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FAIRY TAIL 魔の天才

作者:bouquet
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悪魔の島に魔の天才が上陸!

「さて、船は・・・だしてもらえないね」


港町「ハルジオン」
妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士であるカイトとヒールは歩いていた

さて、船が出ない理由は簡単
彼らが向かおうとしている島は人々から・・・

「〝悪魔の島〟、ね・・・」

〝悪魔の島〟それが人々が呼ぶガルナ島の異名だ
そこに住む人は悪魔になる・・・という噂のせいで人々は、海賊でさえ近寄ろうとしない
カイトは首を横に振り半ば諦めたように呟いた

「これじゃあ、一人で勝手に行けって言われてるようなものだな・・・」
「実際に言われたけどね・・・」

ヒールもカイルも再び首を横に振る
そして、しばし沈黙が続き、カイトは決心してよし!と声を上げた

「いいや、やっぱり自分で行こう
その方が早いし」
「最初からそうすれば良かったね」

カイトは話しながら海の方へ歩いていく
漁師の男がカイトに気づいて声をかける

「おい!そこの兄ちゃん、ここの海は海水浴場じゃあねえぞー
サメ出るから気を付けろよー」
「あいよー」

カイトは男に対して手を挙げ返す
男は不思議そうに首を傾げ市場の方へ戻っていった

「さて、準備はいいかい?」
「大丈夫だよ」

カイトは了承をとると海に足から飛び込んだ
・・・しかし、水音は立たない
カイトは海水面から15CM ほどの位置に立っていた
そして海水面を蹴るようにして前に進む


ドッゴーン!!


海水が市場まで飛び、波が高くなる
しかし、そこにカイトとヒールの姿はなかった

「なんだ?!」
「巨大ザメでも出たか?!」

町の人たちが集まり話をする
その視線の先には・・・まるで海を割るように進む人の様な影だった




「あ~あ、やっぱ海水ってしょっぺーな」

カイトは呟くがいつもは返ってくるヒールの言葉がない
理由はカイトが持つリュックの中に納まっているからだ。そうでなくても時速100KMで進む中で
まともには喋れない
1分も経たないうちにガルナ島に着いた
・・・まあ、わかると思うがそんな急に止まれる訳もなく森に突っ込んでいった




            ガルナ島内 戦闘中のエルザ一行


「なに?!この魔力!」

近づく巨大な魔力に金髪(プロンドヘアー)の新人ルーシィが声を上げてエルザに問う
しかしエルザは青い顔をして魔力の元の方を向いていた

「カイト?!」
「カイト・・?」

エルザが発した言葉はどうやら人の名前で少なくともエルザが怯える様な人で・・・
白髪の少女、メイルが喜ぶような人だという事が分かった
そこで、何故かいろいろなことを知っている猫・・・ハッピーにルーシィは問い直す

「ねえ、ハッピー。カイトって誰?」

ハッピーは何処からか出してきた学者帽をかぶり説明を始めた

「あい!カイトっていうのはオイラ達と同じ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だよ!
エルザと同じS級魔導士でエルザやナツが全く敵わないんだ!
皆が言ってる〝オヤジ〟って人と同等だって噂だよ。実際に戦ったことはないけど」
「うっそー?!」

ルーシィが驚いたのはナツはともかくあのエルザまで倒してしまうほどの魔導士だということにだ
しかし、そこで疑問が生まれたその疑問を問いかける前に目の前の木がなぎ倒され一人の男が現れた

「あー・・・疲れた・・・」

疲労十分という顔をした男性にルーシィは3つの点で驚いた

まず一つ目はその容姿
肩ほどまである青い髪。前髪から微かに見える目は紅くナツほどではないがややつり目
顔は小顔で誰が見ても美形だ
そして、黒のロングコートに身を包んでいるその姿はとても美しかった

二つ目は彼の状態だった
この島の植物にあれだけの速度で突っ込んできたなら傷がついているのが普通だ
しかし彼には傷どころか衣服に乱れはなく、草木は一切ついていない
さらにルーシィの目の前の木は彼の通ってきた場所を空ける様に左右に折れていた

三つめは彼の魔力だ
普通大きな魔力を持つ者の魔力は押しつぶすような圧力があるものだが、彼の魔力は押しつぶすような
圧力はなく、かといってふんわりとした優しい魔力でもない
それでいてナツやエルザよりも魔力量は圧倒的に多い

まとめるとルーシィはカイトに対してある感情を抱いた

(カイトさんって何者・・?)

