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Element Magic Trinity

作者:緋色の空
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弾幕剣舞


マグノリア、カルディア大聖堂。

「エルザ復活にミストガンとシュラン参戦か・・・俺を含めて妖精の尻尾(フェアリーテイル)トップ3が揃った訳だ」

映し出された情報を見て、ラクサスは口角を上げる。

「やはり祭りはこうでなきゃな」








ゴスロリとメイド服が走る。
明らかにコスプレにしか見えない服装をしたエルザとシュランがラクサスと雷神衆を探して走る。

「エルザちゃん、そんな格好でどうしたんだい?」
「それにアンタんトコの若いのがそこらじゅうで喧嘩やってて迷惑してるんよ」

すると、老夫婦に声を掛けられた。

「すみません。大パレード(ファンタジア)の準備なんです」
「随分変わった準備だねぇ」
「楽しみにしててください」
「もちろんだともー」
「喧嘩もほどほどにねー」

老夫婦と別れ、2人は更に走っていく。
人通りの少ない通りを走っていると―――――――

「頭上注意ですわ!」
「!」

突然シュランが叫ぶ。
その声に反応して上を向くと、上空から何本もの槍が降ってきた。
宙で一回転して避け、着地し、槍が降ってきた方を見る。
扇子が揺れた。

「何でアンタが石から元に戻ってる訳?まあいいんだけど。いたぶる楽しみが増えるから」
「エバーグリーン」
「この方は石化の・・・」

とあるレストランの屋根の上、ミス・フェアリーテイルコンテストに参加していた女魔導士達を石化したエバーグリーンがいた。

「ホントムカツク。何が妖精女王(ティターニア)よ。私が世界で1番・・・妖精なの!」

見下すようにエバーグリーンはそう言うと、くるっと宙返りする。
背中に身につけた妖精の羽からふわっと粉が舞った。

「粉?」

エルザが首を傾げた瞬間―――――

「妖精爆弾グレムリン!」

粉が一気に大爆発を起こした。
爆煙の中からすぐさまエルザとシュランが飛び出してくる。
エルザはその手に剣を2本掴み、シュランはその右手に魔法陣を展開させた。

「!」

スパァッ、と。
エバーグリーンの背後にあった煙突が斬れた。
更に蛇模様が巻き付き、粉々に砕け散る。

「さすがはエルザね。新入りのアンタもなかなかやるじゃない」
「まさかお前の方から現れるとはな」
「貴女を倒せば皆様を元に戻せるのです」
「出来るかしら?」

そう言って、エバーグリーンはくいっと眼鏡を上げる。

「効かん!」
「!」

それに対し、エルザは左目を閉じ義眼の右目だけを開く。
エバーグリーンは目を見開いた。

「なるほど・・・義眼だとは知らなかったわ」

が、エバーグリーンの目は次の標的へと向かう。

「だったらアンタを石にしてやる!」
「不可!」

石化眼(ストーンアイズ)は真っ直ぐにシュランを見つめる。
・・・が、いつまで経ってもシュランは石化しない。

「くっ」

その隙にエルザが剣を振るうが、エバーグリーンはそれをギリギリで避ける。

「アンタ・・・何で石化眼(ストーンアイズ)が・・・」
「簡単な事ですわ。私は先ほど目隠の蛇(アイシャットスネーク)を巻きつけてきましたから。目から受ける魔法は効きませんよ」

