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気まぐれな吹雪

作者:パッセロ
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第一章 平凡な日常
  3、並盛と新築

あれから2、3週間が経過した。

ようやくオレは退院することができた。

そして、荷物をまとめると、並盛へと向かった。

この前買ったのは、最近建てられたばかりのいわゆる新築。

っとその前に、髪切りに行かねぇと。

路線変更して、予約しておいた美容室に向かうことにした。



†‡†‡†‡†‡†‡



「はぁ……! さっぱりした」

再び雲雀並に短くなった髪が、風でさらさらと靡く。

よし、さっさと家に向かわないとな。

コピーしておいた地図を片手に、道を歩く。

そして、家の近くまで来て思ったことが1つ。

「やっべ、しくった……」

なんと、オレの家の近くに沢田の家、そして竹寿司があったからだ。

最悪だ、最悪すぎる。

この世界への転生を決めたとき、傍観者でいるつもりでいた。

それなのに原作キャラ達の家が近いってどういうことだよ!?

道端で自分を責めに攻めまくっている時だった。

ガチャッ

沢田家の玄関が開いた。

そこからでて来たのは、私服の沢田。

「行ってきまーす」

手に鞄を持っているから、これから学校なのだろう。

ん? 待てよ?

今は3月の初の下ぐらいだからいい加減春休みのはず……。

ドンッ

「うわっ」

「ったッ……」

まさかの、角を曲がってきた沢田と衝突。

銀からもらった身体能力がまだ身に付いていないオレは、思わず尻餅をついた。

しかし、運動音痴は沢田に関しても同じだった。

「あわわっ! ご、ごめんなさい!」

「痛い……。けど周りを気にしなかったオレも悪いから……」

でもやっぱり痛い。

「あ、あれ? わっ! 卒業式に遅れちゃう! それじゃ!」

一人で勝手に騒いで走り去っていった沢田。

なるほどな、少し遅い卒業式か。

っと、それはさておき早く家に向かわないとな。

オレが辿り着いたのは、見事に立派な一軒家。

ここがオレの新しい家だ。

業者に頼んだから、既に“霜月”というプレートがついている。

早速中に入る。

玄関は、それだけで孤立した部屋のようになっている。

靴を脱いで上がり、ドアを開けると、リビングがあった。

右にはダイニングとおぼしき部屋とその奥にある台所。

玄関を入って正面には襖があり、その先には和室があった。

ダイニングから、さらに道が別れ、右には階段、正面には洗面所がある。

洗面所前から左に行くと、和室への扉があり、扉前から右に行くとトイレがある。

階段を登り、右にはトイレ、正面には洗面台、左には通路がある。

2階の部屋割りをざっと説明すると、東北に小さめの一室、東に普通の一室、南に大きめの一室、西に和室が一室、といった具合だ。

つまりは、この家は5LDKの大きめの家だ。

独り暮らしをするのには、少々大きすぎたかもしれない。

けど、初めから揃っていた家具や、壁紙はとてもシックなもので、オレの趣味とピッタリなものだったからまぁいいか。

さてと、並中を探す手間が省けた分時間が余っちまってるんだよな。

並盛を散策するのもありだが……

ゴソッ

ん……なんだ?

ポケットになにか入ってる。

取り出してみると、あろうことか沢田の学生書だった。

「って、嘘だろー!?」

何故に!?

あれか! さっきぶつかったときに紛れ込んだのか!

何でよりによって学生書!?

何でオレのポケットの中!?

「……仕方ない。届けにいくか……」

そしてオレは、傍観LI FEが送れそうにない未来に幻滅しながら、並盛小学校へと向かうのであった。  
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