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蒼き夢の果てに

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第5章 契約
  第73話 湖の住人

 
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 第73話を更新します。

 次の更新は、

 10月16日、『私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?』第13話。
 タイトルは、『現われたのは炎の邪鳥ですよ?』です。

 その次の更新は、

 10月23日、『蒼き夢の果てに』第74話。
 タイトルは、『翼人』です。
 

 
 しかし、その瞬間に奇妙な……何と言うか違和感にも似た感覚を覚える俺。
 周囲を支配する雰囲気は戦闘が終了した直後の、未だ緊張感を漂わせている状態。が、しかし、それでも、戦闘中と言う程の殺気を孕んだモノでは有りません。
 廃墟の聖堂内の床の上には、未だ自ら召喚した鎖で縛り上げられ、俺の術に因って動きと術を完全に封じられたジュール・セザールの姿が。

 そして、周囲に飛び散った緑色の液体が発する死の面影。
 それは、戦場に付き物の死臭……。

 しかし……。

 周囲を丁度一周分確認した後に、更に強くなって行く違和感。
 そう、俺やタバサたちが相手にした元修道女の人数は、こんなに少なかったのだろうか。……と言う疑問。
 周囲に存在した元修道女。現在の存在を正確に表現するのなら不死者と呼ぶべき彼女ら。緑色の液体を発して居たその彼女らの身体や、斬り跳ばされた四肢の残骸の量が少なく成って居るような気も……。
 そう考えてもう一度、しっかりと確認し直す俺。

 いや、明らかにシスター服だけを残して、中身の肉体の部分が消えている!

 そう確信した刹那、聖堂の床から生えて来るように振るわれたカギ爪を、石造りの床を蹴り空中へと回避する事で危うく躱す俺。
 そして、それと同時に雷公の腕を召喚!

 瞬転、此の世成らざる者の悲鳴が轟く。
 大地より染みだすかのように発生した少女の裸身を持つ何モノかがその雷に因り次々と貫かれ、先ほどと同じように大地に緑色の液体を撒き散らせながら、元の物言わぬ骸へと姿を変えて行く。
 但し、彼女らは元々不死者。腕を断とうが、脚をもごうが、這い寄ってでも接近して来る存在。

 大地に降り立ち、そのまま片膝を大地に着けた低い体勢から右腕を振るう。
 その瞬間、右手の中に現れる蒼白き光。
 その身を屈めた俺に向かって飛びかかって来る裸身の少女たち。

 四方から突き出して来るカギ爪。しかし、その攻撃は単調にして単純。所詮は、人間としての格闘術の経験を持たない存在に操られた不死者。
 一瞬にして前方三方向のカギ爪を、その繰り出して来る腕ごと斬り跳ばし――――

 その瞬間、俺に背中に人の気配。
 但し、この気配は問題ない。そう確信した瞬間、俺の背後に接近して来た少女に因り、最後の一方向から繰り出されて来ていたカギ爪が腕ごと斬り飛ばされていた。

 戦場と成った廃墟の聖堂にて、背中を合わせた形で立つ二人の蒼髪。
 そして俺とタバサの後ろに音もなく近付き、援護の位置に着く湖の乙女と妖精女王。
 この一瞬の隙間に、消費させられた物理反射が俺に再び施された。

 問題なし。今までの奴らの攻撃力や戦闘時のスピードから類推すると、この湖の修道院跡に現れた不死者どもでは、この場に存在する四人に取って危険な攻撃を加えられる事はない。

 そう考え始めた正にその刹那。

 何とも表現の出来ない大音声が場を支配した。
 それは獣とも、それ以外の何モノかも判らない……。いや、通常の理が支配する世界に住む如何なる生物も発する事の出来ない異世界の声。

 そして、無理矢理引き裂かれる世界の理。その事に因って常人ならば眩暈と吐き気……。何より畏れに因って立って居られない程の状態をもたらせる違和感が発生する。

 これはヤバい!

 危機的状況の発生に周囲の生者……つまり、簀巻き状態で転がされているジュール・セザールも含める、すべての生者を巻き込んで上空へと退避を行おうとする俺。
 しかし! そう、しかし!

 突如、沸き起こる鳴動。
 自らが。タバサが。湖の乙女が。このイフ島に存在するありとあらゆる物が震えていた。

 その瞬間、大地より発生する林立する何か。
 そして、俺及び俺の周囲に集まった少女たちの周りに発生する防御用の魔法陣の煌めき。
 刹那。数本の棘が、自ら召喚した異世界の鎖により捕縛され、大地に転がされていたジュールの身体を貫いた!

