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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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第九話「決戦/DECISIVE BATTLE」

 
前書き
ゼロの最強技が六つの暴走ジュエルシードに激突!幻夢・零はッパネェ……

今回は決戦というタイトルですけどそこまでは進みません。なのは原作のタイトルをもじって書いただけです。あと二話目ぐらいでしょうか? 

 
時空艦船アースラにて、今後の作戦に新たに魔導士のなのは達と、ロックマンの僕らが作戦に加わり、現在共に作戦会議へ参加していた。
「本日、零時を持って本艦全クルーの任務をロストロギア「ジュエルシード」の回収に変更されます。そして今回は問題のロストロギアの発見者であり結界魔導士でもあるこちら」
すると、ユーノが立ち上がり自己紹介をする。結構固まっているようだ……まぁ、僕も人のことは言えないけど。
「ユーノ・スクライアです!」
「それと、彼の協力者である現地の魔導士さん」
すると今度はなのはが立ち上がり、
「高町なのはです!」
すると、次は僕たちの番。シグナス司令が紹介する。
「さらにもう一人、イレギュラーハンターに協力してくれるのはライブメタル、モデルXの適合者であるこちらの少年だ」
「あ、蒼霧タケルです……!」
「……」
しかし、リンディ提督の隣に座るクロノ君はずっと僕たちを睨んでいる。何だか感じ悪い子だな……しかし、なのはと目が合い、彼女が微笑むとクロノは咄嗟に真っ赤になって目をそらした。僕とユーノはムッとしているだけ。何だか、なのはに笑顔を向けられた彼に嫉妬してしまうのはなぜだ……?
「……じゃあここからは、ジュエルシードの位置特定ははこちらでするわ?場所が分かったら現地へ向かってもらいます」
「は、はい!」
僕らはブリッチ内の艦長席に吸わる提督からそう支持を受けた。やっぱり緊張するな?
「艦長、お茶です」
そういうと、提督の隣から緑茶を持って来た若い女性乗務員が来た。
「ありがとう」
リンディ提督は湯呑に……砂糖?ミルク!?それらを入れて美味しそうに飲みほした。
(どういう味覚しているんだ……?)
僕は青ざめた顔で後ろから窺った。
「ところで、なのはちゃんとタケル君は学校の方は?」
総提督がきくと、僕らはそれについては既に解決済みなので説明した。
「それなら家族や友達に話してきました」
と、なのは。
翌日、学校ではタケルとなのはがしばらく欠席を取るらしく、三年と五年の教室では担任の教師が二人についての事情を皆に説明していた。
「……と、いうわけでタケルはしばらくの間、休みを取ることになった。ご家庭での急な用事らしくてしばらく学校へは来れないそうだ。だが、別に体の調子が悪かったり、怪我などして休んでいるわけではないから心配はいらないよ?だれか、タケルが帰ってくるまでの間、彼のノートを写してくれる奴はいないか?」
道徳がそう生徒達に言うと、一人が立ち上がり手をピシッと上げた。
「先生!私が蒼霧君のノートを写します!」
委員長である。そんな委員長を見て意外な視線を向けるのがキザマロとゴン太であった。
「そうか、それじゃあよろしく頼むぞ?白金。それじゃあ朝のホームルームを始めるか」
「委員長どうしたんでしょうか?ゴン太君」
「さぁな……もしかしてタケルのことが……?」
そうニタニタと笑みを浮かべる二人とは違って、
(フフフ、これで私の人気度が上昇♪上昇♪)
と、委員長……

