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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―

作者:鳩麦
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第二章
  十七話 傷跡

 
前書き
年が開ける前に十七話 

 
「やれやれ、一度やった相手とやるって言うのも味気なくねぇ?此処は組み合わせシャッフルしたかったとこだよな」
「……ふっ!」
「っと!」
開口一番軽口をたたいたライノに、アインハルトは問答無用で殴りかかる。が……ライノは其れをハルバードの柄で受け止めると、笑いながら言った。

「おいおい、行き成りかよ?」
「先程敗北している身ですから」
「はは。違い、ないっ!」
弾き返さんとばかりに強めにハルバードを押し切るライノに対して、アインハルトは寸前でバックステップ。一瞬だけ距離を取ると、押し切った勢いを反らされ隙が出来たライノに一気に突っ込む。

「やべっ」
「はぁっ!」
打ち込んできた右拳を、ライノは右腕でガードする。
が、流石に専門の格闘家であるアインハルトの破壊力を殺し切る事は出来ず、ダメージが抜けた

ライノDAMAGE170 LIFE1040

「流石にさっきほど様子見の加減も無いな!近接なら手加減してくれても良いと思うんだが、なっ!」
[Photon Lancer]
「っ!?くっ!」
喋りながら自身の周囲に展開したスフィアから、一斉に光の槍がアインハルトの居る位置。ライノの目の前に向けて放たれ、アインハルトはそれをすんでのところでバックステップで避ける。

「ウォーロック!」
[Yes Sir]
ライノが怒鳴ると同時。新たにスフィアから生成された光の槍がアインハルトを追撃するように発射され、彼女は更にそれを避ける。
射撃魔法に対する彼女の対応は、旋衝破による反射(リフレクト)が常套手段となっているが、あの技には行う際に掌に魔力を貯めるために少しばかりの溜めが居る。
即ち、近接に置ける高速の格闘戦に射撃を割り込まされると、旋衝破での反撃は困難になってしまう訳である。より極めて行けばまた高速戦に置いても切り返しは可能なのだが、彼女の技はまだその域まで到達して居なかった。
拳での迎撃も考えたが、この距離でライノの高速連射型射撃を捌くのはリスクが大きいし、何より彼の射撃は“触れるだけ”で次にどんな技に繋げられるか分からない。ふれるなら前提として彼との間に自分の魔力を挟み込まなければ駄目だ。

『ライノさんの魔力に触れることはせずに勝つ方法……』
次々に飛んでくる魔力弾を回避しつつも行っていた、彼女の“溜め”が、ようやく終わった。

「はぁぁっ!」
「っ!」
左足でブレーキを掛けて制止しつつ、アインハルトの右手が飛来した魔力弾を受け止める。
相手の魔力を拡散させることなく受け止めたその右手は、そのまま大きく円を描き……

「旋衝破!」
[Protection]
「っと!」
射撃を“投げ返す”。すんでのところで展開された防御魔法が、その弾丸をとめる。
ニッと笑って、ライノは言った。

「流石。避けながらでも対応はしてたか。けど、残念……」
「!」
と、不意に、ライノの魔力がある一点に収束を始めた。

「こっちも、“準備完了”だ」
しかし収束点はライノではない。ライノから少し離れた場所の……地面。
ブン!と一度大きく振ったウォーロックの石突きを、ライノは地面へと叩き付けた。

「行くぜ……?創生起動(クリエイション)……!」
「なっ!?」

――――

試合を観戦しているメンバー達が集まる丘の上では、リオとコロナが驚きの声をあげていた。

「え?えぇぇ!?あ、あれって……!」
「う、うん。私と同じ……」
驚いた様子のリオと、戸惑ったようなコロナの脇で、メガーヌが微笑みながら言った。

「ふふふ……実はあれね。ライノ君の常套手段の一つでもあるのよ?」
「「えぇーーーッ!?」」

────

「来たれ、破壊の巨神、創主ライノスティード、魔導器ウォーロックの名のもとに……」
「……!っ!!」
収束した魔力が、地面をひび割れさせ、地鳴りを起こす。尋常ではないその様子に、アインハルトは咄嗟に距離を詰めようと掛け込むが……いかにも遅かった。