 そう。おそらく、あのタイミングで配下のグラーキーの奴隷(修道女)たちに俺を襲わせたのは、俺やタバサたちを排除する目的ではない。
 本来なら、戦闘の最中に奇襲攻撃を行って来る心算だったのでしょうが、その暇を与えずに戦闘を終了させられた為、簡単に贄に出来そうなジュール・セザ-ルを確保した上で、ついでのように俺たちにも、そのグラーキーの棘を放って来たのでしょう。

 確かに、奇襲攻撃などの方法でなければ、グラーキーの棘で俺やタバサ達を貫く事は不可能でしょうから。
 それに、伝承でも伝えられています。グラーキーは、自らの棘を犠牲者に突き立てる時は、自らの奴隷共に犠牲者が逃げられないように身体を拘束させるのだと……。
 そして、この場で身体を拘束されていたのはジュール・セザールのみ。包囲をして取り押さえようとした俺やタバサたちを拘束する事に、彼女ら……グラーキーの奴隷たちは失敗して仕舞いましたから。



 そう。俺の想像では、今回の事件の黒幕は湖の住人グラーキー。
 元々、ここに在った湖の修道院とは、グラーキーの奴隷を作る為の場所。初めからイフ島に存在していたのは、ブリミル教の皮を被ったグラーキーの信奉者たちの巣窟。

 但し、伝承や古の知識。狂気の書物の記述に因ると、ヤツ自身の力は現在ではかなり弱まっていると言う事でしたから……。
 そして、それを証明するかのように、三年前の海賊に因る襲撃事件が起きる前は、グラーキーに因る夢引きの犠牲者。夢遊病者の如き状態でヤツの元に招き寄せられ、グラーキーの従者。先ほど、俺たちが相手をさせられた修道女たちのような存在に変えられた、と言う記録がマルセイユの街の方には、俺が知って居る範囲内では存在していません。

 つまり、今回の事件。マルセイユの街から十月(ケンの月) 最終週(ティワズの週)のダエグの曜日の夜に数名の少女が消える原因は湖の住人グラーキーの仕業でしょうが、そのグラーキーに最初の目覚めの切っ掛けを与えたのはおそらく別の存在。

 そして先ほど、ジュール・セザールが口にした、アイツに能力を与えた神と言う存在が、非常に怪しい存在だと言う事に成るのですが……。
 ジュール・セザールが今宵まで生者で有った、と言う部分から類推出来る存在は……。



 大地が激しく鳴動を繰り返す。
 但し、ここにも疑問が。
 何故ならば、グラーキーが登場する際に地震が起きる、などと言う記述は何処を探したとしても見つける事を出来はしません。少なくとも俺は知りません。
 更に、先ほどのグラーキーの棘による攻撃は大地から行われた。

 これはもしかすると……。

 猛烈な北風が吹き荒ぶ小島の上空。
 その暗い夜の蒼穹。しかし、この島に上陸した当初には間違いなく蒼穹に存在していたはずの紅と蒼、二人の女神と煌めく星々の姿がすべて見えなくなって仕舞って居た。
 この状態はまず間違いなく異界化現象。

 蒼穹……いや、世界自体が歪み、大地の鳴動は止まず。
 石畳の道が。三年前までは畑だったらしき場所が。そして、廃墟と成って仕舞った聖堂が激しく上下動を繰り返し、もともと、妙に平たい島だったこのイフ島の中心に黒々とした亀裂が走る。
 そして――――

 そして、その亀裂により分断された島の外側の部分がずるりと滑り落ち、海中に沈んで行く。
 周囲には朦々とした土煙を発し、海の水を土の色に変えながら。
 元々、この時の為に荒れていたかのような波は更に高く、イフ島をイフ島と足らしめている堆積物を削り取り、崩壊の余波で島全体が更に震動を重ね、その振動が更に崩壊の度合いを促進して行く。
 間違いない。これは島全体に何か理不尽な力が働いている。

 止める者も、当然、止めるモノも存在しない。崩壊のファンファーレは鳴り響く。
 そしてまた、世界が軋みを上げ、捻じり上げられた常識が苦悶の声を上げた。

 そして……。
 イフ島……。いや、今は湖の住人グラーキーと呼ぶべきか。完全にヤツの全体を覆い隠していた堆積物を振り払った姿は、伝承に伝えられているヤツと同じ物。

 但し――――

 でかい。眼下に現れたソイツを見つめて、最初に出て来る感想はこれ。
 全長で百メートルクラス。異端の物語に記されて居るナメクジの形と言うよりは、円に近い楕円形。
 上空より確認を行って居る故に、下部に関しては海に隠れて居る部分が多いので判りません。背中に関しては、伝承通りに剣山の如き無数の金属製らしき棘に覆われている状態。
 その瞬間、上空に留まる俺の方向を三本の茎。その先端に着いて居るボゥっと光りを灯す何かが此方……。俺たち四人の姿を見つめた。
 まるで感情を示す事のない黄色く濁った目玉で……。



