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バカとテストと召喚獣 ~失った少年~

作者:一騎
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第1章 僕と文月学園。
  九時間目   許せない人

 
前書き
はぁ、後一話で大波乱(?)のBクラス戦終了! 

 
――次の日――
「美波様、もう許して!」
「じゃあ、ラ・ペディスでクレープ奢ってくれる!?」
「分かりました分かりましたなので許してくださいぃぃぃぃぃ!」
「じゃあじゃあ―」
「まだあるの!?もう許してよ―って、痛ァァァァ!」
「じゃあ、うちのこと愛してるって言ってみて?」
「くぅぅぅぅぅ!うちのこと愛してるッ!」
「バカ...」
ベキボキベキッ
「ねぇ、雄二、あの二人、何してるの...?」
「ほっとけ」


――数分前――
明久side

「おはよー」
僕が教室に入ると、教室には、秀吉と島田さんとその他の男どもがいた。
「おはよー」
島田さんが返してくれる。
「おはようなのじゃ、明久。にしても、早く設備を変えたいのう」
「僕は姫路さんと秀吉という超絶美少女がいるからいいよ♪」
「わしは男子じゃ」
「うちが女子よ?」
ふぅっ...。わかってないなぁ島田さんは。
「島田さん、女子っていうのは癒し系の人であって島田さんみたいなまな板に似ていて暴力をふるって来るのは女子とは言わな――って、痛ァ!ぼ、僕の脊髄は生まれてこのかたしたことないような曲がり方を!」
島田さんの逆海老反り炸裂。
ってゆうか、ほんとに痛いんだけど!?
「痛い痛いほんとごめんなさい島田さん許してください!」
「じゃ、今後ウチはアキって呼ぶからアキは美波様って呼んで!」
「分かりました!美波様!」
ペキっ!
「美波様、もう許して!」

そして現在に至る。

蒼空side

「さて、作戦をはじめる」
「作戦?でも開戦時刻はまだだよ?」
ちなみに明久は床に突っ伏して寝ている。
...正直息の音が聞こえないけど。
ま、寝てるってことにしておこっと。
「Bクラス相手じゃない。Cクラスの方だ」
「なるほど。で、何するの?」
「秀吉にコイツを着てもらう」
それは女子の制服だけど...雄二に何があったんだろう。
「それって、女子の制服なんじゃ...」
あ、声に出して言ってもうた。
「秀吉が女子の制服を着る、だって!?」
突然明久が跳ね起きた。
...一体明久って何者なんだろうか。
「それは別に構わんが、ワシが女装してどうするのじゃ?」
へっ?
「女装じゃなくて、男装をやめるってことじゃないの?」
....................。
...えーっと...この空気は何なんだろう。
そして、秀吉が心底悲しそうな顔をしていた。
なんでだろう?
「と、とにかくだ、秀吉には木下優子として、Aクラスの使者を装ってもらう」
...............誰?
多分、秀吉の姉妹だろう。かなり似ているんだろうな。
「へぇ~。秀吉って姉妹もいたんだ」
................................。
またも、静寂。一体何なんだろう。
「まぁ、とにかく秀吉。用意してくれ!」
「う、うむ......」
その場で生着替え。
女子の生着替えだと!?
「ブォッハァ!(ブシャァァァァァァ)」
変な声を発しながら鼻血を噴出し、床に倒れる僕。
...この出血量、相当やばいんじゃ...
...まぁ、いいか...
「み、みんな、先に、行くよ...」
「マ、マス○ング大佐ァァァ!」
「僕、マスタ○グ大佐じゃないから!てゆうか、どうしてそうなったの!?」
「鼻血噴出してる姿が、妙に指パッチンからの炎に似てたから」
とりあえずティッシュを鼻につめ、秀吉の生着替えが終わるのをまってからみんなの方を向く。
「んじゃ、Cクラス行くぞ」
雄二と秀吉が教室から出ていく。
「あ、僕らも行くよ」
そして、僕と明久も続く。

