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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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第十話「決意/RESOLUTION」

 
前書き
ついに大詰め、衝撃のラストに向けてタケルとなのはの運命はいかに……? 

 


ゼロ君達が消えた海面の上空で、僕たちはアースラの通信が来るまで待機していた。
「もういいわ?三人とも戻って……」
呆れた顔でリンディは通信をした。そして、
「……それと、なのはちゃんとタケル君には私とシグナス司令直々のお仕置きタイムです!」
そうムッとした顔で提督は言い伝えた。
僕らはアースラへ戻り、提督と司令のお叱りを受けていた。命令違反を犯したんだ。その分の後始末はしておかないとならない。
長いテーブルの会議室にて、向こう側には提督と司令が座っていた。僕たち三名は立って二人の説教を受けた。
「命令違反を犯すことは自分だけではなく、部隊全てにも危険をさらすこととなる」
「そうです、指示や命令を守るのは個人あらず集団をまもるためのルールです。あなた達の行為が自分達だけではなく周囲にも危険に巻き込んだということを決めに銘じておいてください。本来ならば厳罰を与えるところですが、今回はいくつか得るところがありましたので、今回のことにつきましては「不問」とします」
「……?」
罰を受ける覚悟であったが、不問となって僕らは少しホッとした。
「ただし、今回限りです!いいですね?」
「はい……すみませんでした」
「さて、本題はここからね?クロノ、事件の大本について何か心当たりがあるの?」
隣に立つクロノへリンディ提督が尋ねた。
「ええ、エイミィ?モニターを……」
「ハイハーイ」
気楽な口調で彼女はホログラムを映し出した。その映像は、黒衣を着た一人の女性の映像である。その女性を目に提督とシグナスは目を丸くした。
「あら……!」
「か、彼女は……」
「そう、ミッドチルダ出身のプレシア・テスタロッサ。専門は次元航行エネルギーの開発。偉大な魔導士でありながら、違法な研究の事故によって放逐された人物であり、主犯格のドクター・ワイリーと組む影の人物です。登録データとさっきの魔法攻撃の位置も一致しています。恐らくあのフェイトという少女の……」
じゃあ、このプレシアって人はフェイトちゃんのお母さん……!?
「確か、あの時「お母さん」って……」
なのははあの時、攻撃を受けたフェイトの姿を思い出した。
「親子……ね?エイミィ、プレシア女史についての詳しい家族構成、および研究履歴の詳細を調べ出してみて?」
「はい!」
「フェイトちゃんのお母さん……」
なのははこの衝撃を受けて驚くよりもショックを受けていた。

そしてワイリーのアジト、時の庭園ではフェイトとゼロがプレシアとワイリーに寄る仕置きを受けていた。
プレシアは何時もより息を切らしながらフェイトを痛めつけていた。
「……どうして、あれだけ好機を前にして、ただボーっとしているなんて!」
「ごめん……なさい……」
「あなたは……そんなに母さんを悲しませたいの!?」
そしてプレシアは思いっきり鞭を振り、フェイトはなのはとが言った「友達」という言葉を思い出した。
(助けて……ゼロ!)
しかし、ゼロは自分と同じように罰を受けている。アルフもプレシアには逆らえない。切望を抱えて彼女は鞭によって何度も悲鳴を上げた。
「この不良品がぁ!!」
「ぐぅ……!」
ワイリーの振るう金属状に固く重々しい杖がゼロの頬を襲った。口から吐血し、震えながら起き上がろうとするが、そんなゼロの腰へワイリーは足で踏みつけて押さえ、彼の背をその杖で何回も叩きつけた。
「処分寸前のところをこのわしが助けてやったというのに……恩を仇で返すのか!?この前代未聞の失敗作が!!」
「も、申し訳ありません……博士」
「ええい!キサマがこれほどまでに使えん役立たずだとは思ってもわんかったわ!!」
「も、もう一度……今一度、自分にお任せを……?」
しかし、ワイリーの機嫌は損ねる一方であり、いずれ彼の口からこう結論が出た。
「……では、次こそ何があろうと任務を完遂せよ!もし、失敗したなら、刺し違えるなりして帰ってくるな!もしそれに臆して帰って来たのならば、シグマにキサマの処分を命じる!?」
「……はい、ありがとうございます。今度こそ、今度こそジュエルシードを……」
立ち上がり、ゼロはふらつきながら傷ついた体を抱えてその場を後にした。