「粉砕せよ!ティターン!!!」
「!?くぅっ……!」
突如アインハルトの目の前で跳ね上がった大量の岩石が、彼女を後方へと弾き飛ばす。
まるで生き物のように伸びあがったその岩達は、みるみる内に形を変えると、巨大な人型を形作る。
そうして地面の揺れが収まった時、其処にはコロナのゴライアスよりもふたまわり近く大きな岩の巨人が屹立していた。

「これは……!」
「さてさて、そんじゃ磁力の次は此奴が相手だ。行くぜ!」
ライノの言葉を合図とするように、ティターンと呼ばれたその巨神が両腕を振りあげた。その腕の先には……

戦槌(メイス)!?」
両手に握られた、片手用(無論、ゴーレムにとってのである)メイスが其々の腕に一本ずつ。さしずめのデュアルメイスと言ったところか。

「砕けろぉ!」
「くっ!」
右手を使って振り下ろされたメイスをアインハルトは彼女から見て右に飛んで避ける。幸い少々アインハルト自身から左にずれて振り下ろされたメイスはあっさりと避けられた。が……

「悪手だ!」
「!(しまっ……!)」
そのタイミングを逃さず、もう一方のメイスガ振り下ろされる。右へ避けやすいように振り下ろされたのはブラフ。本命は此方だ。しかしゴーレムの創成に圧倒され、判断力御鈍ったアインハルトがそう気が付いた時にはもう遅い。ステップ後の回避が間に合わず、アインハルトは咄嗟に両手で受けの構え。が……

「……!(重いッ……!)」
受けきれずに一瞬でガードが崩壊。メイスと共に地面にたたきつけられる。

アインハルト DAMAGE1120 LIFE 180

「ぐ……はぁ……はぁ……」
凄まじい破壊力を持ったその一撃を受けながらも、アインハルトは何とか立ち上がる。此処で倒れていては、間違いなく追撃を掛けられるからだ。しかし……

「よく耐えた」
「っ!?」
突然、顔面を何かが塞ぎ、視界が真っ黒に染まる。ライノに頭を掴まれたのだと理解した次の瞬間には……

「沈めっ!」
「…………!!」
一瞬の浮遊感と共に後頭部からの衝撃が走り、彼女は気絶した。

アインハルト DAMAGE180 LIFE0

「ふぅ……今回も、俺の勝ちだな」
気絶し、元の姿へと戻ったアインハルトを見ながらニッと笑って、ライノは言った。

────

さて、再び時は少し巻き戻り、此方はヴィヴィオとクラナだ。
構えを取ったまま、二人は静かに向き合っていた。

「…………」
『凄い……』
接敵してから全く話していないが、既に彼が戦闘態勢に入っている事は分かっていた。彼から伝わる気迫が、彼女の肌をジリジリと焼いて居たからだ。
以前クラナとは練習に付き合ってもらった時に十分すぎる程拳を向かい合わせたと思っていた、しかしここにきて、ヴィヴィオはその認識が誤りであったことを悟らざるを得なくなる。
模擬戦であるとはいえ、今から本気で拳を交える相手。練習のコーチでは無く、一人の格闘家として向き合った兄から伝わる気迫は、あの時とは格が違っていた。

「……っ」
ゴクリ、と一度唾を飲み込んで、ヴィヴィオはしっかりと拳を握り直す。力の差は闘う前から自覚できる程に歴然だったが、だからと言って素直にやられるつもりなど毛頭ないのだ。

「ふーっ」
緊張した息を、少し整える。
正面に立つクラナの構えに、目立った隙は無い。打ち込んで切り崩していくしかないだろう。ならば……

「(先手から、攻めに行く!)はっ!」
「!」
ズシャッ!と言う砂のすれる音とともに打ち出されたヴィヴィオの身体が、一気にクラナへと肉薄する。突き出された右拳打を、クラナは正確に右手の甲で自身の右側へと逸らし、そのまま突っ込んで来るヴィヴィオの顔面を撃ちおろすように拳を撃ちこむ。

「くぅっ……!」
「ふっ……!」

ヴィヴィオ DAMAGE 540 LIFE 1260

狙い澄ましたような顔面へと拳がヒットし、怯んだヴィヴィオに向けて更にクラナは追撃を掛ける。

「っ~~!?」
左フック、右ジャブの三連撃から顔面狙ってのストレート、左アッパー、右ボディ、左ジャブ二連からの右のブロウ。
次から次へと繰り出される拳撃の乱打に、ヴィヴィオは必死に後方に下がりながらそれらをガードし続ける。