その後、僕らは数々の現場へ向かって共にイレギュラー化したジュエルシードの回収を続けていた。
「エックスバスター!」
僕の連続チャージショットがイレギュラーへ命中し、
「リリカル・マジカル……!」
なのはのトドメによってジュエルシードの回収劇は順調に進んでいた。
「ジュエルシードの回収を確認、おつかれさま?なのはちゃん、ユーノ君、タケル君、今ゲートを開けるからそこで待っていてね?」
「はい!お願いします……」
「うぅん!三人とも優秀な子達ね?なのはちゃんたちを本職へ採用しちゃおうかしら?」
リンディは半分本気で考えていた。
「素晴らしい、何という才能だ……チャージショットを連続で放てるとは!ううむ、イレギュラーハンターへ推薦させたいものだ……」
シグナスはもろ本気で考えている。そして二人のハンター達も、
「へぇ?やるじゃねぇか!これならシグマのイレギュラー共も百人力だな?」
「まさに、怖いものなしですね?」
一方分析室では、エイミィとクロノがなのはと敵対するフェイト・タスタロッサと、タケルと敵対するゼロ・アンリミテッドについてデータを調べていた。
「この黒い服の子、フェイトっていったけ?」
「フェイト・テスタロッサ、かつての大魔導士と同じファミリーネームだ……」
と、クロノがそう呟く。
「え、そうなの?」
「随分前だよ、ミッドチルダの中央都市で魔法実験の最中に事件を起こして追放されてしまった大魔導士……」
「その人の関係者?」
「さぁね?本人とは限らない……それと、もう一人のゼロという適合者だけど?」
「ああ、この子ね?や、やだ!よく見るとカッコイイじゃない?年下なのに惚れちゃいそう~!」
「よく呑気なことを言っていられるな?」
「で、この子がどうしたの?」
「ああ……やはり、彼にも心当たりがある。以前僕がハンター達の世界へ派遣されたとき、その世界の国家機関の三賢人の一人が紹介していた人物と同じ名前なんだ」
「え!そうなんだ……?」
「イレギュラーハンター達の世界ではイレギュラーが出没する危険地帯アウター区域と、人々が暮らす居住エリア、インナー地区とで区別されているんだ。そんな世界を支えるのがレギオンズという超国家機関の三賢人だ。その彼らの内一人が適合者となる人間を人工的に生み出した。しかし、それは失敗に終わり、失敗作と不評されたその適合者はその後消息を絶った。この適合者の名前と、モデルZの適合者の名前が似ている気がして……」
そんな謎だらけの二人のデータを収集しようとしたが、強固なプロテクトが掛けられており、二人のアクセスは制限されていた。
「だめだ……アクセスできないや?それにこの二人の内ゼロって子が。こっちが発見されたジュエルシードを二つも取っちゃうし……」
「急いでいるんだ、しっかりやってくれ?」
「は~い……」
一方、僕ら三人は通路に居た。
「フェイトちゃん、全然現れないね?」
「ああ、彼女たちは別の場所でジュエルシードを集めているようだけど?」
「ゼロ君も……一緒に居るんだろうな?」
そう僕も言った。こうしている間にも、士朗さん達と鍛えた心眼が鈍くなっちゃいそうだ……早く彼と再会して彼と話がしたい。

日差しが照らす晴れた天候と、覆い茂った森の木々、そして滅び去った文明の遺跡が沈む海原。そこに二人と一匹の姿が見えた。
「駄目だ……ここも空振りみたいだよ?」
アルフはそう二人へ告げる。
「そう、やっぱり彼らに隠れて見つけるのは難しいみたいだね?」
「下手に動くと奴らに見つかるようだな……しかし、慎重に調べてもこうして先起こされるのは確かだ。やはり、ここは俺が……」
「ゼロ、それ以上言わないで?」
そうやってフェイトはゼロの言葉に口を挟んだ。ゼロがやろうとしていることは、自分が派手に動いてハンターと管理局の目を引き付け、少しでもフェイトがジュエルシードを回収しやすくさせる。しかし、そうなればゼロだけに攻撃が集中してしまい、最悪の場合は……
「……俺はフェイトの幸せのためなら犠牲になれる。それが、戦う為に生まれた俺にとって、唯一戦う以外で出来る行いだ」
「ゼロ……ゼロは、戦う以外にもいろんなことが出来るよ?私なんかより、ゼロは料理が上手だし、家事だって得意だし……あと、優しいし」
「確かに、一般的に言えばそう思えるだろう……だが、違うんだよ?俺はこの力を破壊にしか使えないんだ……そう、「失敗作」の俺なんかに……」
「ゼロ……?」
「すまないが、しばらく一人にしてもらえないか……?」
「そうだね……一先ず休憩を取ろうよ?」
アルフもいい、フェイトはひとまず一旦休憩をとった。これまで連続でいくつかの世界へ渡り歩いているため、疲れもたまってくる。
「……俺は、何のために生きているんだ……」
河のほとりで、ゼロが腰をおろしモデルZを取りだした。モデルZは彼を心配する声で、
『ゼロ、やはりフェイトのことが気になるのか……?』
「……ああ、情けないことにな?」
『人が人に好意を寄せる行動は生命の自然の行いだ。情けなくも、珍しくもない。ある者はそれを尊重している……』
「だが……俺は、誰かの肉体から生まれた人間の子ではない。試験管の中で胎児となって人工的に作られたライブメタルの適合者だ。そんな俺が恋愛など無縁の存在だ。こんな化け物のような俺を、フェイトが知ったら……だからせめて、アイツを守るために死ねるなら、それが本望だ」
『早まることをするな?お前はお前だ。ゼロという一人の人間だ、俺の知るゼロは全ての世界を巡っても、お前しかいない……付き合いの長い俺だから言える。お前は戦う以外にも何かを見つけ出せることが出来るさ?いつか、フェイトもお前のことを……』
「……」
ゼロはただ何も答えないまま川の流れを見つめていた。川は絶え間なく流れ続け、勢いも落とさない。そしてそんな河の流れには数匹の魚たちが流れに抗い、必死で潜り抜けようとしていた。まるで、今の自分たちのように……
「……モデルZ」
『……』
ゼロは立ち上がり、腰を払った。
「……休憩は終わりだ。フェイト達と合流する」
『わかった、行こう……』
ゼロは元の場所へ戻った。しかし、そこにはフェイトやアルフの姿は何処にも見当たらなかった。何処かで休んでいるのだろうか?しかし、彼女たちの気配はこのエリアには何処にも感じられない、予期せぬ事態にゼロは彼女たちの行動を悟った。
「ま、まさか……!?」
『ゼロ!急いで後を付けるぞ!?』
そう、フェイトはゼロを巻き込みたくない一心で彼よりも先に次の目的地へと向かったのであった。
「ゼロ……ごめんね?」
空中へ浮遊するフェイトはゼロの無事を祈った。

