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鉄槌と清風

作者:deburu
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27部分:26:闇の終わり、旅の終わり


26:闇の終わり、旅の終わり

 海上で黒くよどんだドーム…その周りを取り囲むように闇の柱が立ち上がる、防衛プログラム暴走の瞬間。
 よどんだ闇のドームが頂点から消えていき姿を現すのは夜天の書を闇の書と言わせた闇…それはまるで巨体を尖った岩で覆い隠し、頭であるはずの部分に夜天の守護者ににた上半身がフィギュアヘッドのように生えている。
 回りには、陸上で出てきた触手や、蛇のような体をし、顔にレンズ状の器官を持ったモノが複数飛び出している…恐らくは蒐集された生物達の特徴なのだろう。

 「まずは、4層のバリアを貫く!」

 「ヴィータ、なのは、頼む」

 クロノが作戦開始の合図を叫び、良彦が馴染みの二人へ声を掛ける。

 「そのまえに、ストラグルバインド!」

 「邪魔なのをとめないとね、チェーンバインド!」

 「縛れ鋼の軛…づぉぁぁぁぁぁっ!」

 触手を縛り断ち切り、蛇体を なぎ払う、できるのは一瞬に空白。
 良彦の声に顔を見合わせ、お互いに一呼吸いれる、ヴィータとなのは。

 「ちゃんとあわせろよ、高町なのは」

 「ヴィータちゃんもね」

 まず構えるのは、ヴィータ

 「鉄槌の騎士ヴィータと鉄の伯爵グラーフアイゼン!」

 『了解…ギガントフォルム』

 カートリッジ排出と共に、アイゼンの姿が変わる、先端に付くのは巨大な打撃部位。

 「轟天爆砕…ギガント・シュラークッ!」

 振り上げられるアイゼンは更に巨大に長大になり、その大きさは遠近感が狂うほどで…それを闇の書の闇…既に魔獣か…に振り下ろせば、一層目の物理バリアがガラスのように砕け散る。
 それをみたなのはが、レインジングハートをくるっと構え。

 「高町なのはとレイジングハートエクセリオン…いきます!」

 『ロードカートリッジ』

 「エクセリオーン…」

 『バレルショット』

 「バスター………フォースバースト!」

 無色の衝撃がバリアに打ち付けらる、それを追うように桃色の砲撃…4本の少し湾曲した砲撃がバリアへ着弾し、全てを束ねるように一本の直射砲へと姿を変え…二層目を砕く。
 次の指示をだすのは、守護騎士の参謀…シャマル。

 「シグナム、テスタロッサさん…次」

 その声を受け、静かに佇むシグナム。

 「刃と連結刃に続くもう一つの姿…レヴァンティン!」

 『了解…ボーゲンフェルム』

 長弓と化したレヴァンティンが、上下にできた排出口から、カートリッジを二発吐き出す。
 魔力でできた弦に指をかけ、静かに引き絞り…手の中に現れた矢に紫の魔力光が宿る。

 「駆けよ隼!」

 『シュトゥルムファルケン』

 放たれた矢は一筋の光りとなり、三層目に直撃、これを破壊する。
 その様をみたフェイトは、ザンバーフォームのバルディッシュをくるっと円を書くように振るう…金色のミッド式魔法陣がうかび、周りに小さな電撃が走る…バルディッシュを担ぐように構え。

 「撃ちぬけ、雷神!」

 『ジェットザンバー』

 長く、長く伸びた金色の巨剣が、四層目を切り裂き、本体である魔獣の巨体すら傷つける。
 もだえ叫ぶ巨体、再び伸び魔力光を先端に集める蛇体。

 【ア、ァァァァッ!】

 「盾の守護獣、ザフィーラ…攻撃なんぞうたせん…でやぁぁぁぁあっ!」

 叫ぶザフィーラ、海中から伸びた蛇体の下から白の魔力光でできた軛が、蛇体を刺し貫く。
 そこで出来た隙に追撃…はやてが、杖…剣十字、シュベルトクロイツを左手で掲げ、右手には夜天の書を持つ…唱えるは石化の呪文。

 「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!」

 はやての足元に白いベルカ式魔法陣が展開、あたりは逆に暗くなるなか、周りに6個の白いスフィアが発生し、そこから一本ずつ槍のように魔力砲撃が飛び出し、剣十字からも追加され、計7本。
 それが、巨体に刺さり…刺さった場所から生物部分を石化、灰色に染めていき…次の瞬間、崩れ落ちるフィギュアヘッド、だが内側からまるで恐竜のような頭や蛸の様な足が現れ、グロテスクになって行く。

 「うわぁ、なんか大変な事に」

 『再生速度が速すぎて、あんまりきいてないよ!』

 それに顔を顰めるシャマル、バイタルから様子を見ていたエイミィからの報告。

 「それでもダメージは通ってる、続行だ…デュランダル!」

 『オケーイ・ボス』

 氷結の杖デュランダルを掲げ、唱えるクロノ。

 「悠久なる凍土 凍てつく棺のうちにて 永遠の眠りを与えよ 凍てつけ!」

 『エターナルコフィン』

 唱えるそばから海が凍っていき、デュランダルの発動音で、魔獣全体が凍りつく…それでもなお再生し暴れる魔獣。
 皆より少し上空、風の強い場所で、両腕を掲げる良彦。

 「ゼピュロス…フルドライブ!」

 『了解…カートリッジオールロード』

 4発のカートリッジ全てを同時ロード…唱えるのは、清風に許された一つだけの対軍魔法。

 「風よ集え、我が手中で踊り走れ、我が眼前にある全ての物を打ち砕け!」

 『魔力及び風圧圧縮…圧縮…圧縮……目標との間に経路確保、目標周辺に真空結界』

 呪文の後出来上がるのは、両腕の間にある発光円盤…放たれるのは、破壊の力、極限まで圧縮した魔力と風が混ざり出来上がる…高電離気体。
 魔獣までの間に周りを真空で遮断した経路が作られ、効果範囲を狭める為に目標付近に境界を真空で作った結界を張る。