戻り、時空艦船アースラ船内にて、

エイミィが限りあるまで調べた情報を報告した。
「プレシア・テスタロッサ、ミッドの歴史で26年前は中央技術部の第三局長でしたが、当時彼女個人が開発していた次元航行駆動炉「ヒュードラ」使用の際、違法な材料をもってしての実験に寄り……失敗、結果的に中規模次元震を起したことが原因で中央を追われて地方への移動となりました。随分もめたみたいです。失敗は結果に過ぎず、原材料にも違法はなかったと、辺境に移動後も数年間は技術開発に携わっていました。しばらくの後行方不明になって……それっきりですね?」
一通りの情報を言い終え、それにリンディが質問する。
「家族と、行方不明になるまでの行動は?」
「そのデータだけはきれいさっぱりに抹消されちゃっています。今、官局にとり合わせて調べてもらっていますので」
「時間はどれぐらい?」
「一両日中にはと……」
「……プレシア女史も、フェイトちゃんも、あれだけの魔力を放出したなら、あれだけの動きは取れないでしょう?その間にアースラのシールド強化もしないといけないし……」
そう、リンディは今後の予測を立てた。アースラのシールドは強力な魔法攻撃のみならず、ワイリーからによるイレギュラー反乱軍からの科学的攻撃も暗い、シールド機能は半分以上に低下していたのだ。これらを実行するにあたってかなりの時間を有する。そこでリンディは、
「三人は、一休みしておいた方がいいわね?特になのはさんとタケル君は長く学校を休みっぱなしだと良くないでしょ?一時帰宅を許可します。ご家族と学校に少し顔を見せておいた方がいいわ?」
「は、はい……」
僕はそう暗く返事した。

