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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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短編 一輝とお姫様 ③

一輝は空を飛び移動していると、一瞬変な感じがし、そのままその感じがしたほうへと向かう。
普通なら、一瞬だったために気のせいだと考えるのだが、一輝は違う。
気の向くままに、行動するのだ。

「さて・・・この建物であってると思うが、ここは何だ?」

一輝は携帯を開き、GPSでこの建物が何なのかを調べる。
そこは、その辺りでは一番大きく、お偉いさん御用達のホテルであり、夕方に一輝のもとに来たマヤがパーティーを開く場所でもあった。

「なんか・・・流れだとマヤが巻き込まれてるのか?」

一輝はそんな予想を立てながら、今いる場所・・・建物の屋上を調べる。
まず妖気の類がないか念入りに探るが、一切反応は無し。

「仕方ない。自分の目で探すか。何か痕跡があるはずだし。」

一輝の中では何かあるのは確定のようだ。
そして、給水塔の陰に足を伸ばすと・・・

「・・・さて、これはどういう状況だろう?」

そこには、下着姿で縛り付けられているマヤがいた。

「一つ目、マヤはそういった趣味を持っていて、これはその証拠である。」

一輝はとても失礼なことを考えるが、

「さすがにそれはないか。となると・・・」

一輝は真剣な顔になり、その可能性を口にする。

「二つ目、何かしらの事件に巻き込まれている。三つ目、何かしらの妖怪現象に巻き込まれている。」

この状況では、十分に可能性のある事柄だろう。

「前者は、どうせやるなら人質にするだろうから無し。後者は・・・こんなことをしそうな妖怪に心当たりがあるんだよな・・・・こっちか。」

一輝はそう言いながら、マヤを縛っているロープを水で切り裂く。
そして、頬をぺちぺち叩いてマヤを起こす。

「おーい、マヤー。目を覚ませー。」
「ん・・・ここ、は・・・」

一輝はマヤが目を開けるのを確認すると、倒れないように給水塔にもたれかからせ、背中を向ける。

「えっと・・・貴方は?」
「昼間に会った無礼者。」
「ああ、あの時の。ところで、なぜ貴方はこちらを見ないのですか?」
「まず、自分の格好を確認しましょう。」

マヤは一輝に言われて自分の体を見る・・・いや、服を見るつもりが自分の肌を見てしまう。
マヤは状況を理解すると自分の体を抱きしめるようにし、

「ちょ、何で私こんな格好!?それに、ここ屋上!?この状況何!?」
「そんなしゃべり方も出来るんだな。男物で悪いけど、Tシャツとジーンズ。」

本当の意味での素のマヤの声を聞いて驚きながら、一輝は倉庫の中から自分の服を取り出し、後ろ手にマヤに渡す。

「あ、ありがとうございます・・・」
「着替え終わったら言ってね。」

一輝の後ろでマヤが急いで服を着る。

「もう大丈夫です・・・」
「了解。」

一輝は後ろを振り向き、マヤを見る。

「・・・まあ、そんなのしかないから、我慢してください。」
「あ、いえ。それは構わないのですが・・・なぜこのような状況に?」

こんな状況で自分でも整理が付いていないからか、事務所のときとは違い、マヤのしゃべり方には感情がこもっている。

「それについては、マヤのほうに記憶がないか?気絶する直前とか。」
「そうですね・・・『ここを開けてください。』と言われて、ロッカーを開けたところまでは覚えているのですが・・・」
「なるほどね。なら、当分は大丈夫か。」

一輝が勝手に納得すると、マヤは首を傾げるが、

「で、こっからどうする?たぶん、部屋に戻ったりするとパニックになった後、マヤが殺されることになるかもだけど。」
「さらりと嫌な事を言わないでください・・・なら、ここに残れと?」
「いや、そうしたら料理されて食べられることになるぞ。」
「死しかないじゃないですか。なら、どうしろと?私がいなくなったら、皆が探し回っているのでは・・・?」
「いや、これは入れ替わり系の妖怪の仕業だろうし、そいつはあの黒服とかには手を出せないから。」