 ゆっくりと動き出す湖の住人グラーキー。
 その瞬間、ヤツの行く先の何もない空間に現れる亀裂。そして、その亀裂の先に見える星空。
 いや、あれはおそらく――――

「ティターニア、ヤツの足を止めてくれ!」

 どうやら、俺たちと正面から戦う事が出来る状態ではない、……と判断した結果、自らの能力を使って次元の穴を開けたと言う事らしい。
 しかし、何処に逃げる心算か判りませんが、こんなヤツを簡単に逃がす訳には行きません。

「湖の乙女。ヤツの防御用の術式を完全に解除してくれ」

 確かに逃げ腰の相手で有るのは間違い有りません。しかし、ヤツが纏うのは間違いなく神気。
 それも狂った神特有の非常に危険な気配。
 もし、ここで逃がせば能力を取り戻した時に、俺に対してリターンマッチを挑まれる可能性もゼロでは有りませんから。

 そして……。

「タバサ」

 俺は彼女の名前を呼んだ。
 普段通りの感情を表現する事の少ない視線で俺を見つめ返した後、メガネ越しのやや冷たい瞳で微かに首肯く。

 そして、普段よりも更に一歩、余計に近付き、其処で自然な雰囲気で俺の腕の中に納まる蒼き姫。
 月下でひとつに成る様子は、まるで恋人同士の抱擁を思わせるに違いない。

 しかし……。

 その瞬間、自らの精神の片隅に彼女(タバサ)の存在を確かに感じた。
 俺とタバサ二人の完全同期に因り、俺自身が扱いかねて居た自らの霊力……龍気を完全に制御が可能な状態と成り、普段よりも高い能力を発揮する事が出来るように成る。

 拡大し、更に鋭敏に成った感覚が、ティターニアの周辺で活性化した精霊の動きを確認した。
 その刹那。
 振るわれる繊手。その動きに合わせて緑のドレスの裾が可憐に翻る。

 放たれたのは五本の矢。海と言う巨大な水の気を、ヤドリギと言う木行の矢に集めて描き出される巨大な魔術回路。

 そして、その一瞬の後、巨大な湖の住人グラーキーを包み込む程の晴明桔梗印結界が大海原に描かれた。
 いや、奴ら。クトゥルフの邪神を相手にするのなら、これはエルダーサイン。伝承では、奴らが嫌う印とされている。

 但し、この形。海上に五芒星の形を浮かび上がらせるだけでは完成した訳ではない。

 その次の瞬間、ヤツ……湖の住人グラーキーに纏わり着いて居た水の系統の邪神に相応しい邪気が振り払われた。
 信仰する者を失った水の神格と、現在進行形で俺と言う禰宜(ねぎ)を得ている水の神格。更に、晴明桔梗印結界で能力の著しい低下を余儀なくされているグラーキーが相手なら、現状で精霊を従える能力は湖の乙女の方が上。

 右腕を高く掲げる(タバサ)
 その先に現れる強烈な光輝(ひかり)
 俺自身では絶対に制御し切る事の出来ない巨大な龍の気を、完全同期状態と成ったタバサが完全に制御し切る。

 収斂(しゅうれん)と収束は一瞬。丹田で発生した龍が脊柱を駆け登り、琵琶骨から右腕。そして、高く掲げられた光輝へと更に龍の気が注ぎ込まれる。

 これで四度目の使用。俺自身にも自らの能力として慣れのような物も存在する。

 眼下には巨大な身体を冒涜的に蠢かせながらも、その捕らえられた結界を破るに至らず、鈍重な回避運動に終始する湖の住人グラーキーの姿が。
 そして、失った神気……精霊の護りは未だ回復する兆しはなし。

 周囲は俺の気を指し示す強き蒼い光輝に満ち溢れ、轟々と強き風が舞い始める。
 但し、この風はこの地方の季節風ミストラルに非ず。ましてや、湖の住人グラーキーが開いた異界から吹き寄せる腐臭を伴った魔風(かぜ)でもない。
 これは、俺の龍気が巻き起こす風。
 風を呼び、雨を降らせる大自然の化身。東洋の龍の神気を持つ俺の気の増大が、世界に影響を与えて居る状態。

 高く掲げられた蒼き光輝。この槍を持つ者は世界を制すると伝承にて語られる槍が、世界の義を囁く。
 溢れだす光輝は遙か彼方にまで広がり、夜の世界に真昼を呼び寄せた。

 そして、

「――――神を屠れ」

 自然と口から発せられる言葉(禍言)
 そう。既に俺の全身に納まり切らない異常なまでに巨大と成った龍の気が周囲に影響を与え始め、
 その臨界点まで高められた龍気が、自らの肉を、骨を、精神すらも喰い尽くすかと言う状態へと移行。