「ふぇ、フェイト……フェイトぉ!?」
アルフはフェイトの元へ駆け寄った。フェイトの体を抱える。
「しっかりして!?」
彼女は目を閉じて気を失っていた。アルフは、そんなフェイトを目に彼女の母、プレシアに怒りを感じた。
「くそぉ……!!」
一方、異空の別の部屋でプレシアはこれまでフェイト達が集めてきたジュエルシードを観覧していた。
「まだたったの九つ……これだけでも次元震は起せるけど、アルハザードには届かない!」
その直後、彼女の様態に異変が起きた。激しい咳き込みに見舞われ彼女は席と共に吐血を起した。
「……もうあまり時間は無いわ!私にもアリシアにも……!?」
そのとき、彼女の背後から爆発音が響いた。煙にまみれ二人の影が彼女へと歩み寄る。
そこには、主を傷つけられ怒るアルフの姿であった。アルフはプレシアを目にすると、鬼のような目で彼女へと飛びかかるが、プレシアの強力な結界を張るが、アルフはその結界を突き破りプレシアの胸ぐらを掴んだ。
「あんた!あの子の母親だろうが!?どうして、どうして!あんなひどいことをするんだ!?あんな一生懸命で、アンタのことだけを思っているあの子を……」
「邪魔よ……」
「!?」
アルフは腹部に波動を受けて吹き飛ばされた。岩にぶつかり、動けなくなって横たわる。
「あの子は使い魔の作り方も下手ね……」
「くぅ……!」
睨むアルフに、プレシアは残忍な笑みを浮かべて、
「……死になさい!」
プレシアの杖が振り下ろされる。その直後、アルフは思った。
(ごめんゼロ……今度こそアンタとの約束は守れそうにないよ?あたしの代わりにフェイトを宜しく……)
そして、プレシアの杖に返り血が噴き出る。だが、それからしばらくが達、フェイトを案じて来た傷だらけのゼロが、アルフの行動を悟ってこの場へと駆けつけに来た。そこには、腹部から血が流れ出て横たわるアルフの姿があった。
「あ…アルフ!?」
ゼロは駈け寄って彼女を抱え起こす。しかし、意識は無かった……
「ウソだろ……?目を覚ませ!アルフ!?」
必死で揺さぶり、必死で覚めない彼女を揺さぶり続けた。今まで、一緒にジュエルシードを集めて来た掛け替えのない仲間で、家族……決して失いたくない一人をゼロは何度も呼びかける。
「起きろ!起きろよ……!?いつものように冗談だって言えよ!?アルフ!!」
「騒がしいわね……」
「!?」
そこにはゼロに背を向けて喋るプレシアの姿があった。
「プレシアァ……!よくもアルフをぉ!!」
「なに怒っているの?たかが使い魔だというのに……」
「プレシアァー!!」
ゼロは先ほどの傷も忘れて素早い速さでプレシアへ向けてZソードを向けるが、突如彼に電撃が襲った。
「ぐぅ!?」
倒れるゼロの後ろには、シグマが居た。
「お怪我は御座いませんか?プレシア副主任……」
「ええ、どこにも?はやくその毛皮らしい者を連れて行ってください?」
「承知しました……」
シグマはゼロへ歩み寄り、彼を軽々と担ぎあげたゼロは弱った声でアルフの名を呟いた。
「アルフ……逃げろ!」
「……!」
そんなゼロの姿を、横たわっていたアルフが見つめた。深い怪我を負っているものの、虫の息で目を覚ました。
「ゼロ……!」
アルフは傷口にも関わらず起き上がり、足元に魔法陣を展開した。
「!?」
プレシアが気付いたころには、アルフとゼロは魔法陣に飲まれて、この時の庭園を抜け出していた。しかし、プレシアはそれを鼻で笑った。
「捕まえますか?」
シグマが問うが、
「……放っておきなさい?いずれにせよ、あの状態で高自空間の中をさまよい続ければいずれ力尽きて死ぬ」
異空間でゼロを抱えるフェイトは傷口を抑えながら、別の異世界を探した。
「待っていろ!フェイト、ゼロ、必ず!」
一方のプレシアは横たわるフェイトの元へ向かった。フェイトにはアルフの来ていたマントがかけられていた。
「フェイト……?まだ九つだけではたりないわ?最低でもあと五つ、いいえ?それ以上必要なのよ」
「はい……ん?これは、アルフの……」
フェイトはアルフのマントを目にするが、
「ああ、あの使い魔なら怖くて逃げだしたわ?もういやだって……使い魔ならお母さんが用意してあげる。信じて?あなたの唯一の味方はお母さんだけよ?」
「はい……あ、ゼロは?」
「ゼロ……?ああ、あの子ね?あの子、お母さんに襲いかかって来たの」
「……ゼロが!?」
そんなはずないと、フェイトは信じられなかった。
「ワイリー主任の部下が助けてくれたけど……フェイト、あの子は危険だわ?」
「そんな……ゼロがそんなことするわけ……」
「目を覚ましなさい、言ったでしょ?あなたの本当の味方はお母さんただ一人だけだと?ゼロはあなたを利用しているだけ、あなたと親しくなった後、お母さんを殺そうとしたのよ?」
「そ、そんな……!?」
フェイトはそう涙ぐみながらこの場へうずくまっていた。彼女はゼロに対し、半信半疑であった……

