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モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
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龍殺しの実を求めて
明星の英雄
  グノーム火山組②

 
前書き
(´‘ω‘`)風邪を引きましたby作者 

 
「っかぁ~よく寝た!…ん?」

朝一に目を覚ましたエイジ。だが周りは寝ていた。
ワケド村旅館『新地荘』。エイジ達はこのワケド村が古龍災害の惨禍に見舞われている中、消火活動をルドロスで行うという
画期的なアイデアで奮闘した。
なんとか甚大な被害を出す前に消化が終了し、村長のご好意で『新地荘』に泊まっている。
立てかけられている凶刻【時雨】が七時を示す鐘を鳴らした。

「よし。皆七時だ、起きろ!」

と言って布団を引き剥がす。すると、

「あれ?居ない。」

そこにあったのは置き手紙。

「すんません、エイジさん。我慢できないんでちょっと狩りに行って来ます。
 六時半 カーネロス」

「なるほどな…。」

エイジは手紙をたたみ…、

「行くなら俺も誘ってくれよぉぉぉぉぉぉ!!!」

泣き出した。







暇になったエイジがノア達の部屋の前に来た。一応七時なので起きているかの確認と暇を潰すためである。
手を伸ばし、ドアノブをひねると

「鍵が開いてる…?」

普通内側から鍵をかけるはずのドアが開いているということは、部屋の使用者がすでに退室したということ。

「おいおいまさか…?」

エイジがドアを開け、中に入ると

「やっぱり…。」

部屋の中は綺麗に整頓され、立てかけてある凶刻【時雨】以外は何も無いもぬけの殻。
こうなるとエイジは不安でたまらない。部屋から三秒で受付に行き、一言。

「天の間に泊まっていた三人の狩人はどうしたんですか!?」

受付の人が返す。

「あの人たちなら朝早くに、退室手続きを済ませて集会所に出向いていきましたが…。」

エイジはその場に倒れこんだ。そして自分が泊まっていた部屋へ戻った。






時同じくして、ワケド村集会所

「四人で正式に狩りをしたことも無かったし、これも何かの縁だ。」

「そうですね。で、何を狩りに行きますか?」

長卓につき、対峙するモンスターを選んでいる四人。

「古龍火災の時に居たルドロス達も気になるが…、何かそれらしい気配を感じるか?ノア。」

「う~ん、そんな気配は今のところ無いわね。巣に戻って休息しているか、何処か別の領域へ行ったか。」

カーネロスはサンダーサイダーを飲みながらノアに状況を聞いていた。

「あれ?そういえばエイジさんは?」

リュウノテールの角煮に喰らいついていたダイラスが気づく。

「あ。」

二人は一斉に思い出した。

「ん…。」

マトレガが集会所入り口付近に目をやった。
三人が振り向くとそこには

「皆早かったなー。少し寝過ごしちまった、悪い。」

グラビドXシリーズに身を包んだ暑苦しそうな狩人がいた。

「えっと…エイジさん、ですよね?」

「ああ、そうだが?」

何故グラビドXヘルムを脱がないのかは三人にも理解できなかった。

「ところで何の話をしていたんだ?」

「ああ、せっかく朝早くに集まった事だし狩りでもしようかと思ってたんです。」

「それなら火山へ行こう。俺たちが集める物は龍殺しの実。ここから行ける火山にはかなり大量にあるはずだ。」

「となると…。」

カーネロスはクエストカウンターへ出向き依頼書を吟味し始めた。
そして一つの依頼書に目を留めた。

「このクエストなんかどうです?」

依頼内容は火山での火竜リオレウス一頭の狩猟。

「なるほど。昨日のリオレイアとの戦闘でパターンはこいつらに慣れきっているからな。よし、カーネロス。
 その依頼を受注してくれ。」

「分かりました。」

と、カーネロスはクエスト契約金を支払い依頼を受注した。その後、他四人がその依頼に参加した。

「あれ?なんで四人参加できるんだ?一つのクエストには三人までしか参加できないはずじゃ…。」

とダイラスが首をかしげる。

「なんだ?ガイルさんの行動を見てなかったのか。これは多人数参加型クエストと言ってな。
 地方により規約は様々だが、一つのクエストに大人数が参加できるようにしたシステムさ。
 どうやらここの規約は契約金が五割増しになるようだが。」