ヴィヴィオ DAMAGE 180 LIFE 1080

「く……うぅ……!」
拳に途切れが無い。
クラナの魔法、加速魔法は、魔導師が、人間としての限界を超える事の出来る手段の一つになる魔法と一つだと、以前ノーヴェが言っていた事を、ヴィヴィオは思い出した。
実際に打ち合って見て、その意味が良く分かる。目の前に居る兄の動きは、明らかに人間離れしていて、まるで早送りの映像を見ているようだ。

ヴィヴィオ DAMAGE 190 LIFE 890

みるみる内にライフが削られて行く。しかもこれでもまだ全力には程遠いのだからより凄まじい。だが……同時にヴィヴィオは、別の事も思い出す。

『そうだ……!』
たたらを踏むように下がるばかりの脚に力を入れて、ヴィヴィオは急制動を掛けると同時にクラナの次の拳に意識を集中する。
突き出された拳を、首を左に反らして寸ででかわす。そのまま……

「はぁっ!」
「……!」
クラナの顔面目がけて拳を打ち込んだ。

『入った……っ!?』
「…………」
一瞬だけ歓喜の表情を浮かべかけたヴィヴィオは、即座にバックステップで大きく距離を取る。
突き出した拳は、掲げられたクラナの左腕に防がれていた。

クラナ DAMAGE 80 LIFE 1640

「…………」
『今のがヴィヴィオさんのカウンターですか……成程、お見事ですね』
『うん……』
表情に出すことなく、念話だけでクラナとアルは互いに意見を交換する。

『全力じゃないって言っても……今のヴィヴィオさんにこのスピードを見切られるとは意外でした。どうしますか?』
『いや……今のまま維持で行く。次にライノがいるのを考えると、残りの使える魔力をあんまり消費したくない』
『了解しました』
相談が終わると同時、クラナは距離を取ったヴィヴィオの事を正面から見つめる。

『凄いな……』
まだ十歳の少女に、これだけ光る物を見るとは思わなかったのは事実だ。
この前の指導の時もそうだが、彼女には本当に色々な意味で驚かされる。同時に……嬉しくもある。
自分を見る、真っ直ぐな瞳。これだけねじくり曲がった男を兄に持ちながら、彼女がこれだけ真っ直ぐに成長したのは、一重に母と、周囲の人々が優しく見守っていたからこそだろう。
彼女の成長と、其れを見守っていた全ての人々に感謝しつつ、クラナは拳を構える。

せめて彼女の真っ直ぐな瞳に、拳では答えられるように。

「ふっ!」
「!」
ぼっ!と音を残してクラナは走り込み、ヴィヴィオの顔面目がけてストレート。ヴィヴィオは左手で防ぎつつ反撃とばかりに右のフックを放つがこれはクラナが上体を反らしたことで空振る。上半身を引いた状態から返す刀で右腕がボディを狙い、腕を空振った事で隙の出来たヴィヴィオにこれがヒットした。

「ぐっ……!」

ヴィヴィオ DAMAGE 350 LIFE 540

「……?」
と、クラナは拳に伝わってきた感触に、少しだけ違和感を覚える。少し軽すぎる気がしたのだ。確実に捕えたなら、もう少し重い筈。そう考えて、クラナはやけに大きく後方に飛ぶヴィヴィオを見た。

「……成程」
『後方に飛んで衝撃を二がした訳ですか……あんな技術を何処で学んだのでしょう?』
『十中八九ノーヴェさんだろうね。後可能性ならスバルさんかな……』
言いながらじりじりとヴィヴィオとの距離を詰めて行くクラナに対し、相変わらずヴィヴィオは真っ直ぐな瞳で向きあい続けていた。

────

『駄目だ……全然追いついていけない……』
ヴィヴィオはクラナと向き合い、荒くなりつつある息を必死に整えながらそんな事を思った。
魔法によるスピード等もそうだが、それ以前に技量が圧倒的に違う。
クラナとヴィヴィオでは、経験値に差が有りすぎるのだ。

