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Element Magic Trinity

作者:緋色の空
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INSPIRE


ティアが最後にして最強のエレメント4・・・アリアを倒した同時刻。
巨人の描いていた禁忌魔法、煉獄砕破(アビスブレイク)の魔法陣は完成し、今まさに発動しようとしていた。

「全員ふせろォォっ!」
「ふせて何とかなる魔法じゃねぇだろォ!」
「ひいいいっ!」

それを見て慌てふためくギルドメンバー達。
それを見たクロスは悔しそうに顔を歪め、持っていた雷光の剣を別空間に戻した。
そして別の剣を手に持つ。

「ヒルダ!」
「はい!」
「『アレ』を頼む!」

クロスの言葉にヒルダは目を見開いた。

「で、ですがアレは・・・」
「そんな事を言ってる場合ではないだろう!俺達に支障が来ようが、マグノリアの街が無事なら構わん!」
「いや、そうではなく・・・今からでは間に合いません!」
「!」

それを思い出したクロスはヒルダから巨人に目を移す。
その手に握られているのは、封印の剣(ルーン・セイブ)
物質は斬れないが、魔法を斬る事が出来る剣だ。

「仕方あるまい。もしもの場合は・・・!」

クロスは巨人に切っ先を向ける。
そして発動されるであろう禁忌魔法に構えた、その時・・・!

「!」
「なっ!」

突然巨人の左腕が崩れた。
否、腕だけではない。
ファントムMk2の全体が崩壊を始め、大きな轟音を立てながら音と共に崩れ、巨人は傾き、魔法陣は消え去った。

『オオオオオっ!』

それを見て歓喜の声を上げるギルドメンバー。

「やったんだね・・・皆・・・」
「・・・そうだった。姉さんは・・・」

カナが巨人を見上げて呟き、クロスは剣を先ほどの雷光の剣へ戻す。

「俺の姉は、狙った獲物を確実に仕留めるんだった」






「おおっ!」

突然揺れた巨人に、ナツの体もぐらっと揺れ、ハッピーはこてんと血に落ち、ティアはフラッと倒れ込んだ。

「ティア!」

いくら魔力が回復したとはいえ、怪我を負っている事も事実だし、ジュピターに向かって撃った魔法が最大威力である事も事実。
突然の揺れに耐えられるほど万全の状態ではないだろう。

「だ、大丈・・・夫、よ・・・ハァ、ハァ・・・これ、くらい・・・」

慌ててナツが支えると、ティアは無理矢理立ち上がる。
そして再び、座り込んだ。






「何だ!?」
「ナツの奴がやったのか!?」

そんな2人とは別の場所にいるグレイ達は、まさかティアがいるとは思っていない為、今この場にいないナツが倒したのだと思い込む。
まぁ、何はともあれ・・・

「止まったのよ!煉獄砕破(アビスブレイク)は消滅したんだわ!」





「ありえんっ!」

ここは巨人の操縦室。

「エレメント4が妖精の尻尾(フェアリーテイル)のクズ共相手に全滅したというのかぁっ!?」

己のギルドでS級クラスのエレメント4が、まさか妖精相手にやられるとは・・・ジョゼの怒りが爆発する。

「ひっ」
「いや・・・」
「これは何かのマチガイですよ・・・」

叫ぶジョゼをファントムメンバーはなだめようとするが、ジョゼの怒りは収まらない。
そして残念ながら、エレメント4がやられたのは間違いでも何でもない。
本当の事だ。現実だ。

「ガジルとシュランはどこにいる?」
「そ、それが・・・どこに行ったのか・・・」
「俺達ならここにいるよ。マスター」
「!」

背後から聴こえる声は、今現在探している2人。
いや、正確には声を出しているのは1人なのだが・・・。

「エレメント4が全滅だぁ?まあクズにやられたんなら奴等も同じクズって事さ。ギヒヒ」
「あらあら・・・エレメント4が全員やられるなんて、初めての事じゃありません?」
「こんな事なら早めに俺達が戦線に立てばよかったかねぇ」

そう言って不敵に笑うガジルは、少女を抱えていた。
その少女はシュランではなく・・・綺麗な金髪(ブロンド)の少女。

「マスター、お土産だよ」

ガジルは小脇に抱えていた傷だらけの少女・・・ルーシィをドサッと床に落とす。

「ルーシィだと!?どうやって」
滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるガジル様の嗅覚を甘く見ないで下さいませ」

ナツは視覚・聴覚・嗅覚が並の人間より優れている。
それは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるからだ。
つまり、同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるガジルも、ナツと同様に視覚・聴覚・嗅覚が優れているのだ。

