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アマガミという現実を楽しもう!

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第4話:紳士達の華麗なる談義

おさらい!
紳士達の放課後を楽しんでいたら、本物の紳士達がやってきました!以上!








・・・・・


「そんなところでなにやってるの?」
「よう、何かあったのか?」





うん、間違いないだろう。少し顔つきが幼いが、こいつらは将来の輝日東高校の変態紳士達、橘純一と梅原正吉だ。まさか、こんなデアイイベントが発生するとは思わなかったぜ。それなら先にイベント選択画面を出しておいてくれよ~、あっはっは。いや~、エンターブレ○ンさん。ここにシステムエラー出てますよ~、エビコレ版ではデバックしておいてくださいね~。


おっと、現実逃避しているどころじゃない。落ち着け。この場をなんとか取り繕って、こいつらが俺達の崇高な活動を先生に報告して委員会が解散させられたら溜まったものではない。俺は入学当初から先生に目をつけられていて怒られることが当然だと思ってスルーできるけど、俺のソウルメイト達が怒られて評判が悪くなるのは避けたい。それに俺と遊んではいけない令が保護者に蔓延して、ぼっちライフ再開ということも考えられるしな。
そうだな、しゃがんでいてこいつらからは俺の靴と本は見えないし、あいつらが逃げる音を聞いていたかもしれん。ここは子どもの遊びの定番、「鬼ごっこをしていた!」って事で話をごまかすか。



「いや、ちょっと鬼ごっこしていて靴ひもがとれちゃっt「あー!おい橘、これえっちい本だぜ!」」
「うわー、梅原。僕、初めてこういう本見るよー。」


・・・目論見が初っ端で頓挫しました。こいつら、俺にさっとに近づいて、このお宝本「ローアングル探偵団」を見つけやがった。子どもの好奇心とその行動力って半端無いよな。就活の時の適性検査をやったとき、「考える前にまず行動する」、って選択肢があったけど、そのタイプは正に今ここにいるような奴らのことを指すな。


俺の足元に隠しておいたお宝本は、梅原によって拾われ、その中身を開かれた。橘も、梅原の肩越しに本の中身を見ていた。ページをゆっくりめくっては、二人で目を細めてページの一部を凝視したり(何を凝視しているのやら)、「おおー!」と手に力を入れて叫んだり忙しくしていた。叫ぶのはいいけど手に力を入れるな、雑誌にシワが入る。大学生以上とは違って、お金を稼ぐことが出来ないからそういった当たりのお宝を手に入れるのは本当に難しいんだぞ!


「う、梅原。スカートの短い人が階段上っていたらこんな風になっちゃうんだね・・・。」
「お、おお。少々短すぎるから、こんな風になっちゃうんだろうけど。」



と話す彼らをよそに、俺もここからの挽回のシナリオを必死に考えていた。この際は時間はどんな宝石よりも価値があるものでな。









という訳で俺の脳内会議スタート!


さて、今回は「お宝本を持ち込んだ俺を知った小学生2人が先生や周囲に広めないようにする」ということだ。この会議では、その課題達成のための戦術的な枠組みを作りあげる事が主目的である。諸君らの活気ある議論を期待する。



「例えば、こいつらの意識を物理的に絶って「僕たちが見たのは夢で遠野先輩という人とは出会いませんでした。」とする案はどうだろうか。」



「・・・マンガじゃあるまいし、一対二じゃ失敗する確率が高いと思うがの。」

「ゲームの棚町薫くらいの腕力とスキルが無ければ無理だぞ。」

「急所を狙う技量に問題があるため失敗の確率が高いし、物理的手段を用いるということで暴力的であるという風評が生まれる。俺にとってリスキーな選択肢だ、却下だな。」

「夢想。」



「では、より強い刺激のあるものを与えて俺に対する印象を薄くする方針はどうだろうか。これならば、物理的な衝撃を与えることも無く、そっちに対する意識で俺のお宝本のことなんて周囲に広げようとする気が起こらなくなるかもしれん。」



