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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました

作者:風林火山
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覗き、ダメ、ゼッタイ

 
前書き
さーて、なんかおかしな回ですね、今回は。
せっかくいい感じになるのに。なんか最後の方ただのギャグパートだし。
まぁ、自分で書いたんですけど・・・・(苦笑) 

 
眼下にはバラ園が広がり、噴水、どこぞの著名な彫刻家が作ったであろう立派な彫刻、オブジェなどが多く点在しているはずのなのにその庭が広大すぎて全く面積を取っている感じがしない。少し日が沈んできた空を背に俺はせっせと窓拭きをする。
宏助が執事になってもう二日になる。宏助が首を縦に振った翌日にはすでに自分のマンションの引き取りは完了していて、自分の少ないひとまとまりの荷物と、身分証明書やらパスポートやらを無愛想なSPから渡された。どうやら宏助を「いない人間」に仕立て上げたらしい。友人や家族との交流が全く無かった宏助がそんな風になるのはしごく簡単であった。
宏助は一応ボディーガード、という役職だが、それなら普段はSPでも事足りるのでいつもは執事という役回りらしい・・・・みたいなことが契約書に書いてあった。そこに書かれていた給料の額と、契約期間「雇い主が死ぬまで」という字に覚えた衝撃と眩暈は忘れられない。麗が探し出してきた執事服を無理やり着せられてしまったのは失敗だ。上下黒のスーツに白のシャツと赤のネクタイ。こういう正装は苦手で動きにくい。
そんな不満やらなにやらを心の中でぶちまけていると、
「宏助さん、散歩にいけそうですか?」
・・・そんな不満を吹き飛ばす雇い主がやってきた。
そうだ、自分の本来の目的は、彼女の散歩をエスコートするという役目なのだ。宏助はSPがいるじゃないか、といったことがあるが、SPは見た目が恐すぎて明と外出した際に「大柄の男が若い女性を誘拐している」、と通報されたらしい。それに敵が複数の場合に備えてSPを何人も配置しなければならない。その点、宏助なら見た目は普通の高校生だし、相手が何人だろうと大して関係ない。
「もうすぐ終わるんでちょっと待っててください。」
「そうですか・・・・お仕事頑張って下さいね?」
そういって彼女は自室に引き返していく。彼女の姿が完全に消えてから顔のニヤけを解放、更に小さくガッツポーズ。そのまま手と足を高速で動かす。この二日間、屋敷の説明と、掃除の方法を教えられていたため、彼女との散歩ははじめてだ。早く一日に与えられた家事ノルマをこなそうと自分の力を使ってみるが、残念なことに、自分の力では確かに早くは終わるが、丁寧さがない、と麗に一蹴された。ただし、窓拭きなら大したことはない。人外の速度で窓が割れない程度に布巾と足を動かして、窓拭きを終える。この自分の力を使っても一日では到底無理なほどの広大な敷地を保有するこの屋敷の掃除、家事。料理系統、事務系統は麗の分担だがそれ以外は全て宏助の分担だ。流石に洗濯はいろいろと手間取った。今日の朝も明のアレとか麗のアレとかを目を瞑りながら必死で洗濯籠に放り込んだものだ。
 そうこうしている内に今日のノルマが終了。散歩の約束をしていたのでさっさと麗に報告をしにいく。最近場所を覚えた事務室にノックして入ると、麗は多くの書類が山積みとなった机で判子を押したり、ペンを走らせたりしていた。しかしメイド服姿は変わらない。
そんな彼女に報告するとああ、と分かったのか分かっていないのかそんな返事を作業をしたままの体制で繰り出す。
「じゃ、じゃあ明さんとの散歩に行ってきますね。」
麗はさっきと同じ体制で生返事。そのまま敬礼してそこを立ち去る。
宏助はやはり最近覚えた明の自室にひた走る。ノックをすると中から「いいですよ~。」という声。ドアを開けると・・・・、
・・・・・・下着姿の明が部屋の中央に座っていた。
「なにが『は~い。』ですか!」
急いでドアを閉める。なんか彼女の艶かしい二の腕やら、背中やら肩やら腋やら太ももやらの肌色地帯を見てしまった気がする・・・・。
「す、すみません。いつも麗だったんでつい条件反射で・・・・。」
中から明のドモリ声が聞こえてくる。すみません・・・・といわれてもなぁ・・・・。と曖昧な気分になる宏助だが、すぐに首を振って否定。
その数分後、彼女は自室から出てきた。
はじめてあったときのような分厚い紺のコート。しかし、今日は紫のマフラーと白のフワフワとした耳当てをしていて、コートで得られる大人っぽい魅力を保ちつつ、あどけない子供のような部分もあるという矛盾。当然コートの一部が不自然に盛り上がっており、流れるように透き通った黒髪や、つぶらな瞳、小さい唇がそういった魅力をさらに押し上げる。
