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黄昏アバンチュール

作者:どるちぇ
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始まった練習




8.


そして、次の日から本格的に運動会の準備が始まった。赤団の応援団のこんせぷとは明るく元気に、ということらしく、ダンスも可愛らしいものになっている。
それぞれの団でダンスのコンセプトが決まっている。赤は明るくかわいらしい感じ、青はかっこよさの追求、黄色は派手でけばけばしい。白は少し不思議な感じである。これは長年受け継がれている伝統で、自分がどんなダンスを踊ることになるから完全に運でしかないのだ。


朝練、昼練、放課後練、とあり放課後練は部活が終わってからも一時間ほどすることができる。だが、直前になるとダンスができていない人は部活を休んででも来い、という雰囲気になってくる。


結局、私にはクラスの男子からメールがきて、ケータイのアドレスをほとんどに人に教えていない沙耶は直接頼まれ二人ともペアダンの相手が決まった。
沙耶は知らないだろうが、沙耶にペアダンを申し込んだ男子は沙耶に片思いをしていると巷で噂になっている人物だ。
どうなってしまうのか、少々不安だ。





練習は順調にすすんでいる。ダンス部の人達が主に教えてくれるのだが、私も沙耶もそれなりに真面目に練習に参加しているので、当日までには完璧に覚えられそうだ。
ちゃんと練習にいけば、部活の時間を削って放課後練に行かなくてすむ。





応援団に入っても部活にはちゃんと行っていた。一年生も応援団に入っているので、はじめの頃よりも出席率は落ちているが、来ていることには来ているので私もいないもいけないとおもったからだ。


「ごめんなさい。掃除で遅くなりました。」
「あ、きたね、準備手伝って」最初にやってきたのは溝口さんだった。
「溝口さんって荒川くんと同じクラスだったよね、今日来るって言ってた?」
「…わからないです。でも、応援団のほう今までいってなかったみたいで…最近慌てて練習行ってるみたいです。」
「そうか…じゃあ多分来ないな、あ、春くんきた!!」
「こんにちは」
春くんのあだ名で通っている篠宮春樹くんはなかなかの美少年だ。応援団もやっているらしいのだが、女子からペアダン誘いがあったほどらしい。本人がいうには誰でもいいそうで、最初に誘われた人にOKを出したらしい。

「準備も終わったし…そろそろ始めるか」
挨拶をすると、まずアップから始める。時間をかけて体をほぐさないと怪我をするのだ。特に、まだ筋肉のついていない一年生は念入りにアップと柔軟をしないと危険だ。
アップをして、柔軟をすると次に倒立をする。
倒立といっても一年生はできないので壁倒立だ。一ヶ月くらいかけて三十秒から、一分、最終的には二分間倒立をできるようにする。
倒立を体操をやる上での基礎だ。これができないと始まらない、言っても過言でらはないくらい重要だ。

「お、落ちる…」溝口さん足がずりずりとさがりはじめた。
「あと十秒、足抑えてあげるから、がんばっ」
そういって、足を上に引き上げてあげる。
「はい、一分半終わりっ」
隣で篠宮くんが滑り落ちた。
「…大丈夫?」
「なんとか」といって微笑んだ。やはり、男子の方が筋肉も体力もある。

「じゃあ、休憩したら床はいろっか。男子は…男子に聞いて」
「「はい」」


「これから床入ります、礼」
器具に向かって挨拶をする。体操は意外とそういう礼儀を重んじる競技なのだ。
「今日なにしたい?…今までの感じだと、倒立前転と、側面かな?」
溝口さんはふたつともなんとかできているが、それだけではだめなのだ。平均台の上でやることを前提にして床での練習をするので、側転も、倒立前転も線に沿ってまっすぐしないとだめなのだ。
「手、遠くにつくんだよー」
横で時々補助をしながら自分の練習も同時に行う。
今日は床しか出していないので、やることも限られてくる。
とりあえずロンダートをしてから、ロンバク、ロン宙をしてからトランポリンに移動した。ロンバクはロンダートにバク転をつなげる。ロン宙は宙返りをつなげるのだ。最近は前宙ハーフを練習しているのだが、やはり捻りをやるのは今までと別種の怖さがある。
前宙など一瞬体が浮いているような変な感覚になってしまうのだ。

ふと隣をみると溝口さんが倒れていた。
「大丈夫?」
「疲れました…」おでこからは汗が流れ落ちている。まだ、夏らしい夏はきていない。
「疲れたら、水のんで休憩してきなよ、あ、でもその前に一回みして?できるようになった?」
「おー、だいぶうまくなったね」
「倒立がとまらないんです…」
「あー、それはね、手が近すぎるのと、勢いが強すぎなんだよ。背中から落ちるのはそのせい。あと、腰硬いのもあるかもね」
「わかりました。やってみます!」
溝口さんは真面目だしいい子だ。きっとすぐに上手くなるだろう。
そんなたどたどしい背中をみながら、自分が体操を始めた頃を思い出していた。



「いーやーなーのっ、まだ帰らないんだからっ」
練習したい、体操をやりたい、と純粋に思っていた自分が懐かしい。
あの頃はまだ、母親だって優しかった。私に優しくできるくらいの余裕だってあったのだ。

いつからこうなってしまったんだろう…どこで、狂ってしまったのだろう



「…」
「…ぱい」
「せんぱいっ」

「あ、ごめん、ぼーっとしてた…」
「もう片付け始まってますよ?」
「ん、やる」


「なんか、今日は放課後練行きたくないなー…、一人で帰りたい。沙耶…ごめんね」
そう心の中で謝りながら沙耶にメールを打った。 
 

 
後書き

最近書くペースがのろい…
できるだけ頑張ります。

いろいろミスがあるような気がしてならないんだ… 
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