―☆―☆―☆―

「さて、ここからは済まないが1人で頼むぞ、秀吉」
まぁ、Aクラスからの使者になりすます以上、僕たちが同行してたらバレちゃうよね。
「気が進まんのぅ...」
「そこをなんとか頼む」
「むぅ....仕方ないのう...」
「悪いな。とにかく挑発して、Aクラスに敵意を抱くよう仕向けてくれ。お前ならできるはずだ」
(ねぇ、明久、秀吉ってモノマネとかうまいの?)
気になったので、明久にちょっと聞いてみる。
(うん。演劇界のホープって呼ばれてたりするほどの腕前だよ)
へぇ~。秀吉って演技すごくうまいんだ。
ということは、秀吉の演技で秀吉の姉か妹の性格とかわかるのか。
秀吉の姉妹だから、性格もかなりいいんだろうな~
これは楽しみ――
『静かになさい、この薄汚い豚ども!」
はい、僕は何も聞いてませんよー。
『な、なによアンタ!』
もしほんとに言ってたとしても、何かと言い間違えただ――
『話しかけないで!豚臭いわ!』
もうだめだ...!
僕の中で秀吉の姉妹はかなりのドSという評価で決まってしまった。
―あの人と仲良くやっていけそうな人だ。
僕のなかで、恐ろしすぎる幼馴染が浮かぶ。
ま、まぁ、もう会わないだろうし大丈夫だろう。
なんか、僕をいじめるだけのためにここまでやってきそうだけど...
『アンタ、Aクラスの木下ね?ちょっと点数がいいからっていい気になってるんじゃないわよ!何の用よ!』
『私はね、こんな臭くて醜い教室が同じ校舎にあるなんて我慢ならないの!あなたたちなんて豚小屋で充分だわ!』
『なっ!言うにことかいて私たちにはFクラスがお似合いですって!?』
別にFクラスとは行ってないけど小山さん!
『手が汚れてしまうのは嫌だけど、特別に今回はあなたたちを相応しい教室に送ってあげようかと思うの』
もう僕は、秀吉の姉妹が恐怖の対象となっている。
『ちょうど試召戦争の準備もしているようだし、覚悟しておきなさい。近いうちに私たちが薄汚いあなたたちを始末してあげるから!』
そう言いながらC教室から出てくる秀吉。
「これでよかったかのぅ」
かなりスッキリした顔で戻ってくる秀吉。
とりあえず聞いてみる。
「ね、ねぇ、秀吉。あれって演技、なんだよね...実際は違うんだよね...?」
「当たり前じゃろうが」
良かった!本当に良かった...
『Fクラスなんて相手にしてられないわ!Aクラス戦の準備を始めるわよ!』
「さて、作戦もうまくいったことだし、俺たちもBクラス戦の準備を始めるぞ」
「うん」
あと10分で戦争が始まるし、あんまりのんびりしてられないな。
勝たなきゃ、ぶん殴れないし。
僕らは早足で教室へと向かった。
―☆―☆―☆―
「ドアと壁をうまく使うんじゃ!戦線を拡大させるではないぞ!」
秀吉の指示が飛ぶ。
雄二曰く『敵を教室に押し込めろ』という作戦らしいが、
――姫路さんに様子がおかしい。
総司令官のハズなのに、全く指示を出していない。
姫路さん程の頭脳の持ち主なら、何言っていいかわからない、なんてことはないだろうし、なぜかちょっと涙目だ。
「勝負は極力単教科で挑むのじゃ!補給も念入りに行え!」
今、指揮をとっているのは副指揮官の秀吉。
「左側出入り口、押し戻されています!」
「古典の戦力が足りない!援軍を頼む!」
まずい、Bクラスは文系が多いから強力な個人戦力で流れを変えないと一気に突破される恐れがある!
「姫路さん!右側に援護を!」
明久も同じことを考えていたらしく、姫路さんに言う。
が、姫路さんは、
「あ、そ、そのっ.....」
かなり泣きそうな顔でオロオロしていた。
一体どうしたんだろう。
「蒼空、古典は!?」
「ごめん、古典は苦手なんだ!」
「くそ、だあぁっ!」
明久が一気に古典の竹中先生のところに行く。
「......ヅ.....づれて....よ」
「っ!」
頭を押さえてまわりを見回す竹中先生。
....一体、明久は何をいったんだろう...
「少々席を外します!」
少し間があく。
「古典の点数が残っている人は左側の出入口へ!消耗した人は補給に戻って!」
さてこの間に、姫路さんに聞いてみますか...
「姫路さん、何かあったの?」
「そ、その、なんでもないですっ」
...いつもの彼女より、大げさだ。これは、何かされているな...?
多分、根本の野郎だろう。1発じゃ済まなくなりそうだ。
「そうは見えないよ。何かあったなら話してくれないかな。それ次第で作戦も大きく変わるだろうし」
僕が考えているあいだに明久も加わってきた。
「ほ、本当に何でもないんです!」
そうは言うけど、本当に涙目だ。
...いつかの僕に似ている。
人に話したくとも、話せない。
迷惑になってしまうと思ってしまうから。
(明久、たぶん、根本のやろうのせいだ。)
(蒼空もそう思う?僕も)
「左側出入り口、教科が現国に変更されました!」
「数学教師はどうした!」
「Bクラス内に拉致された模様!」
現国なら、僕は得意だし、僕がいくか――
「私が行きますっ!」
姫路さんが戦線に加わろうとする。しかし
「あ......」
急に動きを止めてしまった。
まさか――
姫路さんの見ていた方向を見る。
その先には、窓際で偉そうに腕を組んでいる根本の姿があった。
「そこ、動くな!クソやろ――う?」
声が驚きで小さくなってしまう。
まさか、そこまでやるまい、と思っていたことをやられてしまったから。
――根本が腕組んで持っていたものは、姫路さんが大切そうに持っていた、そして、決して手に入れることのできない物―ラブレターがあった。
『―その手紙、いい返事がもらえるといいね』
『はいっ!』
明久がそう言った時、すごく嬉しそうにしていた姫路さんの顔が思い浮かぶ。
「―明久。今の見たか」
「―うん。見たよ」
あのクソ外道、ぜってぇ許さねえ。