見とれないように気をつけながら、豪邸を出る。閉じたようにピッタリとくっついてる豪邸を囲む住宅街の壁の一角が開き、宏助達の通る道をつくる。来たときほどではないにしろ、住宅から発せられるSPのものであろう敵意はまだある。
そんな中を抜けて、宏助達は外へ。住宅街を抜けて、近くの川岸まで歩く。川辺を歩きながらふと川を見ると冷たそうだ。北風が宏助達にまふら吹きつける。やはりマフラーや耳当てをしている明も寒そうだ。息は当然白い。
「・・・・・寒そうですね。」
宏助はつい言ってしまう。分かっていた。それを言ってしまえば優しい彼女がなんていってしまうか。でも言わずにはいられなかった。それが自分の欲しいものだったから。
案の定彼女は言ってしまう。
「そうですね・・・・。宏助さんはどうですか・・・?」
しかし、そこで明は自分の間違いに気づき、アッと、口を塞ぐ。しばしの気まずい沈黙。
「・・・・・す、すみません・・・・。」
「いや・・・・いいんですよ・・・別に。」
そう言ったものの彼女の落ち込み俯いた暗鬱な表情を見ると自分まで切なくなってくる。
そうやってしばらく静かなまま川沿いの道路を歩くこと数分、急に宏助の首に布が当たる。
「・・・・んん!?」
その布は更に宏助の首に巻きつく。そして、最終的にそれは、その紫色のマフラーは彼女の手に戻った。
「・・・・・あ、明さん・・・・!?」
明が自分の首に巻いてあったマフラーを宏助の首にも巻いたのだ。ただし、マフラーはそんなに長くないので、必然的に宏助と彼女の身体の距離は0に。密着。
「べ、別に私が寒かったから、こうしたら少しでも暖かくなるかな、と思っただけです!」
彼女は子供っぽくそう言い張る。赤い頬が見ていて心地よい。宏助の頬も自然と緩まって赤くなる。
勿論、自分からその布の束縛をとこうなどとは思わない。彼女から感じる温度が、とても心地よかった、そんな理由じゃ駄目なのだろうか。
それからしばらく、河辺を二人の男女が肩を寄せ合って歩いていた。
 しばらく河辺を歩いたところで、住宅街に戻ってきた道とは別の道を辿る。すると道中に銭湯が建っている。宏助達はちょうど銭湯の裏側にいるので、パイプから出ている湯気を見ながら、そこを歩く。
白い壁やそこに書かれた落書き、パイプ、白い湯気、そして、
・・・・・・・・半透明で、頬だけを赤く染めて窓を覗き込む中年男性(浮かんでる)。
「あ、あれって・・・・?」
明のほうを見ると彼女はすでにその幽霊と会話をはじめている。が、しかし、
「駄目ですね。なんか彼、今全然呼びかけに答えません。」
「畜生。あれ完璧に覗いてるだろ・・・・・。」
なるほど幽霊だからばれないのかと妙に納得したとき、急にその幽霊がこっちを振り向く。そして異常な速さでこちらへやってきた。すると、
「・・・な、なにを言うんですか!や、やめてください!」
と顔を真っ赤にして怒る明とニヒヒヒと下品な笑い声が聞こえてきそうな下品な顔でその幽霊は笑う。
「ど、どうしたんですか?」
宏助は慌てて聞くが、彼女は顔を真っ赤にしたまま俯いている。そんな彼女をその幽霊はジロジロ眺め回す。あっちもジロジロしているので、こっちもジロジロすることにした。彼・・・・・つまり中年男性のその幽霊は既に髪の半分が白い。何故か上はスーツ姿。下は幽霊特有の布のような脚だ。
そして、彼は宏助の方を見て、ニヤリ、と笑った後、明に向かって突撃した。
「うおぃ!」
とりあえず明の手を引っ張ってかわすが、彼は諦めない。明に突撃を繰り返す。
「な、なんなんですか?この人・・・?」
「分からないんですか!こいつ幽霊ですよ!貴方に突撃したら・・・・その・・・・・服の下が見えるんですよ!」
宏助は右往左往しながら明に怒鳴る。明も納得するが、幽霊は追撃の手を緩める気配はない。
「ちくしょ!このやろー!」
明の腕を引っ張るが、間に合わず宏助は思い切って彼女の身体をつかむが・・・・。
「・・・・あ、そ、その宏助さん・・・・?」
「あ、す、すみません!」
全身をコートで包んでいる彼女の身体は掴みにくいため、必死に掴もうとしていると、ふと手が思わぬものを掴んでしまう。あわてて手を放すが、その隙に幽霊の追撃がやってくる。宏助は、無我夢中でその幽霊をはたき落とそうとして・・・・・。
「な・・・・!」
「え・・・・・・?」
・・・・・幽霊をはたき落とした。
幽霊が何故か背中を痛そうにして抑えて、地面にはいつくばっている。その身体を踏んでみると、
・・・・・・・グリグリ
「ふ、踏めた・・・・・。」
「ど、どういうことでしょう?」
そこで明がはっ、とした顔。
「な、なんですか。」
「え、えとあの幽霊がしゃべっています・・・・えと、・・・・内容は・・・・。」
宏助は自分が踏んでいる半透明を見る。そして彼女の発した言葉は・・・・
「『バスタオルがなければなぁ~。』・・・・・・・・・・・・。」
「だまれぇぇぇぇぇええ!」
宏助は踏む力を更に強くした。 
 

 
後書き
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