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魔法少女リリカルなのはLOST LIGHT ~蘇りし闇の巨人~

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第一話「闇を継ぐもの」

 
前書き
ティガダークの技にオリジナルがありますので、ご了承ください。  

 
JS事件の傷跡が未だ残る、次元世界第一管理世界ミッドチルダ首都クラナガン。

復興が進むにつれ徐々に人々の中から薄れ始めた危機感。
それは世界が平和を取り戻した証であり、誰もが望んでいた時間。


少しづつではあるが、世界は平穏を取り戻しつつあった。



しかし、その平穏はあっけなく崩れさる。



「第3魔導師部隊!民間人を救援しつつ後退しろ!」


時空管理局所属の魔導師が荒廃したビル郡の中心の空で、部下に指示を送る。

そこから見える光景はまさに地獄絵図。

破壊された建物や鉄道。

そこから燃え盛る炎。

耳にはそこで暮らす人々の悲鳴と、大地を震わす咆哮。


グオオオオオオオン!!


咆哮を響かせる巨大生物。
それは大地震と共にクランナガンの街の地下から突如として現れた。

地震に続いて、現実ではありえない巨大生物の登場により街の人々は混乱し、ただそれから逃げる事しかできなかった。

巨大生物、またの名である超古代怪獣ゴルザは、ただ街をその巨体を使って破壊し、額の突起から紫の超音波光線を出し逃げ惑う人々もろとも焼き払う。


一瞬にしてあたり一面火の海とかす。


その超音波光線が直撃した地点にあったのは民家人達のではなく、焼き焦げ地面の上に崩れた瓦礫の山だけだった。

《Lord cartridge》

「エクセリオン…バスター!!」


街を蹂躙するゴルザの胸部に桜色の砲撃が直撃する。
しかし目だった効果はなく、自身に刃を向けた存在に向け超音波光線をゴルザを放つ。


「なんてタフなの、この巨大生物!」


超音波光線を躱した白を基調としたロングドレスタイプのバリアジャケットを装備した魔導師、機動六課所属スターズ分隊隊長高町なのははエクセリオンバスターを通さないゴルザの強靭な皮膚に驚くしかなかった。

「高町!あまり無理はするな!レヴァンティン!」

《Explosion!》


JS事件で大きく体にダメージを負ったなのはへ無理に戦うなと忠告し、愛剣レヴァンティンにカートリッジのロード命じ、勇ましい駆け声を出しながら炎を纏った剣をゴルザの腕に叩きつける、六課ライトニング分隊副隊長シグナム。
だがその一撃も大してゴルザに効果はなく、むしろ逆上させてしまったようにも見えなくもない。
腕を払って、ハエを追い払うかのような動作で接近したシグナムを攻撃するゴルザ。

「…確かに硬いな」

「ハッ!ドンだけ頑丈かしらねーけど、アイゼンとアタシに壊せねーものなんてねぇー!アイゼン!」

《Explosion!》

数発の薬莢が六課スターズ分隊副隊長ヴィータの鎚形アームドデバイス、グラーフアイゼンから排出され、通常時の数十倍の大きさまで巨大化した鎚部を振り上げ、ゴルザの頭部目掛け急降下する。

「轟天爆砕!ギガント・シュラーク!!」

膨大な質量と魔力の込められた、強力無比な一撃をゴルザの頭部に叩きつける。


グウウオオオオ!?


脳天を襲う鈍痛のあまり、たまらず苦悶の咆哮を上げるゴルザ。
いくら強靭な体を持つゴルザでもヴィータのギガントクラスの一撃は効果があったようだ。

だがそれも長く続かず、回復したゴルザは進撃を再開し、今度は自身の行動の妨害をする彼女達に向け、超音波光線を乱れ撃ち始めるが、その程度の攻撃に当たる程、彼女達の実力は低くはなく、難なく超音波光線を躱す。

もちろんこれはなのは達の作戦通りであり、空を飛ぶ彼女達にゴルザの注意が向けば地上に対しての被害は少なくとも少なくなるはずだ。

「アークセイバー!!」

ゴルザの後方から金色のブーメランのような刃がゴルザの背部に直撃し、なのは達に攻撃をしていたゴルザの注意は後ろへと移る。
そして攻撃を行ったものへ今度は超音波光線を放つが、それらは今まで同様にあっさり躱され、当たることはない。

それもそのはず。

今ゴルザの攻撃をなのは達よりも素早く動いて躱し続ける長い金髪の女性は、六課随一の機動力を持つライトニング分隊隊長フェイト・T・ハラオウンだ。ゴルザの単調な攻撃などかすりもしないのは当然の事。