―☆―☆―☆―

「「雄二っ!」」
「うん?どーした蒼空と明久。脱走か?そうならチョキでしばくぞ」
「話があるんだ」
代表して明久が言う。
「.....取り敢えず、聞こうか」
こっちがジョークに付き合ってられないことを察した雄二が真面目な顔で僕たちを見る。
「根本くんの着ている制服がほしい」
「....お前に何があったんだ」
まぁ、普通に考えると変態だけど、考えがわかるので何も言わない。
「ああ、いや、その。えーっと....」
明久が慌てている。
別に言い直さなくたっていいと思うけどな。
「まぁ、いいだろう。勝利の暁にはそのくらいなんとかしてやろう」
さて、明久はちゃんと許可もらったし、僕は自分のことをちゃんとやらないと。
「で、それだけか?」
「それと、姫路さんを戦線から外して欲しい」
「理由は?」
「理由は言えない」
明久が雄二と話している。大事なことは明久が言ってくれるだろう。
そう思いながら、自分の手をテーピングでぐるぐる巻きにしていく。
「頼む、雄二!」
「...条件がある」
「条件?」
「姫路が担う予定だった役割をお前がやるんだ。どうやってもいい。必ず成功させろ」
「もちろんやってみせる!絶対に成功させるさ!」
「いい返事だ」
「それで、僕は何をしたらいい?」
「タイミングを見計らって奇襲をかけろ。科目はなんでもいい」
「みんなのフォローは?」
「ない。しかも、Bクラス教室の出入り口は今の状態のままだ」
「.....難しいことを言ってくれるね」
テーピングで右手の拳をぐるぐる巻きにし、話に加わる。
「もし、失敗したら?」
「失敗するな。必ず成功させろ」
これは、失敗=敗北と見ても間違いなさそうだ。
「それじゃ、うまくやれよ」
「え、どこかいくの?」
「Dクラスに指示を出してくる。例の件でな」
さて、明久と僕でBクラスに奇襲か。
かなり難しい。
「明久、お前は確かに点数は低いが、秀吉やムッツリーニのようにお前にも秀でている部分がある。だから俺はお前を信頼している」
「....雄二」
「うまくやれ。計画に変更はない」
そこから明久が少し考え込んでいた。
「.....あ」
ん?明久が何か思いついたようだ。
「....痛そうだよなぁ」
「明久、何か思いついたの?」
「.....うん。.....よっしゃ!あの外道に目にもの見せてやる!」
覚悟、決めたみたいだ。
やろうとしていることは明久の行ったことからわかった。
「美波!武藤くんも君島くんも協力してくれ!」
明久が補給テスト中の3人に声をかける。
「どうしたの?」
「何か用か?」
「補給テストがあるんだけど」
「補給テストは中断。その代わり、僕に協力してほしい。この戦争の鍵を握る大切な役割なんだ」
「....随分とマシな話みたいね」
「うん。ここからは冗談抜きだ」
「何をすればいいの?」
「僕と召喚獣で勝負して欲しい」
―☆―☆―☆―

Dクラス前。
中では明久たちが始めたようだ。
「さて、俺は俺でやらなきゃ」
そして僕は屋上に向かった。
午後、2時59分。作戦まで、あと少し。
屋上につくと、ムッツリーニは既にいた。
「.......遅い」
ムッツリーニのとなりには、鉄人こと西村先生。
「ごめん。――さて、そろそろだね」
『だぁぁーーっしゃぁーっ』
ドゴォッ
少し遅れて破壊音。
「....行ってくる」
「言ってらっさ~い」
ムッツリーニを見送る。
『バカな!教師ごとだと!?だが、予想の範囲内だ!囲め!』
さて行きますかな。
屋上にぶら下がり、反動をつけて飛び込む。
「土屋もおとりだと!?」
あせった根本の声。
「西村先生!現国勝負をBクラス根本に申込みます!」
「なんだと思ったらバカか、お前。俺が文系得意だと知ってるのか!」
完全に馬鹿にしたような声。