「小学生を対象として、エロより印象の強いものがこの学校内にあると思うかね。」

「偶然を装って、より上級者向けのエロを故意に与えるのか?正直、こいつら変態紳士の性癖が一般人のベクトルと大きく方向を変えるきっかけとなりそうで青少年を害することになりそうだ。道徳的にも教育的にも非難されそうだ。」

「実行しようにも時間不足や人的資材の不足で達成は無理だ。」

「外道。」



「・・・じゃあ、こいつらをいっそ仲間に組み込んでしまえばいいじゃん。」

「「「そ れ だ」」」

「了承。」








以上、トオノ・ミューティレーションの様子でした。
方針が決まり、現在は方針の枠組みと課題について話し合っています。

仲間に引き入れるという方針で決まったが、問題は引き込むタイミングだ。原作の高校生でのこいつらの性格ならば、簡単に引き込めそうだけど今のこいつらに当てはまるか否か。どこで会話の主導権を握って、人心掌握を行うか。さて・・・



「なぁ、エロの大将!あんた、こういう本を学校で読んでいるのか。」
「ああ、隠し場所があってそこで読んでいるんだ。尤も、最近の俺はそんなお宝のレベルじゃ物足りないがな。お前らはこういう本についてはどうなんだ?」



梅原にそう聞かれて、俺は軽く様子見のジャブを打ってみる。
乗ってくるか来ないか、次の話がどう出てくるか、表情はどうか、それをシミュレートしながら俺は考える。


前世で、仕事のやり方を教えてくださった小野田課長!仕事の指導やスキルアップの方法について厳しく指導してくださり、おかげでこういう場面でロジカルに考えることが出来ました!見ては欲しくないですけど、見ていてください!



「こういう本どうなんだって聞かれてもよ、こちとら小学5年だぜ?確かに興味はあるけどよ、俺らにゃまだ早いんじゃねえのか?」
「う、うん。僕もそう思う。興味はあるけど、本屋さんに入るのは恥ずかしいし。それに買おうにも、梨穂・・・桜井や美也がぺたぺたくっついてくるから、家に持ち込んだり出来ないな。」



梅原も橘も、紳士的な面を言葉の端から感じさせるものの、大人の意見や周囲の目から消極的であることを主張した。しかし、俺はそんな意見は予測していたさ。お前らが、成長してから他を圧倒する紳士になっていったことから推察してたさ。



「でも興味はあるんだろ?」
「まぁ、俺達も男だしな。」「うん、興味はあるよ。」



なんだか道徳的に駄目な人間を演じている気がするがそんなものはスルーしないとやっていけないぜ。
ジャブからワンツーに繋げて、試合の主導権をこっちに引き込むぞ。



「早いとはいえ、俺達は数年後どのみち読むのさ。早過ぎれば俺たちに変な価値観を植えつけてしまって、性癖、考え方、感じ方が他の人と違うようになってしまって悪い方向に進んでしまうかもしれない。だが、逆に俺は18歳までそういった本を経験をせずに過ごしたクソ真面目な奴の方が問題だ。大学での飲み会でのそういう話題についていけず、彼女を作った際でも学校で教わらないからどういうことをしたら良いか分からず短期で別れ、夫婦生活も学校の教本がないから性生活が巧くいかず堕落。そっちの方が生物学的な生き物、社会的な生き物として問題だよ。周囲の目が心配なら、そういう周囲の目の無い環境を見つければいい。」



なんだか、小学生のくせに先生みたいなことを言ってるな俺。諭すような声を作り、橘と梅原に語りかける。俺こそは愛の伝道師だ!決して、悪の道に堕落を導く精神的詐欺師では無いぞ!!







「でもよ、やっぱ親や先生の目は恐くねえか?」「うん。やっぱり先生に怒られそう・・・」


「愚か者!!!!」







カウンターの右ストレート。畳み掛けるならここだな!
先生の目や親の目を気にする人間は大きくならねえぞ!!



