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ソードアート・オンライン  ~生きる少年~

作者:一騎
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第一章   護れなかった少年
  第十三話   第一層ボス戦前

 
前書き
タイトルてきと~だな~......。

 

 
翌日、僕は、昨日の夜からしていた、今日のための調整を全て終え、帰宅した。
......睡眠時間は0だけど、まぁ、大丈夫だろう。普通に動けるし。
ちなみにこの調整により、レベルは15に上がっている。
ついでに曲刀のスキル熟練度もようやく70に達した。

そして、迷った結果、最終的に予備として今、店売りで一番高性能な曲刀を一本だけ買ってある。

ポーション類も買いまくったし、食料品もお金が底を尽きるぎりぎりまで買った。

そう思いながらドアを開ける。

と、

「お帰り」

と、言いながら笑っているネオンさん。

「ただいま~」

結構冗談交じりで返しながら、中に入る。

と、机の上に皿などが置かれている。

......今日の朝はネオンが作ったのかな?

と、僕の視線がどこに向いているのかわかったのかネオンが口を開く。

「今日は私が作ったよ~。昨日は作って貰ったからお返し!」

まぁ、ありがたいです。

何せ、他人の作った物を食べるの何年ぶりかわからないので。

そう思いながら、椅子に座る。

「じゃあ、いただきます!」

見た限りメニューは昨日の黒パンと、スープ。おそらくスープは、昨日の野菜のような薬草を煮込んだ物だろう。

......成功確率かなり低いと思うんだけど......。

ま、細かいことは気にせず食べよ!!

そう思って、食べ物をお腹に詰め込んでいった。

―☆―☆―☆―

「ごちそうさまでした」

感想。とにかくおいしかったです。

うん。スープもちゃんと出来てたし、パンと一緒に食べると凄くおいしかったし(単体でも勿論おいしかったです)。
......まぁ、これから命を賭けた戦いなんだ。おいしい物を食べれてよかった。本当に。

じゃぁ......

パンパン、と頬を叩き、気合いを入れる。

そして立ち上がり、

「じゃあ、そろそろ行きますか!」

僕のその声に、ネオンがこっくりと頷いた。

―☆―☆―☆―

集合場所はあの広場。

着くと、そこにはもうすでにキリトとアスナさんがいた。

と、キリトの近くにいたキバオウさんがキリトに何か言うように口を動かし、その後、その場を離れていった。

......何だ? いきなり少しいやな予感がする。

少し小走りでキリトの近くまで行く。

「キリト、キバオウさん、何か言ってたの?」

と、そこでキリトがこっちに気づいたようで、こっちを向く。

「ああ。何でも『俺らのサポ役なんだから、ずっと後ろに引っ込んでろ』だとさ」

キリトの話を聞きながらアスナさんに向かってぺこりと頭を下げ、すぐに向き直る。

......う~ん。

「ソロプレイヤーは調子に乗るな、ってことかな? もしくは......」

βテスターは調子に乗るな、かな?

キリトにぎりぎり聞こえるぐらいの小さな声で言う。ちなみに『聞き耳』スキル、と言う物があるが、おそらく、この序盤でそんな物を取っている余裕は無いだろう。

「それは俺も考えた。だが、アルゴが――え?」

キリトが途中から去って行くキバオウさんの背中を見て、言葉を中断する。

......何か気づいたのかな?

「どうしたの、キリト」

「い、嫌、何でも――」

と、その瞬間、ディアベルさんの声が響いた。

「みんな、いきなりだけど......ありがとう!!たった今、全パーティー四十六名が、一人も欠けずに集まった!!」

途端、うおおっという歓声が広場を揺らし、次いで、滝のような拍手。

しょうがなく、僕もキリトも一旦話を終わらせて、拍手する。

そして一同を笑顔でみ回してから、ディアベルさんは、グッと右拳を突き出し更に叫んだ。

「今だから言うけど、オレ実は一人でも欠けてたら今日は作戦を中止にしようと思ってたんだ。でも......そんな心配、みんなへの侮辱だったな!オレ......すげー嬉しいよ!こんな最高のレイド組めて......ま、人数は上限にちょっと足りないけどさ!!」

