| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

義手

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

 突然横を通った車からだ、銃撃が来た、しかもそれは一発や二発ではなかった。
 マシンガンでの一斉射撃だった、その射撃が二人を襲った。それでだった。
 エドワードは咄嗟にかわした、こうしたことは慣れているので咄嗟にだ。傷を受けたがそれでもかわすことはかわした。
 だがジョージは違った、その銃撃を受けた。彼は忽ちのうちに蜂の巣になってその場に倒れてしまった。
 エドワードは傷を負いながらも立っていた。それでジョージに対して叫んだ。
「おいジョージ!」
「・・・・・・・・・」
 返事はない、それを見てだった。
 エドワードはすぐに病院に連絡を入れた、それで救急車を呼び。
 二人で病院に入った、彼だけは些細な怪我で済んでいた。
 だがそれでもだった、ジョージはというと。
「命に別状はないですが」
 医師は心配して容態を聞いたエドワードにこう言った。
「ですが」
「それでもか」
「はい、右手が」
「どうなったんだ?」
「そこに集中して銃撃を受けまして」
「駄目か」
「切り取らなければどうしようもありません」
 こう彼に言うのだった、沈痛な顔で。
「最早」
「おい、右手はな」
 彼もそうだ、だからこそ言った。
「利き腕だぞ、あいつの」
「ですがそれでも」
「何とかならないのか?」
「若しもです」
「若しも?」
「今すぐ、しかも血液型が一緒なら」
 それならばだというのだ。
「右手を移植すれば」
「あいつの右手は大丈夫なんだな」
「そうです、今すぐなら」
「金ならある」
 エドワードは医師の言葉にすぐに返した、迷うことなく決めていた。
「だからな」
「まさかと思いますが」
「俺の右手を移植してくれ」
 ジョージの右手にだというのだ、医師にその右手を見せての言葉だ。
「これをな」
「いいんですか?貴方にとってもですね」
「ああ、俺にとっても利き腕さ」
「片手になろうとも」
「構うか、俺は親戚中から嫌われてて女房子供も友達もいない」
 だが、だというのだ。
「あいつはその俺とずっと仲良くしてくれて慕ってくれている、だからな」
「その右手をですか」
「やる」
 そうするとだ、また言った。
「だからいいな、すぐにな」
「その右手を彼に移植してもいいのですね」
「そうしてくれよ、わかったな」
「本当にいいのですね?」
 医師はその彼の目を見て問うた。
「一生片腕ですが」
「構うか、どうとでもなる」
 これがエドワードの返答だった。
「俺の右手位な」
「貴方はマフィアですが」
 医師もエドワードのことは知っている、それで彼に問い返したのである。
「それでもですか」
「構うか、そんなことは」
「銃を撃てなくなっても」
 利き腕で咄嗟に撃てなければそれで命に関わる、マフィアの世界はそうした世界だ。
 だがそう言われてもだった、エドワードの考えは変わらなかった。
「あいつの為だ、いい」
「では」
 エドワードの強い表情と言葉を受けてだ、医師もこれ以上言うのを止めた。そしてだった。
 ジョージが気付いた時目の前には彼の両親がいた、彼等は目を覚ました息子の顔を見て笑顔で言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