そのころ、僕らは久しぶりの家へ帰って来た。一緒に来たリンディ提督や……シグナス司令は桃子さんこと母さんと共にお茶を楽しみながら会話をしている。
(す、凄いごまかし様だ……真っ赤なウソというかなんというか……二人とも凄く母さんと溶け込んでいる)
「……でして、お宅のお子さんたちは実に優秀です。まったく、うちの部下にも見習わせたいくらいですよ?うちの部下ときたら、上司に向かってため口は聞くしで、もう……」
「うちのクロノも、愛想がなくて……それにくらべて桃子さんの息子さんと娘さんは本当に優しくて相性が抜群です!
「まぁ!どうも……」
僕ら二人は苦笑いするよりなかった。
「ねぇ!タケル君?あのカッコイイ男の人誰?」
そう僕に美由紀さんが囁く。
「まぁ、その……リンディさんの友人でシグナスさんっていうの……」
「そうだ、タケル?昨日お前の友達って言う三人の子達が様子を窺いに来たぞ?」
と、恭也さん。恐らくその三人って言うのは委員長達だろう。学校へ行ったら心配させたことで謝っておこう……

鳴海の夜空を見上げていた。
数時間後、夕日となった時刻に一台のリムジンが車道を走っていた。リムジンはうずくまるゼロを見て即座に止まり、リムジンからフェイトと同い年で彼女と同じ金髪の少女が出て来た。なのはの親友の一人アリサであった。心身ともに疲れ果てているゼロはアリサを見てフェイトと重なってしまった。
「…フェイト……」
そして彼女は気を失ってしまった。
それからどれほど時間がたったことだろか?次にアルフが目を覚ましたら、彼女は少し狭いが、檻に入れられて負傷した部分を包帯で丁寧に手当てされていた。
「ここは……?」
「あ、気がついた?」
「……?」
目の前に居たのはアリサだった。彼女はアルフへ歩み寄ると、アルフへ皿に盛ったドックフードを供えた。
「もう、怪我は大丈夫みたいだね?」
アルフはそんなアリサを見て温泉でなのはに絡んできた時のことを思い出した。あのとき、彼女も軽く見下していたはずが、そのアリサにこうした形で助けられたことにで、彼女に対して申し訳なく思っていた。
「ほら、それ食べて体を休めてね?」
優しく微笑んだありさは一緒に連れて来たペットを連れて自宅へと戻った。
「……」
アルフはそんなアリサの背を見つめていた。

