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ベイサイドの悪夢

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第五章

「署内でも信頼出来る人間だけを選んだ」
「その精鋭で、ですか」
「夜にですね」
「勿論完全装備だ」
 相手は凶悪なマフィアだ、それも怠らないというのだ。
「そのうえで待機させるからな」
「後はですね」
「俺達が港に潜入して」
「奴等の尻尾を掴んでくれ」
 是非だ、そうしてくれというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
「そうさせてもらいますね」
「いいか、君達にしてもだ」
 潜入し相手を見つける彼等もだというのだ。
「軽率なことはするな」
「それが死に直結する」
「だからですね」
「考えてみればおかしな話だ」
 警視はここでこうも言った、その顔を怪訝なものにさせて。
「港に何かが出るとかいう話が急に出てな」
「そして確かめに行ったもの好きが首なし死体になっていた」
「確かにおかしな話ですよね」
「しかもその切った場所がだ」
 首、そこはというと。
「溺死させられたうえで鋭利な刃物で、だからな」
「明らかに人がしたことですね」
「そうとしか考えられないですね」
「そうだ、それでネットの書き込みや酒場の噂を辿っていくとな」
 二人のそうした地道な捜査の結果のことも話される。
「どれもローザンヌファミリーに行き着く。
「それではですね」
「おかしな話ですよね」
「そうだ、本当にな」
 こう二人に言うのである。
「あのファミリーが何かをしているとしか思えない」
「ええ、そういうことですね」
「それじゃあですね」
「ファミリーが港でよからぬことをしている」
 そうであろうと、警視は推察をした。そうしてだった。
 二人にだ、あらためてこうも言った。
「さっきも言ったが相手が相手だ」
「はい、じゃあですね」
「今から」
 こう話してそしてだった、二人は真夜中の港に潜入した。署長と警視も署内からえりすぐった者達に完全武装させて待機させた。
 二人は真夜中の港を進む、港は灯りが所々にあるが二人はあえてそこを通るのを避けて進んだ、見つかることを避けてだ。
 そうして進みつつだ、キッドニーは前を進むホイットマンに尋ねた。
「問題は何処で、ですね」
「連中がいるかだな」
「はい、何処ですかね」
「多分倉庫の中だな」
 ホイットマンは闇夜の中を進みながら答えた。
「そこだな」
「外じゃなくてですか」
「ああ、外だとな」
「下手したら見つかりますからね」
 例えおかしな噂を流していてもだ、外では見つかってしまうというのだ。
「だからですね」
「そうだ、中だ」
「中で色々しますか」
 無論見つからない様にだ。
「悪い連中の定番行為ですね」
「そうだな、しかしだ」
「問題はどの倉庫にいるかですか」
「それはわからない、しかしだ」
「それでもですね」
「思い当たるふしはある」
「といいますと」
「誰にも知られたくないことをするのなら何処でする」
 推理だ、それに基づく言葉だった。
「君なら」
「一番奥ですかね」
 少し考えてからだ、キッドニーはホイットマンの問いに答えた。そのうえで港の倉庫が並ぶ中を進んでいるのだ。 
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