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Element Magic Trinity

作者:緋色の空
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楽園の塔編
  胡蝶の夢


「星霊だぁ!?」
「!?」
「んー・・・まあ、そーゆー事」

ロキから全ての事情を話され、ジロジロジロジロ・・・と前、後ろ、右、左と色々な角度からロキを見るナツ。

「しかし気がつかんかったなぁ」
「見た目人間だしな。これでプルーみてぇだったら話は別だったがよ」

腕を組んでそう言うグレイにアルカがプルーを想像しながら言う。

「ちょっと待て!お前牛でも馬でもねーじゃねーか」
「ナツの知ってるバルゴだって人の姿だろ?」
「いや・・・アイツはゴリラにもなれるんだぞ」
「そういえばそうだね」
「いあ、あれは果てしなくゴリラに近いがゴリラじゃねーぞ、ナツ」

今いるメンバーの中で唯一、ゴリラの様だったバルゴを知るアルカは呆れたように呟いた。

「ロキは獅子宮の星霊よ」
「獅子ーーーーーー!」
「獅子ってアレ!?大人になった猫!」
「そうだね」
「違ーう!」
「同じネコ科の動物だけどね」

ハッピーとロキの的外れすぎる会話にルーシィがツッコみ、ルーがニコニコと微笑みながら呟く。

「うわぁ、かっこいいな」
「つーかお前、今まで通りで大丈夫なのか?」
「これからはそうはいかないね。ルーシィが所有者(オーナー)になってくれたからね。ルーシィのピンチに颯爽と現れるさしずめ白馬の王子様役ってとこかな」
「随分美化されてんなお前の立ち位置」
「むー・・・ルーシィの白馬の王子様なら僕がいるのに」
「ん?なんか言ったか、ルー」
「なぁんでもなぁい」

ロキの言葉にルーが不機嫌そうに呟き、近くにいたアルカが聞き返す。
が、ルーがルーシィに「宣戦布告」した事は内緒なので、ルーは何も言わない。

「そういう訳で、2人の今後について話し合おうか」
「こらこら!下ろしなさい」

ルーシィを姫様抱っこに立ち去ろうとするロキをルーシィ自身が止める。
それを見ていたルーからティア並みの殺気が噴き出しかけていたのは余談だ。

「いいなぁ、俺も星霊ほしいなぁ」
「お前、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だろ」
「どんな星霊ー?」

アルカの御尤もな言葉はいつもの様にスルーされ、ハッピーの問いにナツは楽しそうに答える。

「そりゃあ(ドラゴン)だろ!せっかく滅竜魔法覚えたのに本物の(ドラゴン)と戦えねーのは甲斐がねぇってモンだ」
「ナツはただ暴れたいだけだよね」
「それに星霊は力比べの為に呼び出すものじゃないの!」
「そうそう、星霊は愛を語る為に・・・」
「アンタももう帰りなさい」

自分を口説こうとするロキにピッと鍵を向けるルーシィ。

「ちょっと待って」

すると、ロキはゴソゴソとジャケットのポケットを漁り、6枚の紙を取り出す。

「はい」
「何コレ?」
「もう人間界に長居する事もないからね。ガールフレンドたちを誘って行こうと思ってたリゾートホテルのチケットさ。君達には色々世話になったし、これ・・・あげるから行っといでよ」
「海!」
「おおおっ!」
「こんな高ェホテル泊まった事ねぇ!」