 但し、精神は異常な昂揚に包まれている状態。
 それは万能感。神すらも屠る事が出来る自らの能力に酔い、ともすれば意識がそちら側。俺の持つ一番危険な方向にシフトしようとする。
 タバサが共に存在していなければ、能力を制御し切れずに暴走を開始する可能性の高い、非常に危険な精神的な高まり。

運命の槍(スピア・オブ・ディスティニー)!」

 無造作に振り降ろすと同時に紡がれた(ことば)に因って、世界の在り様が変わった。
 そう。完全に解き放たれた運命が今、晴明桔梗印に必要な最後の点穴を。そして、エルダーサインに必要な最後のパーツ、燃え上がる瞳を描いた。

 瞬転、世界が変わる。

 運命すら書き換える槍が穿ったのはグラーキー自身の運命。
 上空より放たれた光輝に因り身体の中心を撃ち抜かれた巨大な身体が一瞬、その動きを止めた。
 そして、その穿たれた穴に大量の海水、周辺の大気と共に自らの身体を落ち込ませて行くグラーキー。

 しかし、それも晴明桔梗印結界の内側だけの出来事。其処から一歩でも離れた箇所では、すべてが通常の空間。丸い円と、五芒星に因って隔たれた場所に、異世界の理が作用する事はない。

 そして、

「遙か異界。水晶の跳ね上げ戸の下にて訪れる、汝の眠りに永劫の安らぎを」

 俺の独り言にも似た祈りの言葉を最後に、今回の事件の黒幕、湖の住人グラーキーはその巨大な身体が存在したと言う痕跡すら存在させる事なく消え去っていました。


☆★☆★☆


 すべてが終わり、そして、新たな始まりを迎えた世界。
 この港町を訪れてからずっと吹き続けて居た北風は止み、既にその姿を遙か西の蒼穹へと姿を消した紅の女神と、未だ少し傾いて来たとは言え蒼穹に存在する蒼き偽りの女神。

 そう。ここは既に穏やかな晩秋の夜へとその位相を移していた。
 世界を支配していたのは万里の彼方より打ち寄せる波と、蒼き偽りの女神の放つ光り。今のこの場の何処を探したとしても、つい先ほどまで存在していた異世界の水の邪神の姿を見つける事は不可能と……。

 ……成って居る。そう考えていた俺の瞳に、波間に漂う赤い僧服の姿が映る。
 その瞬間、俺は高度を下げて行ったのでした。



 海……。地球世界で言うなら地中海に面した砂浜の柔らかな砂の上に、最早、息をしていない赤い僧服をそっと解放した。

 邪神の復活の贄にされた為、最早、彼……ジュール・セザールと言う名前の少年の魂を呼び戻す事は不可能と成った事は確実。
 そう。伝承に語られる、グラーキーの奴隷へと移行しない万が一の可能性とやらが、彼の身に訪れる事はなかったようです。
 棘を刺された時に、刺された事に因るダメージが犠牲者を殺すまでに至らなかった場合……。つまり、グラーキーの液体が注入されようとする時に犠牲者。今回の場合はジュール・セザールが生き残って居たのなら、彼は不死者と成る事は有っても、グラーキーの奴隷と成る事だけは防げたと思うのですが。

 未だ生きて居る時と変わる事のない肌は、西洋人の少年に良く現れる白磁の肌を示し、グラーキーの棘に貫かれたはずの赤い僧服も、正面の方にはそれほど大きな損傷も見受けられるトコロも有りません。

 そして、周囲に人払いの結界を施し、彼。ジュール・セザールと名乗った少年の遺骸を荼毘に付そうとした正にその瞬間。
 完全に事切れたと思われたジュールがその瞳を開いた。

 そして、砂浜に身体を仰向けに横に成った状態から、上半身だけを起こしながら、

「君たちは……」

 ……と、先ほどの尊大な態度とはまったく違う雰囲気で問い掛けて来た。
 その時に発する濃い死の気配。ただ、完全な不死者化をしたと言う程の物でない所から、グラーキーの奴隷にされる事はなかったと言う事なのでしょう。

 但し、故に生者と死者の丁度狭間の状態。おそらく、短い間に生者のように振る舞う事は出来なくなり、元の完全な死者の状態へと戻るとは思いますが。

「湖の聖堂で戦った相手の顔を忘れたと言うのか、ジュール・セザール殿は」

 元々、ジュール・セザールと名乗った少年の能力を危険視して居た訳ではない上に、彼を奴隷と化そうとした邪神は既に存在しない為、今の彼に扱える能力は大した事のないレベル。そう判断して、答えを返す俺。
 しかし……。

「ジュール・セザール? 違います。僕の名前はジュリオ。ジュリオ・チェザーレ。ロマリア教の神官です」

 そう言いながら、彼を取り囲むようにして立つ俺たちの顔を順番に見つめて行く少年。その彼から発せられるのは困惑。今の彼に嘘を吐いている雰囲気はない。
 まして、先ほどまでの彼。ジュール・セザールと名乗って居た時と、今目覚めた少年は明らかに纏う雰囲気が違う。何と言うか、完全に人が変わって仕舞ったと言うか……。まるで、憑き物が落ちたと表現される雰囲気。