と、エイジが説明する。

「なるほど。そうだ、道具類はもう準備してあるからいいんだった。」

「そういうこと。じゃあ行くぞ!」

カーネロスが先陣切って集会所クエスト出口から歩み出た。







「うぉー!ここがグノーム火山かー。」

景色を見晴らすダイラス。
だが、どこで降ろされたか分からずただ見回すのみ。

「ここ…どこだ?」

ダイラスが今居るのはグノーム火山の火口付近、エリア九の位置である
ダイラスはそこに、火口を見渡せる向きで立っており右側にエリア八へ向かう道が、
左側に火口内部の安全地帯へと続く道がある。

「う~ん…。下へ行けばリオレウスも居るかな?」

と、ダイラスは右側へ向かって走り出した。




「おっ、俺とノアはベースキャンプからスタートか。」

「その様ですね。」

エイジとノアはベースキャンプからのスタート。
左側は天高くそびえたつ大樹の幹があるエリア。
右側は草食動物――とはいってもアプトノスやケルビなど――が餌場とするエリア。

「とりあえず、火山のほうへ向かおう。」

「うん。そっちの方にリオレウスの気配を感じる。」

と、二人は大樹のエリアへ向かった。




「っちぃ~!ここは秘境か…。」

カーネロスが降り立っていたのは秘境と呼ばれるエリア。
上位クエスト以降、稀に降り立つことのあるエリアだ。
近くには虫が漂い、鉱石の眠る割れ目がある。

「…。」

「おわぁ!…居たのかよマトレガ。」

マトレガがカーネロスの横で黙々と弾丸を吟味し装填していた。

「うっし、お先に!」

カーネロスは断崖から飛び降りた。

「…。」

マトレガもそれに続く。




「いたか!」

第一発見者はエイジとノア。

「それっ!」

ノアが対弓【陸戦空射】で射抜く。その弓にはペイントビンが装填されており、着矢後匂いが拡散した。
天空の王者は突然の奇襲にも怯まず、咆哮を上げた。

「効かん!」

咆哮にも臆せず、エイジはメルトブレイヴァーで斬りかかる。
黒の甲殻剣は骨を焼き、白の甲殻剣は獲物を苦しめる。
ノアもペイントビンから強撃ビンに装填し直し、リオレウスの背中部分を射抜く。

「おーっ、居た居た!」

遅れてダイラスが到着。フラストレーションを構え、リオレウスへ歩み寄った。
そして、殴りつけかちあげる。
さすがのリオレウスもこれには参ったか、一度怯んだ。
だが、さすがは天空の王者。怒り状態へ移行し、気高き咆哮をあげる。

「ックソ!耳栓が欲しい!」

その場でダイラスが耳を塞ぐ。

「でぇぇぇい!」

リオレウスの咆哮に負けず劣らず気合の入った掛け声。
そこには陸海空覇剣【孤高】を振り上げたカーネロス。
遠くから、マトレガの援護射撃も視認出来た。
その瞬間だった。

「グッ…。」

「うおお…!」

「う…るせぇ。」

聞いたこともないような猛々しい咆哮と共に、全身の鱗は煌赤色から黒めの赤へと変貌。
全身を暗黒の紫電が飛び交い、その姿はまるで煌黒龍の様。
その声が響き渡った後、エイジがふと一言。

「恐火竜…。」

その瞬間エイジが吹き飛ばされた。
グラビモスの天殻さえも使っているグラビドXシリーズが、やけに軽く思えた。

「エイジさん!…のやろぉー!」

ダイラスは両手に携えたハンマーで変貌したリオレウスの頭を殴る。だが

「っぐぐ!かてぇ…。」

殴るためのハンマーは弾かれ、ダイラスの手に痺れを伝える。

「…!」

マトレガの水冷弾もなんなく弾かれ、まるで本当にモンスターかと問いたくほど。
そして目を疑ったのがブレスだった。

「危ない!」

ダイラスが一瞬気を抜いたその瞬間、リオレウスはなぎ払うような炎のブレスを吐いた。
カーネロスが緊急回避のついでに吹っ飛ばしてくれなければあのブレスに焼かれていたであろう。

