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義手

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第一章

                        義手
 ジョージ=キングはよくいつも可愛がってくれている叔父のエドワードにこう言われていた。
「若し御前に何かあってもな」
「そうなっても?」
「ああ、俺がいるからな」
 こう甥に笑顔で言うのだった。
「ずっとな」
「ずっと?」
「御前は俺のたった一人の甥だしな」
 他は姪ばかりだ、彼から見れば。
「それに俺にいつも笑顔を向けてくれるからな」
「そうかな」
「そうだよ、俺はこんな奴だからな」
 ここで自嘲が入った。
「ヤクザな奴だからな」
「そうなの、叔父さんは」
「マフィアだからな」
 だからだというのだ。
「そんな俺だからな」
「皆付き合わないっていうのね」
「そうさ、けれど御前だけは違うよな」
 ジョージのまだ幼いが自分と同じブロンドと青い目の甥に言った。顔立ちもよく似ている。彫が深く鼻が高い。
「そんな俺にもな」
「ううん、やっぱりね」
「やっぱり?」
「叔父さん好きだから」
 だからだというのだ。
「だからね」
「それでか」
「うん、どうして好きかはわからないけれど」
 自分でもだというのだ。
「置く叔父さん好きだから」
「そうか、それで俺もか」
「叔父さんも?」
「御前のことが好きなんだな」
 エドワードはジョージに対して言った。
「それでなんだな」
「僕が叔父さんのことが好きだから」
「俺はずっと誰からも好かれたことがないんだよ」
 物心ついてからのことをだ、思い出しながらの言葉だ。
「本当にな」
「そうなの?」
「手が早くて乱暴だからな」
 今もだというのだ。
「それで碌でもない学生時代で今じゃな」
「マフィアだっていうんだ」
「そうさ、今は手下だっているけれどな」
 それでもだと、エドワードは言っていく。
「所詮は嫌われ者だよ」
「そうは思えないけれど」
「それは御前が俺のことを好きだからだよ」
 それでだというのだ。
「そうは思わないんだよ」
「だからなんだ」
「そうさ、それでな」
「それで?」
「俺は御前に何があってもな」
 それでもだというのだ、甥に対して。
「助けてやるからな。安心しなよ」
「うん、じゃあ何かあれば」
「俺がいるからな」
 こう彼に言うのだった、そして。
 エドワードはずっとジョージを大事にした、ジョージは真面目だったがそれでもエドワードを慕い続けた。それは彼が成長してからもだ。
 ジョージはハイスクールに入学した、その入学祝いにだった。
 エドワードは入学式の後でスクールを出た彼をその門で待っていた、黒い如何にもマフィアといったスーツ姿だった。 
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