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ドリトル先生と日本のお料理

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第三幕 王子の洋館その十

「その仮面ライダーにしようかな」
「ああ、あれはいいよ」
「仮面ライダーもだね」
「もう最高だよ、日本人が考え出した最高のヒーローだよ」
 王子はこれまでよりもさらに明るい笑顔で先生にお話するのでした。
「イギリスで言うとジェームス=ボンドかシャーロック=ホームズか」
「それはかなりだね」
「絶対のヒーローなんだ」
「じゃあ今からその仮面ライダーを観るんだ」
「最初のがいいかな」
 王子は先生とお話しながら選ぶこともしました、仮面ライダーと一口にいっても色々な作品があるみたいです。
「あれでね」
「何かわからないけれど任せるよ」
 何を観るかは、というのです。
「王子にね」
「よし、じゃあ今からテレビのお部屋に行こう」
 王子は先生のお話を受けて笑顔のまま応えました。
「日本のテレビだよ」
「テレビも日本のものだね」
「日本のテレビは最近あまり売れないらしいけれど」
 それでもだというのです。
「性能は凄くいいから」
「いい映像が観られるんだね」 
「映画にも負けないよ」
 そこまで素晴らしいというのです。
「日本のテレビの画面はね」
「ううん、映画みたいとはね」
「それが日本だから、いいね」
「観させてもらうよ」
「それじゃあね」
 こうして先生は洋食をお腹一杯食べた後で王子と一緒に日本のテレビでその仮面ライダーを観ました、そしてそのことをお家に帰ってから皆にお話しました。
「いや、それもいいよ」
「日本の特撮っていうのも」
「仮面ライダーもだね」
「007にも負けていないよ」
 先生はにこにことしてその仮面ライダーのことをお話していきます。
「強くて格好よくて正義の為に戦っていてね」
「つまり正義のヒーローなんだ、仮面ライダーって」
「そうなんだね」
「そうだよ、正義のヒーローだよ」
 まさにそれだというのです。
「それが仮面ライダーなんだ」
「そして特撮のヒーローなんだ」
「日本の特撮じゃそうなんだ」
「正義のヒーローが悪い奴を倒す」
「そうなんだね」
「王子の話だと最近のヒーローは違うみたいだね」
 先生は王子から聞いたことも皆でお話しました。
「人間が戦うみたいだよ」
「正義とか悪じゃなくて」
「人間がなんだ」
「日本人はあまりはっきりとした善悪を決めないんだ」
 先生はここでこうも言いました。
「どんなものにも善と悪が一緒にあるって考えるんだ」
「えっ、じゃあ先生にもなの!?」
 チープサイドの子供のうちの一羽が先生の今の言葉を聞いて驚いた顔になってそれで先生自身に問い返しました。
「いいものと悪いものがあるんだ」
「そうだよ、僕にもね」
 実際にそうだとです、先生はその子に答えます。
「あるんだよ」
「先生みたいな人でも」
「その心の中にいいものと悪いものがあるんだよ」
「そうなんだ」
「誰でもそうだよ、人間は誰でもね」
 いいものと悪いものがあるというのです。
「不完全だからね」
「ううん、先生でもって」
「人間はね。皆もだよ」
 それは動物達もだというのです。 
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