僕らがアースラに移ってから十日目が経った。この船旅で僕らは三つのジュエルシードを回収した。一方のゼロ君たちは二つ。残るは……あと、六個か?
「今のところジュエルシードのイレギュラー反応は未だ見当たらない……」
シグナスはリンディの隣で暇そうにそう呟いた。
「そうですわね?それに……」
リンディの言いかけにシグナスは、
「それに?何ですか……」
「……そちらの世界で発生したシグマの反乱も最近は収まりつつあるのでしょう?それがどうも怪しくて……」
「確かに、こう静かすぎるのが逆に恐ろしいですからな……」
「未だに主犯格のドクター・ワイリーの動きは掴めないばかりですし……」
「我々の思いすごしならいいのですが……」
シグナスは良からぬ予想から目をそらした。
「……今日も空振りだったね?」
食堂にて、僕らはお茶をいただいていた。アースラには三時のおやつがあるらしく、僕らはその時間に集まって今回の成果を話し合っていた。
「たぶん、今回は長くかかるだろうね……ごめんね?なのは……」
ユーノは責任を感じて彼女に謝罪するが、
「え、どうして?」
「だって、寂しくない?」
こんないたいけな少女が家族と離れてこうして長い船旅を続けている。寂しくなるのは当然だが、
「……別に寂しくなんてないよ?私、もっと小さかった頃にお父さんが大怪我しちゃって。まだ喫茶店も開いたばかりで人気もないからお兄ちゃんとお母さんは大忙し、お姉ちゃんは毎日お父さんの看病をしていたの。私は誰もいない家でずっと一人だったから。割と最近になって一緒に暮らせるようになったから、私は平気だよ?でも、そういうユーノ君やタケル君は平気なの?」
「僕は両親が居なかったけど、部族の皆に育ててもらったからスクライヤ部族が僕の家族かな?ところで、タケルは……?」
「僕……?」
僕は、自分が一人ぼっちでいることが当たり前のことだと思っていた。そりゃあ小さい頃は両親と一緒に暮らしてはいたものの、この体になってからはずっと一人だった。誰も僕の気持ちを分かってもらえる人はいない。両親は僕を見るのが辛くなって家に帰ってこない。帰ったら、出前かコンビニでご飯を済ましていた。誕生日でも、一人でごちそうとケーキを食べ、誰も言わってくれる人はいない。そして学校へ行けば日に日に僕へのいじめはエスカレートしていき、僕はこうして徐々に孤立していって極度な対人恐怖症を持つようになってしまった……
「……当たり前だった」
「え?」
「一人ぼっちになるのが当たり前だったから……僕なんて」
「そんな……タケル君は一人じゃないよ?なのは達が居るよ?」
「ありがとう、でも心の中では一人ぼっちさ……ごめんね?後ろ向きになっちゃって。でも、本当にそうなんだ。今まで僕は……その……」
僕は流石に自分の正体だけを言う気にはならなかった。もし、正体を言って彼らが僕のもとから距離を置いてしまったら……
「どうしたの?タケル君」
「……僕は……」
でも、共に戦う大切な友達として僕は彼らに隠し通したくない……
「実は僕の正体は……」
「……?」
二人は僕の正体と聞いて目が驚いた。しかし、僕は言いだせる勇気は無かった。情けない・・…
「ごめん……今は言えないや?この戦いが終わったら二人に伝える。僕の、本当の自分を」
「タケル君……」
そのとき!突然ブザーが鳴りだし、放送が流れた。
「WARNING!捜索息の海上にて大型のイレギュラー反応を感知!」
「何だって!?」
僕らは至急ブリッジへと走った。
「な、何をしているの!?あの子たち……」
分析中のエイミィが見たのは、フェイト達の驚きの行動であった。