「先生や親の言うことを聞いて人生を幸せに過ごせる、だと?お前ら本気でそういってるのか!?いいか、男はいずれ自分の足を頼って動き、自分自身の頭で考えて動かなくちゃならないんだぞ!?就職したらもう親は助けてくれないんだぞ!先生は学校を去ったら、もう教育対象外にカテゴライズされるんだぞ!?それを自覚しろ!俺達の性は俺達だけのもので他に介入させちゃいけないんだ!戦わなくては、ここで!大人にコントロールされ過ぎないことをここで学ぶんだ!今!ここで!いつか自分達が社会で自分を持って戦う日に備えて!自分の思いを守るんだ!大人に勝つんだ、勝て!勝て!!」


「ファッキュー・・・ぶち殺すぞ」という焼き土下座を成し遂げた利○川さんみたいなことを言ってるな、俺。まぁ、一回人生で社会人として独り立ちした時まで体験しているから感じたことかな。


橘も梅原も、口をあんぐり開けたまま俺を見ている。
ボクシングで言うと足にキテる、最後の一撃だ。



「お前達を勝たせてやる。どうだ、俺たちと一緒に新世界へ来ないか?」



静寂。俺のシミュレートのルートが失敗していたか?
表情や空気の読み間違いをしていたのか?正直、ここで失敗すると俺の中学生活は最悪なものとなる。
失敗したら、他県の私立か国立中学の過去問をやって、他県に高飛びするかな・・・。


二人の様子を見る。梅原と橘の肩や足が震えている。どうなんだ、恐がらせて結果県外逃亡か、はたまた残留か!
梅原の口が開く。その時、俺・遠野拓に戦慄が走るッ・・・!!!





















「た・・・大将、いや!御師匠様!俺、梅原正吉、どこまでも御師匠様に着いて行きます!」
「ぼ・・・僕も着いていきます!感動しました!」






テクニカルノックアウト。俺の勝ちだった。
何はともあれ、残留できそうだ。良かった。響や知子、そして七咲や徹ら有害図書委員会の奴らのいる今の生活はそれなりに気に入ってるし、良かった良かった。



「そうか、おめでとう。君達もこれで俺・遠野拓12歳が率いる「有害図書委員会」の立派な一員だ。」


「ありがとうございます、お師匠様!」
「遠野先輩!よろしくお願いします!」



そうかそうか、はっはっはっは!!!安心したからか、何かハイテンションになっちまったぜ!頑張って「くれたまえ諸君!銀河を掛ける「有害図書委員会」の面々には、ホワイトホール!白い明日が待ってるぜ!!なんてな!まだ放送されてないけどな!はっはっはっは!!!」



「有害図書委員会・・・?たっくん・・・何をしていたのかな?」


ん?決まってるじゃねえか!たくさんのお宝に触れることで、一歩大人の階段を上る組織のことだよ!!はっはっはっは!!・・・ん?どうした?ソウルメイト・梅原にソウルメイト・橘。そんなキョドった行動をして。」


「へぇ、お宝・・・ねぇ。たっくん、最近付き合いが悪くなったのはそういうエッチなことをしていたからなんだ。ふーん。」


え・・・こ、の、こ、え、は、
俺は後ろを振り向く。
















鬼の形相をした知子が、他を圧倒するオーラを持って立っていたのである。
あ~、これは逃げられないな、テヘ☆




「友達やお兄さんを探しているっていう子を探してたときに、たっくんの姿を見つけたと思ったら、なに年下の子達を悪の道に引き込もうとしてるのよ!!!」





瞬間、知子の右腕が消える。
いてぇ、腹筋がいてぇ!!!左の腹部に右のボディーブロー(勿論物理的な意味で)、意識が持ってかれる!!
しかも、ボディーブローした手にに持ってる水晶は何だよ!!


知子に説教&物理的な教育的指導を受けていながら、知子の後ろを見ると、茶色がかった髪の毛を持つ柔らかい雰囲気を持った女の子、ところどころ髪が跳ねたネコっぽい女の子と手を繋いでいる響がため息を吐いていた。やれやれ、といった感じだ。さらに後ろに誰か隠れているような気がしたけど気のせいかな?女の子たちが俺に指をさしているのが見える、響は「大丈夫。いつものことだから。」といってる気がするぞ。これが・・・いつも

の痛みなのか・・・?


ぐふ・・・、意識が跳びそうだ・・・。
お・・・?響と手、を繋いでいた女、の子たちが手を離、してこっちに向か、グフ!、ってくるぞ・・・?



