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ソードアート・オンライン  ~生きる少年~

作者:一騎
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第一章   護れなかった少年
  第十四話   第一層ボス編    前編

 
前書き
やっとボス戦だ......。そしてここからが長い......。

そして第一章とてつもない長さになるかも......。 

 
やっぱり広いなー、ボス部屋って。

大体四ヶ月ぶりのボス部屋をみて僕はそう思った。

ついでに僕の部屋もこのくらい大きいと部屋の中だけで何でも出来るんだろうなぁ......。目指せ引きこもりライフ!

とかふざけたことも一瞬思っちゃったけど。

ちなみにこの第一層ボス部屋は、左右の幅がおよそ二十m、扉から奥の壁までが百m。

と、壁についている松明が、侵入者に気づいたかのようにボッ、と燃え上がる。

そしてそれから奥に向かって等間隔で壁についている松明がボッボッ、と燃え上がる。

そして部屋の最奥部には、巨大な玉座とそこに座っている巨大な何かのシルエット。

それを確認したのか、ディアベルさんが高く掲げたままの長剣をさっ、と前に振り下ろす。

それを合図に、総勢四十六名からなる、第一層ボス攻略組は盛大な鬨の声を上げ、一気に大部屋へとなだれ込んだ。

―☆―☆―☆―

まず、飛び出していったのは、ヒーターシールドを持った、戦槌使いの人率いるA隊。そしてその左斜め後ろにエギルさん率いるB隊。そしてその右側にディアベルさん率いるC隊と長身の両手剣使いの男率いるD隊。

そしてその後ろをキバオウさん率いるE隊、長柄武器のF隊、G隊が続き、殿にオマケ四人の部隊。

A隊リーダーと玉座の間が20mを切ったところで、今まで微動だにしなかった巨大なシルエットが猛然と跳んだ。

そして地響きとともに着地し、その大きな口を開いて、咆哮。

「グルルラァァァァァアア!!!」

第一層ボス、《イルファング・ザ・コボルトロード》の容姿、武器は、やっぱりアルゴさんの情報通りだった。

青灰色の毛皮をまとった、2m超えの巨体に右手に骨斧、左手にバックラー、そして腰の後ろにタルワール。

そしてコボルトロードは骨斧を高く振り上げると、A隊リーダーに力任せに振り下ろす。それをA隊リーダーの男がヒーターシールドで受け止める。

眩いライトエフェクトと強烈な衝撃音が広間を揺らす。

と、その音が合図だったかのように、左右の壁の高いところに空いている幾つもの穴から、取り巻きの《ルインコボルト・センチネル》が三匹、飛び降りてくる。

それを、キバオウさん率いるE隊と、それを支援するG隊が三匹に飛びかかり、タゲを取る。僕とネオン、キリトとアスナさん、四人で一瞬顔を見合わせ、頷き、一番近いコボルトの所にダッシュした。

こうして、遂に第一層ボス攻略戦の幕が落とされた。

―☆―☆―☆―

......やっぱりキリトとアスナさん強いなー。

僕は《ルインコボルト・センチネル》の動きを見ながら横目でキリト達の戦闘を見て思った。

キリトがセンチネルのハルバードをソードスキルでかなり高くまではじき返し、そしてアスナさんとすかさずスイッチして、アスナさんが、センチネルの唯一の弱点、喉元にかなり洗練された細剣基本スキルである《リニアー》を繰り出し、硬直が解けるや否や、喉元を最小限の動きでちくっ、と刺す。これでセンチネルのHPがゼロになって、消滅する。

今、僕たちはキリト達が余りに働き過ぎて出番が無いため、二人ずつに分かれている。

ちなみにキリト、アスナさんと僕、ネオン。

そしてボスのHPも三段目。

センチネルの動きを見ながら、キリト達の方を見れるのもなれてきたからである。

とは言え、油断は禁物。前に向き直る

と、そのタイミングで、センチネルが斧を振りかぶる。

それを見て、リベルテ・ブレイドを構える。

ちなみに言っておくと僕にはキリトみたくあんな上空まであげることは出来ない。

なら何を狙うか。

......その答えは《武器破壊》だ。

武器にも耐久力は有り、弱点も存在する。その弱点を突くと、普通より耐久力が多く減る。

......なので......。

「ハァァッ!!」

センチネルがハルバードを振り下ろした瞬間、わずかだが、行動が止まる。

その瞬間を狙ってハルバードの斧部分の金属の根元に向かって、曲刀基本スキル《リーパー》をただ今研究中の、システムアシストだけでは無く、放つときに体を意図的に動かし、技の威力や速度などを上げることの出来る技術をフルで使って、当てる。

ちなみにこういうシステム外スキル、ハマれば大きいが、少しでもミスると、多大な被害を被る可能性があるので出来るだけ使いたくは無かった。

が、それだけのリスクに答えるかの用に、センチネルのハルバードが砕け散り、(実際5回くらい繰り返したけど)大きくバランスを崩す。

その瞬間、「スイッチ!」と叫びながらネオンが走ってくる。そして交代。

ネオンが両手槍突進スキル《シャルジュ》を、喉元一点に当てる。と、センチネルのHPが半分近く減り、更にネオンが硬直時間が終わった瞬間に、三連発で、通常の攻撃を喉元に当て、センチネルのHPをゼロにする。