海原に囲まれた都市の上空では魔法陣を敷き、呪文をとなるフェイトの姿があった。
「アルカス・クルタス・レイヤス……煌めきたる天人よ、今導き手のもと降り来たれ……バルエル・ザルエル・クラウゼル……」
そして激しい稲妻が魔法陣に巻き起こり、激しい雷雨が降り注いだ。
「ジュエルシードはたぶん海の中、だから海に電気を叩きこんで強制発動させて位置を特定させる。そのプランは間違ってはいないけど……でも、フェイト!」
地上からアルフは彼女を見上げた。そしてそのフェイトは呪文を続ける
「主は雷、響くは豪雷、アルタス・クルタス・レイヤス!」
彼女の周りは瞳孔を象った球体が浮かび上がり、それらに囲まれてフェイトは魔法陣へバルディッシュを刺した。海は激しく暴れ狂い、そして海面から六つの光の柱が飛び出した。ジュエルシードである。
「六つも同時に封印しようだなんて……流石にフェイトでも力が限界に」
アルフはフェイトの無理を見て彼女の様態を心配する。
「アルフ!空間結界とサポートをお願い!」
フェイトが彼女へ振り返り、支持を出した。
「ああ、任せといて!」
それに従い、アルフは目の前の暴走する大規模なジュエルシードを睨んだ。
「どんなことがあっても、フェイトを守って見せる!ゼロ……わるいけど、アンタとの約束、守れそうにないよ。アンタの代わりにあたしが犠牲になってやるさ!」

