ子「ねぇ……お兄ちゃん元気出して」


目の前の小さな女の子が自分を元気づけて
くれているのがわかる それでも流す涙が
止まらなかった


のび太「嘘だ嘘だ嘘だッ…そんな筈が無い
……だって僕は昨日まで皆と一緒だったん
だから」



そうだドラえもん達が死んだ何て嘘に
決まってる だって僕達は何時も一緒
だったんだから


  …………(「ほらぁのび太さっさと
起きなさい  のび太気をつけて学校に
行くんだぞ  のびた君もうちょっと
勉強頑張らなきゃ駄目だぞ」)…………


何時も側にはド○えも○が 何時も一緒に
…………○○イ○ンも○ちゃ○もス○○も一緒に


  ………(「のび太早く起きなさい  
のび太気をつけて学校に行くんだぞ  
のびた君もうちょっと勉強頑張らなきゃ
駄目だぞ」)…………


何時も…………一緒に ……………居た・・んだ


  …………(「のび太早く起きなさい
  のび太気をつけて学校に行くんだぞ
  のび太君もうちょっと勉強頑張らなきゃ
駄目だぞ」)……………



ドラえもん………ジャイアン・・静ちゃん
・・スネ夫・・僕を一人にしないで


………………
 ……………………


のび太「嘘だーーー!!!!  ドラえもんッ!!
スネ夫!! しずかちゃんッ!! ジャイアンッ!!
嘘だァーーー!!!!」


サチ子「落ち着いてッ!  お兄ちゃんッ!!!!」


思い出してしまった 野比のび太は全てを
思い出した 一年前の今日彼等はあの
暗闇の声に連れ去られ殺し合いに巻き込まれた


最初は皆で立ち向かった 絶対に生きて帰ると
皆で誓った


けれど彼奴が来た あの男が来たんだ
そして……そして………誰一人として助かる事なく
殺されたんだ


その時の用意された椅子はたった1つ
僕は・・僕は・・最後まで手をさしのべて
くれたあのお姉さんをこの手で

そしてそれに耐えられなくて元の世界に
戻った後スペアポケットから道具を出して
仲間達と一緒に忌まわしい記憶を全て消した


のび太「うああぁぁぁーー!!!! 皆ァーーー!!!!
嘘だァーーー!!!!!」


ガバッ ギュウゥゥ
サチ子「駄目だよッ!! お兄ちゃんッ
闇にのまれちゃダメーー!!!!」


篠崎サチ子は目の前の少年を力一杯抱きしめる
正気に戻った今の自分なら良く分かる
目の前の男の子は今まで自分が殺してきた
被害者だ


助けてくれ許してくれ そう叫んで泣いて
時には必ず帰ると負けるものかと己に
立ち向かってきた被害者達


そんな彼らを 彼女達を自分は情け容赦無く
無惨にも殺した だからこそ目の前の男の子は
絶対に助けなければならない


目の前の男の子が何に苦しんで泣いて
後悔しているのかそれは分からない 
けれど今ここで何もしなかったら私はきっと
後悔する


この子を見捨てたら私は新しい自分に
変わる事が出来ない 先へ進む事が出来ない


サチ子「大丈夫だよ……大丈夫だから
お兄ちゃん泣かないで………お兄ちゃんが
何に苦しんでるのかサチ子にはわからない
・・でもね」


ストン
美代子「・・・・」


ジャリ
終太郎「・・・・」


サチ子「お兄ちゃんは一人じゃないよ
サチ子がいる皆がいる・・だから泣かないで
お兄ちゃんの傍にはお兄ちゃんを愛してくれる
人が沢山居るから・・そうだよね?」


美代子「えぇ勿論よ………のび太さんは私の
大切なお友達だもの」


終太郎「勿論だとも………時間何て関係ない
僕達は仲間だ僕達はずっと君の傍に居るよ」



何時のまにかサチ子達の傍に来ていた
優しそうな二人に言葉を投げかけると
二人は笑顔で頷いてくれた


その優しさに私の心の中に暖かい思いが
広がっていくのを感じる きっとこれが
人の優しさ何だろうと思う


今まで自分が失っていた 目を反らしてきた
人としての愛情なんだと思う


それは人として決して忘れてはいけないもの
どんなに辛くてもどんなに悲しくても
それがあるから人は人でいられるんだと思う


サチ子「……(お母さん今ならわかるよ
お母さんの言いたかった事 お母さんは
死んでしまっても 悪霊になっても 
サチ子の事を見守ってくれていたんだよね)……」
ツツゥゥ


