| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Element Magic Trinity

作者:緋色の空
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

星の咎編
  鳳仙花の夜


マグノリアから少しだけ西に行った、砦跡。
そこにはとある盗賊団のアジトがあった。

「やったね!一丁上がりィ!」
「MOォォ!素敵です!ルーシィさぁぁん!」

そしてそんな盗賊団のアジトにルーシィ達最強チームはいた。

「歯ごたえのねぇ奴等だな」
「弱ェくせに賊なんかやってんじゃねぇよ」
「ホントホントー」
「雑魚ばっかじゃねーか。よく賊として生き残ってたなテメェ等」

そんな事を言いながらナツは盗賊の1人の顔を壁にめり込ませ、グレイは他の1人の顔を踏みつけ、ルーは他の1人の背中に座り、アルカは他の1人の服に火をつけた。

「俺らにこんな事してただで済むと思うなよ・・・デボン様が黙ってねぇぞ」
「あー・・・そいつなら、裁かれてるんじゃない?」
「手加減知らずの女王様にな」
「え!?」

ちなみに今日は丁度仕事に行こうとしていたルーとアルカも一緒にいる。
せっかくなら一緒に行かないか、とエルザが誘った為だ。

「こっちも片付いた」
「さっすがエルザ」

と、エルザが盗賊の1人の引き摺りながら階段を下りてくる。

「ひっ、ひィィ!」
「む」

エルザの登場に盗賊の1人は恐怖から逃げ出すが、それをエルザが見逃すはずもなく。

「逃がさん!」
「ぶほお!」

顔に飛び蹴りを決められた。
エルザは男を睨みつける。

「まだ仕置きが足りないようだな」
「ああああ・・・エルザさぁん~、自分にもお仕置きしてくださいいい!」
「強制閉門、えーい」

とんでもない事を口走ったタウロスはルーシィによって強制的に星霊界へと帰された。
すると、それと同時に聞こえてくるただ事ではない悲鳴。
それを聞いたナツ達は顔を見合わせ、ルーシィとグレイとエルザとアルカは溜息をつき、ルーはニコニコと微笑み、ナツとハッピーは悲鳴の聞こえた方に歩いていった。

「ひ・・・ひいいいいいいいっ!」
「滅」

とてつもなく怯える盗賊に冷め切った目を向け、勢いよく水で構成された剣を振り下ろす。
周りにいる盗賊達がティアの発する殺気に怖気づき始めた。

「斬」

短く呟き、身の丈を超える水の槍を激しく振り回す。
それだけで盗賊たちは倒れ、最後に残ったのはボスであるデボンだ。

「う・・・うあああああああっ!」
「戦場において冷静な判断が出来ない人間は敵じゃない」

向かってくるデボンとは対照的に落ち着き払っているティアは槍を消し、向かってくるデボンを見据えると・・・

「永遠に覚めぬ眠りを」

呟き、一閃。
青い閃光が煌めき、一瞬にして姿を消し、背後に現れる。

「沈め、そして眠れ・・・永久に目覚めない悠久なる深海へと誘え」

そう詠唱したと同時に、デボンの体がゆっくりと倒れていった。
周りを見回し、短く息を吐く。

「任務完了」

そう言って顔を上げ、こっちを見ているナツ達に気づく。
宝石のように綺麗な青い目が細まった。

「見ていたのなら手を貸しなさい。私は雑魚の相手は嫌いよ」
「いあ、貸したら貸したで『私の獲物をとるな』っつーだろ、お前」

ナツの言葉に応えず、ティアはその横をするりと抜けていく。

「思ったより早く仕事が片付いたな」
「うおおおっ!暴れ足りねえ!」
「十分暴れたじゃねーか、テメー」
「雑魚の相手、嫌い」
「ルーシィ見てー、この宝石」
「キラキラして綺麗だよ」
「だーっ!勝手に持ってきちゃダメでしょ!」
「なー、腹減ったー」