『でも……』
しかしそんな状況に会って、内心でヴィヴィオは、とても楽しかった。
今までまともに向き合うことすらできなかった兄と、今はちゃんと向き合う事が出来ているように思えたからだ。拳を突き出し合い、お互いの格闘技術を持って相手に勝とうとする。
普通の兄妹とは、余りにも形が違いすぎるのは分かっている。けれどそれでも、これが兄に近づけるきっかけになるなら……

『うん……』
二コリと笑って、ヴィヴィオは次の手を決めた。
魔力を溜めて、受けに徹する。仕掛けてくるのを待つ。きっと、クラナなら仕掛けてくる。そんな予感が有った。

────

「……(これは……)」
『誘っていますね間違いなく。恐らく、仕掛けた所をカウンターで決めるつもりかと』
「…………」
構えを取ったまま動かないヴィヴィオから目を反らすことなく、クラナは短く息を吐く。

『相棒、どうしますか?カートリッジをロードすると言う手もありますが……』
『いや……行こう』
『ですが……』
『彼奴のたくらみくらい正面から破れないようじゃ……面目が立たないよ』
『…………』
アルの言葉にきっぱりと言ったクラナに、一瞬だけアルが黙り込む。

『……?アル?』
『いえ。申し訳ありません相棒。相棒の想うようになさってください』
『うん……ありがとう』
近くで見ても分かるか分からないか微妙なくらいの小さな微笑みを浮かべて、クラナは小さな声で言った。

「……行くぞ」
「…………っ!」
ヴンッ!と音を立てて、クラナが一気にヴィヴィオに接近する。対するヴィヴィオは受けの構え。完全にクラナの一撃をガードする構えだ。対してクラナの一撃目は……

「ふっ……!」
「うっ……!」
右拳。正面からの打ち上げ気味の一撃。構えていたヴィヴィオのガードは、この一撃だけで一瞬で跳ねあげられる。

『ガードするには……甘すぎだ!』
ブンッ!と音を立ててあらかじめ構えていた左のストレートがヴィヴィオの顔面に迫る。その瞬間、ヴィヴィオが首を反らした。

『来る……!』
「一閃必中……!」
視覚から理解できるのは魔力を溜めた右拳による威力を増加させた一撃。よくある一撃だが、威力はバカに出来ない。しかし……

『その程度なら……!』
落ち着いて防げば先ず当たらない。捌いてカウンター返しを選択し、受けの構えを……

「アクセルスマッシュ!」
「!?」
その瞬間、ヴィヴィオの拳が明らかに彼女が突き出すのとは別の何かの作用によって“加速”した。
予想外の速度で迫ったそれに、クラナは反射的に受けを避けに切り替え……

「~~っ!!」
「……!」
全力で身体を左に反らして避けた。
そのまま一旦転がるようにして距離を取る。

クラナ DAMAGE 140 LIFE 1580

『加速する拳……!?』
『これは……驚きましたね。予想外の隠し玉です……』
拳が肩のあたりを掠ったのが分かる。加速したクラナの思考速度でも追いつけない程不意打ちの加速だった。指向性魔力で拳を加速させたのだろうか。カウンターで撃たれた分。圧倒的に反応が遅れた。躱せたのは殆ど偶然に近い。もう少し彼女に錬度が有れば、喰らっていただろう。

対し、ヴィヴィオはと言うと……

『~~っ!惜しい……!もう少しだった……!』
渾身の一撃を躱された事で、内心地団太を踏んで悔しがっていた。
しかし同時に、慌てたように自分の一撃をかわしたクラナに、確かな手ごたえも感じ取る。

『よし……何とかしてもう一度……!』
今度はラッシュを掛けて、あちらの攻撃を誘ってから打ち込む!そう考えながらヴィヴィオはクラナに向けて、再び真っ直ぐに視線を向けた。

──その瞬間、其れは起こった──

「……ぇ?」
視界の先にあったクラナの身体。その、左肩。先程アクセルスマッシュが掠った部分のバリアジャケットが、破けたように消失していた。
本来ならば、自分の攻撃が相手に与えた効果の証明として喜ぶべき其れ。しかしヴィヴィオの瞳は、その向こう。兄の綺麗な肌にあった、大きめの古傷に集中する。

「…………」
全く、“身に覚えの無い”筈のそれ。けれどその傷跡を……彼女は……“私”は……どこかで見た事が、あるような……?