 そして、今の彼。ジュリオと名乗った少年の方が本来の彼で、先ほど俺と戦っていたのは裏の人格、と言う雰囲気を発していました。
 もしくは、悪魔かキツネに憑かれていたのか。

 どちらにしても、先ほど戦った時に感じた、態度や魂の質と、魄や肉体の間に漂う微妙な違和感のような物を、今の彼、ジュリオ・チェザーレと名乗った少年から感じる事は無くなって居たのは間違い有りません。

 そう考えて居た俺の返事を待ちながら、俺から始まり順番に顔を見つめて居たジュリオが、一人の少女の所でその視線を止め、そして再び俺の元に視線を戻す。
 そしてその瞬間、僅かにその横顔に自嘲的な笑みを浮かべた。

「彼女たちが居て、そして貴方が居る。
 ……と言う事は、僕はまたヤツらに心を操られていたと言う事ですか」

 まるで非常に疲れた者の口調で、そう呟くジュリオ。
 そして、再び完全に力を失ったかのように砂浜にゆっくりとその身を横たえた。

 いや、もしかすると、生きる気力さえもその時に、完全に失ったのかも知れない。そんな雰囲気を今の彼は発して居た。

 しかし……。

「悪いけど、ジュリオ。俺は、ジュリオ・チェザーレだろうが、ジュール・セザールだろうが。まして、ジュリアス・シーザーと言う名前の相手にも知り合いはいない」

 多分、人違いだろう。……と、俺はそう続けた。
 それに、俺がこの世界にやって来たのは今年の四月。まして、現在の俺の外見は蒼い瞳と紅の瞳の虹彩異色症状態の蒼髪の少年。元々の世界。黒髪こげ茶の瞳の少年だった頃の武神忍を知って居る人間や、タバサの使い魔武神忍。そして、生まれた時に親から付けられた名前を名乗って居た時の俺を知って居る人間がこの場に現れたとしても、直ぐに俺だと見分けられる人間は少ないでしょう。

 しかし、ジュリオはゆっくりと首を横に振った。
 そして、

「貴方の事は覚えて居ますよ、ガリアの世嗣(せいし)

 爆弾発言を行うブリミル教の神官ジュリオ・チェザーレ。
 俺の事を知って居る人間は少ないはず。しかし、それをブリミル教の神官が知って居ると言う事は、このガリア王国の内部には、未だブリミル教……いや、ロマリアの諜報部の人間が数多く入り込んで諜報活動を行って居ると言う証拠。
 そして、どんなに厳しい情報漏洩を阻止したとしても、魔法が当たり前のように存在して居る世界では、完全に情報が漏れ出さないようにする事は不可能だと言う事ですか。

 これは、俺……。王太子ルイの影武者としての俺が歴史の表舞台に引っ張り出されるのも、そう遠い未来の話ではない、と言う事に成るのでしょうね。
 未だ少年の外見しか持たない末端の神官の彼が知り得る程度の秘匿情報でしかないのならば。

 現在の俺がガリア国王子ルイで有ると言う情報が……。

「今度こそ、僕の手で彼女を救い出したかったのですが、矢張り、それは叶わぬ願いでしたか」

 最早、息をする必要すらない存在で有りながら、ため息を吐くかのような微かな声で、そう呟くジュリオ。ぼんやりと月を見上げるその異なる色彩の瞳にも既に力なく、彼に残された時間が僅かで有る事が判る。

 しかし、それでも尚、今の彼の横顔には微かな笑みが浮かんだ。

「それでも、僕なんかに……。奴らに彼女を引き渡した僕なんかに救い出されるよりは、本当に彼女が待っていた貴方に救い出された方が幸せだったのでしょうね」

 そう呟くジュリオの瞳が追っているのはタバサ。
 但し、この台詞は……。

 そのジュリオの台詞を聞き、ゆっくりと首肯くタバサ。しかし、ジュリオの台詞は本来、彼女に掛けられた言葉ではない。
 彼が言う、奴らに彼女を引き渡した、と言う部分から推測出来る相手は、タバサではなく湖の修道院に幽閉されていたタバサの妹の方。
 そして、その事はタバサも気付いて居るはず。

 タバサが首肯く様子を鳶色の方の瞳で最後まで見つめた後、ゆっくりと瞳を閉じるジュリオ。その表情に浮かぶのは……少しの満足と、そして、少なくない不満。
 満足の部分は、タバサの妹が助け出されたと彼が信じたから。
 そして、不満の部分は、それを為したのが自分では無かったから。