「にぃに、梅ちゃん!どこ言ってたのぉ?みゃーとりほちゃん、すっごく心配してたんだから!」
「純~一~、梅原く~ん。大丈夫~?」



ああ、やっぱり美也と梨穂子だったのか。
グフッ!・・・合流、出来たの、なら、早めに逃がしてや、らねば!!



「ソウルメイト・橘純一、梅原正吉!その子たちを連れて逃げるんだ!!」



「しかし、殴られてる遠野先輩を置いていくわけには・・・!」

「御師匠様!俺達はここに残ります!」



「馬鹿野郎・・・、お前は俺の、ソウルメイトであり後輩だ。だから、俺が守、ってやんよ!さあ、俺がこの怪力水晶女を、相手している、うちに逃げるんだ!!」


「し、師匠!!」「先輩!」と咽びながら二人が話す。お?俺、ガフッ!今かっこよぐ、ねえか?二人は敬礼(軍隊での最高礼)を行い、俺は左手で返礼する。



「いくぞ美也!梨穂子!」「あ、待ってよにぃに!」「ししょぉぉぉぉぉ!!!」「じ、純一、待ってよ~!」・・・・



俺はそのまま意識を失った。後で響に聞いた話だと、目がグルグル捲きの上にカエルみたいに伸びていたらしい。写メールがこの時代にあったら、もう生きていけないな。携帯電話のない時代で本当に良かった。

・・・・




















・・・・

目を醒ますと、小学校の校舎のベンチの上。時刻は夕方6時・・・、練習さぼっちまったなぁ。はぁ。
すぐ傍には響がおり、少しはなれたところに知子が遠巻きに俺に対して視線を投げかけていた。



「はめを外すのは良いけど、ほどほどにしようね。拓君。それから、今日はスクールにはお母さんにお休みを入れておいたからね。あと知子が、やりすぎたってしょげてたから後で謝っておきなさい。」

「はい・・・。」



響が俺の頭を撫でて、その場を離れた。あいつは本当に俺のお袋さんだよな・・・、本当に小学生かよ。
逢には悪いことしたな~、後日お小遣いでジュースをおごってご機嫌を取るかな。
響が知子の傍を通り抜ける際に目配せをしていた。入れ替えで、知子がやってくる。苦虫を噛んだ様な複雑な顔をしているなー。



「たっくん、ごめんなさい。ちょっと、やりすぎたわ。痛かったでしょ・・・?」

「いや、俺の方が妙なことをしていたから当然の報いさ。悪いな、わざわざ殴らせたりして。」


気にすんな、という感じで俺は知子の茶色がかったロングの頭に右手を置いて、くしゃくしゃする。知子は少し顔が赤くなって俯き、自身のTシャツのすその部分をギュっと掴む。目線だけこっちを見ている感じだ。うーん、まだ落ち込んでいるのか?なんか小声で、ボソッと言ったけどなんだろ?聞こえなかったな。


どうやら俺が失神した後に徹たちが、戻ってきて俺達の活動内容について説明したそうだ。それで響や知子は、先生には言わないことを約束して(流石に活動をすることは自重しろとの意見はいったそうだが)、万事円満に収まったらしい。


やれやれ、今日は橘や梅原、それに美也に梨穂子と原作キャラと多く関わる日だったな。関わること自体、原作の雰囲気をぶち壊してしまう可能性があるけどいいことなのかな?この人生を楽しく過ごす、って2年前のあの時に決めて色々行動して楽しんではいるんだけどな。やっぱり原作は原作のままがいいって思いもある。高校生活までには色々決断しておかなくてはな。







その前にもっと身近にやるべきことはあるけどな。



「○○夏季室内選手権」
俺達にとっては今年初の公式戦、逢にとって初の公式戦である。














ちなみに結構先の話であるが、「有害図書委員会」は俺達の卒業と同時に解体。
そこで得た友情は以降も持ち越されることとなる。




一部の噂では、橘、梅原という児童が翌年秘密裏に活動しているとの噂を徹から聞いたが、事実がどうかは確認していない。







(次回へ続く) 
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