「てか・・・ガジルさん・・・」
「い・・・生きてんでしょうね?」
「ルーシィが死んじまったら金はもらえねーっスよ」

ピクリとも動かないルーシィを見て生死の心配をするファントムメンバー。

「ん~~~」

ガジルは少し考えるような素振りをする。
するとシュランはルーシィに向かって歩き、その右手首に指を当てた。

「生きていますね」
「んだよシュラン・・・相変わらず甘ちゃんだな」

ガジルの言葉に対し、シュランは無言で立ち上がる。
とその時、シュランのローズピンクの姫カットがゆらりと揺れ、一筋一筋に赤い光が2つ灯った。
それを見たメンバー達は震えあがる。

「ケッ・・・俺を食いちぎろうってか」
「いいえ。ガジル様にそんな事はしませんわ・・・するとしたら、妖精達に」

うっすらと優しげな笑みを浮かべるシュラン。
髪から赤い光は消えていた。
ジョゼはニッと口角を上げる。

「さすが我がギルド最強の男ガジルさんと、最強の女シュランさんですね」





ここは『隠れ家』。
『先ほどまで』ルーシィがいた場所だ。

「!リーダス!」

そこにやってきたロキは、ボロボロの隠れ家の中に倒れる傷だらけのリーダスを見つけた。

「オイ!リーダス!しっかりしないかっ!ルーシィはどうした!?何があったんだ!?」

ロキがリーダスに声を掛けると、ゆっくりとリーダスは口を開いた。

「ゴメン・・・俺・・・守れな・・・うぐ・・・」
「さらわれたのか?」
「ゴメン・・・ゴメ・・・うっ・・・」

リーダスはロキの問いに答えず、ただただ謝り続ける。

(イヤな予感はしていたんだ・・・していたのに・・・)

ロキは星霊魔導士を嫌う。
理由は不明だが、ギルド内では「昔女絡みで何かあった」と思われている。
その為、星霊魔導士であるルーシィに声を掛ける事はもちろん、近くに行く事さえビビってしまうのだ。
が、今はそんな事を言っている場合ではなかった。
嫌いだろうと何だろうと、狙われているのはルーシィ。護らなければならなかったのだ。

(君の近くにいるのが怖かった・・・!最低だっ!くそっ!)

ロキの目に涙があふれる。
スケッチブックに、眠るルーシィが描かれていた。






『|妖精の尻尾の皆さん。我々はルーシィを捕獲しました』

突如響いてきたジョゼの声。
その声はギルド内はもちろん、ギルドの外にも響いていた。

「何!?」
「ルーシィちゃんが!?」

衝撃の言葉にメンバーは驚き、サルディアはこれでもかと言うほど目を見開く。

「そんな・・・」
「隠れ家がバレたの!?」

グレイ、ルー、エルフマン、アルカ、ミラも驚く。

「うそ・・・」

ハッピーが呟いた。

『1つ目の目的は達成されたのです』

そのジョゼの声が消えると、操縦室で何者かがルーシィの結んだ髪を引っ張る。

「痛っ!やっ!」

ズズズ・・・と引きずられていくルーシィ。
そして鈍い音が響いた。

『きゃああああ!』
「え!?」
「ルーシィの声・・・!?」
「オ、オイ!ルーシィに何をしたァ!」
『聞こえたでしょ?』

鈍い音と共に聞こえてきたルーシィの悲鳴に様々な反応を示す。

「やめて・・・!」

ミラが耳を抑え、グレイ達4人は目を見開いた。

「・・・!」

ナツは怒りで小さく震える。
座り込むティアも呼吸を整えながら、ジョゼがそこにいない事は承知でギルドの壁を睨みつけた。

『我々に残された目的はあと1つ』

ジョゼの言葉に反応するように、幽兵(シェイド)の様子が変わる。

「なっ!」
「ぐぁっ!」
「コ・・・コイツ等!」
「急に戦闘能力が上がった!」
「うあっ!」
「がはっ!」

突然先ほどより強くなった幽兵(シェイド)に苦戦するギルドメンバー。

『貴様等の皆殺しだ。クソガキ共』





場所は戻ってファントムの操縦室。

「マスター」
「どうしました?シュランさん」

何かを考えるように俯いていたシュランが口を開く。

「私も戦っても宜しいでしょうか」
「おや、珍しいですねぇ。シュランさんは常にガジルさんについて行くだけでは?」
「・・・どうしても、相手したい妖精がいるのです」

そう呟くシュランの脳裏に、ギルドに乗り込んで来た際の光景が過る。
自分達がアリアの魔法で姿を消した時、真っ直ぐに、微細な感情も含まない冷たい瞳でこっちを・・・否、シュランを見ていたあの少女。
あの眼は感情が篭っていない様で、闘志に満ちていた。