それぞれ言いたい事を言う最強チームとその傘下チーム。

「宿はあと1日とってあるしな。のんびりした村だ、1泊して帰ろう」
「何言ってんだ、早く帰って次の仕事行こーぜ!」
「ん?」

エルザの言葉に反論するナツ。
そんな2人の少し後ろに立っていたルーシィは、少し前に立つ男を見つけた。

「あそこにいるの・・・ロキじゃない?」
「あれ?」

そこにいたのは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士で指輪魔法を使い、アルカと同じく週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔導士ランキング」上位ランカーのロキだった。
まぁティアに言わせてしまえば『女たらし』の一言で終了である。

「偶然だなぁ」
「お前もこの辺で仕事かー?」
「皆も?」

ティアはロキが好きではないらしく、ぎゅっと唇を噛みしめている。

「あ、丁度良かった!この前は鍵」
「ルーシィ!」

ファントムとの抗争の際、失くした自分の鍵を拾ってくれていた事を思い出し、ルーシィはロキにお礼を言おうとする。
が、ロキは星霊魔導士が嫌いな為、あからさまにビクッと震えた。

「じゃ・・・仕事の途中だからっ」

ロキはそう言うと逃走中の指名手配犯の様な素早さで走り去って行ってしまった。

「何よあれェ~」
「お前アイツに何したんだ?」
「相当避けられてんな」
「何もしてない~」








もう1度説明しよう。
ここはマグノリアから少しだけ西に行った小さな村、鳳仙花村。
東洋建築の並ぶ観光地だ。
もう解っていると思うが、近くの砦跡に住みついている盗賊団を潰すのが今回の仕事。
早く片付いた為、1泊していく事になった、のだが・・・。

「何なのよ、ロキの奴・・・」

先ほどのロキの振る舞いに不機嫌なルーシィ。
その後ろで自分の膝にとまろうとしたトンボをとまらせまいとエルザが勢いよく温泉の湯を叩き、それに驚いたトンボは飛んでいった。

「・・・ふぅ」
「あれ?ティア、もう上がるの?」
「熱いのは苦手なの」

そう言って、濡れてへたっているロングヘアを丁寧に拭き、ティアは去っていった。







「始めんぞーーーーーーーーーーーーっ!」
「ぞー」

風呂から上がり、旅館の浴衣を着たナツとハッピーが枕を持ち、叫ぶ。
ちなみに漫画ではナツはマフラーを巻いていないが、アニメ版では浴衣にマフラーをしている。
・・・まぁ、物語にあまり関係ない話だ。

「何だよ、喧しいな。俺ぁ眠ーんだよ」
「オイ!見ろよ!旅館だぞ旅館!」
「あー・・・なるなる。ナツ、お前の言いたい事はよく解った。面白そうじゃねぇかっ!」

アルカは1人納得し、枕を手に取る。

「旅館の夜っつったら枕殴りだろーが!」
「枕投げだよ」
「殴ってどうすんだ」

グレイとアルカにツッコまれるナツ。

「ふふ・・・質のいい枕は私が全て抑えた。貴様等に勝ち目はないぞ」
「質って・・・」
「寝やすいって事?」

質の良い(らしい)枕を持つエルザ。
ルーシィは呆れ、ルーは首を傾げる。
そして仁義なき枕投げ大会が幕を開ける!

「俺はエルザとティアに勝ーーーーーーーつ!」
「やれやれ」

勢いよく枕を振りかぶるナツ。
それを見たグレイは溜息をつく。

「とう!」
「甘い」
「ぐべぼっ!」

ナツが枕を投げ、それをエルザは跳躍して避け、その後ろにいたグレイの顔面に枕が決まる。

「ナツ、テメェェ!」
「グレイ、お前浴衣まで脱ぐのかよっ!?」
「アルカ!枕パス!」
「お、おうよっ!」

浴衣でもやっぱり脱ぐグレイに驚くアルカにグレイは枕を貰う。

「ぐほっ」
「やるな」

グレイの投げた枕がナツの顔面に当たり、エルザにも枕が当たる。
そして復活したナツは、続いての標的であるティアを見つけた。

「ティアァアアアァ!勝負しろやあああああっ!」

ぶんっと空を切る音と共に枕がティアに向かって投げられる。
・・・が、その枕はティアの体をすり抜けた。

「!?」
「私の身体は水で出来ている。小細工なしの枕なんて通用しないわ」

そう言ってフッと笑う。
そして近くにあった枕を手に取ると・・・

「眠れ!」

凄まじい勢いでぶん投げた。
それはもう凄まじい。残像も見えるかどうかの勢いで・・・というのは少し大げさだが。

「あははははっ」
「ルーシィ、僕達もやろっか」
「うん!あたし達も混ざるかなっ!」

浴衣をまくって参加しようとした2人に、容赦なく枕が直撃する。
しかも顔面に。
あーれー・・・と2人は吹き飛ばされ、倒れた。
そんな事には気にも留めず、ナツ、グレイ、エルザ、アルカ、そして珍しくティアまでもがもう枕投げと呼んでいいのか解らない暴走を繰り広げる。