今思えばお母さんはずっと私の傍に居てくれた
ヨシカズもそうだ 自分が殺した三人の子供達
管乃雪 辻時子 吉沢遼達も幽霊となった後も
自分のそばにいてくれた 


それはきっと自分を愛してくれていたから
だと思う あれ程酷い事をした自分を
見守ってくれていたんだと 今ならそれが
はっきりと分かる


だから今度は私の番だもう私は二度と
怨念には負けない 絶対に悪霊には戻らない


私は目の前のお兄ちゃんを力強く それでいて
優しく抱き締める


サチコ「ねぇお兄ちゃん分かる?・・
サチ子の胸トクントクンって動いてるよね
生きてる証拠だよ……お兄ちゃんもそうでしょ」


のび太「サチ子ちゃん・・でも僕はドラえもん
達を見捨てたんだ・・あのお姉さんを殺したんだ
・・そんな僕が生きてて良いのかな」


サチ子「お兄ちゃんにはもうわかってるでしょ
その人達はお兄ちゃんを恨んだりするような
人達なの? お兄ちゃんはその人達を恨んだ
事があるの?」


のび太「そんな事あるもんかそんな事あるもんか!!
 ドラえもん達は僕の最高の仲間達は
人を恨んだりするような人達じゃない!!」


サチ子「だったらお兄ちゃんも前に進まなきゃ
そしてその人達に見せてやろうよお兄ちゃんの
笑顔を・・そうしたらその人達もきっとお兄ちゃんの
幸せを喜んでくれるよ・・ね?」


のび太「サチ子ちゃんっ」


美代子「……(サチ子ちゃん…のび太さん)…」


美代子はあの部屋でのび太の思念を感じた時
直ぐに魔力でのび太と自分の波長を合わせて
おいた


能力の制限上それは時間がたてば消えてしまう
ものであったし 距離が遠すぎても分からなく
なってしまうものだったが運良くのび太の
近くに居たおかげで見つける事が出来た


名簿には自分とのび太以外の名前が無い事に
訝しんだが聞こえてきたのび太の叫びから
おおよその事が理解出来た


そして見ず知らずでありながらのび太を
助けてくれたサチ子と言う少女に感謝の念と
漸くのび太に会えた事に涙が止まらなかった


このような残酷な場で必至に生きようとする
二人に涙が止まらなかった そして美代子は
誓うのであった 絶対に皆で生きて帰ると


終太郎「………(サチ子ちゃん・・なんて
強い娘なんだ……自分だって辛いだろうに)……


終太郎は目の前の二人の子供達の事は
何一つ知らない しかし聞こえてくる言葉から
二人がどれほど悲しんできたのかは容易に
知る事が出来た


そしてそれでも尚必至に生きようとする
二人の子供達に涙が止まらなかった


自分とて世間から見ればまだまだ若輩者だ
それでも人生の先輩として男として 
この素晴らしい子供達を守る事を硬く心に
誓うのであった


サチ子「ねっわかるでしょ……お兄ちゃんは
一人じゃない……その人達だってお兄ちゃんを
見守ってくれてる筈だよ・・目を閉じれば
何時だって会える 心の中に何時も居るんだよ」