 「くらい…やがれっ!」

 『大神(おおかみ)の槌』

 良彦の腕の間…発光円盤…から打ち出された青いプラズマは作られた道を直進し、魔獣へと撃ちつけられ、そこで爆発…真っ青に光り、破壊を撒き散らす…だが、それでも表面から何割かを削った程度。
 それでも再生のために動きは止まる。

 「(いまだ、なのは、フェイト、はやて!)」

 上空から念話と同時に叫ぶ…そして三人が構える。

 「全力全開…スターライトー」

 何発ものカートリッジをロードし、桃色の光りがレイジングハートの前方で膨らみ、その周りを帯状魔法陣がくるくると回る。

 「雷光一閃…プラズマザンバー」

 こちらもカートリッジをフルロードし、金の光りと電撃がバルディッシュを覆う。

 「ごめんな、かんにんな」

 闇の書の闇をみて、悲しそうに呟き目を一瞬閉じるはやて、次の瞬間覚悟を決めた表情で紡ぐ

 「響け、終焉の笛…ラグナロク」

 足元にミッド式の、手前にはベルカ式の魔法陣が浮かび、ベルカ式の三角の頂点それぞれに光りが宿る。
 響くのは闇の書の闇を、撃ち砕く…三重奏。

 「「「ブレイカー!」」」

 桃色、金色、白色の魔力砲撃…飽和砲撃レベルの攻撃が闇の書の闇へと三方から放たれ…真っ白に辺りを染める。
 そんな中、クラールヴィントで出来た円形の空間…旅の鏡…から、コアを補足するシャマル。

 「捕まえ、たっ!」

 同時に

 「長距離転送!」

 「目標軌道上!」

 ユーノ、アルフが転送呪文を開始。

 「「「いっけー!」」」

 3人の魔法が、コアを軌道上へと転送させていく。



 アースラでは、アルカンシェルの発射シークエンスをすでにおえ、既に準備は万全。

 「防衛プログラムのコア、来ます…でも、凄い勢いで再生しています」

 エイミィの声が響く

 「コア、アルカンシェルの射程距離にでます!」

 男性乗組員の声が響き

 「アルカンシェル発射後、直ちに安全距離まで退避します」

 「「「了解」」」

 「アルカンシェル…発射」

 リンディの指示にクルーが答え、アルカンシェルの発射スイッチ…リンディの前に浮かぶ6面体、そこに差し込まれた鍵を捻る。
 アースラの前方に凹面魔力圧縮空間が展開、本体から伸びる二本のアームの間から放たれる魔力を集中し、撃ちだす。

 アルカンシェルの砲撃がコアに直撃…空間内の全てを破壊しながら、コアも消し飛ばしていく………全ての音が一瞬消え。

 「アルカンシェルの直撃を確認……再生反応…ありません!」

 エイミィの報告がとどくと、クルー全員の安堵の溜息が響く。

 「警戒レベルを準一級に引き下げ、もう暫く反応空間の様子を見ます」

 リンディがそう告げて、艦長席に座り込む。



 『と、いうわけで現場の皆おつかれさまー、一応観測は続けるけど、とりあえずは、って事で』

 エイミィからの連絡に、集まって上空を見つめていた皆も安堵の息を吐き出す。

 「だー、つかれた、もう今日は休みてぇ」

 珍しくそんなことを言う良彦。

 「は、んなこといって、戻ったらランニングとか行くんだろ?」

 突っ込むヴィータ。

 「いやいや、今日は朝と夕方はしったからな…あぁ、でも約束どおりケーキとってこねーとな」

 「よしくん、歩いていいんだよ」

 「うん、私もそう思う」

 「まてまて、走ると思われたのかおれ、お前ら人を何だと」

 「修行マニア」(全員一致)

 なのはとフェイト、そして全員の言葉にがっくりとうなだれる良彦、響く笑い…そんななかではやて一人がゆっくりと力が抜けたように崩れ落ち、シグナムに支えられる。
 重なる皆の声、はやてを呼び、心配する言葉…その言葉が静かになった空に何度も響いていた。
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闇の書の闇との決戦、基本は大体本来どおりです。
良彦の使った魔法は、と禁の一方●行と、気象●霊記の主役が使った技に影響されたものです、魔力も3人娘と比べ少なく、カートリッジ全部でようやく可能、普通の魔導師か騎士ならまだしも、上位には防御される程度でしかありません、ただ結界を張らなければ範囲はもっと広く、結界分の魔力も威力に回せるのでもう少し威力は上がるはず…総合威力はニアS程度と想定しています。

次回は、リインフォースとの会話と分解、自分なりの救済辺りの話になると思います。
 
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