「や、やっぱやめとこーかな・・・」
「うん・・・僕達、死んじゃう・・・」






という事で、2人は部屋を出て散歩していた。

「はぁー・・・あいつら本当に人間なのかしら・・・」
「プーン」
「あ、ハッピーは猫だっけ?プルーも犬だしねー」
「ププーン」

プルーが返事するように右手を上げる。

「オイラ・・・本当は人間なんだプーン」
「へぇー」
「そうなんだ。すごぉいー」

2人は何にも気にせずそう答え、少しして目を見開いた。

「ええっ!?」
「人間!?てか・・・アンタ喋れるの!?」
「あい」
「あい?」
「ん?」

どこかで聞き覚えのある言葉にルーシィとルーは首を傾げる。

「オイラは聖なる石を持つ勇者の使いプーン」
「はいはい。もういいからしょーもない事してないで出てきなさい」
「もう解ってるよ、ハッピー」

そう。
プルーは小犬座の星霊であるため喋れず、今までのいたずらはハッピーがやっていたのだ。
「あい」とさえ言わなければ気づかれなかっただろう。
近くの茂みからハッピーが姿を現す。

「ちぇー、ルーシィとルーの頭を悪さなら1週間は騙し通せると思ったのに・・・」
「随分ありがたい計算ね」
「僕そんなにバカじゃないよ」
「ねぇ、どこ行くの2人とも」
「あんな奴等と枕投げしてたら身が持たないしちょっと散歩」
「んー・・・ルーシィと2人になりたかった、から」

ルーの言葉にルーシィは目を見開き、ハッピーとプルーは何かに期待するような表情を見せる。

「言ったでしょ?積極的になるって」
「い、言った、けど・・・」
「ん。だからさ」

ルーはそう言ってルーシィの右手をきゅっと握った。
純情なルーシィが顔を赤くすると、ルーも照れくさそうに微笑む。

「いこっか」

カコカコと、下駄の音が響く。
こちらの2人はかなり平和だった。









「オラァッ!」

・・・こちらは平和ではなかった。
枕が消えた枕投げは枕投げではない。
もうギルドで日常茶飯事のケンカになっていた。
もちろん、魔法は使わない。

「俺は今日こそティアに勝つ!」
「うざいうるさいしばらく眠りなさい!」
「ごべっ」

ナツはティアに勝つと意気込んだが、相手は自分のストッパー。
しかも海の閃光(ルス・メーア)やら氷の女王(アイスクイーン)の異名をとるティアである。
放った拳は綺麗に避けられ、代わりに腹に蹴りを決められた。

「ふぅ・・・久々に派手にコイツの相手したわね。せっかく温泉入ったのに汗だくじゃない・・・」

熱くなってきたのかショルダーバックから出した淡い水色の地に銀色の花模様の扇子で自分を扇ぐティア。
まだまだ暴れる4人を見て溜息をつき、足音1つ立てずに部屋を出て温泉へと向かっていった。







「あれ?」
「どうしたの、ルー」
「ロキだ」

ルーの指さした先には、倒れる男2人とロキがいた。
するっとルーシィから手を離し、ロキに向かって走っていく。

「ロキー!偶然だねっ!ロキも泊まりに来てるの?」
「ルー・・・と、ルーシィ!?」

その後ろにいたルーシィにぎょっとするロキ。
すぐさま近くの竹やぶの中に隠れた。

「ごめんなさい」
「何が!?」
「とりあえず落ち着いてよロキ。えーっと、君はこの男2人に奴隷として売られそうになって、やめろーって倒したって事でいいよね?」
「違うよ!?」

