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やはり俺の青春ラブコメは…間違ってるのかなぁ

作者:もぐらん
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やはり平塚先生は怖い

 クラスでのホームルームが終わってしばらくたち、クラスメイト同士で会話している者も帰宅していて残っているのは部活に励んでいる者だけとなった時間に、俺は教室で夕日の光に照らされながら黙々と一枚の原稿用紙で作文を書いていた。

 書いているものは『高校生活を振り返って』という以前提出したものだが再提出扱いとなり、こうして色々と考えながら書いては消してを繰り返していた。

「………よし、こんなものでいいだろ」

 書き上げた原稿用紙は枠内にびっしり文字が書き詰められていて、カバンを取りこの原稿用紙を提出しようと職員室へと向かった。

 歩いている途中で書かれた原稿用紙を見つめ、これなら平塚先生でも再提出扱いには絶対ならない確信を抱いているとき、窓から外を眺めていると、グラウンドでサッカー部の人たちが一生懸命ボールを蹴っていた

「……どうしてあんなにしんどいのに頑張るんだろうな…」

 あんなに走り続けていたらいつかミイラみたいに骨スケスケまでいくんじゃないか?とどうでもいい考え事をして職員室まで歩き出した。あまり俺は職員室に入るのが好きじゃない。そもそも職員室に入りたいなんて言う奴なんていないだろうけど、呼び出しとか説教とかあまりいいイメージが無いからな。まぁ冬は暖房が利いてて嬉しいけど。あれいいよなー暖房が利いている部屋でソファに座りながらホットコーヒーを飲むなんて先生って色々とずるいよな

 しぶしぶドアを引いて中に入ると生徒指導担当の平塚先生がいると思われる灰皿がある場所まで歩いていると予想どおりそこにタバコを吸っている平塚先生がいた。

 こちらの視線に気が付いたのか俺の方に顔を振り向く。

 「どうした清谷。何か用事があるのか?」

 「この間の再提出になった作文を提出しに来ました」

 「そういえばそうだったな。今度はマシなものを書いてきたかね?」

 それを俺は自信満々に頷く。すると平塚先生はソファに座ると原稿用紙に目を通した。
それを一通り見てからタバコを灰皿に押し付ける。

 「……そうだな…お前の人間への不信というのは分かった。だがこれはなんだ?」

 「そ、それは…あれですよ。高校生活での感想文なんで今の高校生活とはというものを書いてきたんですよ」

 すると平塚先生は深いため息を出し、もう一度原稿用紙に目を通した。

 「…高校生活とは主に学業が本分で近い将来に旅立つための土台……ここまではいい。だが今の状態は青春が本分で近い将来結婚し、幸せになるため土台という腐敗したものになっている。クラスメイトの友人で集まってがやがや騒ぎ、1つ1つの青春という1ページを作り出そうと日ごろ欺瞞な演出をしている。そんな腐りきった現状で日々青春ごっこをしている奴らは精神科で検査してもらった方が良いと思います。そんななか無理に友情、恋愛、青春を日々一生懸命演じようと頑張っている彼ら彼女ら、自演乙!」

 それらは俺が書いた作文の一部だった。…うむ、割と良い方だろう。2行くらいで提出する奴と比べれば大したものだ。よくいる例で『すごくよかった』とか『すごく楽しかった』とかで終わらせる奴もいる。あれ結局何が凄かったか全く分からないから困る。ってか最後の自演乙ってとこを言いたかったんだろう。そこだけ元気よく言ったからな。

 自信満々に大したことの無い達成感を感じて俺はカバンを取り立ち上がろうとしたときに声を掛けられた。しかも最後のやけに楽しそうに言ったな

 「おい待て。どう見てもおかしいだろう。確かに最近の小僧は学業本分ということを忘れがちだが明らかにお前の怨念が入っているだろう。何故お前らはまともな作文も書けないんだ?」

 「お前らって誰の事ですか?しかも最近の小僧って言い方、年バレますよ」

 「…あ?」

 すると鋭い目つきでこっちを睨んでくる。怖い怖い。しかも右手が殴る準備万端だった。もうこれはヤンキーの『何見てんだコラ、あ?』と同じである。しかしこうなると少しは予想していたので念のためにこのため対策を考えてきたからここで屈っしはしない。

 「平塚先生!生徒に暴力的解決は認められないと思うんですよ。生徒自身に色々な考え方を教え、順当な選択を出来る人間に育て上げて近い将来に社会に出て立派に生きていけるように指導するのが教師の仕事であり進路指導担当である平塚先生のすることなんですよ。つまり暴力はまちがっている!」