「なんなの、あのリオレウス…。」

ノアが陸戦空射を背中にしまう。その後ポーチから取り出したのは

「くせえ!」

ダイラスも嫌う臭いを放つこやし玉。
リオレウスは極端に臭いを嫌い、エリア移動を図った。



「ゲホッゴホッ!…助かったぜ、ダイラス。」

「あんまり喋っちゃダメだってエイジさん!」

「幸い、致命傷には至ってませんね。防具の変形が何とも言えませんが…。」

頭部の角は衝撃で折れ、肩部の装飾はひしゃげ、脚部のパーツは砕け散っていた。

「一体、何だったんだ?あのリオレウス…。」

カーネロスが空を見上げる。

「いや、アイツはリオレウスじゃあない。」

エイジは息を落ち着けながら起き上がった。

「何を言ってるんですか、エイジさん。リオレウスのクエストを受けたんだから、
 リオレウスではないなんてありえないでしょう。」

「いいや。俺は一度、アイツと対峙したことがある。」

深呼吸。そして、

「ヤツの名は、恐火竜。恐火竜リビダルス。
 自然の摂理とは恐ろしい物でな…。リビダルスはリオレウスの持つ最強の遺伝子と
 イビルジョーの最恐の遺伝子とを掛け合わせた恐ろしいモンスターだ。」

「そんなヤツがいるのか…。恐火竜リビダルス…。」

全員が身震いした。

「でも、リオレウスはリオレイアと雌雄だからイビルジョーとは混じらないんじゃ?」

「それについては諸説あるが、一番有力なのはリオレウスがイビルジョーの肉を食べたという説らしい。」

エイジはようやく立ち上がる。

「この古龍災害の中なら全ての事象がありえる。そして、」

歩みだす。

「それを変えるのが、俺たちだ。」

「だけど、どうやって!エイジさんの防具はボロボロじゃないか!」

ダイラスが立ち上がりながら叫んだ。

「ダイラス、ハンターとして大事なのは防具じゃない。武器でもない。己の魂だ。
 己がどれだけ依頼人を安心させたいか。己がどれだけ大事な人、物を守りたいかだ。
 そのポーチに入っている、お父さんがくれたお守りもそう言ってる筈だ。」

「え…、どうしてそれを?」

「説明は後だ。まずはヤツをなんとかして、龍殺しの実の採集に移ろう。」

エイジ達は一度ベースキャンプに戻った。






「まず、マトレガとダイラス、カーネロスでリビダルスとあたってくれ。
 基本的な動きはリオレウスに近いから大丈夫だと思う。
 ただ、怒り時はイビルジョーに近くなるから注意が必要だ。」

「分かった。」

「そして、俺とノアで龍殺しの実の採取。ノアは周囲のモンスターを討伐してくれ。
 龍殺しの実のありかは大体知ってる。」

「うん。任せて!」

「それじゃあ各自、出撃だ!」

「おお!」

五人は二手に分かれて走り出した。






「いたぞ、ヤツだ!」

火山の麓にある湖
そこにいたのは恐火竜リビダルス。
恐火竜はダイラス達を見つけ、威嚇咆哮を放った。

「エイジさんを傷つけやがってぇー!」

ダイラスはフラストレーションを構え、恐火竜の頭を殴った。
マトレガはエリアの入り口付近でカオスウィングに弾丸を装填している。
ダイラスが父であるハイドから聞いた、ガンナー特有の戦術らしい。

「俺が尻尾を斬るからお前は頭を頼む!」

「分かりました、カーネロスさん!」

カーネロスは尻尾へ向かって走り出した。

「ふんっ!てえやっ!そおい!」

フラストレーションが恐火竜の頭を痛めつける。
麻痺毒が周り、恐火竜は体を痙攣させ始めた。

「おっ、麻痺か!やるなぁダイラス!」

「それほどでも!」

二人は一斉に力を溜め始めた。
フラストレーションの打突面は黒く煌き、陸海空覇剣【孤高】は真紅の覇気を躍らせる
そして、

「おおおりゃああああああ!」

同時に力を解放した。
その鎚は竜殻を砕き、地面を揺さぶる。
その剣はあらゆる物を断ち、空気を斬る。
リオレイアですら怯んだその衝撃にこの飛竜は耐えた。
そして、尻尾でカーネロスをなぎ払いブレスでダイラスを吹っ飛ばした。