ルーシィが考え事をしているとハッピーがカイトに話し掛けた

「ねえ、カイト。ヒールいる?」
「おお、ハッピー。大きくなったなー。ヒールならここにいるぞ」

カイトは自分の後ろを指さした
首を傾げながらルーシィは尋ねる

「ここ・・って何もいないですよね?って、うわ!」

最後のは、カイトの後ろから猫が顔を出したからだろう
しかしルーシィのことなど気にせずにハッピーとヒールは話を続けた

「ヒール。例の物は?」
「勿論ありまっせ」

どこかの映画の密売者の様な黒のスーツとサングラスをかけて遊んでいる猫二匹にカイトは呆れ半分に
問う

「君ら毎回どこから衣装取り出してるの?」

その問いに答えはなくカイトは溜息を吐く

ルーシィはある疑問を抱いた
エルザがカイトを恐れるのは彼の強さゆえだろう。だが、なぜメイルは喜ぶのか・・・そして、なぜハッピーは彼の事を恐れていないのか
訊こうとしたところでずっと大人しくしていたメイルが突然カイトに抱き付いた

「カーイト!」
「うわっ!」
「ええーーー!」

カイトは突然の事に驚き、ルーシィは驚きのあまり叫んだ
カイトはすぐに落ち着きを取り戻しメイルを背負う
ルーシィは先ほどから抱いていた質問を至極簡単に口にした

「カイトさんって()()なんですか?」
「「「!」」」

その言葉を口にしたルーシィにエルザ、ハッピー、メイルの二人と一匹は焦った顔をする
何の事かわからないルーシィにカイトはあくまで穏やかに声をかけた

「君がルーシィか・・。俺の事は呼び捨てで良いよ
さて・・・エルザ!」
「な、なんだ?」

エルザがやや焦ったように問う

「俺はマカロフからお前ら全員を無事連れて帰って来いと依頼を受けたからお前ら全員の身の安全は保障しようだが、ガルナ島での仕事に関しては手伝うつもりはないお前達で解決しろ」
「あ、ああ」

エルザは歯切れ悪く返す
なぜなら、エルザは彼に手伝ってもらえるなど考えていなかったからだ
カイトは頼まれたこと、すなわち依頼は絶対に放棄しない
どんなに小さくても、たとえそれで世界を敵にしても彼は依頼を絶対に放棄しない
その代り、彼は人の仕事に手は出さない。ヒントを出すことはあっても手を貸すことは決してない
カイトは穏やかな口調のまま背負ったメイルに声をかけた

「行くぞ、メイル」
「うん!」

メイルは元気よく返事をする
カイトの足元の砂が少し舞い上がり、ルーシィが瞬きをして目を開けた時にはカイトとメイルは
そこにいなかった

「あ~あ、置いていかれちゃったか」

緊張感のないヒールが呟く
しばらくしてルーシィはエルザとハッピーそして彼が置いて行ったヒールに訊いた

「わたし何かまずいこと訊いた・・・?」

エルザとハッピーが答えずらいことが分かっていたヒールは答えた

「詳しいことは君達にはまだ教えられないけど彼に何者か訊くのはやめてあげてくれないかな
・・・自分が何者なのか、その"答え"を一番欲しているのはカイト自身だから」

ルーシィはヒールが何を言っているのか解らなかった
だが、その質問が彼を不愉快にしてしまっていることは解った
ただ、とヒールは続ける

「解らなかったんだから仕方ないよ
カイトもそのことは十分分かってるはず。でも、いくら分かっていても全ての感情を殺すことなんて
人間にはできないよ
どうかカイトを嫌いにならないでほしい」

ヒールは頭を下げる
ルーシィは

「うん!」

元気に答えた



時は少し遡りルーシィの目の前から消えたカイトとメイル


「こんな風に一緒に飛ぶのも三年ぶりだね、カイト!」

本当に楽しそうに話し掛ける

「ああ、そうだな」

一見不愛想に聞こえるがその顔は笑っている

「三年ぶりなんだからもっとゆっくり会って話がしたかったな
何より休みたい」

メイルは絶賛苦笑い中だ
自分のせいで休む機会を潰してしまった事に対する申し訳なさと自分達の為に疲れた体で駆けつけてくれたことへの感謝をどう口にしていいか解らずカイトの首に回した己の腕に力を籠めた

「どうした?」

苦しくはなかったが突然の事にさすがのカイトも驚く

「ううん、何でもない」

メイルは答える

「カイト・・大好き」

その誰にも聞かれていないと思っていたメイルの呟きはカイトの耳にしっかり届いた
そして、本当に小さな声でカイトも呟く

「・・・俺もだよ」


これは自分が何者なのか探す魔導士(カイト)と彼を支えたいと思う魔導士(メイル)の物語・・・ 
 

 
後書き
雪が降りました!
交通機関が一部麻痺しているようですが徒歩の私には関係ありません!


さて、今回カイトが求める答えの問が明らかになりました
オチは大体考えていますが、まだ纏まりません。彼がマカロフを呼び捨てにするのには理由があります
そして、今作のメインヒロインである、メイル!
彼女にもある秘密があります。
過去話①ではカイトとメイルの出会いを書いてみたいものです


追記2015年3月7日手直し

最後の奴はハッチャケました。許してください
 
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