笑う人や口笛を鳴らす人、同じように手を突き出す人。
ディアベルさんのリーダーシップの凄さを改めて実感する......が、ちょっと盛り上げ過ぎな気がするけど......。まぁ、おそらくそんなことはディアベルさんも考えてると思うので、置いておく。

そしてみんながひとしきり喚いたところで、ディアベルさんは両手を掲げ、歓声を抑えた。

「みんな、もうオレから言うことはたった一つだ」

そして、右手で左腰の剣の柄を握り、音高く抜きはなつディアベルさん。

「......勝とうぜ!!」

わき起こった巨大な鬨の声で、僕は改めてこれからボス戦だと、気を引き締めることになった。

―☆―☆―☆―

午前十一時、迷宮区到着。

午後十二時半、最上階踏破。

ここまで死者が出なかったことに一安心。

数回ちょっとしたピンチもあったが、全て、ディアベルさんの指揮能力によって、的確に、冷静に対処していた。

......まぁ、本番はここからなんだけど。
ちなみに道中僕とネオンは一言も言葉を交わしていない。

理由としては一つ。緊張だ。

流石に、自分から進んで命がけの戦いをするのは初めてだからね。

「......ねえ......」

「ん?」

と、ここで、ネオンが口を開いた。

「......今日、勝てると思う?」

......ふむ。

「五分五分だろうね。このメンバーなら絶対勝てる!っていう気持ちと、恐らく変わっているボスの何かのせいでもしかしたら......っていう気持ちで揺れてる」

「私たち......死なないかな......?」



「死なせない! 僕の前では......もう......誰も――」


ネオンの前で一喝し、途中で言うのをやめる。

......こんなの、逆に心配かけるだけじゃないか。


「ねぇ――」

「ごめん。今のは忘れて。......でも、死なせない、っていうのは本当だけど」

ネオンが言葉を紡ごうとしたので急いで止める。

そして出来るだけ平穏を装いながら、この僕の話の根拠を言うために口を開く。

「根拠としては、僕とキリトがいる。キリトは強い。これは断言できる。アスナさんの実力はわからないけど、キリトが僕たちを守ってくれるよ。僕は......」

そこで止める。

と、続きを期待しているのか、じぃ~っと見てくるネオンさん。

「......僕は足手まといかもしれないけどね。......でも、盾になることくらいはできる」

と、少しだけ赤くなるネオンさん。......どうしたんだろう。

「ええっと......私たちって言っときながら何だけど、私たちって言っても私とかじゃなくて、前線のディアベルさん達のことなんだけど......」

瞬間、顔から火が出るほど恥ずかしくて顔が真っ赤になる僕。

え、じゃあまさか、ネオンの言ってることを勘違いした上に、シリアス見せて、さらに「盾になってでも守る」的なことを言っているイタい人になってる僕?

うぁぁ......恥ずかしい......。

「あ、でもありがとね。おかげで安心したよ!」

ぅう......。ネオンの励ましが逆につらい......。

「......これ以上は告白みたいになる気がして耐えられなかったなんて言えないよ......」
「え?ネオン、何か言った?」

「ううん、何も言ってないよ」

「じゃあ、僕の気のせいか......」

確かに何か聞こえた気がしたんだけど......気のせいならいっか。

......ってうぅ......。未だに恥ずかしい......。

と、たまたま前に眼を向けると、そこでは、ディアベルさんが、銀色の長剣をかざしていた。

......と、いうことはもうそろそろ始まる。第一層ボス戦が。

と、ディアベルさんが扉を方を向き、扉に手を添える。

そして......。

「行くぞ!」

短く一言だけ叫び、ドアを開けた。
 
 

 
後書き
ついに次回、第一層ボス戦です! 
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