「…!」

マトレガはカオスウィングを一度しまい、生命の粉塵を使った。
風に乗った粉塵はあたりに拡散し、ダイラスとカーネロスのキズを癒す。
が、粉塵の存在に気づいたリビダルスはマトレガの方を向く。
そして

「…ッ!」

久々に声らしい声を出したような感じで、火球ブレスを回避した。

「おおらこっちだ!」

先ほどブレスで吹っ飛ばされたダイラスがフラストレーションで脚を殴った。
一度殴る毎に鱗が割れる音を感じるが、それと同時に打突面からの弾かれの震動も伝わる。
リビダルスに着実にダメージを上乗せしている最中
「なんだ?」

頭を振り上げ、雄大に吼えた後飛んで行ってしまった。更に、空中からブレスを一発。
そして火山の火口方面へと消えてしまった。

「これは…撃退になんのかなぁ…。ん?」

フラストレーションを背中にしまったダイラスはブレスの着弾点に光るものを見つけた。

「これは…。…うわぁ!」

「どうした!?ダイラス、おいダイラ―――」

光るものに触れようとした瞬間、ダイラスは不思議な感覚に陥った。






「―――ん?ここは…。」

気がついたのは何処かも分からない荒地。だがある一本の木だけはやけに印象強く思い出せた。

「千年杉…?」

エイン村の象徴の一つである千年杉。だが、火に焼かれてその姿をよく見ることは出来なかった。
そして反対方向から聞き覚えのある声。

「クソッ!ヤツをなんとかしねえと村がっ、村が大変なことに!」

「慌てるなハイド!そんなことくらい誰でもわかっておる!」

「じゃあ、なんで誰もヤツと戦おうとしねえんだ!!このまま村が滅んじまってもいいってのかよ!?」

ダイラスの父、ハイドともう一人。学者らしく白衣に身を包んでいる。

「ワシはこれまで何度もヌシに言ったじゃろう!古龍とは大地震、古龍とは大火事。
 来てしまっては過ぎ去るのを待つしかないのじゃ!」

どこかで聞き覚えのあるセリフ。

「じ、じーさん?」

エイン村村長代理、ジャノバ=ホヴディット。
どうやらダイラスが今目の当たりにしているのは十七年前の災厄。
陰龍ネヴィアが目覚めたあとらしい。

「あーもう我慢できねえっ!俺一人だけでも行ってくらぁ!」

「待つのじゃハイド!」

「俺には守るべき女房子供や村の人たちがいるんだ!こんなとこで手をこまねいていたら全部守れなくなっちまう!」

「お主が死んでしまったら誰がそやつらを守るのじゃ!」

「――っ!」

ハイドはそれ以上返すことができなかった。
少し間を空けて、

「…それでも俺は行く。
 こいつぁ俺の誇りとプライド、それに宝物。全てを賭けた戦いだ。
 狩人と龍との一対一の戦いだ。
 それを邪魔するってんなら一生恨むぜ。」

「ヌシという奴は…。」

ジャノバは頭を抱えた。

「なぁーに一人で背負いこんでんだっつーの!」

「いてぇ!…ガイルじゃねえか!」

そこにやって来たのはセージの父、ガイル=グレイジス。

「何しにこんなとこまで!?」

「やな予感がしてこっちへ来たのさ。ああ大丈夫、上さんには『酒のつまみを買いに行く』っつっといたから。」

「そういうことか…、ここは危ないから帰るんだ。
 ここは今酒のつまみを買うことが出来るような状態じゃ―――」

「だあからそれがいけねえつってんだよバッキャロー!」

ガイルがハイドを殴った。防具の上からだったのでガイルは拳を押さえながら一喝

「お前は何でも一人で背負い込みすぎなんだっつーの!
 俺や、集会所のハンターや村専だっているってーのになんでお前だけで行くんだよ!
 周りのやる気がねえ?んなもんお前がシバいてでも引っ張ってけばいいだろ!
 うっとおしい?てめえがそう思ってるだけだ!
 俺にしかない守る物?てめえだけじゃねえ、皆が持ってるんだよそんなもん!
 何にも気づいてねえ癖にバカの一つ覚えで『守る』とか言うんじゃねえ!」

