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鉄槌と清風

作者:deburu
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46:1on1 2on2

 機動六課制正式稼働から数日、時間が空いたのでヴィータと一緒に訓練の見学に出てきた。
 見ると丁度一息ついた所なのか、新人4人となのはが座って休憩している所だった。

 「おす、どうだ調子は?」

 「あ、よしくん、うん悪くないよ」

 「なのは、よしくんは止めろって、何度言わすんだせめて、仕事中だけでもだな」

 何時もの呼び方に苦笑していると

 「あの、なのはさんと八坂三尉って?」

 「幼馴染だよ、実家が隣同士なの、同級生だしね」

 スバルの言葉に、いっせいに良彦を見る新人4人、そして

 「「「「ええーー!!」」」」

 「息のあった叫びだな、お前ら」

 「全く、それにまだ体力が余ってるらしいな」

 4人の驚きに、ヴィータ、良彦が答え。

 「八坂三尉って、僕と同じ位の年齢じゃないんですか?」

 「てか、どうみても小学生ですけど」

 「私もあまり変わらない年齢かと…」

 「ありえない、どうしたらそんな」

 エリオ、スバル、キャロ、ティアナが呟きや問いを発する。

 「これでも今年19だ、色々事情があってな、そういうもんだって納得しとけ」

 「よしk…良彦三尉が同じ年齢なのは本当だよ、今度昔の写真見せてあげる」

 「あ、なのはそれあたしにも見せろよ、こいつ見せてくれねーんだよ」

 「良いよ、ヴィータちゃん」

 と、まぁ、軽い会話をした後で、良彦が本題を切り出す。

 「そだ、なのは一寸スバルとエリオ、この二人と1対1で模擬戦軽くしてーんだけど、少し平気か?」

 「ん…そうだなぁ、二人ともいける?」

 「はい、大丈夫です!」

 「僕もいけます」

 良彦となのはの問いに、立ち上がりながら答えるスバル、エリオ。
 それを聞いて、楽しそうに微笑む良彦、訓練場の一角で、二人と対峙する。

 「そんじゃ、スバルからな…ヴィータ、なのは審判頼む」

 「おう、任せとけ」

 「うん、判ったよ」

 「おねがいします、八坂三尉」

 「あー、名前で呼んでくれ、スバルだけじゃなくて皆な、苗字はあんまりなれてないんだ」

 「はい、良彦三尉」

 「おし、んじゃいくか、ゼピュロス」

 『了解、セットアップ』

 青い光りに包まれ、青のジャケットにズボン、両腕は無骨なガントレットに包まれる。

 「良彦三尉って、ベルカ式、しかも無手なんですか…魔力光も私と近いし」

 「ん、まぁそうだな、魔力光は偶然だろうけど…無手だぞ、ほれこい」

 お互いに構え、向かい合い…弾ける。

 「はい、行きます…せやぁぁぁっ!」

 ローラーブーツを軋らせ疾走し、右手のリボルバーナックルで殴りかかるスバル。
 それをあえて一歩踏み込み、低い姿勢で『捌き』懐へ入りこみ、腕を取ろうとする、が…スバルは一足早く、バックステップで後退。

 「反応も悪くないな、全力できて良いぞ」

 「はい、なら…ウィングロード!」

 右拳…リボルバーナックル…で地面を叩く、ベルカ式魔法陣から延びる青い道が縦横無尽に広がって良彦を取り囲む、その道を疾走し、時に拳を、足を振り下ろすスバル。
 が、それぞれを『弾き』でそらし、『捌き』で避ける…時間と共にスバルには焦りが生まれ、大振りになる攻撃。

 「はぁ、それなら…」

 強い攻撃を良彦が『弾く』、一瞬生まれる隙…あえて良彦が作っているのだが…に、左拳に作った魔力塊を突き出してくる。

 「ディバイーン…」

 「甘い…其処は俺の距離だ」

 押し付けた魔力塊から、一気に魔力が削られていく、それに驚いた瞬間

 「で、驚いてる暇は無い、っと」

 伸ばしていた左手を掴まれ、くいッと軽く引かれる、それに抵抗しようと身体を起こせば…その瞬間足が払われ後ろへと身体が投げ出される。
 受身を取ろうと腕を伸ばし、地面につけ、良彦を確認しようとした所で、喉に小さな掌が押し当てられ、動きを抑えられる。