 まして、そのタバサの妹を奴ら、……と彼が呼称する連中に引き渡したのが、他ならぬ彼自身だから。
 心を操られている状態で……。

「ガリアの世嗣……」

 完全に遺言を告げる口調、更に瞳を閉じた状態で話し掛けて来るジュリオ。
 いや、おそらく、この言葉が彼の最期の言葉。身体の各所が、既に緑色の液体へと変化しつつある現在の彼の状態から推測するのならば。

「教皇。聖エイジス三十二世の野望を阻止してください」

 静かに押し寄せて来る黒い波の音にかき消されそうな小さな声で、そう一言口にするジュリオ。
 その瞬間、この地方には相応しくない海から吹く一際冷たい風が吹き付け、すべての生者と、一人の死者の肌を撫でて行った。

 そして……。
 そして、その瞬間、一人の元ブリミル教の神官が神の御許に旅立って行った。

 彼が生前、信仰していた神とは違う神の御許へと……。


☆★☆★☆


 遙か北に存在する山々から吹き下ろして来る、十一月(ギューフの月)と言う季節を一切感じさせない風が周囲を舞った。
 そう。山を越えた風は湿気を向こう側へと置いて来る事により、コチラ側にはより強い乾燥と澄んだ空気。そして、高い大空をもたらせる。

 但し、同時に、この地域の北風は、多量に火気を含んだ大気をこの街にもたらせる事に因り、地球世界とは違う、かなり温かい晩秋と言う季節を作り上げていた。



 あの夜。緑色の液体と化したジュリオを荼毘に付した十月最後の夜が明け、十一月と成った最初の虚無の曜日に行ったのは、マルセイユの街から攫われ、危うくグラーキーの奴隷にされようとした少女五人を連れてプロヴァンス伯の居城に赴き、自らの正体。ガリア国王ジョゼフ一世の長子ルイで有る事を明かして、イフ島の消滅の顛末と、マルセイユの街を見渡せる小高い丘に、マルセイユの街を守護する聖人の聖堂を作る事の許可を貰う事でした。
 ただ、流石にイフ島の正体が、異世界の水の邪神グラーキーで、其処に存在していたブリミル教の修道院が、実はその邪神を信仰する修道院だったなどと言う真実を告げる訳にも行かず……。

 このマルセイユの街の守護聖人。ガリアの祖王の傍らに常に存在したと言われている、聖スリーズの導きにより訪れたイフ島。その湖の修道院跡にて今まさに巨人に襲われようとしていた少女たちを救う為に、その巨人と戦った。
 その激烈な戦いにイフ島自体が耐える事が出来ずに、島はその巨人ごと海に沈んで行った。
 ……と言う話に差し替えて、プロヴァンス伯に伝えたのですが。

 もっとも、ここは普通、邪龍と表現する方が西洋風なのですが、流石に東洋の龍の俺が、龍を悪役にする訳にも行かず、巨人と言う事でお茶を濁した訳なんですけどね。

 それで、その話に信憑性を持たせる為に、夢の啓示に従い、マルセイユの街を見下ろせる小高い丘の上に守護聖人の聖堂を俺が一週間以内に建てる事が出来たなら、今、マルセイユの街で猛威を振るうペストも、守護聖人スリーズの加護により終息させる事が出来る、とも告げたのでした。



 そして……。
 現在、十一月、第一週(フレイアの週)、ダエグの曜日。

 ロマネスク・ピザンティン様式の聖堂の前に佇み、高き鐘楼……地上四十メートルの上に建つ聖スリーズ……高さおよそ十メートルの銅像を見上げる。
 プロヴァンス地方独特の陽光を反射し、金箔に覆われた女神像が彼女に相応しい優しい微笑みを地上。そして、彼女が見つめる遙か地中海の先まで届かせているかのようで有った。

「こんな事をして宜しいのですか?」

 本来はこんな聖人などではなく、本当にこのガリアの霊的防御を担うはずの少女神が、強い北風が吹き抜けた瞬間、何時の間にか俺の傍らに並び立って居た。
 しかし、彼女のその表情に浮かぶのは聖母の如き微笑み。
 そして、その姿形は、この聖堂の鐘楼の上に建つ聖人像や、この聖堂内の銀製の聖人像に非常に良く似た姿形。

「金ばかりむしり取って行くブリミル教のイカサマ臭い神様を拝むよりは、そのブリミル教の信仰の拠点の皮を被った地母神の信仰の拠点を造った方が、俺としては百万倍効果が有ると思うからな」

 実際、今回の事件に関してもブルミル教の神様は何もしてくれないドコロか、その毎年数名の少女が行方不明と成って居た事件に関わって居たのがブリミル教神官ジュリオ・チェザーレで、そもそも、イフ島に存在していた湖の修道院でさえ、実は湖の住人グラーキーの信奉者たちが作り出した偽りのブリミル教の修道院だった。
 更に、そのジュリオは何モノかに精神を操られて、本来の彼が望まない事を無理矢理にやらされていた可能性が高く……。

