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舞台神聖祝典劇パルジファル

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第二幕その六


第二幕その六

「まさか」
「そうよ、お花よ」
「私達は花の化身なのよ」
「花の乙女なのよ」
 まさにそうだと答える彼女達だった。
「わかってくれたわね」
「それじゃあだけれど」
「いいかしら」
「やっと遊べるわね」
「待ちなさい」
 しかしであった。ここで声がしたのだった。
「パルジファルよ」
「パルジファル」
 若者はその声が出した言葉に反応した。
「確かその名前は」
「そう、覚えている筈」
「お母さんが呼んでいた」
 このことを思い出したのである。
「夢の中で」
「ここに留まるのよ」
「ここに」
「そう、御前は今は」
 こう言ってであった。クンドリーは髪をとかし整え化粧をし紅の薄い見事な服を着てだ。頭に顔を出してヴェールをしてだ。若者の前に出て来たのだ。
「ここに留まるべきなのよ」
「それは何故」
「すぐにわかるわ」
 こう言ってであった。周囲に顔を向けそうして言うのであった。
「御前達は」
「私達は?」
「それは?」
「離れるのよ」
 そうしろというのだ。
「いいわね」
「離れろ?」
「けれど」
「今は」
「離れるのよ」
 そうしろというのである。
「わかったわね」
「仕方ないわね」
「貴女には逆らえない」
「だから」
 誰もクンドリーには逆らえなかった。それは彼女の魔力故であった。
 そしてであった。彼女達は去り二人だけになった。若者はあらためてクンドリーに対して問うのだった。
「名前をない僕を呼んだのは御前なのか」
「そうよ。私が呼んだのは」
「呼んだのは?」
「清らかな愚か者」
 それだというのだ。
「それがパルジファル」
「パルジファル・・・・・・」
「御前の父ガムレットがアラビアで死んだその時」
 これも若者の知らないことだった。
「御前の母は御前にこう名付けたのだ」
「名付けた」
「そうよ。まだ自分の中にいる御前にね」 
 そうしたというのである。
「私はそれを教える為にここに来た」
「この城に」
「呼ばれたが御前に会う為に今この城に来たのよ」
 こう若者に語る。
「僕の為に」
「私の国は気が遠くなる程遠い場所にある」
「それは時間なのか?」
 モンサルヴァートに入った時のグルネマンツの言葉を思い出してであった。
「時間でなのか?」
「時間でも空間でもよ」
 両方だというのだ。
 
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