マヤは再び首を傾げるが、気にしないことにしたようだ。

「では、私にはどんな選択肢があるのですか?」
「そうだな・・・死ぬか生きるかと、後はやりたいことをする?」

一瞬マヤの目が光ったのを、一輝は見逃さなかった。

「何かしたいこと、あるの?」
「あ・・・はい。どうせなら、日本で遊びたかったんです。」

マヤは少し恥ずかしそうに言う。

「なら、そうするか?今日はもう無理だとしても、明日なら時間もあるだろうし、代わりにマヤの仕事をしてくれるやつもいるしな。」
「・・・はい?」

マヤは理解できていないのか、一輝に聞き返す。

「いやだから、明日一日、日本で遊ぶか?道案内に荷物持ち、護衛くらいなら俺でも出来るし。」
「・・・それはとってもありがたいのですが・・・いいのですか?」
「いいよ。暇だし、暇だし。まあ、寝泊りする場所は俺の家になっちゃうけど。」
「・・・では、お願いしてもいいですか?」
「OK。まずは家に向かうか。シャワー、浴びたいでしょ?」

一輝は水を出し、乗って大丈夫なのかと躊躇っているマヤの手を取り、引っ張り上げて飛んでいった。



           ================



「じゃあ、俺は晩飯の材料買ったりしてくるから、その間にシャワーどうぞ。出てから着るものは、この部屋にあるのをどうぞご自由に。」

一輝はある一室から出てくるなり、マヤにそう言った。

「すいません。なにからなにまで・・・」
「いいよ、気にしなくて。強いて言うなら、ほんとに何も気にしないで。しゃべり方も畏まらなくていいから。」
「でも、こちらが一方的にお世話になるのに・・・」
「申し訳ないって思うんなら、なおさらやめて。畏まられるの嫌いなんだ。」
「・・・分かった。これでいい?」

マヤのしゃべり方が屋上で驚いていた時のように素になると、、一輝は満足そうに頷く。

「それでよろしく。じゃあ俺は行くけど、誰が来てもドア、開けないでね、マヤがいるって知られると・・・」
「分かってるよ。このあたりがパニックになるもんね。」

一輝はマヤがそう言うと、行って来ます、と言って部屋を出て、ドアに鍵をかけていった。

「行ってらっしゃいませ。・・・さて、まずは着るものを・・・」

マヤは一輝が行っていた部屋に入り、電気をつける。

「色々あるなぁ・・・物を捨てられない人、なのかな?」

マヤはそこにある服を物色し、一輝が少し前まで着ていた寝巻きを選ぶ。
サイズが合う、寝られそうなものがそれしかなかったのだ。

ちなみに、そこにつまれている服は全て一輝が倉庫から出したもので、洗濯はしっかりとしてあり、着ても問題はない。

「さて・・・早くシャワーを浴びないと。体も冷えてるだろうし。」

マヤは脱衣所に行き、一輝から借りた服と下着を脱ぎ、風呂場に入ってシャワーを浴び始める。

「にしても・・・あの人は何でここまでしてくれるんだろう?」

体を洗いながら、マヤはそんなことを考え始める。

「全然悪い人には見えなかったから付いてきちゃったけど・・・そう思った根拠もないし。」

マヤは一度シャワーを浴びて泡を流し、そのまま考える。

「う~ん・・・でも、あの人が悪い人ってことはまずないだろうし、今回のことも間違いなく親切から来てる。それは間違いない・・・はず。」

自分でははっきりとそう思っているが、根拠がないからか最後は自信がなさそうにしめる。

「・・・まあ、どうせ今は信じるしかないんだよね。」

マヤはそう結論付けると、髪を洗い始めた。



          ================



「ただいまー。」
「あ、お帰りなさい。」

一輝が帰ると、マヤは寝巻き姿でソファに座っていた。

「とりあえず、今からメシ作るけど、食べれないものとかある?」
「ううん、ないよ。私に出来ることってある?」
「そうだな・・・とりあえず、服と・・・かの類を買ってきたから、着れるかどうか試しといて。」

一輝はマヤに紙袋を渡す。

「あー、そっか。遊びに行くには必要だもんね。でも・・・買ってもらうことになっちゃったのは・・・」
「気にすんな。妖怪退治で金は使い切れないほどたまってるから。強いて言うなら、それを買ってきた俺の勇気をほめてくれ。」

一輝がそういうので、マヤは袋の中身を見る。
そこには、女物の普段着がいくつかと・・・女物の下着が四セット。

「・・・うん、君は凄いね。」
「ありがとう。そう言って貰えると報われるよ。」

マヤは一輝にそう言うと、別の部屋に入っていった。

そして、服や下着を全て試してみて、その全てがサイズピッタリだったことに驚いていたが、下着姿をみられたことを思い出し、顔を真っ赤にしながら納得するのだった。 
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