チケットを受け取り大はしゃぎのナツとグレイ。
そこでアルカはある事に気づいた。

「おいロキ」
「ん?」
「俺達は5人いる。でもこのチケットは6枚。1枚多いぞ?」

そう。
現在ここにいるのはナツ、ルーシィ、グレイ、ルー、アルカ。
ハッピーは猫だからチケット不要であり、どう考えても1枚多いのだ。

「あぁ、それは僕がどうしてもチケットを渡したい人用なんだ」
「?誰?」
「まだ来ていないみたいなんだけど・・・あ、来た来た」

少し辺りを見回し、ギルドにやってきた人物に手を振るロキ。
その姿に気づいたその人物は一瞬怪訝そうな顔をし、被っていた帽子を少し上にあげた。

「・・・どう見ても、その女たらし顔はアンタだわ」

ティアである。
来て早々毒を吐くティアに、ロキはリゾートホテルのチケットを差し出す。

「はい。君には特に世話になったからね」
「あー・・・そういえばアンタ、何でここにいるの?消えたんじゃなかった訳?」
「ルーシィとルーに助けられてね」

そう、と頷くティア。
その会話に違和感を感じたルーシィはティアに声を掛ける。

「ねぇティア、もしかしてロキが星霊だって・・・気づいてた?」
「えぇ」

即答。

「あれ?でも僕が何者かは知らないって言ってなかった?」
「人間は偽る生き物よ」

バッサリと、それはもうバッサリと。
差し出されたチケットを右人差し指と中指で摘み、そこに書かれる文字を目で追う。

「アカネビーチ・・・あそこ、人が多いからあんまり好きじゃないのよね」
「行った事あるの?」
「何度か。ま、ありがたく頂いておくわ。たまには息抜きも必要だし」

そう言いながらアイスブルーのショルダーバックにチケットを入れる。
じーーーーっとファスナーを閉め、睨むようにロキを見つめた。

「ロキ。解っていると思うけど・・・」
「もちろん。『あの事』は誰にも言わないよ」

睨むように自分を見つめるティアの耳元に顔を寄せ、囁く。
その瞬間、腹に鈍い痛みが走った。

「っく!」
「あんまり近づかないで。女たらしは嫌いよ」

体を少しくの字に曲げるロキに冷え冷えとした声でそう告げる。

「エ、エルザにもさっき渡しておいた。楽しんでおいで」
「わーい!」

痛みを堪えながらそう言い、ロキは星霊界へと帰っていく。
すると、そこにエルザがやってきた。

「貴様等、何モタモタしている。おいていかれたいのか」

浮き輪と麦わら帽子を装備し、着ている服は大きなハイビスカス柄、ショートパンツにビーチサンダル、その後ろには首から太ももまでのトルソーに着せられた水着やらビーチパラソルやらたくさんのキャリーバックなどの遊び道具たちをガラガラと引っ張っていくエルザが・・・。

「「「気ィ早ェよ!」」」

ルーシィとグレイ、アルカのツッコミが響き、青空に吸い込まれた。









てな訳で。
ナツ達一行はアカネビーチに来ていた。

「見ろよこの水!めっちゃ透明だぞ!」
「うおおっ!スゲェ!」
「グレイ、海パンはこーよ」

早速海に入ったナツ達はその海の透明度に驚く。

「グレイ様、大胆・・・」

そしてこんな所にまで来ているジュビア。
立派なストーカーである。

「アルカ!僕達も泳ごっか!」
「おうよ!」
「はしゃぎすぎて溺れないでよ」

ナツ達に続き海に向かっていく2人に、ビーチパラソルの下で砂浜に敷いた水色のシートの上に座るティア。
帽子は外し、ワンピースタイプのアイスブルーの水着を着て、その上から半袖の白パーカーを羽織っている。普段は下ろしている髪は少し高めの位置でポニーテールに結えられていた。

「あれ?ティアは泳がないの?」
「日に焼けたくないの」

じりじりと照らす太陽を憎々しげに見つめる。
真っ白な素足に太陽の光が当たって眩い光を放ち、それを見たティアは足を引っ込めた。

「右右」
「もっと左だよ」
「上上」
「下だな」
「上と下って・・・」
「そこ!」

フラフラと目隠しをして両手に棒を持ち歩くルーシィにナツ、グレイ、ルー、アルカは声を掛ける。
現在スイカ割り中だ。

「よーし」

ぺロ、と舌を少し出し、ルーシィは棒を振り下ろす。

「えい!」

が、その棒が直撃したのはスイカではなく、いかにも悪そうな男だった。
当然怒られながら逃げるルーシィ。
その後ルーシィは水上スキーをし、その後ろにナツを乗せ、先ほどの仕返しをする。