「そうですか・・・ご自由にどうぞ。我々としても、シュランさんに戦って貰えれば嬉しいですからねぇ」
「・・・では、行って参ります」

そう言い残し、シュランはスッと姿を消した。
するとジョゼはシュランに向けていたどこかにこやかな笑みを消し、怒りを浮かべる。

「ルーシィを見張っておけ」
「ん?」
「ギルドの中に何匹か虫がいる」

ガジルにルーシィを任せ、ジョゼは操縦室を出る。

「もう奇跡は起こらねぇと思い知らせてやる。この俺自ら片付けてくれるわ」






一方その頃、ナツ達は。

「あいつら~・・・」
「くっ・・・」

先ほどの放送を聞いて怒りを浮かべるナツとティア。
すると・・・。

「ナツ・・・」

か細い声が聞こえてきた。
その声に反応して、声の主に視線を向ける。
そこにいたのは、ティア以上に傷を負い、ボロボロの状態の・・・

「「「エルザ!?」」」

エルザが立っていた。

「ちょっとアンタ!そのケガで動いていい訳ないでしょう!今すぐギルドに・・・」

エルザの容態を心配するように叫ぶティア。
しかしエルザはティアの声を無視し、ナツの肩を掴んだ。

「ナツ・・・力を・・・解放・・・しろ・・・お前には・・・まだ、眠ってる力が・・・ある・・・」
「!」
「自分を信じ、貫き・・・呼び起こ、せ・・・今がその時だ・・・ルーシィを、ギルドを守るんだ・・・」

途絶え途絶えにそう言うエルザ。
そして一呼吸置くと・・・。


「行けぇっ!ナツ!お前は私を超えていく男だっ!」


エルザの必死の叫びを聞いたナツは、その言葉に込められた思いを肌でビリビリと感じる。
そんなナツをハッピーは驚いたように見つめ、ナツはゆっくり立ち上がった。

「うおおおおおおおっ!」

そして体中に炎を纏い、駆け出して行った。

「・・・くっ」

それを見送ったエルザはダメージの影響でその場で崩れそうになる。

「全く・・・ギルドで無茶をするのはアイツだけで十分なのよ。アンタまで無茶しないでもらえるかしら」

が、それをティアが支え、近くの瓦礫にもたれ掛からせた。

「すまない、ティア・・・」
「そう思うならもう無茶はしないで。見てるこっちがヒヤヒヤするわ」

はぁ、と溜息をつき、エルザから少し離れる。
きょろきょろと辺りを見回して敵が来ないかを確認すると、エルザに向かって口を開いた。

「私はこの辺りを少し見てくる。いい?大人しくしておきなさいよ?」
「・・・」

ティアの言葉にエルザは黙って頷く。
それを確認したティアは奥へと走っていった。







一方、マグノリア東の森の木の家。

「!」

ポーリュシカは窓から目を逸らし、目を見開いた。

「・・・マカロフ」 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
少しばかり皆さんにお聞きしたい事があるのですが・・・。

もうこれ、随分と先の話なんですが、大魔闘演武編、あるじゃないですか。
はっきりネタバレになりますけど、妖精の尻尾(フェアリーテイル)チームCを作ろうかと思ってるんですね。オリキャラ多いし。
まずはチームCを作るべきか、作らないべきか。

そして次に、これは作る事になったら、です。
Cチームはメンバー全員オリキャラで行きたいと思っています。
その際、1日目は最下位で終わったじゃないですか。
やっぱりCチームも1日目は惨敗させるべきか、それともまぁまぁいいトコまで行くか。

続いて、これは大魔闘演武とは関係ありませんが。
「オリキャラ多すぎ」と意見を貰ったにも拘らず、懲りずにオリキャラを増やす緋色の空さんは、化猫の宿(ケット・シェルター)に所属するキャラを作ろうかと思っているんです。
で、あのギルド・・・ウェンディしかいませんが、ミストガンと知り合うじゃないですか。
それであのギルドが出来たという事は、オリキャラもミストガンと知り合うべきだと思うんです。
という事は、7年前に親が消えている滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)設定が1番いいんですが・・・。

X777年、7月7日 ドラゴンが消える。
現在原作には7人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)がいる。

・・・ご覧の通り、「7」がいっぱい並んでるじゃないですか。
でもここにオリキャラ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を入れたら、人数が8人になるんです。
ここまで7が並んでいるのって何か意味があるのかな、と思って、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)設定にするかしないかで悩んでます。
余談ですが、この理由の為、「百鬼憑乱」のカロンやこの作品のティア達は滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ではないのです。

長々と申し訳ありませんが、駄文作者&文章力皆無脳の緋色の空をお助け下さい。

感想・批評、お待ちしてます。
「アンケート取りすぎだよ!」とかは止めてください。
自覚ありますんで。 
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