 「そこまでだ、試合終了」

 「良彦三尉の勝ち、だね」

 言葉と共に、引かれる掌、疲れた様子も見せず良彦はスバルを引き起こす。

 「動きの早さ、攻撃の重さ、反応どれも問題ないんだが、動きと攻撃が真っ直ぐ過ぎる、虚実混ぜないと正面からの戦いじゃ辛いぞ」

 「はぁ…あの、今の最後一体?」

 「俺の希少技能の効果かな、後でちゃんと説明してやる…次エリオ、こい」

 「は、はい、よろしくお願いします、良彦さん」

 スバルは不思議そうな顔をしながらなのは達の方へ歩いていき、エリオがストラーダを構える。

 「いつでも、良いぞ」

 「はい、いくよ、ストラーダ!」

 『了解』

 ストラーダの噴射口から勢い良く噴射炎を上げて、エリオが突撃、身体を捻りながら一閃を放つ。
 距離とストラーダの長さ、エリオの腕の長さを見て、一歩後退し、先端を避ける。

 振りぬいたストラーダをそのまま遠心力でまわし、エリオが追撃、先ほどよりも鋭さが増している。
 其処へ、踏み込みながらストラーダを上へ『弾く』、ストラーダに身体を持っていかれるエリオの腕を掴み、身体を捻りながら懐に潜り込んで、足を跳ね上げれば…一本背負いだ。

 地面に叩きつけられるエリオ、一瞬動きが止まった所で、首の横に良彦の足が、ダンッと震脚。

 「そこまで、ストップだ」

 「これも良彦三尉の勝ち、ね」

 「大丈夫か、エリオ?」

 引き起こしたエリオの背中、埃を払う。

 「あ、はい…一瞬で良く判りませんでしたけど、大丈夫です」

 「はい、エリオ君これ」

 キャロがエリオにタオルとスポーツドリンクを差し出している。

 「さて、エリオは速度はいう事ない、ストラーダに振り回されぎみなのと、やっぱ攻撃が真っ直ぐ過ぎるな」

 そういって、ヴィータが差し出したスポーツドリンクをあおり。

 「で、質問はあるか?」

 と、問いかければ

 「はい、良いですか良彦三尉」

 「ティアナか、なんだ?」

 「スバルもエリオも攻撃するとき、一瞬動きが鈍くなった気がするんです、それとスバルのバスターを消したのって?」

 「どっちもさっき言った希少技能の効果だな…いいか」

 と、『凪』に関する説明を新人にし始める、色々な意味で驚く4人、ヴィータとなのはも改めて聞けば、魔法制御の精度にはやはり驚かされる。
 一通り話した後、4人の反応はといえば