のび太「うん・・うん………うぅ……うぅ
あぁああ……ドラえもん ジャイアン
静ちゃん スネ夫……うぅあぁああああん!!!!」


サチ子「今は泣いて良いんだよお兄ちゃん
涙が収まったらきっと笑顔になれるから」


のび太「ううぁあああああああああああ
ああああ!!」


のび太は泣いた泣き続けた 涙が枯れるまで
泣き続けた


彼は今まで目を反らしてきた現実にやっと
向き合えたのだ



  …………空を見れば雲の合間から太陽が
のぞいていた………


終太郎「夜明けだ・・綺麗だな」


美代子「本当に綺麗だわ・・もしかしたら
ドラちゃん達がのび太さんを祝福して
くれているのかもしれないわね」


  ………暖かな太陽の光が四人を優しく
包み込む………


終太郎「きっとそうですよ のび太君の想いは
きっと届いてますよ」


美代子「そうね・・きっとそうよね」


  …………もう間も無く夜が明ける………


終太郎「今度は僕達が守りましょう・・
子供達の未来を」


美代子「えぇ守りましょう 未来を創る希望を
明日を創る笑顔を守りましょう」



  …………のび太の心から闇が消え去った…………




あとがき

今回は悲しいお話でした

前回の生き残りはのび太くんでした

多くの友人を失いましたが彼は一人ではありません

サチ子ちゃんや美代子さん 面堂終太郎

多くの仲間達が一緒です


さて前回の優勝者がのびた君だったと言う事は
ドラえもん達を殺したのは誰だか何となく
わかりますよね


そしてその殺人鬼を止めたのは誰なのかも
わかりますよね


では最後までのび太君を止めようとした
女性は一体誰だったのか


それは次回の彼等のお話でわかります








もう間もなく夜の闇が終わる時間帯 
時刻は朝方4時頃だろうか


場所はEー8 東に1kmから2キロ程歩けば
巨大テーマパークが見えてくるこの場所に
小早川ゆたかは居た


ゆたか「ううぅぁぁ…ごめんなさい清志郎さん
……私の所為で本当にごめんなさい」


小早川ゆたかは悲しみに泣きくれていた
涙が止まらなかった 私なんかの為に
清志郎さんは死んでしまったのだと幾度も
自分を責めていた


自分があの時あんなに取り乱さなければ
清志郎さんは死なずにすんだ いっその事
私なんかあの時死んでしまえば良かったと
自暴自棄に陥っていた


ゆたか「だって………私なんかが 生き
残ったって」


自分には何も出来ない いっその事この場で
死にたいと何度もそう思った だがその度に
清志郎さんの言葉を思い出す


あの時死の淵にありながら清志郎さんは
私を勇気づけてくれた きっと助かると
日々野さんが助けてくれると そう言って
くれた


今でもしっかりと覚えている 暗闇の声に
勇敢に立ち向かった男の人 清志郎さんの為に
本気で怒っていた きっと清志郎さんは
あの人達にとってとても大切な仲間だったん
だろうと思う