そう言うシュランの右手首には、ブレスレットの様に黒い蛇模様が巻き付いていた。

「そう・・・だったらこういう魔法で」

たん、と短く地面を跳ね、腕をクロスさせる。
その手からキラキラと光が舞い――――――――

「妖精機銃レブラホーン!」

腕を広げたと同時に、無数の針を放った。

「!」
「あら」

咄嗟に針を避けるエルザとシュラン。
そしてそのままエバーグリーンを追っていく。

「この無数の針・・・かわしきれるかしら?」

その言葉と同時に針が増え、全てを避ける事が困難になってくる。
前へ進む為にエルザは剣を振るい、針を弾き返していった。

氷河の蛇(コールドスネーク)!」

その斜め後ろを走るシュランは腕や脚、首などの身体全体に淡い水色の蛇模様を巻き、自分に当たる針を全て氷漬けにしていく。

「そぉれっ」

妖精の羽を広げ、エルザの一撃を避けるエバーグリーン。

「待てっ!」
「逃がしませんよ!」

それを見たエルザは屋根を伝ってそれを追い、シュランは髪の束2つを蛇へと変えて近くの柱へ巻き付け追った。
針が突き刺さった跡だけが残る。

「速いですね、あの方は・・・ですが、私が戦ったあの閃光には遠く及ばない」

小さく呟き、シュランは針を凍らせていく。
飛びながら針を放つエバーグリーンとそのエバーグリーンを追いながら剣を振るうエルザと、体中の蛇模様を駆使して針を凍らせるシュラン。
しかし、両者の距離はなかなか縮まらない。
片方は攻撃しながら飛び、もう片方は防ぎながら追う・・・距離が縮まらないのも当然といえば当然の事だ。

「この数の針を防ぎきってるとはね。やるじゃない」

後ろで剣を振るい、針を凍らせながら自分を追ってくる2人を見てエバーグリーンが呟く。

「でも、『倍』ならどうかしら?」

そう言ったと同時に、エバーグリーンから放たれる針が一気に倍に増える。

「くっ!」
「増えた!?」

突然の事に驚きながらも何とかそれを避ける2人。

「う・・・あっ・・・」
「っ・・・くあっ・・・」

だが、その数はかなりのもの。
次第に防げなくなり、エルザのゴスロリの広がった裾や二ーハイソックス、シュランのメイド服のふんわりとした袖やスカートに針が掠りはじめる。

「あはははっ!今日から妖精女王(ティターニア)の名は私のもの!私こそが妖精!」

自分の勝利を確信したエバーグリーンは高笑いを上げる。

「シュラン!どうにか―――――――」
「かしこまりました」
「は?」

エルザが横にいるシュランに声を掛けると、一瞬でシュランが小さく呟く。
その素早さにエルザは驚愕する。
シュランは何故か足を止め、右手に魔法陣を展開させると―――――――



常夜の蛇(ダークスネーク)



魔法陣を、エバーグリーンに向けた。
そこから紫を帯びた黒い蛇が放たれ――――――――

「対象・妖精機銃レブラホーン」

シュランの言葉に反応するように、針1本1本に巻き付き――――――

「攻撃法・消滅」

――――――煙のように、消えた。

「!」
「なっ!?」

一瞬の出来事にエバーグリーンは勿論、エルザも驚愕する。
そしてそのままシュランは右手を掲げた。

「対象変更・エバーグリーン」
「え?」
「攻撃法・無し。拘束、捕獲」

黒い目がきらりと光り、黒い蛇が真っ直ぐにエバーグリーンへと向かっていく。

「ひっ、いやあああっ!」

シャア!と牙を向き向かってくる蛇模様にエバーグリーンが悲鳴を上げた。
が、遠慮なく蛇模様はドレスグローブに突き刺さり、エバーグリーンを動けなくする。

「こんな感じでよろしいでしょうか、エルザ様」
「あ、ああ・・・助かった」
「お気になさらず」

恭しく頭を下げるシュラン。
エルザは両手に剣を持ったままエバーグリーンに歩み寄る。

「お前のような奴でも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の仲間である事には変わらん。妖精女王(ティターニア)と名乗りたければ名乗ればいい。元々、誰が付けたか解らん字だ」

