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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第22話 人間と妖





























さっきぶっ飛ばした妖はとりあえず、形態は、人間の擬態が完全に解けて妖のままだから。

ジャックはとりあえず、その場に有った角材やらゴミやらを男の上に“ポイッ!”と積み重ねて。

姿を隠す…

まぁ、見た感じ かなり苦しそうだけれどはっきり言って知らん。

自業自得と思ってもらうことにしていた。 苦笑


『やれやれ…… ここ人通り悪いし…まあ 簡単に見つからないだろうから これでいいか。』



“パンパンッ……。”




ジャックは、手を払いこの場を去ろうとした時。


「あのっ!すみません!!」


後ろから女性の声がしたので振り返った。

『……ああ 君はさっきの。』

それは 先ほど天邪鬼に襲われていた女性だった。

「は はい!ちゃんとお礼が言いたくて待ってました。ありがとうございます。」

その姿は笑顔が似合う女性になっていた。

どうやら、随分緊張も解れ 落ち着きを完全に取り戻したようだ。

『ははは…… いいよ。そんなにかしこまらなくても、俺はやりたいようにやっただけだしね。』

(ん?待ってた??ってことは… )

『君…さっきの見てた?俺が、アイツ、ぶっ飛ばしてたとこ?』

……正直見てないといって欲しかった。

だが、期待を裏切るかのように……。

「はい!それはもうはっきりと!」

言い切っちゃった……

(ってかキャラ変わってないかな?この人…)

『ええっと… さっきの見たんならわかると思うけど… 俺もそのさっきの奴と同じかもしれないよ?大丈夫?さっきの会話聞く限りじゃ君かなり怖がりで なんか トラウマ抱えてそうだし。』

ジャックは、考えを読む力をフルに使って、直球どストレートで聞いて見た。

まあ、遠まわしに言う必要は無い、そう判断する。

それに、この人は何やらもう大丈夫だとわかったからだ。

「確かに私は 幼いころあんな感じの化物に襲われる以来大の怖がりに成っちゃったけど… 貴方なら…」

『……ん?』

最後のほうが声が小さくなったので、聞き返した。


「貴方なら大丈夫です!!!私を助けてくれたし!何よりカッコいいですし、……とても優しいです!!」

『………。』

そんな事、コレまで生きてきた中で(前世も含めて)一度も無い……。

だからこそ、そこまでストレートに言われると流石に照れるんだ。

『……はははは ありがとう 』

ジャックは、顔を赤くさせていた。


「……貴方も、その……。」

その女性はその時だけ、表情を強張らせていた。

当然だろう……。

聞こうとしている事……それは。


『……俺もご想像通り妖だ。』


予想通りの答えが返って来た。

だから、助けてくれたとは言え……表情は緩めない。

さっきの事も見ていた。

大男を片手で、それも重力に逆らうかのような持ち方で、物みたいに投げたあの姿を見れば……疑いようが無いんだ。

それに……少し怖いのだ。


ジャックはそれを見越して笑いかける。

『……でも さっきのような奴とは違うよ。オレは君には何もしない。』

その笑顔は……本当に素敵なものだった。

格好いいって言うのも本当だ。それに、優しいって思ったのも、本心からだったんだから。

『今は無理でも……、君たち人間と本当に手を取り合って良ければいいって思ってるんだ。……本当にまだ夢物語だけどな。』

その言葉は、説得力が凄くある。

心からそう思っていると、なぜかわかるんだ。

「……とてもすばらしいことだと思います。」

そう返したんだけれど、でも やっぱり顔に出ていたんだろう。

『無理はしなくてもいいさ、君は襲われたばかりなんだから…。 でも これだけは 分かって欲しい。 キミももうわかっていると思うが、……無数に存在する妖の中には 俺のような考えを持つものもいるって事をさ。全部があんなクズじゃないって事をね… ちょっとでも思ってくれたら 救われるかな?』

表情を崩した女性の心を読み、且つ自分の思いを伝えた。

「あ……、 いえ ごめんなさい… 顔に出てしまいましたね……。」

ジャックの言葉で 自分がどんな顔をしているのかを気づき謝罪した。

『今、有ったことを考えると仕方ないよ。それじゃ 俺はもう行くから、これからは気をつけなよ。あいつらも大っぴらには 手を出したりしないと思うしね。とりあえず 路地裏みたいなベタなとこには入らないように!それじゃあね』

手を挙げ俺は 歩き出した。

「あ あのちょっと!!」

『ん?』

女性は 美佐は…ジャックを呼び止めた。

「あなたのお名前は何ですか?私 明石美佐って言います!」

そういえば 自己紹介してなかった…。

『これは失礼… そういえば 名乗ってなかったね。俺は ジャック。ジャック・ブロウっていんだ。』

軽く頭を下げ名を告げた。

「ジャックさんですか… あのジャックさん今日はほんとにありがとうございました!あ あの…又 会えますか?」

『ん… そうだね。……縁があればまた会えるさ。』

そう言って微笑んだ後

『それじゃあ 美佐さん また。』



“ヒュンッ”



一瞬にして その場から煙のように消えていった。




彼女は、……美佐は、暫くその場でジャックのさった後を見ていた…。

「お化け…… 妖って… 私、子供のころの記憶で恐怖の塊にしか感じなかったけど… あんな人もいるんだ……。」

美佐の≪妖≫に対する考えが完全に変わったわけではない。

だけど、 今日あった出来事をいつまでも忘れないと誓ったのだった。











後日……









この周辺で 縄張りを持っていた天邪鬼が人間を襲おうとしたら逆に誰かにボコボコ……

にされたとうわさが広まり、

周辺の妖し達が恐れ 人間に襲い掛かったりしなくなったそうです。




『まあっ ……結果オーライかな?……でも力で抑えるのはちょっとヤダだけど…』




共存って難しいと心底思う。 


『まぁ気長に…だな。』


ジャックはそう呟くと、そのまま街中へと歩いていった。














 
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