翌朝、僕は久しぶりに学校へと来た。委員長達三名は僕に心配しながら事情聴取をはじめてくる。
「……で!何処へ行っていたんだよ?」
「十日間も留守にしていたのですから、やはり海外へ出向いていたのですか?」
「これでも苦労したんだから!はい」
委員長はそう言うと、僕へノートを渡した。何だろう……?
「何これ……?」
「見ればわかるでしょ?あなたが居なかった間、移してあげたんだから感謝しなさいよね!?」
「あ、ありがとう……!嬉しいよ?」
僕が笑顔で礼を言うと、委員長は顔を赤くして目をそらしてしまった。どうしたんだろ?
「あ、タケル君?」
すると、僕の教室からなのはが笑みを浮かべて僕に訪ねて来た。何の用だ?
「どうしたの?」
「日曜日にね?アリサちゃんの家に遊びに行くんだけど?タケル君も来てもらいたいんだって?」
「え、僕に……?」
「アリサちゃんがタケルも是非って?」
「いいよ?僕でよかったら……」
アリサちゃんが?すずかちゃんならともかく、彼女が僕をさそうなんて……僕はそれほどアリサちゃんとは親しくないし……っていうか、しょっちゅう委員長みたいに注意をうけているしかないし、どうしたんだろ?
気に留めながら日曜、僕はなのはに連れられてアリサちゃんの屋敷へ来た。彼女の屋敷も大した大きさだ。ここで言うのは何だけど、どうしてなのはの友達二人はお金持ち何だろう……?
「あ、よく来たわね!」
そういうと、アリサちゃんは僕を見た途端、僕へビシッと指を刺した。
「新しく買ったゲームで勝負よ!蒼霧タケル!!」
え、あ?ゲーム?そういえば、過去にアリサちゃんと通信対戦して僕が連勝で彼女が連敗に終わった。それが悔しくて、今度は新しいゲームソフトで僕にリベンジをするようだ……正直言って結構疲れそう~……
「あ、それとね?このあいだ怪我をした大きな犬を手当てして今置いているの」
と、アリサちゃんがそう僕らに言う。彼女はその犬の特徴を教えるとともに、僕となのはに心当たりが浮かんだ。
「その犬がね?大型犬だと思うけど、結構大きすぎるし、前身はオレンジ色で額に紅い宝石見たいのが……」
「……」
僕はその説明を聞いて一時固まった。
『タケル……その犬ってもしかして?』
「うん、もしかする……」
僕らはアリサちゃんに頼んでその犬を見せてもらうことにした。そこにはその犬にとっては狭すぎる檻に、横たわっていた。
「……!?」
案の定、僕の推測通り檻の中にはアルフが居た。
(やっぱり、アルフさん……)
なのはと僕は二人に聞こえないように通信とテレパシーで話し合った。
(アンタ達か……)
(フェイトちゃんと何かあったんですか?ゼロ君は!?)
僕が問い詰めるかのように尋ねると、アルフさんは黙って僕らへ背を向けてしまった。
「あれ?元気ないのかな……」
「そっとしておいてあげよう?」
アリサちゃんとすずかちゃんはそう言うと、なのはを連れてこの場を後にしようとするが、なのはの肩からユーノガ飛び出し、檻へと歩み寄った。
「こら、ユーノ危ないぞ?」
アリサが注意するが、なのははユーノなら平気だとつたえて二人とともに屋敷へと向かった。
(なのは、僕が彼女と話をするから君たちは先に言っていて?)
『タケル、僕も彼女と話がしたい。僕を置いていってくれ?後から戻ってくるから』
「わかった、気付かれないように戻ってきてね?」
そう僕が気付かれないようモデルXをユーノの隣に置いた。モデルXや他のライブメタルは適合者の主人とは一心同体であるため、離れていても、浮かび上がって飛行し、持ち主の適合者の元へ駆けつけてくれるので万が一忘れても心配はいらない。僕も幾回はしているが、モデルXが来てくれると同時に彼から説教を受けた……
『……一体、どうしたんだ?君たちの間で何が?』
三人が去ったあと、モデルXとユーノがアルフに話しかけていた。アルフは目を食いしばりながらこう言う、
「……アンタ達がここに居るってことは管理局やハンター達も居るってことだよね?」
その光景を映像から見ていた管理局とハンター達はテレパシーと通信でこちらの世界へと繋げてアルフへ訪ねた。
「どうやら、そちらにも複雑な事情があるようだな?正直に答えてくれ」
クロノはそうアルフへ問うと、アルフは観念したかのように事情を説明した。
「……わかったよ。フェイトやゼロ、そしてアイツのことも……」
すると、アルフはこちらへ振り返ってユーノとモデルXに言う。
「でも、約束して?フェイトとゼロを助けてくれって?あの子達は何も悪くないんだよ!?」
「……わかった、約束する。エイミィ?記録を」
クロノはエイミィに今から話すアルフの説明を録音させた。
「フェイトの母親、プレシア・テスタロッサが全ての始まりなんだ……」
アルフはしぶしぶと彼らに事情を説明した。