『Bクラス根本 恭二
現国  342点   』

確かに高い。でも...
「こっちは糞真面目だ、バカ野郎!《サモン!》」

『Bクラス根本 恭二vs Fクラス 織斑 蒼空
現国  342点   vs    592点    』

瞬間的に飛び込み、一刀両断。

「バカな...この俺がFクラスごときに....」
こうして、Bクラス戦は一応終わった。




「明久、随分と思い切った行動じゃったのう」
「うう、痛いよう、痛いよう...」
「なんとも、お主らしい作戦じゃったなぁ」
「で、でしょ?もっと褒めてくれてもいいと思うよ?」
「あとのことを考えず、自分の立場を追い詰める、男気あふれる素晴らしい作戦じゃな」
「....遠まわしに馬鹿って言ってない?」
そろそろ話しに加わろうか。
「ま、僕はそのバカのおかげで助かったんだけどね。ありがと、明久」
「褒められて嬉しいのと、馬鹿って言われてるので、喜べばいいのかわからないよ...」
褒めたのに...
「ところで蒼空」
「ん?」
「ムッツリーニまで囮なんていつ考えたの?」
「雄二にちょっとお願いして」
「それと、命綱なしだったよね?」
「あ~今思うとなかったね」
明久に変な目で見られた。
....なんでだろう。
「さて、嬉し恥ずかし戦後会談といくか。な、負け組代表」
そういえば、やんなきゃいけないことがもう一つあったっけ。
「本来ならお前らと設備を交換するんだが、特別に免除してやらんでもない」
「......条件はなんだ」
根本くんが力なく問う。
「条件?それはお前だよ、負け組代表さん」
「俺、だと?」
「ああ、お前にはさんざん好き勝手やってもらって、うちのクラス3名が特にすごい被害を受けているんで、正直目障りだったんだよな」
右手の感触を確認する。
本来なら80%位の力でやろうとしたけど、やられた事がことなので、
フルで殴る!
「そこで、Bクラスに特別チャンスだ」
「Aクラスに行って、戦争の準備が出来ていると伝えてこい―」
そこまで聞いて、とにかく、怒りをもう少し我慢するために歯を食いしばる。
「それだけでいいのか?」
取り敢えず膨れ上がってきてしまった怒りを押さえつけ、話に集中する。
「Bクラス代表がこちらの言うことを聞いたあと、コイツを着て、言ったとおりにしたらな」
まず僕のから叶えてくれるようだ。ありがたい。
「さて、ここからちょっとだけ僕の言うことを聞いてもらうよ」




――明久side――
どうやら蒼空は本当にやるようだ。
僕もやりたかったけど、かなり真面目な顔で頼まれたから譲ったけど。

「Bクラス4人、根本くんを押さえつけて」
根本くんが取り押さえられる。
「ちょ、ちょっと待て、一体何をする気だ!」
「一発、ぶん殴る」
「ちょ、お前ら、離せ!」
抵抗する根本くん。
....まぁ、急に殴られるんだから、抵抗するだろうけど....
蒼空はと言うと、関係なさそうに、思いっきり右手に力を入れている。
「僕が殴った瞬間手はなしてください」
おっと、そろそろ殴るか....

すぅーー、はぁーー。

深呼吸している蒼空。

「歯ぁ食いしばれぇ!」

バキッ!

「げふっ!」
蒼空が思いっきり、根本くんの右頬を殴る。
ああ、あれは確かに死んじゃうかもな....
結構とんだし。
蒼空が言っていたことを理解し、うなづく。
「ったく、シャープくらいで何マジギレしてんだよ」
根本くんがぼやく。
蒼空の目尻が反応して釣り上がる。
ヤバイ、あれはキレる手前だ。
「根本くん――」
「けっ、コイツより俺の方がよっぽど不幸だぜ―――」
根本くんはまだ言葉を続けているようだ。
蒼空は――
切れてないか、と思ったが、もう手遅れのようだ。
なぜなら――

―――プツン―。

そんな音が聞こえたような気がしたからだ。 
 

 
後書き
デデーン、

「根本、アウトー」

そんな声が聞こえてきそうなほど根本君終了のお知らせ。 
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