そして泣きながら更に一言

「お前が一人で、決死の覚悟で行くってんなら俺はお前の亡骸に酒かけながら笑ってやるよ!」

ひとしきり言い放ったあとあたりを静寂が包んだ。
ハイドがうつむく。

「そう…だよなあ。ああ、そうだよ。俺はバカな狩人だ。
 俺にはお前がいた…。すまねえガイル。」

その瞳には涙があふれていた。

「おお、そうだとも。見ろ、あの樹の下。」

そういってガイルは千年杉の方向を指した。
ダイラスもつられて振り返る。

「見てみろあのすがすがしい笑顔。お前を信用してない限りあんな笑顔は出せんぜ。」

樹の下にいたのは、まだ幼い頃のダイラスと母。
母はどこか寂しげな、しかし元気一杯の笑顔。
幼い頃のダイラスは無邪気な笑顔で手を振っていた。

「そこで廃りきってる腐れハンター!てめえらがそんなに腑抜けてていいのかぁ?
てめえらはこの村を『守り』てぇんだろ!?だったら最後の一滴振り絞るぐらい力を出してみろよ!
それで散ったなら狩人冥利につきるってもんだろうが!」

ガイルの言葉に、ハンター達は一斉に生気を取り戻した。
クエスト出発口にガイルが立った。

「さあ、バリスタでも撃龍槍でもなんでも使ってやろうぜ。」

「おう!後で轟酒おごれよ?」

「あーあーわぁってるよ。言いだしっぺが轟酒おごんのがルールだろ?
 てーか言いだしっぺお前だろうがハイド!」

「ハッハッハ、ばれたか。」

そう言いながら多数のハンターが去っていった。

「オヤジ…。っ―――」

ダイラスの意識がまた薄れた。











「―――ラス、おいダ――ス。しっかりしろおい!」

覚醒を促す声。重い瞼を開けたダイラスの目に飛び込んだのは

「おお、良かった。ったく心配したぞ。」

「エイジ…さん。」

ボロボロになったグラビドXシリーズを装備しているエイジ。
その周りにはカーネロスやノア、マトレガも居た。

「ビックリしたぞ。ヤツのブレス跡に駆け寄っていきなり倒れたんだからな。」

陸海空覇剣【孤高】を背中にしまったカーネロスが一言。

「私もそれを聞いて驚きましたよ。」

ノアもそれに続く。

「いやぁ、もう大丈夫だよ!ほおらこの通り…っ!」

勢いよく立ち上がろうとしたダイラスだったが急に力が抜けその場にへたり込んだ。

「…ダイラス、ムリは禁物。」

「お、おう…。」

マトレガが初めて二語文を話したので周りはシーンとした。

「ダイラス、その手はなんだ?」

「ん、あれ?」

エイジに指摘されてダイラスは自身の左手が何かを握っていることに気づいた。
ゆっくり開くとそこには

「何だこれ…?見たこともねえ。」

「こいつは驚いた…。」

鈍く、だが綺麗に光る何かがあった。

「これはどこで手に入れたんだ?」

「カーネロスさんの言った時だよ。
リビダルスのブレス跡にこいつを見つけたんだ、けど…。」

ダイラスが少し返答に詰まる

「けど…、何だ?」

エイジが聞き返した

「こいつに触った途端、視界が真っ暗になって気づいたら
 昔のエイン村に居たんだ。」

「昔のエイン村?どうしてそこがエイン村だと分かったんだ?」

「いや気になるところは他にあるだろう…。」

ダイラスの突拍子も無い話に食いついたエイジにカーネロスがしなやかに突っ込む。

「千年杉だよ。エイン村の象徴『千年杉』さ。その時は燃えてて本当にそうかは分かんなかったけど、なんとなく千年杉だって思ったんだ。」

「そうか…。まあ、ダイラスが無事ならそれでいい。」

エイジは安堵の表情に包まれた。

「そうだ!龍殺しの実は!?」

「ちゃんと採ってきたさ、ほら。」

ダイラスの目の前に龍殺しの実が差し出された。

「だが、どうする?ここでリタイアするとその龍殺しの実は没収だし…。」

カーネロスが腕を組みながら一言。

