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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第20話 人間界へ






























朱染城から出発して、アカーシャと別れて更に数日が立つ。

ジャックは人間界のとある場所、その都心部ににきていた。

その人間で溢れているその場所で感じた事があるんだ。

空気を思いっ切り吸い込み……そして、吐く。



『………やっぱり 元人間の俺でも ちょっと違和感があるんだな… 人間界って。』



自分は、アルカードとの戦いで数ヶ月・闇の狭間で2世紀…。

……人間ならばありえない程の≪時≫を、≪次元≫を旅してるジャック。それだけ過ごしたジャックはもはや前世の記憶はあったとしても。

……保持していても、身体機能から全てまで ≪人在らざる者≫に成った事を実感していた。

自分に 残ったのは、人としての心だけだと。


でも、それだけで十分とも考えていた。



『でも…… なんだろう。違和感があってもやっぱり懐かしい感じはするな… こんなに良い所だったんだな……。人間の世界って。』



自問自答に苦笑しながら ジャックは人間界に来たことを実感しながら、歩き始めた。






ジャックは、街中を歩く。

その風景を、見ながら愉しむ。



仲の良さそうな家族……、

そして、恋人たち……、

そして、小学生だろうか……?子供達が笑いながら遊ぶ姿。



以前の……≪前世≫の俺なら、何もかもが嫌になって、全てが不快に感じていたのに。

今は、微笑ましい。



『はは……、オレも随分と成長したもんだ……。』



ジャックは、そのまま止まらず街中へと歩き出した。



















そして、街中を歩いていると…

ジャックの脚が止まる。

そこは都心部の外れ辺り。

そこで、ある不穏な力を感じた。


『ん? なんだ? この感じ… 妖気だな。それにしても違和感がありまくり、だな。……人間界にあるまじき力だから。』


ジャックは街中の路地裏で不穏な力を感じていた。

『……こういうことは勘弁してもらいたいものだ…。 人を傷つけるのは…|元≪・≫人として、止めなければならないだろうな。』


……ジャックは気配が最も妖気が濃く感じる路地裏に入っていった。






side out












その人気の無い路地裏。

そこでいたのは

2つの影。


「なっ…… 何ですか? 貴方!さっきから私を付けたりして!!」


それは 若い人間の女性の声だった。

「……ギヒヒヒ これはこれは申し分けない… 可愛らしい人間にはちゃんと名乗らないとな…」

そして、明らかに妖しい男が1人。

舌なめずりしながら ジリジリと女性に近づいていった。


「俺の名前は 絶鬼…ゼツキってんだ。以後よろしく!」


そう 妖しげな顔をしながら話した。

「な、名前は 分かったわ!そ それで… 私に何の用があるっていうの??」

普通じゃない 気配に恐れながらも 気の強い女性は勇気を出し男に問い詰めた。

「いやぁ 貴女のような気の強い尚且つ可愛らしいお嬢さんにストーカー(とりつく)するのが 好きなだけだよ??それにアンタ 気が強いのはふりで本当は 怖がりなんだろぅ? 周囲にばれない様に虚勢を張ってるだけなんだろ?バレバレだぜ。目ぇみりゃだいたい分かるぜぇ。」

男が 全部見透かしたかのような眼で見つめた。

「はッ…………ッ!!」

女性は一気に体が固まった。












この男が言っていることは 全て正しかった。

幼少時代、女性は友達と山の中で遊んでいた。その時 とても人間と思えない化物に襲われたことがあったんだ。

その時は幸い 襲われた場所のそばには、神社があり その化物は霊的に清められた場所に恐れを無して逃げ出したのだった。

友達共々無事に生きて帰れたが… そのことが トラウマとなり極度の怖がりとなってしまったのだ。

気の強いふりは 周囲にそのことがばれない様にした偽りの姿だった。

この事から、 彼女はプライドが高い人間なのかもしれない。







男が解っていたのは大体の事だけだったが…。

すぐに確信に変わる…。

「ヒヒヒ… やぁーっぱり図星だな〜 さっきも言ったが そういう人間にとりつくのが大好きでねぇ〜 ゆっくり 魂を食べさせてもらおうか…」

男は 完全に怯えた女性を見るとその姿に満足し 詰め寄っていった。


「や、 やめて… お 大声を出すわよ?」


女性は 勇気を振り絞り男に訴えた。

その姿にますます 男は興奮し、

「やれるものならやってごらんよ アンタはもう逃げらん無いし… 何よりここは人気の無い路地裏… 誰も気づかないさ」

女性の誤算は 唯のストーカーならば撃退するつもりだったことだったことだった。 だから 路地裏に

来たこともさほど問題にしてなかったのだった。

しかし 相手がまずかった。

「ひっ………。」

女性は 叫びたいのに言葉にならなくなった喉を必死に押さえ叫ぼうとするが…

全くといっていいほど声が出てこなかった。

「さぁ〜 十分怖がらしたし 恐怖に震えてキンキンになった魂ってのも格別なんだよな…これが。じゃ いただきます〜」

(きゃあああああ)

言葉は出ない… だが 必死に叫ぼうとしていたが… それでも 何も出なかった。

その時だ!




“ガシッ!!”




衝撃は、何もこない。

恐る恐る女性は目を開けた。

そこで、女性の目に飛び込んできたのは 飛びついてきた 男の体が空中で止まっている姿だった。




 
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