 俺が思いっきり正論かつ緊急回避として考えてきたことを噛まずに言えたので少しは考えてくれるだろう。

しかし、平塚先生の殴るモーションは止めなかった

 「ああそうだな。正論だ。だが清谷。お前はその考え方を矯正することを放棄した者にはそれを言う資格はないよ。……歯を食いしばれ」

 そのとき腹に物凄い痛みが襲い掛かり、よろめいた後にソファにどかっと座り込んだ。

 そもそも殴る理由が年齢の話だというどうでもいいことに殴る権利はないと思う。そして俺は少しずつ落ち着いてきて深いため息が漏れたときに平塚先生は微笑した。

 「だが今の生徒の立場を十分に理解していることはいいことだ。…とりあえずまともなものでなければ再提出だ。それと奉仕部の件だ」

 「はい、前に退部届を出しておきました。流石です平塚先生。一日で俺の問題解決をしてくれるなんて雪ノ下さんにも感謝してますよ」

 それを聞いた平塚先生はきょとんとしてこいつ何言ってるの?的な顔をしていた。

 「ああ。ちゃんと出ておいた……燃えるゴミにな」

 「な、なにやってるんですか!問題解決したからもうあの部活にはいかなくてもいいでしょう?!」

 それを言うと平塚先生はタバコをもう一本吸うべくライターで火をつける。そういえば俺タバコの煙苦手なんだよな。俺の父さんがそれはもうヘビースモーカーでその煙や臭いにおいが嫌いで今は禁煙に励んでいるそうだがそのせいで俺はそのにおいと煙が嫌いなんだ。……どうでもいい

 「清谷…私は言ったはずだ。君の腐った精神を矯正してこいとな。お前はこの作文から見ても全くと言っていいほど変わってないな」

 「ちょっと待ってください。俺は影薄いだけなんです。だから誰も話しかけてくれないし話したら『いたの?』みたいなこと言われるんです。だから俺は考え方を変えました。影は光が強いほど濃くなります。つまりは俺の光になってくれる人を探すんです。そしたら自然に目立ち空気扱いされないようになり、自然と更生できるんです。逆説的に言うと光がいない影しかいない奉仕部に入るのは間違いと思うんです。」

 平塚先生は俺の話を聞き流してタバコをしまうとソファから立ち上がった。

「…お前が影薄いだけならこんな文章は書いてはこないよ。清谷。お前のその考え方をもう少し変えたまえ。周りとの協調性はお前は全く持っていない。とりあえず、お前の今後の課題は周りと仲良くしろとは言わんが周りともう少しうまくやれ。雪ノ下ともな」

 その名前が出た途端、俺はあの日のことを思い出した。品行方正で成績優秀者で奉仕部の部長を務める雪ノ下雪乃。あの時感じたことはあの人は性格が悪すぎる。結構腹黒いぞあいつ。
…でもなぜか嫌いな感じではなかった。

 「聞いておくが君から見て雪ノ下をどう見る?」

「…性格が悪いヤツ……あとは使命感で動いているように見えるな」

 それを言うと口を開けてぽかんとしたていた。何か不思議なことがあったか?すると再びソファに座りだして喋りだす。

 「そうか…。やはり君はなんというか頭がいいな」

 「そうですか?確かに全教科は学年10位以内には入っていますけど…」

 「そうではない。君は1つの物事を複数に色々な角度から考えて結論を出すのが得意だろう?」

確かにそう言ったものは得意な方だ。推理小説なんかも犯人を明かす前にわかっちゃうから『え?
ウソ?!なんで?』なんていう言葉なんて出ない。

 「別に斜に構えてるだけと思いますけどなんでいきなりそんな話を…」

 「雪ノ下は優しいし正しいが世の中が優しくないからさぞ生きづらかろう」

 そのとき平塚先生の顔はとても優しい顔だった。

「あいつが優しいとか正しいとか俺には分かりませんけど世の中が優しくないと思っているのは俺も同じです。」

 本当に世の中は厳しすぎる。差別無しにしようとか言ってる人だって自然に人を差別しちゃってるし、人を陥れようと皆が一丸となって1人の者を排除またはハブる。優しい世界じゃないなんて小学生のころからわかってた。

 「だから俺はそんな世の中の一部になりたくないんですよ」
 そう、全く世界滅んじゃえばいい。特にリア充とかもう死んで欲しい。
 「……全くお前は社会に適応することを知らないなぁ。将来が心配になるよ」
 「俺の事より平塚先生の将来が心配になります。」
 「あぁん?」

 そのときの平塚先生は眼が血走っていて人を殺せるレベル。まじで怖い。ドッペルゲンガー並みに怖い。会ったら死ぬって怖すぎる。それほど平塚先生の顔が怖かった。

 「……なんでもありません…」

 俺は恐怖に竦んで黙り込んだ。本当に平塚先生の前でこの話をするのはやめよう。そう思った。 
 

 
後書き
次回人気ナンバーワンの比企谷。それと由比ヶ浜が登場します。
ちょっと待っててね 
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