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気まぐれな吹雪

作者:パッセロ
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第一章 平凡な日常
  23、部屋は正しく使いましょう

「ねぇ、君」

応接室で書類の整理をしていると、不意に雲雀に呼ばれた。

「今日から君のこと、要って呼ぶから、君もいい加減僕のこと名前で呼びなよ」

バサササササッ

持っていた書類の束が床に落ちた。

えーと、ごめん。

いまいち理解できないんだが……。

雲雀が、オレのことを、名前で呼ぶから、自分のことも、名前で呼べ。

そう言ったんだよな。

「はいー!?」

「五月蝿いよ」

いやちょっと待てよ!

何があったんだよ!

夏休みが開けた瞬間に何が起きたんだよ!

「それじゃあ、僕はこれから委員長会議に行くから」

そう言って雲雀は、応接室から出ていった。

え、マジでどうなってんの?



†‡†‡†‡†‡†‡



ガチャッ

「ただい――――」

ブツブツブツブツブツブツ

「君、何ふてくされてるの」

「別にー。ふてくされてなんかないですよー。ちょっとしたチーズケーキの禁断症状がですね」

「冷蔵庫の上から2番m(ガゴッ)」

「お~。あったあった」

「早いよ」

「そうか?」

モソモソモソモソモソモソモソモソ
※ケーキを食べる音

うっはー。

チーズケーキまじうめえっ!

「それ食べ終わったら、仕事しなよ」

「はーい」

“食べ終わったら”ねー。

残念ながら、ホールで食べる気なんだもん。

この至福の時は誰にも邪魔はさせないぜ。

モソモソ。

ガチャッ

……来たし。

突然開いた応接室の扉。

そこから武が現れた。

え? MA・JI・DE?

慌てて部屋の隅へと移動し、ついでにブレスで気配を消す。

よし、食事再開。



†‡†‡†‡†‡†‡



ドカッ

沢田がh……恭によって吹き飛ばされる。

あ、恭って呼ぶことにしたから。

「ツナ! くっ、水天逆巻け 捻花」

いやさ、悪いことは言わないから止めとけ?

いくらお前が強いからって、恭より強いなんてことはないんだからさ。

「何それ。武器の持ち込みは原則禁止だよ。生徒会長が秩序乱していいの?」

「あなたが言える台詞ではないと思いますが。それに、秩序を乱してでも仲間を守るのが道理と言うものです」

おい、何かおかしいぞ。

“あなたが言える台詞ではないと思いますが。”までは賛同してやろうと思ったが、そっから先は何か違うだろ。

てか、コイツが生徒会長って分かってたんだ。

「ワォ、勢いだけは認めてあげるよ」

ビュッ バキッ

「!!」

はっはっは、無様なもんだな長谷川よ。

綺麗に斬魄刀を折ってもらってよかったね。

君にはもう戦う手立てがないのだよ。

諦めたまえ。←誰だよ

「そこまでだ」

あー、この声はチビ介ですねー。(突然のフラン)

その手には、勿論爆弾があって……。

ん? BA・KU・DA・N?

BOMBですか?

…………ヤバくね!?

これオレまで死ぬって!

あーっ、しゃあねぇな!

「吹き抜けろ 霜天氷龍!!」

ピキッ

爆弾を凍らせることには成功したが、ついでにオレの周りに張られていた結界も破られた。

「「「「……………………」」」」

痛い。

周りからの視線がかなりイタイ。

やめて、そんな目でオレを見ないで。

「霜月要。いつからいた」

「最初っから(ゝω・´★)」

「嘘をつくな」

「いやいや。ホントなんだってば。な、恭」

無理矢理に恭に話を振る。

頼む、うんって言ってくれ。

ここで嘘を言ってもお前に利はないはずだ!

「確かに、要は始めからいたよ」

勝った。

この勝負、オレの勝ちだなチビ介。

って言うかさ、さっきからずっと長谷川の視線がチクチク痛いんですけど!

「霜月さん、少しばかりお話が」

「オレはない! 恭、今日の埋め合わせはまたあとでな。んじゃ!」

誰かになにか言われる前に、窓から飛び降りる。

ちょ、ここ三階……なんてツッコミは要らないからな。

「去らば!」

そして、自分の持てる限りの力を振り絞って全速力で走った。

くっそぉ……もう傍観もくそもないじゃねぇかよ!



†‡†‡†‡†‡†‡



「ねぇ、君たち。いつまでここにいるつもり? 早く出ていかないと」

「すっすみません!」

ツナを先頭にして応接室を出ていく一行。

やちるが不機嫌なのは言うまでもなく。

「て言うか、待って。雲雀さんと霜月さん、名前で呼び合ってなかった?」

「「「「あ……」」」」

とんでもない事実に気づいた瞬間だった。  
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