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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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短編 一輝と安倍晴明 ③

「・・・ちょっと待って。一分でいいから時間をくれ。自分の中で今の状況を整理したい。」
「ええよ。すぐに理解は出来ないやろうし。」
「では、お言葉に甘えて。」

――――1分後――――

「つまり、アンタはあの、清明神社に奉られてる陰陽師の安倍晴明で、ここは俺がいた時代から見た過去。俺が何でここにいるかというとアンタのほうで何か目的があったから、で合ってるか?」
「ああ、おおむねその通りや。じゃあ、詳しい説明に入ってもええか?」
「ああ。とりあえず全部話してくれ。」

一輝は宣言通り、一分で現状を理解し、話を進めるよう言った。

「じゃあ、君は酒呑童子ってしっとるか?」
「ああ。たしか、あんたが見つけて、誰だったか忘れたが他のやつが討伐した、日本三大悪妖の一体だろ?」
「そ。でも、ボクはその歴史に納得しておらんのや。」
「と、言うと?」
「まあ、簡単なことや。何でボクの手柄を他人に横取りされなならんねん、って。」

一輝はその言葉に、ものすごい疑問を抱いた。

「なら、報告せずに討伐しちゃえばよかったじゃねえか。それで万事解決だろ?」
「いや、そうもいかんねん。さすがに、この時代のボク一人で酒呑童子の一派を倒せるわけはない。だから援軍を頼もうとおもっとったんやけど、」
「それよりも、別働隊を動かそうとなった、と。」
「正解や。さて、ここまで言えば全部理解したんとちゃう?」
「ああ・・・つまり、俺のいた時代で神様になったアンタは、その力を乱用して歴史を変える・・・それが出来なくても枝分かれを作ろうとした?」
「そ。まあ、そのためのパートナーが必要やったからってあそこまでしたのはやりすぎやとは思っとったが。」

ほんとうやで?と晴明がいうが、一輝はそこまで心中穏やかではない。

「でも、何人かの人が死んだのは変わりない。」
「せやな。それに、たくさんのものを壊してしもうた。でも、やれる範囲でもとにもどすで?」
「その範囲は?」
「まあ、死者を蘇らせるだけや。そのほかのことは出来ん。」
「・・・まあ、それだけやってくれればいいか。それに、過去で大暴れってのも面白そうだし。」

一輝は、それだけ確認できれば問題ないようで、

「ほな、手伝ってくれるんか?」
「ああ、さっき言った事を守るならな。」
「・・・よし、もうやったで。これで契約成立や。」

すぐに手伝うことになった。



           ======================



「・・・なんでこんなに歩くようなところに召喚したの?もう少し距離をつめといてくれても・・・」
「いや、君がボクに勝負を挑む可能性もあったし、これぐらいは距離をおかな。」
「はあ・・・酒呑童子を酔わせる酒もないって言うし、準備もう少しぐらいしとけよ・・・」

そう、流石は神様というか、晴明は何の作戦もなしに一輝を呼び、酒呑童子のもとに向かっているのだ。
まあ、一輝も基本無計画なので、人のことは言えないが。

「いや、作戦はあるで?さっき話したやろ?」
「ああ。晴明が酒呑童子を相手して、残りの五人を俺が一人で相手するってふざけた作戦をな・・・!」

そう、この人の作戦というか、目的としては酒呑童子さえ倒せればいいようで、残りを一輝に押し付けてきたのだ。もちろん、今上がった六体に追加して残りの取り巻きの鬼どもも含む。

「ええやろ?あの式神に圧倒できるならどうにでもなるやろうし。」
「はあ・・・もういいや。分かった、引き受けますよ。」

一輝はそう言いながら自分の中にある檻の入り口を閉じる。
勝手に別の時代の妖怪を封印して、世界などに歪みが出来ても困るから、封印できないようにしたのだ。

「ほな、よろしくな。もうすぐそばやし。」

晴明がそういうので一輝が前方を見ると、もうすぐそばに鬼達がいるのが分かる。
一輝は一瞬で真剣な顔になり、倉庫の中から日本刀と水、チャッカマンなどの武器を取り出し装備する。

「OK。準備は出来た。いつでもいけるぞ。」
「ほな・・・行くで!」

二人は同時に走り出し、鬼に向かっていく。

「敵襲」
「ウォーターカット!」

それに気づいた鬼が大声で知らせようとするが、そのまえに一輝が切る。
だが、間に合いはしなかったようで、

「全員、構え!敵襲者を葬れ!」
「「「「「「応!」」」」」」

鬼達が陣形を組み、その後方に酒呑童子らしき妖怪が立つ。

「あらら、間に合わへんかったか。」
「ま、仕方ないだろ。これに乗れ!」

一輝が出した水に晴明が乗り、酒呑童子のもとに一直線で向かっていく。
そして、一輝は

「千本斬り、鬼直!」

日本刀を勢いよくふることで巨大な斬激を放ち、雑魚の鬼を全て殺す。

「さあ、やろうか酒呑童子?」
「ほう、我に勝負を挑むか。よかろう、相手をして」
「いえ、このようなものに頭首が相手をするまでもありません、私がやります。」

酒呑童子に仕える四天王の一人、虎熊童子が晴明と酒呑童子の間に立つが、

「わるいが、テメエらの相手は俺だ!」

一輝が横から殴り飛ばし、さらに空気の弾を飛ばすことで四天王と茨木童子を酒呑童子から引き離す。

「キサマ、邪魔をするな!」
「悪いが、断らせてもらう!これが、俺の今回の仕事だからな!」

一輝は式神を展開し、結界を張ることで完全に隔離する。
そして、そのまま自分の武器を自分の周りに漂わせ、まず熊童子に攻撃を仕掛ける。

「お、俺に来るか!いいぜ、ぶっ殺してやる!」

そして、熊童子が防御の構えを取ると、その上から殴りつけ、手につけた水を放つ。

「な・・・そんなのありかよ・・・」
「ありだよ、これくらい。俺の能力を抑えて使ってるだけありがたいと思え。」

一輝はさらに水を放ち、その命を奪うと、死体を後ろに投げる。
この様子に残りの四体が固まるので、

「さあ、かかって来いよ。少なくとも、全員で来ないと死ぬぞ。」

そう挑発をかける。
流石は鬼というべきか、その挑発に鬼どもは反応し、

「いくぞ!コイツをどんな手を使ってでも始末しろ!」

一輝に襲い掛かってくるのだった。
 
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