僕たちはブリッジへと息を切らして辿りつき、スクリーンパネルから映る現場の映像を目にした。
「何とも、呆れた無茶をする子だわ!?」
リンディ提督がそう叫んだ。
「全く無謀ですね?これでは自滅です」
と、クロノ。
「フェイトちゃん!?」
映像を目になのはが叫ぶ。しかし、彼女の隣にはゼロ君がいなかった。
「ゼロ君は……?僕たちを現場へ連れて行ってください!」
「お願いします!私たちを早くあの現場に……」
しかし、僕らの声にクロノはこう答えた。
「その必要はないよ?あのまま放っておけば、彼女は自滅する……」
「え、そんな……!?」
僕は暴れる大海原と格闘するフェイトの映像を見た。
「仮に自滅しなかったにしても、魔力を失って動かなくなったところを叩けばいい」
「で、でも……!」
なのはは納得ができないが、そんな彼女にかまわずクロノが指示を出す。
「今の内に捕獲を……」
「了解!」
一方、フェイトは渦と津波、稲妻が巻き起こすジュエルシードの暴走に苦戦を強いられていた。そして、彼女の魔力は弱まって行き、バルディッシュから釜の光が消えてしまった。
「!?」
そして、彼女は暴走の稲妻の直撃を食らいダメージを追ってしまう。
「フェイト!?」
アルフも稲妻が直撃し、彼女の力もそろそろ限界に近付いてきた。
「……ッ!」
息を切らしながらフェイトは必死で食らいつく。
そんな状況を映像で見ている僕たちは何もしないままただ彼女が力尽きるのを見物していた。
「残酷かもしれないけど、これが私たちの選んだ最先端の答えなの……」
後ろで何とかしたい僕らに提督がそう告げる。しかし、事態は予期せぬ方向へと向かった。
「十一時の方向に高エネルギー反応を感知!」
レーダー班が叫び、辺りは全員驚き、提督は席から立ち上がった。
「なんですって!?」
「この反応は……ろ、ロックマン!?モデルZです!!」
「ゼロ君……!?」
苦戦するフェイトのもとへゼロがようやく駆けつけにきたのだ。
「くぅ……そろそろ限界なの!?」
限界に苦しむフェイトへ目がけ、巨大な津波と稲妻が襲いかかった……が、
「氷裂斬ッ!!」
その叫びと共に上空から無数の刃状の氷山が落下、降り注いで暴走するジュエルシードの海に着水すると同時に次々と海は凍りついていき、攻撃と動きを止めたのだ。
「フェイト!?無事か……!」
「ぜ、ゼロ……?」
ゼロはフェイトのもとへ駆け寄り、そして。
「バカ野郎ッ!!」
「……!?」
ゼロの一喝が彼女を驚かす。
「一人で戦ってどうするんだよ、死ぬような真似もしやがって……!」
「ご、ごめんなさい……」
「もう水臭いことはするな……お前はアルフを連れて離れていろ?」
「ゼロ……?」
「心配するな、俺の一撃で決める……!」
ゼロは二人が十分に距離を取ったことを確認し、セイバーへ前出力を注ぎ込んだ。
「この一撃で決める……!」
『エネルギー充填百パーセントを切った、何時でもいけるぞゼロ!』
「行け……幻夢・零ッ!!」
ゼロはエネルギーに満ちた極太化したセイバーを振り下ろすと、刃から巨大な二つの波動刃が生じて、凍りついたイレギュラーの海へ命中する。氷は波動に寄って粉々に割れ砕き、砂のように粉砕された。
「……す、すごい!」
自分さえも苦戦していたあのジュエルシードの暴走をたった数秒で沈黙させてしまった。
しかし、ゼロはふらつき浮遊を失って海面へと落下しかけた。
「ゼロ!大丈夫!?」
フェイトとアルフが駈け寄ってくる。実はこの玄夢・ゼロは、ゼロのエネルギーを全て注ぎ込み放出する技であるため、まだ11歳の彼にとって体力の半分以上が削られてしまう。最強の技でもあるが、その分隙も多く、ディスクが発生する技なので滅多なことでは使えない技でもある。
「あんな技を持っていたなんて……」
一方、アースラに居る僕はそんなゼロ君の強大な技を目に怖気づいていた。あの巨大なジュエルシードの暴走を絶った一発の技で沈めてしまうなんて……それも、対する力は六つも暴走したジュエルシードだ。はたして僕らに勝てるのだろうか?
「あの技……提督、モデルZの「幻夢・零」のパワーは強大です。あの直撃を二発とも食らえば、アースラとてひとたまりもありません!幻夢・零が次の発射態勢に移行される前に即時撤退命令を?」
シグナス司令は焦った様子で提督へ叫んだ。やはり、ゼロ君のあの技はそれほど恐ろしい威力を誇るのだろう……しかし、
「わかりました。機首反転!フルスピードで撤退……」
「……!」
提督がそう命じた直後、僕となのははは背後のトランスサーバーへと走り出した。
「お、おい!?二人とも……」
ホーネックさんがそれを見て呼び止めようとしたが、僕らは聞く耳を持たなかった。
ようやくゼロ君と再会できるんだ。そして、彼らにジュエルシードを六つも全て渡されるわけにはいかない!
「蒼霧タケルと、高町なのははこれより命令違反を犯します!」
僕はそう叫び、ユーノ君がサーバーを捜査して僕たちをあの海面へと転送した。しかし、転送されたのは現地の上空であった。
「……じょ、上空!?」
僕は急いでモデルXを手にし、落下しつつ海面へ向かって叫んだ。
「……ロック…オーンッ!!」
僕の体は光に包まれ、そしていつものようにロックマンへと変身する。
『タケル!今から空中浮遊体制へ移行する!』