 「要するに、一種のAMFって事ですよね、自分の魔法は通す」

 「しかも、ある程度の距離でこっちの動きを鈍らせる」

 「それで、振り抜いたとき違和感があったんだ」

 「えと、それ…どうにか破れるんですか?」

 ティアナ、スバル、エリオ、キャロはこんな感じで、キャロの問いに。

 「俺的に一番相性が悪いのは、此処だとなのはとティアナだな…遠距離から大型砲撃食らえば落ちるぞ」

 「近距離だと、どうしたら?」

 「反応しても動ききれない速度か、威力、どっちかがあればあっさりだな、実際…シグナムとシスターには負け越してる」

 エリオの問いに答え遠い目をする。

 「そうだな、折角だからもう一戦だけいいか今度は2対2、スバル、エリオ対俺とヴィータ…目的としては、コンビネーションの有用性を知ってもらうって事になる」

 「んなの、こいつらもわかってるだろ流石に」

 「頭で判るのと実際体験すんのじゃ別だろ」

 「つか、二人は…やる気満々らしいな」

 「「はいっ」」

 スバルとエリオは既に立ち上がり、準備している。

 「ほれ今日の夜ヴィータの好きなもん、作ってやッから早く準備しろ」

 「うっせ、わーったよ、アイゼン…夜は、ステーキだかんな、良彦」

 『了解、セットアップ』

 「あいあい、ほれいくぞ」

 青の騎士甲冑の良彦、赤の騎士甲冑のヴィータが並び、スバルとエリオもデバイスを構える。

 「それじゃ、はじめっ」

 なのはの掛け声に、4人が動く。

 スバルはウィングロードを展開し、ヴィータへと向かう。
 エリオは噴射による突進はせず、掛けて良彦へ。

 「なるほど、疾走中に消されるとまずいって考えかな」

 ある程度小刻みにストラーダを突き出すエリオ、その突きを『弾き』『捌く』、金属同士が擦れる音が何度も響く。

 スバルのリボルバーナックルをヴィータはアイゼンの柄の部分で器用に受け流している、蹴りはかわし、時には飛び退る事もある。

 「でも、これじゃ1対1が2組だよな、だから…ヴィータ」

 「あいよっ、いつでも」

 掛け声と共に、ヴィータが反撃へ、アイゼンでスバルの疾走してくる所を殴る、シールドで受け止め一瞬動きが止まる。

 エリオの突きをスバルの方向へ『弾き』、柄を掴んで体勢を崩させ…ストラーダごと、背負い投げ、エリオに風を纏わせて吹き飛ばす。
 その先は、動きの止まっていたスバルの背中、ドンッという音と共に、二人の体勢が崩れる。

 「こいつで…」

 「…しまいだ」

 赤と青のロープ型バインドが、スバルとエリオを纏めて縛り上げる、それを確認し。

 「はい、そこまでー、お疲れ様、スバル、エリオ」

 なのはがストップを掛けて、終了。
 バインドが解かれ、地面に投げ出される二人。

 「どうだった?」

 「えっと…あの動きって相談とかしたんですか?」

 「してねーぞ、念話もな」

 「じゃぁ、なんであんな動きを?」

 「まぁ、相手に対する信頼と信用かな」

 良彦の問いにエリオが疑問をあげ、ヴィータが答えそれに更にスバルが、と続く。

 「お互いの動きを良く知るからできるって事ですか?」

 ティアナが問いかける。

 「そういう事だ、さっきだってティアナとスバルなら俺らももっと苦戦したと思うぞ?」

 「お互いを知れば、動きが見える、そうすりゃ自分がどうすれば他の人がどうするかわかる、あたしが前居た小隊はそんな感じだったな」

 「それじゃ、お互いちゃんと話し合ったり、一緒に訓練を繰り返せばいいんですか?」

 「ま、そういう事だ、今は簡単にあしらわれてももっとちゃんとコンビネーションを覚えれば、てこずるだろうしな」

 キャロの問いに答え、ぽんと頭をなでてやる。

 「まぁ、個人戦がしたいなら言ってくれりゃ、俺は時間ある限り受けるからな、後体裁きとかなら相談に乗れる」

 「あたしの方は、個人の指導までは無しな、隊長が掛かりっきりな分書類多いんだよ」

 「えへへ、ありがとうね、ヴィータちゃん」

 良彦、ヴィータがそういってなのはが微笑む。

 「それじゃ、休憩中悪かったな、訓練頑張れよ」

 「んじゃな、夜にでもアイス食わせてやから楽しみにしとけ」

 新人4人にそういって、青と赤のちっちゃい三尉二人は歩き去って行く。
 新人達は先ほど言われたことを実践するかのようにお互い会話を始め、なのははそれを優しく眺めていた。
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今のスバルとエリオだと、こんな感じになると思います。
良彦とヴィータは基本阿吽状態なので、次の動きが大体わかってます、またヴィータは『弾き』をアイゼンでの受け流しに応用しています。

次回はファーストアラート辺り、初出動の話しになると思います。
 
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