そしてもうひとつ思い出すのは姉の言葉
部屋を飛ばされるとき姉が言ってくれた
言葉を思い出す


  ………(「ゆたかっお姉ちゃんが助ける
からっ お姉ちゃんが行くからねっ 
だから諦めちゃ駄目だよっ ゆたか!!」)……


小さい頃から身体が弱かった私をいつも
お姉ちゃんは助けてくれた 何時も私の傍に
いてくれた


お姉ちゃんは私の自慢だ そして私は
そんな自慢のお姉ちゃんの妹なんだから


だから私にもきっと 出来る事がある


ゆたか「本当は……怖い……怖いけど……
でも…………ここで何もしなかったら私は
・・前に進めない」


そう言って小早川ゆたかはバッグの中の
支給品を手に取る それは拡張マイクだった


  ガサガサガサガサ

そんな事を考えていると茂みから物音がする
どうやら見回りに出ていた同行者が帰って
きたらしい


同行者は草を掻き分けこちらに近づいてくる
そして同行者が姿をあらわす


ガサガサガサガサ
今泉慎太郎「ふぅ ゆたかちゃん今戻ったよ」


戻ってきたのは日々野晴矢や温泉マークの
仲間である
古畑任三郎の部下今泉慎太郎であった


小早川ゆたかも同行者の無事の帰還に
喜んでいた


ゆたか「どうでしたか今泉さん 誰か
見つかりましたか?」


ゆたかの質問に今泉慎太郎は顔をしかめながら
難しそうにこたえる


今泉「うぅん駄目だね こっちは誰も
見つからなかったよ 怪しい人は居なかった
けど仲間になってくれそうな人も誰も
見つからなかったよ ゆたかちゃんは?」


ゆたか「はぃ こちらも特に問題ありません」


今泉慎太郎と小早川ゆたかこの二人の出会いは
運命を何処へ導くのだろうか







新 バトルロワイアル  第6話 それでも僕は
今泉慎太郎  小早川ゆたか






会場に飛ばされた直後小早川ゆたかは混乱して
1人泣いていた背後から物音がした時でさえ
逃げる事もせずに只泣いていた


だが現れたのは敵ではなく今泉慎太郎であった


  ・・(「君は・・確かゆたかちゃん
だったよね? こんな処に1人で居ると
危ないよ  良いんです私何て生きてても
しょうがありませんから  そんな事ないよ
ゆたかちゃん君が死んだら哀しむ人が
沢山居る筈だよ・・君のお姉さんが言ってた
でしょ必ず会いに行くって  はい・・
お姉ちゃん・・会いたい  大丈夫僕が必ず
会わせてあげるよ何たっておじさんは
刑事なんだから それじゃあ行こうか
  はい  僕の名前は今泉慎太郎だよ
よろしくね  私は小早川ゆたかです
よろしくお願いします」)・・


そして2人は行動を共にする事になった
のである


今泉慎太郎は古畑任三郎の部下として
刑事として共に行動していた 巡り合わせ
なのかはたまた運命なのか 二人は何時も
一緒だった


この事に関しては上司の古畑任三郎は
何時も不運だと嘆いていたし 部下の
今泉慎太郎も本気で言っているのだと
思う時もあったようだ


だが周りから見ればじゃれあってるようにしか
見えなかった 以前無実の罪で今泉慎太郎が
捕まった時古畑任三郎が犯人に対して言った
言葉がある


大切な部下だと 今泉慎太郎にとっても
同じだろう 彼にとって古畑任三郎は
誰よりも信頼出来る最高の上司だった


同じ事が小早川ゆたかにも言える 彼女に
とって姉の成美ゆいは普段はおちゃらけて
いるが 本当は誰よりも自分の事を大切に
思ってくれている最高の姉だとそう思っている
なればこそこの二人が出会ったのは運命
なのかも知れない


今泉「それじゃあ 今まで分かっている事を
整理してみようか」


ゆたか「はいっ そうですね」


今泉がそう言って話を切り出すとゆたかも
心良く頷いた そして二人はルールブックを
見ながら話を整理していく やはり話の進行は
年上の今泉が握ってくれた


慎太郎「まずは6時間事に死亡放送そして
禁止エリアの発表 禁止エリアに侵入すると
星人が襲って来るらしいけど倒すと強力な
アイテムが貰える」


今泉慎太郎の言葉に小早川ゆたかも頷きながら
話しを聞いている


慎太郎「そして特定の人には能力の制限があり
身体的な制限だったり持っているアイテムの
制限がなされる・・能力て言うのがいまいち
ピンとこないけど」


ゆたか「あれでしょうかテレビとかで良くある
超能力みたいな」


慎太郎「そうだねその可能性も考えたほうが
良いね・・後気になるのはこの名簿だね」


その言葉に彼女も頷いた


ゆたか「そうなんですよね……この名簿
名前が全部埋まっていないんですよね」


そうなのである渡された名簿には名前の
記入欄に対して載っている名前が少なすぎた


今泉「うぅん……主催者が態と載せなかった
のかな………そうすると参加者は他にも
いるって事になるな だとしたらやっぱり
歩き回るしかないのかな」


ゆたか「でも少なくとも今泉さんの上司の
古畑任三郎さん 私の姉さん 後はあの部屋で
暗闇の声に立ち向かった二人の人は信用
出来ますよね」


ゆたかの言葉に今泉も頷いた


今泉「うん そうだと思う 後はなるべく
戦うのは避けた方が良いかな 不用意に
相手を傷つけたくないしね」


今泉の言葉にゆたかも頷き話を続ける


ゆたか「皆の事信じてますけど相手が
何を持ってるかわからないですからね」


今泉「そうだね 何せこちらにあるのは
拡張マイクによくわからない絵の彫られた
小さな箱みたいな物だからね……それにしても
何だろうねこれ……中にカードが入ってるけど」


