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ドリトル先生と日本のお料理

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第二幕 八条大学その九

「そこもね」
「街もだね」
「そこもいいから。商店街もあって」
 王子はそうした場所のこともお話します。
「駅前とかね。イギリスとは全然違って」
「そういえば日本は鉄道もいいんだったね」
「凄いよ、この学園を運営している八条グループは鉄道会社も持ってるけれど」
 その鉄道会社がだというのです。
「日本全土の路線を持っていてね」
「じゃあこの神戸からもだね」
「日本の全部の都道府県に行けるんだ」
「ううん、イギリスにはそんなものはないよ」
 先生はここでも唸るのでした。
「凄い鉄道会社もあるんだね」
「日本にはね。最近日本の鉄道会社は、特にこの関西はおかしくなってる企業も多いみたいだけれど」
「八条鉄道はだね」
「大丈夫だから、サービスもいいし」
「日本のど何処にも行けて」
「料金も良心的だしね」
 王子はその鉄道のことも笑顔でお話していきます。
「旅行とか他の街に行く時はね」
「使えばいいんだね」
「そうだよ、是非ね」
 こう言うのでした。
「わかったよ、鉄道もだね」
「鉄道は元々イギリスからはじまったんだよね」
「そうだよ」
 先生はこのことについて王子に笑顔でお話しました。
「産業革命の中でね」
「そうだよ、そうなったんだよ」
「そうなんだ」
「けれど日本はそのことでもイギリスを超えたみたいだね」
 先生は唸ると共に少し寂しそうに言いました。
「どうもね」
「鉄道もって」
「今では日本の方がずっと国力も高いし経済力もあってね」
「それで鉄道もなんだ」
「そうみたいだね、少なくともイギリスが世界をリードしていた時代じゃないよ」
 今ではというのです。
「そのことは仕方ないよ」
「何かそこであれこれ言わないのがね」
「言わないのが?」
「先生らしいね。とにかく今はね」
「うん、学園を出てだね」
「街に行ってね」
 そして駅前にも行ってだというのです。
「観てみたら。何なら僕も一緒に行くけれど」
「いや、そこまで気を使ってもらうのはね」
「いいんだ」
「うん、今日は学園を案内してくれたから」
 もうそれで充分だというのです。
「これ以上お世話になったら悪いよ」
「それじゃあ」
「そう、一人で街を歩いてみるよ」
 こう言ってなのでした、先生は一人で街を歩いてみようとしました。しかしここでこれまで静かに黙っていた執事さんがこう言ってきました。
「あの、先生は街に行かれるのは」
「はじめてだよ」
「左様ですか」
「地図は持ってるけれど」
「しかしはじめて行かれる場所ですから」
 だからだとです、執事さんは先生に言うのでした。
「土地勘がありませんね」
「確かに。そのことは」
「そうですね、では」
「やっぱり僕が一緒にいた方がいいかな」
 王子は先生と執事さんのやり取りを聞いてこう言いました。
「今は」
「その方がいいかもね」
「ううん、けれどね」
「だから、先生と僕の仲じゃない」
 王子は笑顔で言います。 
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