「ティア!」
「・・・何」

このリゾートでも魔法書を読むティアにナツが声を掛ける。

「お前なー、ここまで来て本読むかよ、普通」
「これが私の常識であり普通」
「捻くれてんなー・・・ほら、お前も泳ぐぞ!」
「嫌、日に焼けるなんて絶対嫌、死んでも嫌」
「どんだけ日焼けしたくねーんだよお前は!?」

ナツが驚愕の声を上げる。
すると、そんなティアに明らかにチャラそうな男が近寄ってきた。

「ねぇねぇ君!今ヒマ?俺たちと遊ばない?」

ティアは答えない。
興味ない、というように海を見つめている。
が、男は諦めずにしつこく声を掛け続ける。

「悪ィけど、こいつァ俺の連れだから」

男のしつこさにイライラしたのか、ナツがティアと男の間に立ち、口を開く。

「君、彼女の彼氏?」
「違う」

否定したのはナツではなくティアだった。
冷めきった瞳を向け、冷え冷えとした口調で続ける。

「私はコイツに興味がない。だけれど、アンタにはもっと興味がない。その口を永遠に使えないよう封じられたくなければ、今すぐ私の視界から消えなさい」

ティアの氷のように冷めた口調とその華奢な身体から発せられる殺気に勝てる男など、アースランドの全人口の1割にも満たないだろう。
当然この男もその殺気には勝てず、逃げていった。

「お前なぁ・・・助けてやろーってのに普通否定するかよ。フリくらいしろ、フリくらい」
「興味がない人間を興味がないと言って何が悪いの?」
「あのなぁ・・・」

あまりの口の悪さにナツも頭を抱える。

「それにあれくらいの男なら自力でどうにか出来る。アンタにわざわざ心配してもらう必要はないわ」
「んだとテメェ!俺は『アイツ』との『約束』を守ってるだけで・・・!」
「?誰と何を約束してるのよ、アンタは」

怪訝そうな顔をするティアに、しまったと言いたげな顔つきになるナツ。
あー、やら、うー、やら言葉と目線を彷徨わせ、勢いよく立ち上がる。

「お、俺っ!ビーチバレー参加してくるっ!」

そう言うと凄まじい勢いでエルザ達の方へ向かって走っていく。
それを呆気に取られた様に少し目を見開いて見つめたティアは

「・・・何がしたいのよ、アイツは」

呆然と呟いたのだった。








日が海に沈んでいく。
透明な海に綺麗なオレンジ色が映っていく。
ホテルの一室のバルコニーで、エルザは幸せそうな笑顔を浮かべて目を閉じていた。

(それにしても楽しい1日だった・・・本当に・・・)








子供、大人、老人・・・様々な年代の人間が揃いのボロボロの服を着ている。
ある者は重い荷物を引き、ある者は何かを組み立て、ある者は鞭で叩かれる。
重そうな瓦礫を1人の少女が落としてしまい、そこに容赦なく鞭を持った男が怒鳴る。
その少女は目に涙を浮かべ、美しい緋色の髪に、頭に手を乗せた。








―エルザ・・・この世界に自由などない―







「!」

勢いよく跳ね起きるエルザ。
空は既に暗く、体中に冷や汗をかいていた。

「夢・・・?」

小さく呟き、額に手を当てる。

「いつの間にか眠ってしまったのか・・・」

ガラガラと窓を開け、閉める。
その大きい窓に映る自分を見つめ、少しポーズをとり、溜息をついた。
と、同時にいつもの鎧へと換装する。

「やはり鎧の方が落ち着く・・・フフ・・・私という女はつくづく仕方がないな」

そう言いながら鎧を撫でる。
すると、部屋のドアが開いた。

「エルザー!」

大きい花柄がワンポイントの半袖シャツにショートパンツという服装のルーシィが左手を上げていた。

「地下にカジノがあるんだって!ねぇ、行ってみない?」
「賭け事はあまり好きではないのだがな」
「ナツとグレイ、それからルーとアルカはもう遊んでるよ。ティアはこれから呼びに行くトコ」
「やれやれ」

