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ドリトル先生の来日

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第三幕 日本に来てその九

 その中で、です。ウェイターさんとお話をしているのです。
「ですがサービスは落ちませんので」
「だからだね」
「ご安心下さい、この船旅を」
「では皆と一緒に楽しませてもらうよ」
「そうして下さい」
 ウェイターさんは先生ににこりと笑って言ってくれました、そして。 
 先生は朝御飯の後も皆と一緒に船旅を楽しみます。ホワイティはその中でシャワーを浴びた後でくつろいでいる先生にこう言いました。
「これまでの旅を考えると」
「穏やかだね」
「これまでの旅っていつも大騒動だったからね」
「そうだね、今回は静かだね」
「船が沈んだりしないのね」
「いや、そうなったら大変だよ」
 先生は本を読みながらホワイティに答えます。
「皆生きられるかどうかわからないよ」
「それはそうね」
「そうだよ、だからね」
「日本まではね」
「何もないことを祈るよ」
 先生は椅子に座り本を開いたままホワイティに言います。
「ずっとね」
「ただ先生、日本はね」
 ここでトートーが先生こんなことを言いました。
「色々あるかも知れないよ」
「イギリスにいる時みたいにだね」
「先生は何かと呼ばれる人だから」
 だからだというのです。
「何かとあると思うよ」
「そうだろうね、僕もそう思うよ」
「自分でもわかってるんだ」
「わかっているというかね」
「いうか?」
「いつもだからね」
 それでだというのです。
「もうそのことは予想してるよ」
「そうなんだ」
「色々な場所に行くことになるかもね」
 日本にいながらです。
「あの国も色々と不思議な場所がある様だし」
「幽霊のお話は多いのかな」
 チーチーが先生に尋ねるのはこのことでした。
「あの国も」
「イギリス程じゃないけれどね」
「多いんだ」
「そうみたいだよ、あの国もね」
「じゃあ幽霊がいるホテルとか?」
「妖怪?妖精がいた場所はあったみたいだね」
 先生はこうチーチーにお話します。
「そうした場所はね」
「ふうん、妖精なんだ」
「日本はイギリスよりも歴史が古いからそうした話は多いそうだよ」
「ああ、歴史が古いからなんだ」
「そう、それだけ色々な人が死んだことでもあるからね」
 人は生きていれば必ず死にます、だから幽霊の数もその国の歴史が長くそれだけ死んだ人が多ければ増えるのです。
「だからね」
「先生が行く大学にもそうしたことがあったりしてね」
「そうかもね、とにかくね」
「日本は色々あるんだね」
「調べれば調べる程不思議な国だよ」
 今開いている本も読みつつの言葉です。
「この本も日本についての本だけれどね」
「そんなに不思議な国なの」
「掴みどころがないよ」
 先生はこうも言います。
「歴史は長くて武士がいて明治という時代になって急に近代化してね」
「イギリスとはまた違うんだね」
「全く違うよ、本当に」
 その日本についての本を読みつつの言葉です。
「何が何だかね」
「わからない位?」
「どういう国なのかな」
 こうも言う先生でした。
「不思議で仕方ないよ」
「確かちょん髷にしているのよね、武士は」
 ポリネシアは窓辺、夜の海が見えるそこから先生に尋ねます。 
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