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幻想の運び屋外伝 天覇絶槍が幻想入り

作者:アーミー
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第一部
出会い編
  第三話 俺っ娘魔法少女!

 
前書き
約半年も間更新できずに申し訳ありませんでした。
 

 
 それから数日、幸村は霊夢のもとで掃除や家事の手伝いをしていた。
 そんな中、霊夢が用事で〝人里”へ出向いている最中の出来事だ。

幸村サイドイン

 霊夢殿が人里という、幻想郷で殆どの人が暮らしている〝人里”へ出向いた。
 個人の用事で出かけたらしい。その内容は詳しく教えてもらえなかった。
 待っている間、俺は境内を掃除していた。
『霊夢~~! いるか~?』
 そんな時、どこからか博麗殿を呼ぶ声が聞こえてきた。どこにいるのかと辺りを見渡すと、突如として上空から、箒と思われる物に跨る黒い物体が現れた。
 霊夢殿が申していた妖怪の類か!?
「そなたは妖怪か!?」
「! おいおいいきなり妖怪呼ばわりは酷いんじゃないか? てかあんた誰?」
「お、女子か?」
 よく見ると、変わった形の黒い物を被り、そこから黄色い紅葉より明るい長い髪が見え、白と黒の南蛮みたいな服を着ている少女だ。背丈は俺の肩に届くくらいだろう。何故か己のことを〝俺”と呼んでいるらしいが……
「そ、そなたは?」
「名乗る時は先ず自分からだと思うぞ?」
「そ、それは失礼した! 某、真田幸村と申す」
「幸村ね。俺の名前は霧雨魔理沙! 普通の魔法使いだぜ!」
「ま、まほうつかい?」
 まほうつかい? 聞いた事がない言葉だが…俺が天覇絶槍と言うのと同じだろうか?
「あ、魔法使いってのは魔法を使う者の事を言うんだぜ」
「???」
 まほうを使う者がまほうつかい? さっぱり分からぬ……
「あぁ~~、分からないならいいよ。理解するのに時間かかりそうだし。」
「す…済まぬ」
「謝らなくてもいいよ。で、幸村はなんで霊夢のところにいるんだ?」
「その前に、霊夢殿とは知り合いで?」
「質問を質問で返すなよ……俺は霊夢の友人だぜ」
「博麗殿のご友人でしたか! 某は数日前、ここの境内で倒れていたところを博麗殿に見つけてくれて、そのままお世話になっている者でござるよ」
「! あの霊夢がね~」
 箒みたいな物から降りた霧雨殿は俺の顔をじっと見ながら、なにか考えている。
「あの、霧雨殿……某の顔に何か付いているのでござるか?」
「あ、いや、なんでもないぜ。」
「???」
「そうそう、俺のことは魔理沙でいいぜ。そんなに固くされるのは慣れてないんだ」
「そうか…では魔理沙殿。今日はどういった用件で霊夢殿に会いに?」
「(出来れば〝殿”もやめてほしいけど……)用って程じゃないけど、霊夢がいたら適当に茶と菓子を頂こうかな~って思っていただけさ」
「そうか、今霊夢殿は個人の用事で人里へ行っているぞ」
「そうか、じゃあ……」
 そういうと魔理沙殿は俺の脇を通り過ぎようとした。
「ちょっ魔理沙殿! どこに行くつもりか!?」
「ん? 霊夢が来るまで中で待つつもりだけど?」
「例え霊夢殿のご友人だとしても、そこもとの正体が確認できた訳ではないから……」
「通せないってか?」
「うむ。」
「…………」
 俺が通せないことを伝えると魔理沙殿は少し思案顔になり、なにか思いついたように言った。
「そういえば幸村は境内で倒れていたんだろ?」
「まぁ、霊夢殿からそう聞かされているが……」
「じゃあ境内に倒れていた前の記憶は覚えているだろ?」
「そうだが……」
「なら霊夢が来るまで幸村の事を聞かせてくれよ!」
「……え? 何故、某の事を?」
「霊夢が来るまでの暇つぶしさ。なんか面白そうだしな」
 俺が面白そうって、格好の事か? それなら魔理沙殿のほうが俺からしてみれば奇妙な格好なのだが……?
「そういうわけだからさ、霊夢が来るまで話してくれよ~!」
「う~む……」
「う~む、じゃないぜ。いいだろ? 霊夢に他言無用だって言われている訳じゃないだろ?」
「まぁ確かに言われていないが………………わかりもうした。魔理沙殿にはつまらない話やも知れぬが、よいか?」
「しゃあ! 構わないぜ! 早く聞かせてくれよな!」
「わ、わかったから某の背中を押すでない! ちゃんと話し申すから」
 魔理沙殿のお願いに折れた俺は母屋の縁側へ案内し、そこで俺が戦国の世で体験したことを話した。
 俺が戦場で活躍したことを話すと魔理沙殿は子供のように目を輝かせ、民に対し非道な行いをする者の事を話すと憤りを表情に出し、人が他人のために死ぬ話をすれば悲しみの表情を見せた。そして、つい気を許してしまったのか、俺が死んだ経緯を話してしまった。まずいと思った時はもう遅かった。
「……」
「……」
 き、気まずい……なんで俺はこの話をしてしまったのだ!?
「……なぁ、幸村」
「! な、なんでござるか?」
 沈黙を破ったのは魔理沙殿だった。
「結構、大変な事を経験してきたんだな」
「う、うむ」
「幸村はここに来て、まだ日は浅いんだよな?」
「あ、あぁその通りだ……?」
「じゃあ神社から出たことはないんだな!」
「そ、そうだが…?」
 暗い顔をしたと思ったら、何やら思いついた顔を見せる魔理沙殿。
「それじゃあ今度、俺の行ける範囲まで幻想郷を案内してやるよ!」
 いきなりの魔理沙殿の申し出に俺は驚いた。今まで霊夢殿には神社から外には出ないこと、と言われていた為、一度も外出したことがなかったのだ。
 しかし……
「魔理沙殿の申し出はうれしいのだが……」
「霊夢にここから出るなって言われているんだろ? だったら話は簡単さ。」
「? それはどういう……」
「それはな……お、噂をすれば。」
 魔理沙殿の向いた先を見ると、階段から上ってきた霊夢殿の姿が。
「……あら魔理沙、来てたの?」
「よう霊夢、邪魔してるぜ。」
「で、何の用? 茶菓子ならさっき買ってきたけど?」
 霊夢殿が右手に提げている袋には何やら色々入っており、煎餅の袋も見えた。
「初めはその予定だったんだが……」
 と魔理沙殿は立ち上がり、霊夢殿に近寄る。
「ちょっと話があるからさ、神社裏まで来ような?」
「は? 突然何なのよ……」
「そう言う訳だから、幸村、ちょいと霊夢借りるね~」
「ちょ!? 魔理沙いきなりなんなの!?」
「魔理沙殿!?」
 そう言って魔理沙殿は霊夢殿の腕を無理やり掴んで神社の向こう側へ消えてしまった。
「…………」
 残された俺は、仕方なく掃き掃除を始めた。