と、同時に前線からおおっしゃ!というような歓声がはじけた。

どうやら遂にボスのHPゲージ最後の一本になったらしい。

三本目のHPゲージを削った長物隊のF、G班が後退し、代わりに全回復を終えた、ディアベルさん率いるC隊がボスに向かって突進していく。


「ウグルゥオオオオーーーー!!」

《イルファング・ザ・コボルトロード》が今までで一番大きい雄叫びを放ち、同時に壁の穴から最後の《ルインコボルト・センチネル》が三体出てくる。

そしてそのうちの一体がキリトたちの方に向かい、残りの二体がE隊に向かってく。

......あらら。僕らの仕事がないや。

しょうが無いのでキリトの方に向かおうとボスから視線を外そうとするが、その瞬間にコボルトロードが骨斧と盾を投げ捨てたため、外せず、横目で眺める。

コボルトロードは右手を腰の後ろに持って行き、タルワールを引き抜く。

ここからはもう曲刀カテゴリの技しか使わない。バーサク状態なのが少し怖いが、対処そのものは今までよりやりやすい。

理由は使う技が直線長距離の縦斬り技ばかりだからだ。技発動時のモーションだけ見ていれば、ボスに張り付いたままでも回避は簡単だ。

そしてディアベルさんの指示で、C隊の六人がコボルトロードを取り囲む。

横殴りの攻撃があった骨斧では出来ないフォーメーションだが、今のコボルトロードにはかなり相性がいい。

あとはあの六人でタルワールの振り下ろしを避けつつ斬りまくってトドメまで......?

あれ? 何か僕が見てたコボルトロードと違和感がある気がする。

違和感の元はあのタルワール。

あれ、本当にタルワールなの?

細くやや湾曲して伸びる刃。

細いと言っても、アスナさんが持つような細剣ほどでは無く、キリトの持つ片手用直剣よりは細い。

そして、光沢。 

アレは、僕の持っている曲刀とは明らかに違う輝き。

洗練された輝き。

その瞬間、答えがわかった。

「あ......あ......」

驚きで声が出ない。

アレは曲刀なんかじゃない......刀だ!!

その瞬間に目一杯息を吸い込み、どうにか叫ぶ。

「だ......ダメだ、下がれ! 全力で後ろに跳べーーーーッ!!」

「それは曲刀じゃない!全力で後ろに下がって!!」

と、どうやらキリトも気づいてたらしく、僕よりコンマ一秒ほど早く叫んでいた。

が、その二つの声はコボルトロードが始動させたソードスキルのサウンドエフェクトにかき消されてしまう。

コボルトロードの巨体がどうっと地面を揺るがせ垂直に跳ぶ。空中でギリリと体を捻り、武器に威力を溜める。

そして落下すると同時に蓄積された力が竜巻のごとく放たれる。

軌道、水平。攻撃角度、360°。


刀専用ソードスキル、重範囲攻撃《旋車》。

迸った六つのライトエフェクトは鮮やかに赤く、まるで血柱のように見えた。

そして視界左に表示されるC隊の平均HPが一気に五割を下回って、イエローに染まる。

さらに六人の頭の上で回転するおぼろげな黄色い光が取り巻いている。

一時的行動不能状態――スタンしているのだ。

SAO内でのバッドステータスの中で麻痺や盲目ほど怖い物では無い。効果時間せいぜい十秒。しかし、発動が即時なため、すぐにスイッチして、タゲを取らなければならないのだが、動ける物が一人もいなかった。

理由としては、事前に綿密な作戦会議をしていたこと、ここまでずっと楽勝ムードが続いていたこと、そして頼るべきディアベルさんが一撃でHPを半分以下に減らされ、スタンしていること、それらの理由が複合し、C隊以外の全員の体を縛ったのだ。エギルさんやキバオウさん、キリトやアスナさん、僕たちなど、例外なく。

そしてその静寂の中、コボルトロードが超大技を出した後の硬直時間から回復した。

「追撃が......」

キリトのその声で我に戻り、駆け出す。

なんとしてもC隊を助けなければならない。一人でも死んでしまったら指揮ががた落ちだし、個人的にも誰も死なせたくない。

と同時に前線で、エギルさん達も援護に駆け出す。

が、間に合わなかった。

「ウグルォッ!!」

コボルトロードが短く吼え、両手で握った刀......いや、野太刀(かな?)は床すれすれの軌道から高く切り上げられる。


ソードスキル《浮舟》。狙われたのはディアベルさんだった。

そして銀色の金属鎧を着込んだ体が木の葉のように空に浮く。

と、狼に似た巨大な口がどう猛に笑った。

やられた!

瞬時に思う。

浮舟はスキルコンボ開始の合図なのだ。

と......言うことは......。

そこで野太刀の刀身を再度赤いライトエフェクトが包み込む。

「ディアベルさん! 体を丸めて!!」

急いで叫んだが、どうやら聞こえなかったらしく、ディアベルさんが空中で長剣を振りかぶり反撃のソードスキルを撃とうとする。が、システムはそれをスキルの開始モーションとは判定しなかった。空しくも剣をかざすだけになってしまったディアベルさんを野太刀が正面から襲う。

上、下の連撃から一拍溜めて突き。《トロワジエム》に似た感じの三連撃技、確か名前は《緋扇》だったはず。

そしてそのディアベルさんは、二十m近くも吹き飛ばされレイドメンバーの頭上を越え、最後方でセンチネルの相手をしていたキリトの近くに落ちる。

クソッ!

「キリト! ディアベルさんを任せた!!」

と、キリトから親指を立てるサインが帰ってくる。

そしてそのまま走ってC隊の所まで進む。

緋扇の硬直が解けたら次狙われるのは彼らだろうし、今の間に助ける。

と、後ろの方からカシャァァァァン、と破砕音が響いた。

......プレイヤーの死亡エフェクトだ。

恐らくディアベルさんだろう。

 
 

 
後書き
今回は前、後編で分けますかね。

そしてもうマジでタイトルが思いつかん!! 
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