「旦那達、どうやらお困りのようでござんすニャ?
 あっしが一肌脱ぎましょうかニャ?」

見たことも無いアイルーがエイジ達に声をかけてきた

「見たところ獣人族のようだが…、君は?」

「あっしはこのベースキャンプで荷物輸送の仕事をやってる
 『タル配便』のニャン次郎でござんすニャ。」

「タル配便…?」

「いかにもですニャ。旦那達はその龍殺しの実をどうにかして持ち帰りたいようでござんしょう?
 そこで、タル配便をやってるあっしがギルドの目を掻い潜ってお届けするんですニャ。」

「なるほど…。任せてみるか!」

「そうだな。届け先はどうしようか…。」

「心配ご無用!旦那達が村に到着するタイミングを見計らって村に入れば良いニャ。
 ただし、受け取り場所はかなり限定されるでござんすニャ。」

「例えば?」

話はどんどん進んでいった。



「というわけでニャン次郎の打ち上げる爆弾が見えたら俺達はこのクエストをリタイアすると。
 そういうわけだな?」

「物分りが早くて助かるでござんすニャ。」

「それじゃあ、頼むぜ!この龍殺しの実を!」

「任せるでござんすニャ。あらよっと!」

ニャン次郎は自身が座っていたタルの蓋を開け、中に龍殺しの実を入れ、
そのタルを横にして転がしながら去っていった。

「さて、お次はダイラス。君のそのポーチに入ってるお守りの話だな。」

エイジが振り向き様にダイラスのほうを見ながらつぶやく

「そうだった、俺も気になってるんだよ。」

ダイラスは立ち上がり、ポーチから紙に包まれたお守りを取り出した。

「そのお守り、もとい老山龍の大爪には古来より魔除けの象徴とされる言い伝えがあるんだ。
 それと共に幼い赤子に持たせた時、その赤子の反応によってその子の将来と
 未来が占えるという言い伝えもあるんだ。」

「なるほど…。」

「俺はその時のハイドさんに会っててね…。君の反応をハイドさんの口から聞くことが出来たんだ。」

「えっ!?じゃあ、エイジさんは俺のことを…。」

「ああ、君が生まれる頃から知っていた。とは言うけど、実際には容姿を見たことは無く、
 エイン村で会った時が初対面になるけどな。
 話の続きだ。
 君がハイドさんから老山龍の大爪を渡された時、どういう反応をしたか。」

「お、おう…。」

周りはただならぬ緊張に包まれていた。

「無邪気な笑顔で喜んでいたらしい。」

「…え?」

「そりゃあ聞いた俺もビックリしたさ。どんな赤子だろうと最初はビックリして泣き出すもんだぞ?
 それを、ダイラス。お前はニコニコしながら見てたんだそうだ。」

「なあんだ…、てっきり悪い方じゃないかと思ったぜ。」

「いや、それなんだが。占いの方は『その赤子には未来永劫の無病息災が保証されるが、その世界は地獄絵図になる』だったんだぞ?」

「…は?」

一同驚愕

「一応、嘘は言ってないからな?これは本当のことだ。
 …と、そうこういってる間に打上げタル爆弾だな。」

「うお、マジか!」

エイジ以外は打ち上げられるはずの山の斜面の方を見ていなかったので気づかなかった。

「それじゃあ皆、リタイアだ。」

「ああ。」





「すまなかったな、ニャン次郎。」

「こんくらいなら朝飯前でござんすニャ。それじゃあ次会う時までさらばでござんす!」

ニャン次郎はタルを転がし去っていった。

「よし、エイン村へ戻るぞ!」

「ああ、早くエイン村へ戻んねえとな。」

五人のハンター達は村の玄関へと歩き出した。
 
 

 
後書き
(。・д・。)ズビー 風邪が辛いです

(´‘ω‘`)ども、島原です

(´‘ω‘`)寝ろよって?もともと軽度なので大丈夫ですb

次は確かロノフィン組の続きだったかな(適当 
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