『な■は■■だよ……!?』
『あなたなんか、ママじゃない……!』
『ママを、返して!』
“知らない”

「ぁ……」

『許さない……お前も、仲間も、みんな゛ァ!!!』
『ク■■くん、■め!!』
『ウォァァァァア゛ア゛ア゛アアアアアアアア!!!!!』
『知らない……お前なんか……誰だ……お前は……!誰だァァァァ!!!』
こんな事“知らない”……!!

「ぁ……あ……!」

『ヴア゛アア゛アアア゛アァァァァァァァァァァァ』
『シィィィネェェェェェ!!!!!』
『■めて!!■目!止■てェ!!』
私は……こんな事……!“思い出したく”ない……!!

『……ちくしょぉ……』
『…………』

──コロセル──

やめて……!

『ちくしょぉぉ……!』

──コイツハ、ワタシヲ、クルシメル……!──

違う……違うの……!

『母さん……!』

──シネ……!──

私は……私は……!!

『ごめんなさい……』

──トドメダ……!!!──

“そんなつもりじゃ……無かったのに……!!”






テノヒラガマッカニソマッテル






「ぁ……や……嫌……イヤァァァァァぁぁぁぁぁぁァぁぁぁぁぁアァアぁぁぁアぁぁぁああぁぁぁあぁああぁぁぁぁぁぁアァァァァァああァァァァァっァァァァァァァああぁぁぁアァァっァぁっぁぁぁぁぁアァァッぁぁぁぁああああああっっっ!!!!!!!!」
「っ!?アル!!上げて!!」
[Fourth gear unlock]
ブシュウ!と言う音とともに、アルのロックが一つ外れる。次の瞬間、その場からクラナの姿は掻き消え……

「寝ろっ!」
「ぁっ……!う……」
どふっと鳩尾に叩き込んだ一撃で、尚も叫ぼうとしたヴィヴィオの瞳から光が失せ、カクン。とクラナに身体を預けるようにして気絶する。
途端に光が走り、彼女の身体が10歳児の状態に戻る。その身体を抱えあげると、即座にアルが叫んだ。

ヴィヴィオ DAMAGE 800 LIFE -360

[すみません……!此方は降参(リザイン)いたします!メガーヌさん!ヴィヴィオさんの様子が変です!何処かに休ませないと……!」
『え、えぇ……!』
即座にメガーヌの声がして、クラナとヴィヴィオは転送魔法陣に包まれる。
転送される刹那、抱えあげられたヴィヴィオの瞳から落ちた滴が、クラナの肩の傷跡に当たって散った。

青組 行動不能一名 撃墜五名
赤組 行動不能一名 撃墜五名 降参一名

試合時間 21分36秒
青組一名を残し、赤組全員戦闘不能に付き 勝者 青組。
 
 

 
後書き
はい!いかがでしたでしょうか!?

うん。言われずとも分かります。
やりすぎましたねぇ……w

多分まさか陸戦試合がこう言った幕引きになると予想していた方はあんまりいなかったのではないかな……?と思ったりしてます。(とか言いつつ普通に予想されてたりしたら恥ずかしいので断言はできませんw)

なんでも、原作vividの前提には、余り重い事件や血や、死などが無くても、強さや悲しみに立ち向かう姿は描ける。「ピュアスポーツ」としての面白さをメインにしているそうです。
うん。途中まで“ピュアスポーツ”だったのにどうしてこうなったって話ですよね。本当に申し訳ありません。

それもこれもこういったものがないと書けない……と言うかそう言ったものが大好物な作者こと鳩麦のせいであります。

どうかこの未熟な作者をお許しください。

では、予告です。



ア「アルです!どうしてこうなったんですかあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

ク「ガクガク(ま、マスターが……マスターが……)」

ウ「これは……少し前半までの流れからの逸脱がひどいですね」

ア「なんでこうなるんですか!?だって楽しくやってたじゃないですか!ご兄妹が、ようやく向き合える所だったじゃないですかぁ!それがなんでこうなったんですか!」

ク「ガクガク(マスター……マスターァ……)」

ウ「今回は収集がつきませんね……えー、次回は……《Lost memory》まだお付き合いいただける方がいらっしゃいましたら、ごらんください」

ク「ガクガク(マスターァァ……)」

ア「何故ですか作者さん……!!」

ウ「はぁ……」 
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