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ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。「永久の愛を」《1st》

作者:斎藤海月
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第一章
*エースとの別れ*
  雷が泣いた日。

 
前書き
サヨナラ。7からの続きです 

 
最初はエースと会いたくないからって言って


嫌にでも戦場へ出ようとしなかった


けど、冥王レイリーから重大なことを聞いたあたしは


自分に嘘を付いてジジイに話を聞き出す為だとか何とか言い聞かせて


九蛇海賊船に乗り込んだ


最初からあたしは傍観してるだけって言ってたのに


自分からは動かずにレオンたちに任せて


蛆虫がうじゃうじゃと集まって来た時だけ少しだけ動いてた


最初から何もかも自分が思っていたこととは違うって事だけが分かると


最後はどうなろうともういいやって思ってた


エースさえ助かれば後はどうでもいいって思ってたのに


後々で自分自身を恨む事になるんだ



レオン『リノォォォ!!!!!!!!』


リノ「!?」


メリーサ『何だ!?』


結構離れた場所からいつもなら聞く事のない声が


あたしとメリーサの会話を遮らせるとあたし達の目に飛び込んで来たのは


さっきまでは兄弟揃って嬉しそうな、楽しそうな、活き活きとした顔をしていたのに


その二人の表情にはさっきまでの表情は消えていた


リノ「あのバカ!!」


あたしが近くにミファルがいないかと捜していた時、


あたしの考えを読み取ったメリーサが前に飛び出した


メリーサ『リノ止めろ!!』


リノ「メリーサ!!邪魔しないで!!」


メリーサ『駄目だ!!!今!行ってはならない!!』


リノ「何で?!」


メリーサ『それはお前が――』


何かを必死に伝えようとしていたメリーサだったけど


もうこれ以上はメリーサの話を聞いていられないと思ったあたしは


ミファルの姿は見つけられなかったとしても


心の中か頭の中でミファルの声が聞こえたような気がした


『リノ、行くよ』って


だからあたしはクスッとだけ微笑むと殆んど叫ぶように言った


リノ「お願い!!」


メリーサ『リノッッ!!!』


・・・けど・・・もしもあたしがこの時、


ちゃんとメリーサの話を聞いてればこんな結末にはならなかった


赤犬「死ねェェッッ!!!」


蛆虫船長へとマグマの拳が飛んで行った時、


リノ「ダメッッ!!」


咄嗟の護りに蛆虫船長の前に立って電撃の盾の攻撃範囲に入ったアイツは


あたしの電撃の盾に麻痺されたとしてもその麻痺はすぐに消えて


赤犬「退けェェェッッ!!!」


マグマの力だけであたしの盾を破った


リノ「嘘・・・!」


エース「リノッッ!!!」


リノ「エース・・・!」


痛む腕を抑えながらもエースが必死にあたしの元へと手を伸ばし、


あたしもエースの手を掴もうと腕を伸ばした


少しの距離があったとしてもあたしの頭にはそんな事は考えられなかった


ただただ誰一人守れずにここで死んでいく、って事だけを考えて


弱い自分は絶対に見せたくないって思ってずっと我慢してた涙が頬を伝って零れ落ち


背後からは蛆虫船長の息を呑む声だけが聞こえてギュッと目を閉じた


次に来る痛みも覚悟して目を閉じたはずだった


・・・・・・・・・なのに


リノ「!!!・・・エース・・・!!!」


あたしの目の前にいたのはエースで


エースはあたしを守るように腕を大きく広げていた


リノ「エー・・・ス・・・」


こんなはずじゃなかったって言葉だけがあたしの頭の中でガンガン鳴り響くと


エースのお腹から突き出しているマグマの拳に


何も出来ずにただただ立ったままだった


ラフュー『テメェッッッ!!!』


エースのお腹から拳を取ったアイツ(赤犬)の元へラフューが何処からともなく赤犬を思い切り蹴り飛ばすと


力を失ったエースが前倒れになると震える手でエースを支えた


リノ「エース・・・!!エース!!」


ようやく我にかえると止まらない涙と自分じゃどうすればいいのか分からなくて


二人して地面に膝を付けるとエースが優しく笑った


エース「リ・・・ノ・・・怪我は・・・ねーか・・・?」


リノ「っ・・・エース・・・!!待って・・・すぐに・・・直すから・・・!!」


エースのお腹に手を当てて能力を使おうとしても


上手く力が使えずに血はどんどん増えていくばかりだった


リノ「どうしよう・・・血が・・・止まらない・・・ミィル・・・!!」


ミィルを捜そうと周囲を見渡した時、


斜め前から黄色い一筋の閃光があたしたち目掛けて放たれた


リノ「ッ!!」


けど、すぐに反応した盾が一筋の閃光を打ち砕くと


あたしの意思に関係なく、誰もあたしたちに近づかないようにと大きな盾を造り上げた


リノ「エースは絶対に守る!!」


そう言ってエースのお腹に触れた時、


肩で息をしていたエースの手があたしの右手の上に添えられると


優しく抱きしめて片方の手は肩の近くに、もう片方の手は腰辺りにあった


エース「・・・もう・・・止めろ・・・」


リノ「嫌・・・!エース!!」


エース「もういい・・・もう・・・止めろ・・・」


リノ「どうして・・・!!」


前にもこういう事があったから尚更、胸が締め付けられた


あたしたちがまだ一緒に旅をしてた時、


立ち寄った島にいたガラの悪い海賊たちがワザとエースにぶつかって


いちゃもんを付けられて散々言われたのにそれでも何も言わなかったエースに


あたしが勝手に怒ってた時、前もこうして同じ言葉を言ってた


だからあたしにはエースがこういう意味が分からなかった


リノ「ダメ・・・!!そんなの絶対嫌!!」


ミィル『リノ!!』


エースの鎖骨辺りにおでこを置いて泣くあたしを見たミィルは


電撃の盾から入って来ると一瞬だけ戸惑った後ですぐにエースの回復をし始めた


・・・けどエースのお腹の傷は一向には直らなかった


ミィル『どうして・・・!?どうして傷が・・・!!』


リノ「!?・・・まさか・・・」


エースの腕をするりと抜けて、


お腹の怪我は治るどころか何にも変化は無かった


この時にあたしの頭の中に浮かんできた考えは


〝アイツ(赤犬)が何かを仕掛けたんじゃないか〟って事だけだった


ラフューに飛ばされたアイツを探すと


アイツは血を流して地面に倒れていたけど目だけはあたしの方を見て笑っていた 
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