一方の僕はアリサちゃんと格ゲーで勝負されていた。
「あ……また負けちゃった!」
アリサちゃんのプレイヤーは何発も必殺コンボをだすが、それがすべて僕のプレイヤーに寄って小技で反撃されて僕のプレイヤーはノーダメで彼女に十連勝であった。
「も、もう一度!」
「ま、またやるの……?」
僕はモデルXに呼ばれてしまい、彼の話を聞くため席を外さなくてはならない。
「ごめん、すずかちゃん?僕の代わりにアリサちゃんの相手をお願い!」
僕はすずかちゃんにバトンタッチしてなのはと共に通路へと出た。
『君たちの話と現場の状況、そして彼女の使い魔アルフの証言と現状を見るに、この話に嘘や矛盾は無いみたいだ……』
モデルXの説目を聞いて僕は問う。
「で、どうすればいいの?」
「プレシア・テスタロッサをドクター・ワイリーとその一味もろとも捕縛するんだ。少なくともアースラへ攻撃を行っただけでもお釣りは来る。僕達も提督の命令が来次第、プレシアとワイリーの逮捕に向かう。君たちはどうする?高町なのは、蒼霧タケル」
クロノが通信でそう答え。僕らは選択を問われた。
「僕は……」
「私は……」
僕らは迷わない目で同じ答えを出した。
「二人を救いたい!」
これは、アルフさんの意思と自分の意思でそう答えた。僕は、そんな苦しみ続けているゼロ君とフェイトちゃんを助けたい。なのはも強い眼差しでそう思っていた。
(アルフさん……僕達に、二人を助けさせてください)
僕は静かにアルフさんへ頼んだ。
(二人が悲しんでいると、僕達も悲しく思うんです。そして、今度こそ僕はゼロ君と正面を切って話をしたいんです!)
(私も、フェイトちゃんに「友達になろう?」って言ったきり、まだ返事も貰っていないしね?)
「わかった、こちらにしては二人の戦力を有効したい。フェイト・テスタロッサとゼロ・アンリミテッドのことは君たちに任せよう?アルフも、それでいいか?」
クロノの質問にアルフは静かにうなずいた。そしてアルフはなのはとタケルへテレパシーを送る。
(なのは……とタケルって言ったね?頼む義理じゃないけど、フェイトとゼロを助けて?フェイトは今でも苦しんでいる。ゼロはそんなフェイトを守るために命を落とすかもしれない。お願い、二人を助けてあげて……?)
「はい……!」
そういって僕は扉を開いてアリサちゃん達の元へ戻った。
「遅い~!何時まで待たせるのよ!?やっぱタケルじゃないと話にならないわ!はやく私と戦いなさい~!!」
「わ、わかったよ……」
アリサちゃんが近頃委員長と重なって来たな……?
こうして楽しいひと時が終わり、僕らは二人に別れを告げた。彼女たちには「また学校で会おうね?」とぐらいしか言い残さなかった。でも本当は、次の戦いで無事に帰ってこれるかわからない。アルフさんが言うには、恐らくゼロ君は全力で僕に戦いを挑んでくるだろう。僕の命を奪いに……でも、僕は負けるわけにはいかない。ゼロ君と和解して帰るべき場所へ帰るんだ。そう、絶対に生きて戻ってくる。なのはと一緒に……
僕はこの怖気づきそうになる恐怖を振るい払おうと、高町家の道場へ黙想を続けていた。そして時折神前に飾られている木刀を見つめて、
「お、タケル君?」
そんな僕の後ろから士朗さんが歩み寄って来た。
「黙想かい?」
「はい……どうも怖気づく心があって……」
「タケル君……随分見ないうちにいい顔になったな?」
「え……?」
「昔は私の顔を見てくれなかったが、今はこうして見てくれている。本当にいい顔になったよ?」
「……気づいていたんですか?」
「勿論、だって私はタケル君の保護者でもあり、君の父親でもある……桃子から聞いたよ?彼女のことを母さんって呼んでくれたんだろ?とても喜んでいたよ」
「……」
僕は少し照れくさくなった。
「その……何だ、もし君さえよければ私のことを……」
「士朗さん……」
「君は、高町家の大切な家族の一員だよ。これからは困ったことは一人で抱え込まないで、私や桃子、そして君の新しい兄姉達に相談するんだよ?」
「…士朗さん、僕は……」
「……?」
僕は言いかけた。今まで怖がっていた士朗さんだけど、そんな彼に僕は告白する。
「これからも、高町家の蒼霧タケルとしてお世話になります……!」
僕がそう言い切ると、士朗さんは僕の頭を優しく撫でて喜んでくれた。
「ああ!なら、もう君は私を生得て呼ばなくていいんだよ?」
そう言われ、僕はその意味を理解すると、照れくさそうに言う。
「……はい、父さん」
「明日の朝早くから出掛けるんだね?気を付けてタケルらしく行けばいいさ?だから今日は遅いから早くお休み?」
「うん、お休み……父さん」
父さんは僕よりも先に同情を出た、僕は父さんの背を見つめていた。大きくて優しく、そして正義感にあふれる彼は、僕が本当に追い求めていた真のヒーローに思えた。
僕は、こうして高町家の人達と打ち解けることが出来だ。そして士朗さんと桃子さんを父母と呼べることが出来た。高町家の一員として僕はこれからもこの家族と一緒に過ごしていくだろう。もう何の迷いもなく心を開いた僕には、妄想や恐怖などは完全に聞こえない、見えない。僕はこれまでの蒼霧タケルではない。ロックマンとして、ヒーローとして新しく生まれ変わった蒼霧タケルなんだ。これからも、胸を張って自分らしく生きていくんだ!
ゼロ君とも、僕は自分らしく戦って見せる!