そう呟くとエルザはくるくるりらーんと回転し、紫色のドレスを身に纏った。

「こんな感じか?」
「ラフな格好でいいのに~。確かに鎧はどうかと思うケド」
「フフ・・・やるからには遊び倒さねばカジノに失礼だろ」
「はいはい!ティア呼んで行くよー」

そう言って部屋を出るルーシィ。
エルザは再び窓に映る自分を見て、微笑んだ。

(たまにはいいじゃないか・・・自分に優しい日があっても・・・)










場所は変わった。
暗く、外の光だけが部屋の中を照らす、2つの窓と1つの扉がある空間。
必要最低限の家具と、頭から足の先まで映せるほどの大きな鏡。








―何故、貴女は生まれてきたの?―






そう呟く歳のいった女性の視線の先には、群青色(ラピスラズリ)の髪に瞳の幼き少女・・・ティアがいた。









「・・・」

ゆっくりと目を覚ましたティアは、ベットから身を起こす。

「嫌な夢を見たわ・・・」

誰に言う訳でもなく、自分で自分にその現実を突きつけるかのように呟く。
そっと右手をうなじに回し、『それ』に触れる。
ぎゅっと唇を噛みしめ、手を離し、少し顔を歪めた。

「ティアー!」

すると、そこにルーシィとドレスアップしたエルザがやってきた。
眠い目を擦り、「何」と短く呟く。

「今からカジノに行くんだけど、ティアも行かない?」
「・・・行く」
「え?」
「何?行かないかって言われたから答えたのだけれど」
「う、うん・・・いこっか」

ルーシィは少し驚いてしまった。
あのティアなのだから「は?何で私がそんな所に行かないといけないのよ」云々の言葉が返ってくると思っていたからである。









ホテル地下のカジノ、ルーレットの前で、ナツはルーレットに息を吹きかけていた。

「お、お客様!困ります!」
「だって17に入ってたぞ!俺は見たんだ!」
「あい!」
「オイオイお前等、落ち着けって」
「落ち着けるかよアルカ!お前も見たよな?」
「あー・・・ゴメン。ミラにメールしてたから見てねーわ」

ルーレットに対しイチャモンをつけるナツ。
が、アルカはその現場を見ていなかった。

「17に入ってたのにカタンってずれたんだって!何だよコレ!」
「ルーレットだろ」
「そんな事ある訳ないでしょ~」

何だよコレ、というナツの言葉にルーレットはルーレットだろと答えるアルカ。

「はっはー!しょうがねぇな、アイツは」
「グレイ様」
「ん?」

スロットをしていたグレイがナツの方を向いて笑っていると、そこに1人の少女が声を掛ける。

「ジュビア、来ちゃいました」
「ぶほっ」

その少女とは、こちらもドレスに身を包んだジュビアだった。

「お、おお、お前は・・・ええ!?」

そして場所は戻り、ルーレット。

「見たんだって!アルカの目は誤魔化せても、俺の目は誤魔化せねーぞ!」
「いあ、そもそも俺見てねーし」

アルカの言葉は当然の様にスルーされた。
すると、そこに1人の男性が現れる。

「ボーイ、大人の遊び場はダンディにたしなむものだぜ」

その男性は・・・

「「か・・・かくかく!?」」

ポリゴンのようにかくかくしていた。

「ボーイ、1ついい事を教えてやるぜ。男には2つの道しかねぇのサ」

そう言って男は椅子に座ったままクルクルと回り始める。

「ダンディに生きるか・・・」

そして回転が弱まってきた瞬間。

「止まって死ぬか、だゼ」

ナツのマフラーを掴み、その口に銃口を突きつけた。
突如現れた銃に、周りの客たちは戸惑う。

「銃だぁぁ!」
「ひィィィ!」
「テメェ!」
「な、何するんだー!」

アルカが臨戦態勢を取り、ハッピーが叫ぶ。
が、男はニッと笑うだけで何も言わない。

()・・・()()()()()()・・・」






「聞いたよ。ファントムは解散したんだって?」
「はい」

そのころグレイは、先ほど再開した元幽鬼の支配者(ファントムロード)の魔導士、ジュビアと共にカジノ内のバーにいた。

「ジュビアはフリーの魔導士になったのです」

そう言うジュビアの胸元には、キラキラと輝く妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章の形をした首飾りがあった。