「このままコイツを抑えて、シャマルとキャロの転送魔法で無人地帯に飛ばせれば全てに方がつく!キャロ、シャマル、準備はどう?」

『もう少しです!』

『これだけの大きさの生物を飛ばすには、魔力が多く必要なの!もう少し待って!』

なのは達が実行しようとしている作戦はこうだ。
ゴルザの注意をなのは達隊長陣が引き付けている間に、作戦ポイントから少し離れた地点で、転送魔法の準備を進めるシャマルとキャロ、2人をサポートするスバル、ティアナ、エリオの3人に、準備が出来次第、ゴルザに転送魔法を行使し、アルカンシェルと呼ばれる大型艦船用の強力無比な魔導砲搭載の次元航行艦が待機する無人地帯にゴルザを飛ばし、とどめを刺すという作戦だ。

もちろんこれは、ゴルザの猛攻を対処できるだけの実力者でなければ、囮役は務まらない。
そういった事から古代遺失物選任の六課かが前線に借り出されわけだ。

まぁ、管理局地上本部の内部未だ、JS事件の被害から復旧していたなことから、どのみち防衛に出撃しなくてはならなくなったはずだ。
だがそんな理由とは関係なくなのは達はこの戦線に参加したはずだ。
自分達が数ヶ月前に守り抜いた世界を壊そうとする存在に、ただ黙って見物することなんてでできはしない。

咆哮を上げるゴルザにそれぞれが交互に攻撃をくわえる。
相変わらず目立ったダメージは見られないが作戦は着々と進行している。

なのは達の活躍は他の管理局員の目にも入っており、瓦礫の上で絶望に光を失いかけていた局員はもちろん民間人達にも彼女達の存在は希望となっていった。

「もう一踏ん張り!みんな、行くよ!」

デバイス、レイジングハートエクセリオンモードを構え、砲撃を放つ準備に入る。

そこへ的になったなのはに向け、ゴルザは超音波光線を放つ。

「なのはは落とさせねぇ!」

なのはを守る為、超音波光線の前に出て、防御魔法を展開して一射を伏せ防ぐ。

「うぐぐ……シグナム!フェイト!」

「行くぞテスタロッサ!」

「はい、シグナム!」

2人は自分の愛機にカートリッジロードを命じる。
レヴァンティンは剣の形状から弓形態ボーゲンフォルムに形態を変え、フェイトは左手を前に出して魔力を収束させる。そしてそれぞれの魔力が臨界値に達し、フェイトとシグナムは強力な一撃を放つ。

「駈けよ、隼!」

「トライデント、スマッシャー!」

炎を帯びた矢の一射と雷の直射砲撃がゴルザの両側頭部に命中。
それがヒットしたのか、ゴルザは苦悶の咆哮を上げ、その巨体がついに地に倒れる。
直後、辺りから歓声が起こる。誰もが目のまで地にひれ伏すゴルザを見て、喜んでいる。

無理もない。

歓声を上げる者は皆、ゴルザの暴虐の被害にあった者ばかりだ。
喜ばない方が逆に無理がある。
フェイト達は倒れたゴルザに通常より強力なバインドを体にかける。

「なのは!」

フェイトが自分より高い地点で魔力を収束させ、砲撃の構えをとるなのはにチャンスだと声を上げる。
フェイトとシグナム、ヴィータに体をバインドで拘束され、身動きのとれないゴルザに巨大な魔方陣を展開したなのはが収束した魔力を一気に、砲撃として放とうとする。

「行くよ!全力全開!スターライト……」

発射はまさに秒読み。
これがきまれば間違いなくゴルザを沈黙させ、簡単に転送魔法で飛ばすことができる。
誰もが勝利は目前だと信じていた。

だが……

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

倒れていたゴルザが咆哮を上げながら息を吹き返し、バインドを力づくで粉砕した。
復活したゴルザに当惑するなのは達と観戦する人間達。
そして砲撃を放とうとしているなのはに視線を向けると、超音波光線を放った。

「「「なのは!!」」」

放たれた超音波光線に対していくら高威力のスターライトブレイカーでもこの距離では相殺するほどの威力を保てず、押し負けてしまう可能性もある。

「くっ!」

だがここで負ければ、なのはを待つものは死の世界。
今日ゴルザによってその命を散らした大勢の人間と同じ運命を辿ることになる。
まだ死ぬわけにはいかない。
自分の帰りを待つ親友と仲間。
そしてようやく家族としての時間を一緒に歩み出した大切な娘が自分を待っている。

絶対に負けられない。

覚悟を決め、なのははレイジングハートを握り直し、スターライトブレイカーを放つ事を決意する。


「ブレイ--」


スターライトブレイカーを放とうとした瞬間、目の前まで迫っていた超音波光線が軌道が反れ、光線はクラナガンの空へと消える。

何が起きた?