鳴海臨海公園AM5:55

早朝、僕となのははアルフさんと共に目的地に鳴海臨海公園へと向かった。朝日が昇りかける海を目に、僕はゼロ君を呼ぶ……
「来てくれ、ゼロ君……!」
静かな風に木々がざわめき、そして僕らが振り返ると、そこには街灯の上にフェイトちゃんと、その隣にはゼロ君が浮かんでいた。バルディッシュは釜を出し、セイバーは光を発している。
「フェイト!ゼロ!もうやめよう?あんな女と爺の言うことを聞いちゃ駄目だよ?二人とも、これじゃあ不幸になるばっかりじゃないか?だから……!」
しかし、フェイトは悲しげに首を横に振り、ゼロもこちらへ視線をそらした。
「だけど、それでも私は……あの人の娘だから」
「俺はゼロ、全てを破壊し「無」にするために生まれて来た、俺は……戦いの中でしか己を見出せない兵器なんだ……」
二人はそれぞれの宿命を抱えてそう返答する。
「「……」」
僕らは無言のまま魔導士に、ロックマンへと姿を変える。
「ただ。捨てればいいってわけじゃないよね……?」なのは
「でも、逃げるのはもっと駄目だ……」タケル
そして、なのははフェイトへこう言う。
「お互いのきっかけはジュエルシード……だから、かけよう!お互いのジュエルシードで」
なのはとフェイトの両名は今自分達が手にする全てのジュエルシードを取りだした。僕も決意し、ゼロへと叫ぶ。
「ゼロ君!……君が命をかけてフェイトちゃんのために戦っていることはわかる……だから、だから!僕も命をかけて君と戦う!君のもつ全ての力を発揮して僕と本気で戦ってくれ!?」
「……!?」
そんな僕の宣言になのはは目を丸くする。そんなことしてもし敗退でもしたら……
「……いいだろう」
そしてゼロもその条件に頷いた。彼も、タケルを倒さない限り自分に未来は無い。ワイリーに寄って彼に出された選択は、この場でタケルを倒すか、それとも自滅するかである。
「ゼロ……!?」
フェイトも、ゼロが受け入れたことで彼に不安を寄せる。たとえ、母の命を狙ったと告げられても、彼女はゼロをまだ信じ続けていたのだ。そして、タケルが述べた条件を受け入れた彼を見て、彼女は尚更ゼロを信じ通す。そんな悲しげに心配する彼女にゼロは振り向いて、
「心配するな……絶対戻ってくる」
そう笑んで彼女へ振り向くと、タケルへと降り戻ってセイバーを向けた。
「これで、おしまいだな……?」
そうゼロが僕に尋ねるが、僕は微笑んで首を横に振った。
「違うよ?始まるんだ……ここから…」
ユーノとアルフが見守る中、僕は続ける。
「お互い本当の自分を見出すために、ここから始めるんだよ……?」
始めよう!最初で最後の、僕達が命をかけ、闘志を燃やし戦う、全力の戦いを……!



 
 

 
後書き
次回予告

激突する二人、そして語られる双方の全ての過去、プレシアがもくろむアルハザードとは一体?そしてワイリーの恐るべき野望とは!?

次回ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄
第十一話「タケル対ゼロ/XvsZERO」

「コレヨリ、イレギュラーヲ処分ス……」
 
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