そうなのである今泉慎太郎の支給品は
サイの絵の彫られた小さな箱だった 
しかし説明書は落としてしまったのか
或いは初めからなかったのか使い方が
分からなかった


だがこの時の二人は知らない知るよしも無い
これこそが二人の運命を左右する程の
重大な物だとは今の二人は知らなかった


しばらくそれを眺めていたゆたかも訝しむ


ゆたか「本当に良く分かりませんね……
悪戯でしょうか」


そんな事もあるのかなとゆたかが口にすると
今泉も頷いた


今泉「うんそうかもしれないね……でも大丈夫
だよゆたかちゃんっ おじさんは刑事だからね
幸いにして元から持っていた拳銃は無事
だからね」


そう言って慎太郎はゆたかを安心させる
主催者にどんな意図があるのかは知らないが
初めから持っていた拳銃は無事だった


しかし替えの銃弾は取り上げられており
銃弾は6発だけだった 果たしてこの数は
多いのか少ないのか


しかし現役の刑事が側に居てくれる事
そして慎太郎の人柄にゆたかは安心した表情を
浮かべてお礼を言った


ゆたか「ありがとうございます今泉さん
今泉さんが居てくれて心強いです」


その言葉に慎太郎は若干照れた表情を
浮かべてゆたか に言った


慎太郎「大丈夫だから安心して さぁ
ゆたかちゃんはもう少し寝ていなさい
まだ疲れてるでしょ」


その言葉に安心したのかゆたかも好意に
甘える事にした


ゆたか「すみません……それじゃあもう少し
安ませてもらいますね」
スゥウゥ


そう言って目を閉じるとやはり疲れていたのか
ゆたかはすぐに眠ってしまった


今泉「………ゆっくり おやすみなさい
ゆたかちゃん」


それを見て慎太郎は意識を切り替える
ゆたかには大丈夫だと言ったが実際の所は
楽観など出来る状態ではないと慎太郎も
分かっていた


古畑任三郎のように有能では無いが今泉慎太郎
も刑事である 今の状況がどれ程危険なのか
充分過ぎる程に分かっていた


そんな危険な状況で自分達の武器は己の
持っていた拳銃だけで弾は6発分のみ


無理だったこれでは何も出来ない それを己は
わかっていた


だが自分は男だ刑事だ 少女の前で弱音は
吐けない だから彼女の前では大丈夫だと
そう言うしかなかった 慎太郎は踞り
恐怖に震える


慎太郎「駄目だ・・震えが止まらないよ」


先程ゆたかが何をしようとしていたのか
彼は見ていた 恐らくは何処か見晴らしの良い
所から皆に呼びかける そう考えていたに
違いない


だがそんな事をすれば集まるのは善人
ばかりではない 寧ろ悪人が真っ先に
来る筈だ


ブルブルブル ガタガタガタガタ
今泉「怖い怖い怖い………怖いよ……くそぉ
怖いよ…駄目だ僕には駄目だ……古畑さん」


今泉慎太郎は恐怖に打ち振る得る
最早彼の
精神は錯乱の一歩手前だった


今泉「怖いよ……怖いよ……助け・・(「恐怖を
感じるのは悪い事ではありませんよ今泉君」)
っ!?……古畑さんっ」


その時以前言われた上司古畑任三郎の
言葉が蘇る


  ………(「良いですか 今泉君 人間は
とても弱い者です 誰もが強い訳では
ありません ですが恐怖を感じるのは
悪い事ではありません 恐怖を感じるから人は
強くなれるんです 何よりも私達は刑事です
恐怖を克服して強くなれるんです それを
忘れてはいけません そして未来ある
市民達を守るんです」)………


慎太郎「そうでしたね思い出しましたよ
ありがとうございます古畑さん」


思いだした そうだった 僕は刑事何だ
弱いけど 情けないけど それでも僕は


ギュウゥ
今泉「そうさ……それでも僕は刑事なんだ」


横で眠る小早川ゆたかを優しく見つめる
今泉慎太郎の瞳に力が蘇る


刑事として男として彼女は無事に返して見せる


慎太郎「必ず無事に返してみせる そして
胸を張って古畑さんに会いに行くんだ
・・だって僕は刑事なんだから」


  …………今泉君恐怖に震えるのは悪い事では
ありません 恐怖を感じるからこそ人は
強くなれるんです…………







あとがき

今泉慎太郎男になりました

小早川ゆたか立ち直りました

支給品は…………拡張マイク


この話では主に2人の出会いのシーンを
追加しました 
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