 その彼の遺言が、『教皇の野望を阻止しろ』。ソイツが何を企んでいるのか今のトコロ判りませんが、それでも、死する前の彼が冗談などの類を口にしたと思えません。

 ここまでの状況が出来上がっているのなら、無理に俺との相性が悪いブリミル教の聖堂を建てるよりは、俺との相性の良い精霊を祀る聖堂を建てる方がマシですから。
 更に、その方が実質的に都市としての霊的防御能力を強化出来るのですから、これは正に一石二鳥。

「まして、この聖堂を造るのに能力を貸してくれたのはブリミル教の神でもなければ、その敬虔な信徒でもない。多くの精霊や俺の式神たち」

 実際に、何の力も出していない以上、口出しもさせる心算はない。そう俺は言った。



 そう。この聖堂。ノートル=ダム聖堂は、ブリミル教の聖堂のフリをした精霊を祀る神殿。
 この聖堂を飾る守護聖人スリーズの像のモデルはすべて彼女、妖精女王ティターニア。
 更に、この聖堂は女子修道院。そこで祈りを捧げる最初の修道女たちは、あの湖の住人グラーキーの夢引きに因って集められた五人の少女たちに勤めて貰う事にしました。

 何故ならば、意味もなくグラーキーが彼女たちを集めた訳では有りませんでしたから。
 つまり、集められた少女たちには、最初からそれなりの霊的な才能が有ったと言う事。
 そして、それは、今回の夢引きにより更に鋭敏な感覚として研ぎ澄まされ、ある程度の物質度を持つ存在。具体的には俺の式神ノーム程度までならば、視認可能な能力と成って現れて居ました。

 それならば、ここに出来上がるのは巫女と神と言う正しい関係。
 要は土地神や精霊などの声をブリミル教の示す聖人の声だと認識させてやれば、彼女らや、この街の住人の祈りや信仰の力をそっくりそのままブリミル教から、精霊や土地神の方に移す事が可能ですから。
 それに、見鬼の才を持って居るだけで身を護る術を持たない人間は、異界から侵略に対して最初の犠牲者と成る可能性が高い以上、あの少女たちには、自らの身を護る術を手に入れて貰う必要も有りますから。



「それにな。六千年眠り続けたこの世界の問題は、そのブリミル教に有ると思って居る」

 俺はそれまで見上げていた聖人像から、そのモデルと成った少女神の方向に視線を移した。
 其処には、この地方特有の強い北風に長い黒髪を靡かせながら俺を見つめる少女の姿が存在している。

「ブリミルが伝えた魔法のみが世界を支配し、それ以外は悪魔の所業。ブリミル教の教え以外は異端の知識。
 この唯一絶対の価値観が世界の硬直を招き、六千年もの長きに渡って眠り続けるような状況を作り出した」

 それに普通に考えると、その六千年と言う長い間、大きく変わらない文明レベルを維持したと言う事さえ胡散臭いと思って居ますから。
 何故ならば、地球世界の歴史から考えると六千年前と言う事は、始まりの時代を日本の歴史で言うのなら、それは縄文時代の頃。そして其処から六千年掛けて辿り着いたのが、清教徒革命の時代と言う事は十七世紀。
 但し、アメリカ大陸などが発見されて居らず、植民地をヨーロッパ各国が持って居ないトコロから推測すると、実質的な時代はもっと前と考える方が妥当。

 流石に、六千年掛かってそのレベルの状況では……。
 まして、外敵。エルフと言う人類共通の敵が存在する中で、更に、ブリミル教と言う人類共通の価値観が存在するはずなのに、その文明の進歩するスピードは異常に遅いと俺は思うのですが。
 特に、魔法と言う便利な技術を持って居て、それがごく一部の者に因り秘匿された技術として存在していた訳ではなく、ある程度の不特定多数に使用が可能だった、と言う事のはずですから……。

 そう考えると、矢張り問題は、その共通の価値観の方に問題が有ると考える方が妥当でしょうから。

「もし、俺の考えが正しいのなら。停滞し、澱んだ気を元々そうで有るべき正常な流れに戻す……。少しでも風通しの良い状態にするのが俺のような仙人の役割でも有る」

 澱みから発生するのはそれに相応しい陰の気。そして、その陰の気を更に取り入れて行く事に因って、更なる陰の気を生み出す結果と成り……。
 現在の、このハルケギニア世界を覆い尽くそうとしている陰の気は、クトゥルフの邪神と言う、人類や世界に取っては最悪のヤツラを呼び込もうとして居るように思いますからね。