エバーグリーンは何も言わない。
ただ、エルザを睨んでいる。

「くだらん事はやめて皆を元に戻せば、お前をキズつけたりはしない」

エルザは石化を解くよう要求する。
シュランも同意するように頷いた。
が、エバーグリーンは何故か笑みを浮かべている。

「うふふ・・・ちょっと甘いんじゃないの?私の石化眼(ストーンアイズ)にはもう1つの力があるのよ」
「もう1つ?」

シュランが怪訝そうな表情をする。

「遠隔操作」

小さく呟く。

「服を脱ぎなっ!素っ裸で私の前に跪くんだよ!さもないと、今すぐ石化してる女どもを粉々に砕いてやるよ!」

叫びながら脅迫するエバーグリーン。
シュランは至って冷静な様子でエルザを見た。

「・・・如何致しましょう。服を脱げと御命令されましても、私は敵からの命令を聞く事は滅多にしないのですわ。ガジル様が命じられるのであれば話は別ですが、ジュビア様やティア様を石へと変えたエバーグリーン様の御命令は聞くに値するでしょうか」

そう言いながら、シュランの脳裏にふととある映像が流れる。
ファントムにいた頃の抗争。姉の脚を治してほしいと頼んできたクロス。
断った瞬間、剣を辺り一面に展開されたのだ。

「・・・」

その言葉にエルザは沈黙し、ゆっくりと換装する。
着ていたゴスロリを別空間へと還しているのだ。

「エルザ様!?何を・・・」

まさかエルザが相手の脅迫に応じるとは思っていなかったシュランは目を見開く。
そしてエルザはゴスロリを脱ぎ――――――――――





「そうか。命より勝ち負けが大事というなら、それは見事」





―――――――天輪の鎧へと、換装した。
しかも、幾千もの剣を展開した状態で。

「え?」
「は?」

予想外のエルザの反応に、エバーグリーンもシュランも目を点にする。

「粉々に砕けた娘達の命は、貴様の命で浄化するとしよう」

エルザの顔が怒りに染まる。
エバーグリーンから滝のような汗が流れ始めた。

「きゃあああああっ!」

エバーグリーンの断末魔の叫びが響き、剣が一気に放たれる――――――












―――――――事はなかった。

「ハッタリはこう使うんだ」
「ま・・・参りました」

代わりにエルザの拳がエバーグリーンの顔面に深くめり込んでいた。
その様子を後ろで見ていたシュランは―――――

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の方々は、皆様剣を展開して脅すのでしょうか・・・」

何か勘違いしていた。












パリィン。
ギルドに何かが割れるような音が響いた。

「あれ?何これ」
「!?」
「一体何が・・・」
「ジュビア、どうしたのでしょう?」
「私達・・・」
「んん?」
「よく解らないけど、記憶が飛んでる・・・」
「にしても、何でこんなにギルドに人がいないの?」

石化が解けたのだ。
ルーシィ達はエルザと違い完全なる石だった為、何が起こったのは解らず呆然としている。

「おおっ!元に戻ったーーーっ!」
「ルーシィ!」
「え?何!?」

それを見たナツが歓喜の声を上げ、ハッピーが泣きながらルーシィの胸へと飛び込む。
突然の事に戸惑いながらも、ルーシィはハッピーを受け止めた。
入り口前に、新しい情報が現れる。

【エルザ&シュランVSエバーグリーン】
【勝者;エルザ&シュラン】

(よくやったエルザ、シュラン。人質は解放された。さあ、どうするラクサス)







「・・・!クソが・・・」

カルディア大聖堂。
ラクサスが怒りの表情を浮かべていた。 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
早速ですが、今回ナツと共闘するのはシュランです!最初に言います、はい。
何故か、と言いますと。
元ファントム組、特にガジルってギルドに馴染みにくかったじゃないですか。って事はそのガジルと一緒にいるシュランもそう簡単に馴染めないんじゃないかな、と。
でも、ガジルもジュビアも自分なりにギルドに馴染もうと頑張ってるんですよね。だからシュランも、と思って決めました。
・・・ただ単に、ナツとシュランの共闘って絶対この先書けないと思って書きたいだけだったりもしますが。
これはもう変えません!だって書きたいんですもの!

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