ルーの勝手すぎる解釈に思わずツッコむ。

「こいつ等は女性をくいものにしてるゴロツキの魔導士で、僕はこいつ等を捕らえる仕事の最中だったんだ」
「へぇー」
「何だ。てっきりロキが奴隷にされるのかと」

どこからそんな考えが浮かんでくるのか・・・まぁ、頭のネジの1本の代わりにシメジが刺さっているであろうルーの考える事は理解不能な事が多い。

「それじゃ!僕はこいつ等を届けなきゃいけないから失礼するよ」

早くこの場を離れたいといった感じで男2人を引き摺っていくロキに、ルーシィが声を掛ける。

「あのさ・・・この前は鍵を見つけてくれてありがとう」
「いや・・・気にしないで」
「ねぇ、よかったら少し付き合ってよ」
「え?」

ルーシィの言葉に明らかにロキは動揺する。

「こ、ここ・・この展開は!」
「ププ!」
「違うから」

目をハートにして期待するハッピーとプルーにルーシィは呆れたように言う。

「むぅ・・・」

ルーは1人不機嫌そうに頬を膨らませ、ロキを軽く睨んだ。







「はー・・・」

一方、部屋を抜け出し温泉に入っているティアはぐーっと腕を伸ばした。
先ほど濡れて厄介だった髪は高い位置でお団子に結び、近くの岩に頭を乗せる。
ひんやりと首元に冷たさが伝わってくる。

「・・・」

岩から頭を持ち上げ、露わになったうなじに手をやる。
ぎゅっと唇を噛みしめ、息を吐く。
夜空に映える金色(こんじき)の月を見て、少し顔を歪めた。
そして、無意識に口ずさんだ―――――――歌を。

「♪凍てつき色褪せた世界は
  生まれた意味さえ失った
  誰も近づけないこの世界で
  全てを閉ざし孤独に生きていく」






酒処『超特急』。
暖簾には『せんせぇしょん。』と書かれ、提灯には『カロリーオフ』と書かれている。
建物はやぶれかぶれの、東洋を知らない西洋人が作ったようだった。

「・・・」

そしてその酒処で、ルーシィとロキは3席離れて座っていた。
ルーはルーシィの右隣に座り、酒は苦手な為、水を飲んでいる。
ちなみにティア、ルー、アルカの中で1番酒が飲めるのはアルカだ。

「ねぇ・・・そんなに離れなくても・・・」
「ご、ごめん、ハハ・・・」
「前から聞きたかったんだけど・・・アンタ星霊魔導士に何された訳?」

ルーシィが聞くが、ロキは答えない。
先ほどのルーのようにルーシィはムスッとむくれる。

「言いたくないなら別にいいけどさー、一応あたしはあたしなんだよねー」
「うん・・・解ってるよ。ごめんね・・・本当・・・傷つけたのなら謝る。僕の事は忘れるといいよ」
「その恋人同士の別れのセリフみたいの何!?」

ロキは笑わない。
ずっと俯き、無言で、表情1つ変えない。
ハッピーとプルーは後ろで寝ていた。

「はぁ・・・まぁいいわ。ちょっと聞きたかっただけだし。鍵拾ってくれてありがと。アンタモテるのもちょっと解ったよ。それに何だかんだ言ってもやっぱり仲間なんだなぁって思った。それじゃあたし、そろそろ・・・」

ルーシィがそう言って立ち上がり、店を出て行こうとしたその時。
がしっと、ロキがルーシィの右手首を握った。
ルーがピクッと反応する。

「待って」

そう呟き、真剣な眼差しでルーシィを見つめると・・・

「!な、何!?」

がしっと、ルーシィを抱きしめた。
ルーがガタッと立ち上がる。

「ルーシィ・・・」
「は・・・はい!?」

ぎゅっと抱きしめる力が増す。
そしてロキは、言った。










「僕の命は、あとわずかなんだ」









「え!?」
「ロキ・・・?」

それを聞いたルーシィは目を見開き、ルーは震える声で呟いた。

 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
私8月生まれ何で獅子座なんですけど、だからか獅子宮の星霊って好きなんですよね。
あ、でも1番好きなのはアリエスとアクエリアスです!あとサジタリウスとか。

感想・批評、お待ちしてます。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