 俺の言葉を黙って聞いて居たティターニアとの間に、僅かな空白が訪れた。
 タバサと湖の乙女はマルセイユの街で土地神と共に疫病対策に奔走している。
 ダンダリオンやハルファス。それにノームやハゲンチはこの聖堂。後の世では間違いなく、ノートル=ダム聖堂と呼ばれる事と成る聖堂の総仕上げや、ここで修道女として神に仕える巫女と成る少女たちの教育に出回り、俺の元には存在していない。

「私と契約を交わして頂けますか、忍さん」

 普段の落ち着いた静かな雰囲気と言う因りは、やや明るい雰囲気でそう問い掛けて来る妖精女王ティターニア。
 そして、これはガリアの世嗣と成る人間ならば、本来は必ず通過しなければならない通過儀礼だったはずです。

 かつての……。遙か過去に失われて仕舞った、土の系譜を継ぐガリア王家の血を受け継ぐ世嗣ならば。

 しかし……。

「おそらく、この世界で俺が歩む道は冥府魔道。かつてのガリアの世嗣が辿った、人が歩むべき道とは違う道を俺は歩む事を自らに課した可能性が有る。
 そんな相手を契約者として求めるよりも、今回のグラーキーの夢引きから、精霊を見る能力が開花した少女たちの中から契約者を選んだ方が、結果として精霊界の為にも成ると思う」

 本来、大地の精霊とは争いを好まない種族。まして、この世界に召喚されてからの俺の歩み行く先に広がって居るのは、正に屍山血河。死体が山のように積み重なり、多くの血が流され、赤い大河を造る。
 そんな人間を、ただ、能力が高いからと言って土の契約者として選んで良い訳は有りません。

 拒絶に等しい俺の言葉。その俺を見つめる深い黒の瞳が僅かに揺れた。
 しかし、次の瞬間、彼女から発せられたのは決意。それは、タバサが。そして、湖の乙女が発した物とまったく同種の物。

 そして、ゆっくりと首を二度横に振るティターニア。
 その瞬間、僅かに香る花の香りが、彼女が春をイメージさせる女神で有る事を確信させる。

「貴方が、何かの使命を持ってこの世界を訪れている事は知って居ます」

 ゆっくりと、一文字一文字を確実に発音するかのように口にする彼女。しかし、何故かその瞬間、俺には彼女が日本語で発音しているかのように感じられた。
 実際、耳から聞こえて居るのは日本語。いや、日本語が聞こえて居る心算で、本当はこのガリア共通語が聞こえて居るはずなのに、何故か彼女。ティターニアと話している瞬間だけは、日本語で会話を交わして居るように感じられたのだ。
 そうして、

「貴方の手助けを行う。それが私の願い。其処に、精霊界の思惑などは一切存在する事は有りません」

 ……と告げて来る。
 真摯な瞳と、今まで彼女から感じた事のない強い意味の言葉で。

 本来ならばこのガリアの守護の担うべき存在が……。いや、今はそんな事はどうだって良い。
 それよりも……。

 俺も、真剣な表情で彼女を見つめ返した。もう、受肉した存在との契約方法を問い返すような無粋なマネをする必要は有りません。
 彼女が瞳のみで答えを返して来る。

 そして……。
 頭上五十メートルの高見から見つめる女神像と、秋独特の澄んだ高い大空に有る太陽星君が祝福する中、俺と彼女(妖精女王ティターニア)との契約は為されたのでした。

 
 

 
後書き
 最初に。今回のあとがきには、多少のネタバレが含まれる内容と成って居ります。

 ジュリオとジュールの違いに付いて。
 ジュール・セザールとは『憑依者』だった、と言う事です。
 もっとも、この部分に関しては、前回の次回予告でネタバレをして有るので、気付いた方も多いと思いますが。

 次。そのジュリオ・チェザーレについて。
 彼は、『転生者』です。原作小説に登場した『神の右手』とは、異世界同位体では有りますが、完全に同じ存在と言う訳では有りません。
 普通に考えて、末端の。更に三年前の段階でブリミル教の中央から切り離された平民出の神官に、ガリア王国王太子ルイの情報を知る手段など有りません。
 少なくとも現在の教皇庁は、王太子ルイと、オルレアン家次期当主シャルロット姫が異世界より召喚した少年との関わりについて知って居る事は有りません。

 最後。これは重要なネタバレ。
 主人公も、そしてタバサも、この『蒼き夢の果てに』内では同族殺し。人を殺した事はないはずです。
 流石に、現代社会から次元移動をした現代日本人が、例え異世界の人間であろうとも簡単に人を殺せる訳は有りませんし、ヒロインの内の一人の手を人間の血で染め上げる訳にも行きませんでしたから。
 無力化=殺す、では有りませんからね。

 それでは次回タイトルは、『翼人』です。

 原作小説版の『タバサと翼竜人』の、この世界ヴァージョンの御話です。
 もっとも、内容はまったく違う内容なのですが。
 相変わらず魔が濃い内容で、屍が山を築き、血が河を造る御話と成ります。 
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