「うわぁ・・・それで妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りてぇの?」
「ジュビア入りたい」
「しっかし、あんな事の後だからなぁ。俺は構わねーがマスターとティアが何て言うか」

そう。
ギルドの事に興味ないと言い捨てるティアだが、1度自分の敵となった人間を許す事はない。
もし抗争までしたジュビアがギルドに加入にでも来たら、彼女は興味のないギルドの事でも追い出すだろう。
・・・そう考えていたグレイだが、その考えは次のジュビアの一言で完全に消え去った。

「大丈夫です!ティアさんもそちらのマスターに口利きしてくれると言ってくださいました!」
「・・・は?」

一瞬思考が追いつかなくなった。
するとそこに、噂の本人が現れる。

「あら、ジュビアじゃない」
「ティアさん!」

やけに親しげだが、この2人って面識あったのか?とグレイが首を傾げる。
抗争ではグレイとルー以外に会っていないはずだし、有名なティア(ただし、いい意味で有名な訳ではない)の事を知っていたとしても、ここまで親しくはならないだろう。
ジュビアはグレイの方を向き、微笑んだ。

「ジュビアとティアさんは、先日お友達になったのです!」

ここがギルドだったら、その場にいた全員が叫んでいただろう。
ちなみにその叫びは『あのティアが敵だった奴を友達にしただと!?』という意味ではなく『あのティアに友達が出来ただと!?』という意味である。

「・・・何よ、その疑わしい目は」
「いや、だってよぉ・・・お前に友達が出来たなんて初めてじゃねーか?」
「失礼ね。ギルドに入る前は1人いたわよ」
「1人かよ!?・・・で、どんな奴だったんだ?」
「猫。濃いグレーの毛にアイスブルーの目の」
「それ・・・1人って数えていいのか?」

そんな会話をしていると、そんな3人の背後に巨漢の男が現れる。
それに気付いた3人はその男を見るように顔を少し上にあげた。

「あひぃ!」
「なっ!ジュビア!」

それと同時に、男はジュビアを叩き飛ばす。

「何だテメェ」
「消えたいのかしら?」

グレイとティアは男を睨みつける。
ティアに至っては、周りに客がいるのに殺気を放っていた。

「グレイ・フルバスターとティア=T=カトレーンだな」

確認するように男が言い、そこでかくかく男と声が重なった。

「エルザはどこにいる?」
「エルザはどこにいる?だゼ」








そんな事が起こっているとも知らないエルザ、ルーシィ、ルーは、カードでギャンブルを楽しんでいた。

「あっ!また勝ったよ!」
「きゃー!凄ーいエルザー!」
「ふふ・・・今日はついてるな」

既に何連勝もしているエルザに感嘆の声を上げるルーシィとルー。

「ディーラーチェンジだ」
「あ・・・ちょっと・・・」

すると、色黒肌の青年がディーラーを押し退け、エルザ達の前に立つ。

「今なら誰が相手でも負ける気がせんぞ」
「だね」
「うん」

エルザの言葉にガッツポーズをするルーシィと頷くルー。

「だったら特別なゲームを楽しまないか?賭けるものはコインじゃない」

そう言うと青年はエルザに向かって5枚のカードを表にして配る。

「D、E、A、T、H・・・DEATH(デス)?何、このカード・・・」

そのカードを見たルーは顔を顰める。

「命、賭けて遊ぼ」

すると青年は邪悪な笑みを浮かべ・・・





「エルザ姉さん」





親しげに、エルザの名を呼んだ。

「・・・ショウ」

対するエルザも驚愕に顔を染め、震える声で青年の名を呟いたのだった。 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
謎が謎を呼び続け、解決はずいぶん後・・・の問題が色々起こりましたね。
ナツが誰かと約束していたり、「なぜ、貴女は生まれてきたの?」という謎の女の言葉があったり・・・。
ちなみにルーレットの所はティアでもよかったんですが、ジュビアとの関係性を出しておきたかったのでこっちにしました。

感想・批評、お待ちしてます。 
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