超音波光線を放ったゴルザへ視線を向ける。なのはの目に映ったのは、ゴルザが宙を舞い、ビルにドミド倒しで激突し次々とビル群が倒壊していく光景だった。
自分の危機にフェイト達がゴルザに攻撃をくわえたのかとも思ったが、魔力を感じないことからその線を捨てる。では誰があれだけの巨大生物をまるで、ボールを飛ばしたようにぶっ飛ばしたのか?
そして真実は直ぐに知る事になる。

「な、なのは!あれ!」

フェイトに促され、彼女が指す方角を見る。

そして……驚愕する。

白い強烈な光が街を照らし、その眩しさに、光を目にした者は目が眩み、思わず目を瞑る。
光により一時的に視力を失っていた目が回復し光が現れた場所を見る。

そこには更に人間の常識を超えた存在が立っていた。

「黒い……巨人?」

なのは達の前に突如現れた謎の存在。
闇のような漆黒を基調にしたボディの一部に走らせた黒銀のライン。
特に暗黒が支配する闇の中でもその輝きを失わない強い乳白色に輝く双眼と、胸の中央にある蒼い光を放つ水晶が一際その存在感を確かなものにし、誰もが圧倒的かつ禍々しい威圧感を醸し出す
黒い巨人---ティガダークに目を奪われていた。

「貴様……何者だ?」

いち早くティガダークを警戒し、自分のデバイスを構えるシグナムとヴィータ。
堂々と聳えるティガダークはデバイスを構える2人を一瞥し、直ぐに立ち上がり自分をふっ飛ばした張本人であるティガダークに怒りの咆哮を上げながら迫ってくるゴルザへファイティングポーズを取る。

チェア!

突進してくるゴルザから左へ飛んで避け、通りすがりにゴルザの首に右腕でチョップを決める。
背後に回ったティガダークへ向き直り、襲い来るゴルザ。

ティガダークはゴルザの胸に膝蹴りを当て、怯んだゴルザの右腕を掴み、背中を預けると勢いよくゴルザを投げ飛ばす。

チャアアァァァ!!

グオオオオオオ!?

ティガダークは地に叩きつけたゴルザの下へ、跳躍しゴルザの上に跨る。
馬乗りに持ち込んだティガダークは、その拳を幾度も徹底的に振り下ろし叩きつけ、ゴルザを痛めつける。
だがゴルザもただやられているわけでもなく、自分の上に跨るティガダークへ超音波光線を撃ち、ティガダークは光線に押され、飛ばされた先に建っていたビルに激突、炎上する。

ウワァァァ!?

ティガダークが倒れている間にゴルザは、尾をティガダークに向け、姿勢を低め地面を両手で掘り始め、逃走はかろうする。尻尾を巻いて逃げるということはまさにこの事を言うのだろう。

フンッ!

瓦礫の中から中腰になり体勢を整え首を振るティガダーク。
土をかき分け、逃げ出そうとしているゴルザを見つけると、急ぐことなく歩いていく。
そして近くまで近づき、ゴルザの尻尾を持って地中を堀り進むゴルザとは逆方向に力を引き、地中に入っていたゴルザを再び地上まで引きずり出す。

ウンンンン……タア!!

グオオオオン…!

ゴルザの前に回り込んだティガダークは前屈みになっているゴルザの背中を抱くように持ち上げ、跳躍し頭から地面に叩きつける、ダークヘッドクラッシャーを決めた。

凄まじい地響きによりゴルザの首に掛かったダメージが相当なものだとうかがえる。
今の一撃が決めてとなり、もはや抵抗する力すら失ったゴルザ。ティガダークはゴルザの尻尾の根元を掴むと、ゴルザを高速で振り回し、空高く投げる。

力なく無くゴルザの鳴き声が地上から距離が離れていく程遠ざかっていく。

フッ!ハアアア……

遠ざかっていくゴルザを見上げながらティガダークは、両腕を前方で交差させ、左右に大きく広げエネルギー集約させる。

デヤアアア!

その集約させたエネルギーをL字に組んで放つ白色の超高熱光線「ゼペリオン光線」をゴルザに向けて撃つ。

直撃したゼペリオン光線はゴルザを粉々に粉砕し、爆発が空で起こる。

爆発がゴルザの死を意味する事をなのは達と民衆が理解するまで、そう時間は掛からなかった。

「なんという力だ……!」

目の前で繰り広げられていたゴルザとティガダークの戦いを振り返ったシグナムは、自分達が苦戦してようやく地面にダウンさせたゴルザをあっさり倒し退けたティガダークに畏怖に近い感覚を覚えていた。

そして思った。
これほど強大な力を持つティガダークを野放しには出来ないと。

「(ヴィータ、テスタロッサ、高町。巨人にアクションを掛けるぞ)」

「(待ってシグナム!まさか巨人に攻撃を仕掛ける気ですか?)」

念話によるシグナムのティガダークに対して行おとしている事を攻撃行動だと取ったフェイトだったが、シグナムがそれを訂正する。

「(そうではない。何にせよ我々はあの巨人に関する情報が必要だ。現状で巨人が敵か味方か判断するには材料が足りないか……!?)」

シグナムが自分の考えをフェイトに話していると、ティガダークのカラータイマーが白い輝きを放つ。カラータイマーの変化に警戒を強める六課メンバー。

しかし、ティガダークはカラータイマーから放たれる光に包まれ、その姿をクラナガンから完全に消した。まるでその存在が幻だったかのように。だがこれは決して幻なのではない。



そして、ここから始まる。



終わりを迎えたはずの超古代から続いた光と闇の戦いが。





 
 

 
後書き
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