モデルXの操作のもと、アーマーの重力操作を調節されて僕はなのはのように上空で制止し、自在に空中を移動することが出来た。空中での行動は空を飛ぶような感じだ。
そしてなのはもバリアジャケットのシューズの踵から翼が生え、上空から舞い降りる。
『タケル!まだイレギュラーが生きている!?』
「え……!?」
現地へ飛来したのもつかの間、ゼロ君が倒したはずのジュエルシードのイレギュラーは完全に倒されてはいなかった。そう、上空に浮かびあがる六つのジュエルシードの内半分の三つが突如光を発し、再び先ほどまでとは小さいが、それでも巨大津波が巻き起こったのだ!
「まだ生きていた!?」
体力とエネルギーの回復が満たされていないゼロにとって油断を突かれてしまったのだ。復活した津波と稲妻は竜巻へと変わり、反撃をするかのようにゼロとフェイトへ襲いかかって来た。
「……!?」
ゼロは直撃を食らう覚悟であったが、突如竜巻は自分の頭上を横切った数発のチャージショットに寄って後へと下がった。
「……タケル?」
ゼロが振り向くと、そこには自分を助けて竜巻へバスターを放ったタケルの姿があった。
「ゼロ君!大丈夫!?」
僕はゼロ君の前に立ち、襲い来る竜巻へバスターを放ち続ける。
「…あ…ああ」
ゼロは満足にタケルへ斬りかかる素早い身のこなしはできないため、返答するしかなかった……
「フェイトちゃん大丈夫!?」
なのはも、竜巻から生じた稲妻がフェイトを乗せたアルフへ襲いかかり、それをなのはが結界で防いだ。
「後は僕がコイツを倒すから、ゼロ君はフェイトちゃんをつれて離れてくれ!?」
タケルがそう言うも、ゼロは暴れ狂う竜巻に何発もチャージショットを放っても与えられるダメージは無効だということを知り、
「……まて、奴は個体じゃない。液体ゆえにバスターの力を吸収するため大したダメージは与えられない……俺にはまだ、力が残っている。もう一度奴の動きを止める。トドメはお前達が決めろ……!」
ゼロは、今はタケルに敵意を持つよりも共同であの竜巻を静めるのを考え、タケルに協力を要請するよう答えた。
「わかった……なのは、聞いた!?」
「うん、こっちは何時でもいいよ?」
三人は竜巻から発する稲妻を避け続けながら、ゼロは再び氷裂斬を放った。
「氷裂斬……!」
先ほどとは違い弱まった叫びだが、威力は確かであり、竜巻を完全に凍らせた。
「今だ……!」
ゼロ君の合図に僕となのはは攻撃をフルチャージで何発も撃ち放た。フルチャージは見事個体へと化した竜巻を貫通させて巨大な罅を作った後、ばらばらに崩れ落ちていった。
今度こそジュエルシードのイレギュラー反応は完全に沈黙し、六つのジュエルシードがそろい、上空へと浮かんだ。そんな六つのジュエルシードを前に僕とゼロ君、そしてなのはとフェイトちゃんが向き合っていた。
「今回限りは礼を言う……」
そうゼロ君は僕に呟くように言った。そして、なのはとフェイトはお互い見つめ合っている。フェイトは決して彼女に敵意を抱いてはいなかった。なのはは心身共に疲れ切ったフェイトを見て思う。
(おんなじ気持ちを分け合えること。悲しい気持ちも、寂しい気持ちを半分子にできること。ああ……そうだ、やっとわかった。私、この子と分け合いたいんだ)
六つのジュエルシードの宝石になのはとフェイトの素顔が映った。なのはは胸に手を当て、フェイトへ告白する。
「……友達に、なりたいの」
しかし、その時……
アースラのパネル画面全てがWARNINGへと変わった。
「本艦に向けて強力な魔法攻撃および科学攻撃来ます!あと、6秒……!」
「!?」
その刹那、アースラの真上から巨大な稲妻とビーム砲が降り注いだ。そしてタケル達が居る現地でも、上空に稲妻と無数のビームが放たれ、その攻撃を見てフェイトは上空へ顔を見上げた。
「お母さん……!?」
突如、稲妻がフェイトへ直撃し、彼女は悲鳴とともに海面へと落下していく。
「フェイト!?」
ゼロはその場から急降下し、海面すれすれのところでフェイトを抱き上げた。そして、アルフはどさくさにまぎれ、上空へ浮遊する六つのレイジングハートへ手を伸ばそうとするが、そこをクロノの杖が遮る。
「邪魔するなぁ!」
怒り任せに魔法弾でクロノを弾き飛ばすが、その瞬間、クロノは六つのジュエルシードの内三つを抜き取り、杖へと回収させた。
「よ、よくもぉ!!」
完全に怒りに我を忘れたアルフは魔法弾を再び放つが、そこへ続いて登場したハンターのホーネックの槍がそれを妨害した。
「おいたは無しだぜ!使い魔の姉ちゃん!?」
「黙れぇー!!」
魔法弾を海面へ放ち、巨大な水しぶきを放つ。そして次にタケル達が目を開ければ、そこにはゼロたちの姿はどこにも見当たらなかった。


 
 

 
後書き
次回予告、ジュエルシードの回収による焦りによってフェイトに虐待を行うプレシア、そんなプレシアに怒り、アルフとゼロは……

次回ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

第十話「決意/RESOLUTION」

「僕は君と渡り合えたい!」
 
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