幸村サイドアウト

魔理沙サイドドイン


「ちょっと魔理沙! これはどういう事!?」
 神社裏まで霊夢を連れ出した俺は霊夢へ振り返る。
「なぁに、ちょいと話があるだけさ」
「話って何よ?」
「幸村についてさ」
「!」
「聞いたら、幸村は色んな体験をしてきているらしい。霊夢だって聞いたんだろ?」
「……まぁね」
「元居た世界じゃ、結構激しく動いていたみたいだったし、見た感じだと相当運動不足みたいだったぜ」
「……何が言いたいの?」
 何が言いたいのか、そりゃ勿論……。
「幸村の外出を禁止するのをやめたらどうだ?」
「……」
「いままで自由気ままにやってきたことを、急に環境が変わったからといってできなくなったらストレスを感じるはずだろ? 霊夢だって、好きな日向ぼっこや縁側でのんび~りお茶を飲む事が急にできなくなっちゃって、それが数日続いたらどうなる?」
「まぁ……ストレスを感じるわね」
「今の幸村はそんな感じ。今は恩を感じて静かにしているけど、心の中じゃ走り込みたい、激しく動きたいって思っているはずだぜ?」
「それって……幸村をペットか何かと思い違いしているんじゃないの?」
「それは無いぜ。あんまり溜めすぎると体に悪いだけ。ちゃんとストレス発散させないといけないぜ」
「…………」
「それに、今のうちに色々案内しとかないと、いざ二人で別行動する時に幸村が迷ったら探すのが大変だぜ」
「まぁそうね……ってなんで別行動するって過程なのよ!」
「だって幸村かなり強そうじゃん。ありゃ絶対戦力になるぜ」
「せ、戦力って……」
「俺はこう見えても人を見る目はある。幸村の体つきは、何度も自分を鍛えあげている証拠。しかも毎日だ」
「そう……なの?」
「あぁ、間違いないぜ! ってかだいたい霊夢は一人で行動しすぎなんだぜ。もしかしたら二人一組で異変解決にいたる可能性だってあるんだぜ」
「そ、それ位わかって……って話が脱線しているわよ。」
「取りあえず結論として、今後の事も考えて幸村を外出させることを許してやれよ、な?」
「……」
「それとも……夜に……」
「ちょっと待てい! なんか話が飛躍しすぎているわよ!?」
「あれれ? 俺は夜に素振り位させるかい? って聞こうとしていたんだがな~」
「なぁ……!?!?!?」
「おやおやぁ? 顔が赤くなってるよ~? 何を想像したのかな~?」
「う、うるさい 何も考えていないわよバカ!」
「じゃあ幸村を外出させても問題ないな?」
「えぇ! いくらでも外出させるわよ! ……ッハ!」
「よっしゃ! 許可が下りたぜ。次に霊夢は『まさか……計算の内だったのか魔理沙!』と言う」
「まさか……計算の内だったのか魔理沙! ……ッハ! ってアウト気味なネタ使うな!」
「ハッハッハッハッハッ! それじゃ許可も下りた事だし、幸村に伝えてくるぜ~。」
「スルーするな!」
 いや~霊夢をからかうのは面白いぜ。



 
 

 
後書き
外出の許可が下りた幸村は魔理沙の監視の元、霧の湖に向かう。そしてそこにいたのは……!
次回、天覇絶槍が幻想入り 『幸村、初めての遭遇の巻』
お楽しみに! 
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